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2010年1月からことし5月にかけ、米FRBは5000億ドルの資金を追加発行すると、連邦政府の財政収入は3000億ドル増えた。なぜか?
◆政府・日銀の縮み思考
デフレ不況の日本列島が大震災・放射能災害の追い打ちを受けているというのに、政府は消費者や企業から税をむさぼりとり、日銀は小手先の金融政策でごまかす。日本の政策当局はなぜ、こうも安易な縮み思考に陥るのだろうか。
そこで市場経済の総本山、米国の財政・金融政策を再点検してみた。米国は2008年9月のリーマン・ショック後、財政支出を大幅に拡大すると同時に、連邦準備制度理事会(FRB)は紙くずになりかけた住宅ローン担保証券、さらに米国債を買い上げ、ドル資金発行量を3倍以上も増やしてきた。対照的に日本政府は財政支出をためらい、日銀は資金供給を抑えてきた。日銀はお札の発行によって財政資金を賄う「中央銀行による財政ファイナンス」は金融市場の動揺を招き、悪性インフレを引き起こす恐れがあると触れ回る。
では、米国はどうなっただろうか。ドル安になったが、米国債市場は安定したままで、株価は回復し続けている。消費者物価は石油や穀物価格の上昇、ドル安の影響を受けているというのに、インフレは許容限度範囲内におさまっている。この4月時点でもリーマン直前に比べて8%しか上昇せず、前年比で3・1%の上昇にとどまっている。日本は物価下落の速度以上に可処分所得は減り、家計はさらに貧しくなっている。円高は加速し、企業は海外投資に走る。新卒者の雇用機会は減る一方である。
FRBはリーマン後、まるで狂気に駆られたかのようにドル札を刷ってきた。この「量的緩和」開始後、約1年で財政収入は回復し始め現在に至るまで上昇基調を保っている。米国の今会計年度の開始月である10年10月からこの5月までの累計でみると、財政収入の4割強を占める個人所得税収は前年同期比28・4%増で、法人税収も上向いている。増税ではなく自然増収による。オバマ大統領はこの4月、米財政赤字を23年までに4兆ドル減らす財政再建計画を表明し、富裕者向け増税に踏み込んだが、景気の拡大を前提にしている。デフレ下でも増税しか頭にない菅直人政権とはわけが違う。日本の税収はリーマン後急落を続けており、好転のメドは立たないままだ。
興味深いことに、日銀が資金を大量に金融機関に流し込む量的緩和政策(01年3月〜06年3月)をとると、一般会計の税収は03年度を底に上昇し始め、07年度まで増え続けた。
日米のデータからみて、「中央銀行が大量にお札を刷って流せば、国庫も潤う」と結論づけるのはもちろん短絡的過ぎるが、何らかの関連性はあるだろう。政府の政策と中央銀行の金融政策とがうまくかみ合えば、民間の経済活動が活発になり、めぐりめぐって税収が増えるという「法則」である。日本の場合、小泉純一郎政権は03年度に巨額の円売り市場介入に踏み切った。日銀の金融緩和政策と連動することで円安が進行し、輸出産業が息を吹き返した。
◆総合戦略の視点が欠如
その後、リーマン後の不況に直面しても、白川方明日銀総裁は量的緩和に回帰しようとしない。政府の景気政策に呼応して経済学の教科書にはない超異例のドル増刷作戦を展開してきたFRBのバーナンキ議長とは対極にある。
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