★阿修羅♪ > 経世済民72 > 226.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
デフレ下の公共投資の結末
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/226.html
投稿者 一言主 日時 2011 年 6 月 20 日 13:38:13: AlXu/i8.H/.Es
 

デフレ下の公共投資がなぜ借金を膨らませ、余計に経済を縮小させるのだろうか。

さてこのようなデフレが支配する市場で、公共投資などの生産量増大政策を取るとどのようなことが起こるのであろうか。


所得がどんどん減少したり、あるいは借金がどんどん増え、生計費を十分に賄えず、貯蓄がほとんどできなくなり、その結果、所得のうち借金の返済や、国民負担などにより10%が市場から流出するデフレ市場と仮定しよう。

すなわち個人がローンの返済分、社会保険の保険料支払分、公共料金、固定資産税、消費税などの国民負担総額が、すべての国民を平均すると、所得の1割に達している市場である。国民のだれもが所得の1割を国や、金融機関などから奪われ、市場から資金が少なくなっている状態を想像していただきたい。

そのような市場で、
今100億の公共投資が政府の借金でなされたとする。
そうするとそれにより産出物が100億なされ、100億の所得を労働者が受け取る。

しかし労働者はその所得のうち10%を借金の返済や税金によって徴収されることになる。その結果90%を消費に回すことになる。90億が消費され、10億が在庫として残る。

消費された90億の生産物により、次の循環では、90億の所得が生まれる。その人々もまた所得のうち10%の借金を返さなければならないため、81億が消費に回る。それが順次繰り返され、72、9億、65,61億、59,049億、53,1441億と消費が減じていく。

それに応じて不良在庫も10億、9億、7、29億、6、561億と増えていく。結局投資された100億と同等の不良在庫が形成された地点で、投資効果が終了する。

消費が減じていくというよりは、借金を返すため無理やり消費させられていると言った方がよいだろうか。この消費は、自分たちの富をもたらさず、増えるほどコストが増え、疲弊していくものである。

人々は100億の公共投資により、その10倍の規模の経済を動員して借金を100億返すことになるが、それと同時に不良在庫が100億市場に生じることになる。借金の返済は市場からの資金の流出を意味している。不良在庫がそのまま残る。貯蓄として残らないので投資として再投資されることはない。


このように借金が貯蓄を上回る経済では、公共投資は借金の積み上げを意味するのである。この借金の積み上げは、現実の経済市場では、企業や個人の不良在庫の積み上げ、廃業、赤字、製造コスト増、借金増、自己破産となって蓄積される。


借金は返さなければならない物であり、借金率の大きさによって生計費が左右される。貯蓄は、生計費を差し引いた余剰である。消費の大きさにより貯蓄率が左右される。

結局不良在庫が100億になるまでこの循環が繰り返され、投資効果が終わる。デフレでは、100億の投資は経済全体で100億の借金を作ることになる。

その100億は、市場全体に行き渡り、不良在庫となったり、生産コスト増となり、赤字、企業倒産、廃業などに変わってるのである。

最初の100億の投資が借金でなされればその借金100億は返済される事なくただ増えるだけである。
さらに経済全体で100億の欠損が生じる。乗数理論を応用すると、10分の1の借金率は10倍の負の乗数になる。1000億円の経済規模が無駄に浪費されることになる。

そしてその多くの経済要素がコスト増を招き、利益額が少なくなり、すなわち付加価値を減少させるのである。
このようにデフレでは、公共投資はより早く借金を増やし、その数倍もの規模で経済を縮小させるのである。

日本はバブル崩壊後何度も補正予算を組み、大規模な公共投資を行ったが、それは間違った政策であったのである。余計に経済を縮小させ、借金を雪だるま式に増やしたのであった。


これは、バブル崩壊当初、大規模な公共投資を行ない、ダムや港湾、高速道路などをこしらえても、その担い手が大手のゼネコンであったため、彼らの借金返しに手を貸しただけとなった。そしてデフレが解消されることはなかった。しかも経済は自律回復できず、莫大な公共投資は莫大な借金に変わったのである。

その後の数回にわたる莫大な補正予算は、成長戦略、上げ潮戦略、あるいは需給ギャップを埋め合わせるなどと称しながら、莫大な投資は、ことごとく失敗したのであった。

いずれも当初の生産活動の活発化(実質GDPの成長)に幻惑され、経済が成長していると喧伝されるが、実際は、名目GDPの成長が常に実質GDPを下回り、経済は、縮小を続けているに過ぎないのである。

いずれも消費の欠損という現実を知らず無謀な方向への投資政策を遂行したことによる失敗である。

このことは、この例から100億の生産量の所得から80億が消費に回り、20億が欠損になっていることから明らかであろう。すなわちデフレでは、常に名目GDPが実質GDPを下回り、資金が増えない。どころか減少していくのである。

デフレでは名実GDPの逆転が起こるのはなんら不思議ではない自明のことである。実質GDPだけの成長だけを見て、経済が成長しているというような論調はもはややめてほしいものである。

現在リーマンショック後多くの国で取られた、生産刺激策や、グリーンニューディールなどの政策は、3年後の今、その投資効果がなくなり、実質GDPは再び落ち始めています。

しかし借金が少なくなったという話は全く聞かれない。デフレの国は前と比べ余計に財政状態は悪化したのである。低金利過剰融資は、企業の延命効果や、救済策として有効なのであり、デフレ解消策ではないのです。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/2番底を目指す世界経済)、参照。
(デフレに完全に陥ったアメリカとG20、2千10年11月)
(世界のデフレ像を描く2千10年4月)
(世界の財政出動と低金利の行く末2千9年3月19日)
(世界の英知が向かわねばならない方向2千9年4月)参照

デフレでは、公共投資は逆効果であり、かえって経済を縮小させ自律回復させることはない。

徒に実質GDPの成長率を珍重することは謹むべきことである。税収はお金によってなされており、名目をが増えない限り、税収は増えない。当たり前のことだ。

乗数理論による、
風が吹けば桶屋が儲かる理論は、風が止めば桶屋がなくなることでもある。
デフレは負の乗数が支配する世界であり、借金乗数がまかり通る市場なのである。

借金が多くなり、貯蓄する人より借金の返済が多い人や、生計費を十分払えない低所得者が平均を越えれば、公共投資や生産刺激を通して所得が増えることはなく、直接消費を増やす給付を実施なければデフレから解消することはない。

誠に残念なことに、東北で大震災が起こり、そのために莫大な公共投資をなさねばならなくなりました。しかし現在の日本は完全な深刻なデフレ状態です。

阪神大震災と同じようなやり方では、ほとんど景気が回復する事なく、借金だけが増えていくでしょう。
借金をして東北に行った公共投資は、東北のインフラを恐ろしい早さで整えられるでしょう。素晴らしいことです。そして実質GDPも伸びるでしょう。当たり前のことです。

メディヤ、政府関係者、経済専門家は誉めそやすことでしょう。日本は目覚ましい復興を成し遂げていると。

しかし残念ながら復興の見返りは経済全体に取って全くなく、その借金は全く返せず、莫大な投資金額の分だけ、他の地域の日本の分野で穴が空くのです。

数兆円の投資は、日本全体で数兆円の借金を生じさせ、その負の乗数倍の経済を浪費させることになります。
これがデフレの実際なのです。
歴史上の多くの国は、経済困窮中に災害を被り、それを増税して乗り切ろうとすることにより破綻したのです。

今年の後半外需は別にして、生産量の増大による実質のGDPの成長だけをみて浮かれてはなりません。名目が上回らなければ絶対に借金は減らないのです。

政府は経済のよいことは自分たちの政策効果だと言い、悪いところはすべて震災の姓にするでしょう。

今から既に経済学者や、専門家の中にはV字回復を予想している方達がいるが、それは実質GDPだけの成長に過ぎません。そこをよく吟味して評価する必要があるでしょう。

デフレ時の東北の震災復興は、ニューディール政策のような物なのです。あるいはITバブルを覚えていらっしゃるでしょうか。そのバブルが終われば一気に萎むのです。

それ故私達はその愚をしっかりと見据え、デフレにおける本格的な復興を成し遂げねばなりません。

震災復興とデフレ解消策の基本は、日本全体の消費額を直接引き上げることにあり、生産を通して所得を引き上げるのではなく、日本全体の消費額を直接増やし、借金率を減少させる施策が必要なのです。

その政策として私は船中8策を提案しています。
これはすべて市場に資金を増やし、所得線の角度を上昇させるものです。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/敗戦と戦後の復興:デフレと震災復興参照
一言主。
追記:負の乗数のところは私のオリジナルですので引用でお願いします。

平成版:船中八策を実行せよ。

デフレ解消策(船中八策)
1、ガソリン税を下げよ。
2、高速代金を全線、全車種3割負担で実施せよ。
3、雇用保険を満額給付せよ。
4、生活保護所帯以下の最低賃金所帯にその差額分を給付せよ。
5、住宅ローン破綻懸念者に国が代わりにローンを支払え。
6、金利を引き上げよ。(個人金利を引き上げよ。)
7、税金の物納を大幅に認めよ。
8、消費税を下げろ。
いずれも市場に資金を注入する方法であり、消費の拡大に貢献します。それがデフレ解消の正しい方策です。
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年6月20日 15:39:20: Pj82T22SRI
デフレ下では、都市インフラ整備や災害復旧のような、長期的に必要不可欠の公共事業を行うのが良い
減税は、貯蓄に回る率が高い分、乗数効果が悪い


02. 2011年6月20日 19:14:29: 1LDO6nGnGk
高橋洋一教授や飯田泰之准教授がよくあげるいわゆるマンデルフレミングやリカード等価命題の問題だろう。

「同額の赤字国債で公共事業をすべきだ」という意見もあるが、
赤字国債発行は債務増を招き、将来の増税につながる。
現代社会で公共事業だけでは経済効果が少ないことは
「マンデル・フレミング理論」(1999年にノーベル賞受賞)で証明されている。
                   ◇
【用語解説】マンデル・フレミング理論
変動相場制の下では、赤字国債の発行による公共投資は長期金利の上昇を招いて円高となり、
輸出減少・輸入増加の形で投資効果が海外に流出して景気回復に効果がないとする理論。
提唱した経済学者2人の名前に由来する。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/221404/
(リンクきれ)
http://sakura4987.exblog.jp/9605478/

復興はもちろん、公共財の供給としての公共事業はもちろん、
実施するべきだが、「穴掘って埋める」「利用者のいないハコモノ等建設」
といった景気対策としての公共事業は、もう効かない。

箱ものは土地代に消えてしまったり、その後の維持費に消えるので
補修、改良にお金を使うのが良い。
公共性のある民間施設、たとえば鉄道、病院、学校などの補修、改良に支出がいい。
補助の形にすれば、確実に市場に税金以上のカネが出る。
それならその後の維持費はその業者の負担になる。

飯田氏の受け売りだが、
公共事業については、
● 車が通らない高速道路                   
● ただ水を貯めるだけに存在するダム
● 野菜を運ぶためだけの地方空港            
● 誰も利用しない市町村ホール
● 官僚が天下るためだけに存在する豪華保養施設
● “釣堀”と化した港湾施設
といった費用対効果、インフラ効果、乗数効果を無視した利益誘導型公共事業は、縮小し、
これらの効果を無視せず、かつ生活密着型公共事業に転換。

財政政策は、景気対策としてよりも、生活密着型公共財の供給(都市基盤の再構築、環境関連の投資など)、貧困問題への対応、
そして規制改革に伴う激変緩和に使うよう、段階的に移行していく。


(1)公共事業は景気回復に効果あるか。
マンデル・フレミング理論/リカード等価命題によると否定的。
(2)仮にあるとしても、では乗数効果がより高い公共事業は何か。
(3)子ども手当てのような直接給付は、少子化対策目的だが、
景気対策としての効果はどの程度あるか。
(4)公共事業や直接給付をひっくるめて、乗数効果の高い財政支出は何か。
(5)金融政策の役割


(1)借金が返せなくなる云々は政府統合BS,民間金融資産,保有者が国内主体,自国通貨建債務である等からあやまりである.
(2)財政政策の景気刺激効果はきわめて小さくなっている.したがって財政出動をもとめることには賛成できない.
   財政支出先はインフラ整備と再分配を軸に考えるべき.
(3)借金が返せなくなることはない(内国債だから)し,全てを返す必要もない(純債務約300兆が発散しなければよい).
   しかし,国債費が大きくなると言うことは「広くとって(税金)」,「一部にわたす(償還)」ことであるから逆再分配であり,問題だ.
(4)現下の経済環境で財政を出すのは仕方ない.しかし,その支出先は貧困層やその手前の層への緊急支援を中心とすべきである.
   (低所得者の支出性向を考慮しても)景気刺激効果はそれほど大きくはないだろうが必要なことである.
(5)中期的な財政規律のために税制の再考が必要だ.
   財政再建の原資は「2%インフレと2%成長で毎年4.5%の税収増」「80兆円の相続財産への広い課税」
   「累進課税の90年代半ば水準への復帰」その後に消費税だと思う.
あとテクニカルな論点としては一刻も早く納税者背番号制が必要です.徴税のためにも再分配のためにも.
http://twitter.com/iida_yasuyuki/status/6549998985

■役に立たない公共事業が給付金に劣る点
1.労働の不効用
2.より有益な就職先への就業機会を損なう
3.資材の無駄、輸入分はGDPにもマイナス
4.土地収用の手間、土地収容費はストック取引なのでGDPにも計上されない
5.所得分配の不公平 etc.
http://twitter.com/leapout2010/status/12217691499


03. 2011年6月20日 19:17:55: 1LDO6nGnGk
■国が社会保障を達成するには、会社を通して労働を与えることしかなかった。
いわゆるハコモノ行政はこうして産まれる。
でも、ハコモノ行政は労働者を働かせ続けるために、ずーっと何かを作らなければならないので、無駄が多い。
http://twitter.com/T_akagi/status/17756944060

■社会保障は個人に直接配るべき。
「公共事業を増やすべきだ」という人たちがいるが、多くの人に関わる社会保障は効率的であるべき。
「俺達は賃労働で食べている。国から直接金をもらうなんてとんでもない」
という自尊心のために、無駄を許すべきではない。
http://twitter.com/T_akagi/status/17757123167


04. 2011年6月20日 20:12:52: Pj82T22SRI
>マンデル・フレミング理論 変動相場制の下では、赤字国債の発行による公共投資は長期金利の上昇を招いて円高となり、輸出減少・輸入増加の形で投資効果が海外に流出して景気回復に効果がないとする

古いな
デフレ状況では、そうはならない
それに中央銀行の機能を無視している

繰り返すが重要なのは、長期的に必要な投資であることだ
単に税金を戻しても、デフレ状況では、中上流層は、多くを貯蓄に回すから
遥かにムダ


05. 2011年6月20日 20:24:21: Pj82T22SRI

乗数効果を測定しないと厳密なことは言えないが
現状では経済効果の順番としては

将来明らかに必要な公共事業>低所得層への給付金〜法人税減税>非効率な公共事業〜所得減税
かな


06. 2011年6月20日 23:16:05: 6t3Z2XpZpc
資産=特別会計出資金を借金としてカウントすることをやっているのだから借金が増大するのは当たり前。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民72掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民72掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧