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国際通貨基金(IMF)が120億ユーロの資金を当初の予定通りギリシャに融資すると発表しました。
このニュースを受けて16日のニューヨーク市場は急反発し、アルマゲドンを回避しています。(今日のところは、ですけどね。)
今回支払いが決まった120億ユーロは去年の5月に欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)などが協調してギリシャに1100億ユーロを融資するという合意に基づいた支払の一部です。
その意味では国際通貨基金が本来迅速に支払うべきお金を止めようとしたこと自体が「約束と違う」わけですけど、これにはIMFのメンツの問題が絡んでいます。
その背景を説明すると、まずドイツがギリシャ債務再編に際してはヘアカットによる民間部門の「痛み分け」も選択肢に入れるべきだと主張したことが事の発端です。
ドイツがヘアカットを主張したのは若しそれをしなければドイツが長期に渡ってギリシャの尻拭いをする羽目に陥る可能性が強く、それはドイツ国民からの支持を到底得られそうもないからです。
このドイツの発言に対し、欧州中央銀行(ECB)は「ヘアカットなんてとんでもない」と反発しました。なぜならECBはギリシャ国債の入札が円滑に行われるようにマーケットを買い支え、それが在庫になっているからです。若しギリシャ国債が大幅にヘアカットされればECBはドカンと評価損が出て、瞬く間に自己資本不足の問題に直面します。
さて国際通貨基金(IMF)はこの2人の言い争いを見て「チョット待った!キミたちが合意に到達できないということは来年以降のギリシャの資金繰りが暗礁に乗り上げることを意味するよね?それならボクは貸せない」と言って冒頭に書いた120億ユーロの送金を止めてしまったのです。これはなぜかというとIMFには「少なくとも向こう1年間の資金繰りのメドが立っている場合にのみIMFは資金を用立てるべし」という内規があるからです。つまり今回のケースはその内規に反するというわけです。
「えっ?我々はギリシャへの追加(=第2陣)支援の議論をしている筈なのに、IMFは既に去年合意した第1陣の支援のお金についても梯子を外すわけ?」そういう声が市場参加者から出ました。
結局、「IMFはぜんぜん空気が読めてない」という矢のような批判を浴びて今日、彼らは当初の合意通り120億ユーロを送金することを約束したわけです。
してみれば今日のニュースが抜本的な解決でも、議論の前進でも無いことは明らか。
ところでこれは余計な事かも知れませんけど今回のギリシャの件はIMFが意外にカンタンにパンク状態に陥ることを露見させたという点でたいへん興味深かったです。たかがIMF負担分である300億ユーロでフウフウ言っているくらいですから、たとえば日本が将来IMFにお世話になるような事態に陥った場合は一瞬にしてIMFのキャパを超え、針がレッドゾーンに振り切れるのは目に見えています。
日本も「頼れるものは自分だけだ」という自覚を持たねば。
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