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通貨ユーロの崩壊に全財産賭けるのは余りにリスキーだが
ドル上昇やスイスフランの下落などに多少賭けておくのは、悪くはない
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_250712
ギリシャ債務不履行で儲ける─ユーロ崩壊前に行う5つのトレード
マーケットウォッチ
2011年 6月 16日 18:01 JST
【ロンドン】これから1年の間に金融市場で起きる最大のイベントは何か。それを知るのに水晶玉は必要なさそうだ。ギリシャの債務不履行――これが最大のインベトだ。
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米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は今週、ギリシャの長期信用格付けを、世界各国の格付けの中では最も低い「CCC」に引き下げた。同国の鉱工業生産が前年比11%減少したことが明らかになったのは、つい先週のことだ。失業率は過去1年間で40%上昇し、現在は16%を上回る。欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の「救済」から1年、ギリシャは1930年代型の不況に陥っている。
こうした困窮国が債務を返済することはない。赤字を抑制することもない。ギリシャの債務不履行の有無は、もはや問題ではない。誰もがそれを認めている。問題は単純に、いつ、どの程度、どのような条件で、ということ。そして、おそらく最も重大な疑問は、「誰が」不利益を被ることになるのか、ということだ。
ギリシャが債務不履行に陥れば市場が大惨事になる、との予測は多くあるが、それは全て無視すべきだろう。なぜなら、誰にも予測のつかないことだけが、価格を劇的に動かすことができるからだ。ギリシャ債務不履行の確率は、男子テニスの世界ランキング上位のラファエル・ナダル選手が今年のウィンブルドンで決勝に進出する確率と同じくらい高い。
実際には、ギリシャの債務不履行はすでに市場に織り込まれている。しかし、ドイツとフランスは、自国の銀行業システムが安全であることを確認するまで、それを容認することはないだろう。つまり、リーマン・ショックのような金融崩壊は起きないはずだ。
ギリシャの債務不履行が現実となれば、誰もがユーロ圏の崩壊に注意を向けることになる。複数の国が破綻すれば、ユーロ圏は分断に向けて動き出すことになるだろう。市場はそこから勝者と敗者を判別し、それを織り込み始める。
では、もしもユーロが5年以内に無くなるとすれば、そのためのポートフォリオをどう構築するべきだろう。
最初に考えるべき5つのトレードを紹介しよう。
1.ドイツ国債買い/DAX株価指数売り
ユーロの残骸から生まれる新たなドイツ・マルクは、世界最強の通貨の一つとなるだろう。そのことは、ドイツ国債にとっては有益だが、同国のDAX株価指数の主要構成銘柄となっている強大な輸出業者にとっては悪材料だ。ドイツ企業は、長い時間をかけて、再び強い自国通貨を持つことに適応できるようになるだろう。1970年代から1980年代にかけても、彼らは完璧に状況に対応してみせた。ただし、時間はかかるだろう。その間、輸出は損失を被ることになる。それが利益に打撃を及ぼし、株価にも悪影響を与えることになる。
2.スイスフラン売り
セーフヘイブン(資金の安全な逃避先)としてのドイツ・マルクがもはや存在しないなか、投資家の資金はスイスフランに向かっている。イスラエルの通貨シケルは、不況時も好況時と同じように値上がりする通貨として、筆者を含め、一部から支持を得ているが、スイスフランとは違い、千年におよぶ平和と繁栄という後ろ盾がない。スイス市場は現在のセーフヘイブンだ ─ 通貨の強さがそれを明確に物語っている。ただし、マルクが復活すれば、安全な逃避先を求めてスイスに流入した資金の相当額が、国境を逆流するだろう。スイスフランは再び下降線をたどることになる。
3.ベルギー株価指数売り
EUの勢力拡大に伴い、ブリュッセルは新生の超国家――一時は米国に対抗できると思われていた――の首都として台頭。どの大企業も、取引相手を高級ランチに誘うのに、高給のロビイストの一個小隊が必要なほどだった。ユーロが暗礁に乗り上げれば、EUはその場で立ち止まり、その全てが消えるだろう。ブリュッセルは単に、電車の乗り換えの際に美味しいチョコレートを買える都市、となる。ベルギー経済と大企業は全て痛手を負うことになる。
4.欧州の旅行関連株買い
ユーロが無くなれば、周辺諸国の通貨が劇的に下落する一方、中核国の通貨は上昇するだろう。その結果の一つとして、北欧人は再び、ギリシャ、スペイン、ポルトガルに格安で旅行ができるようになる。また、伝統的な貿易パターンが出現するだろう。北欧人は、高級車と工作機を世界中に輸出し、年に数度は地中海沿岸で2〜3週間の休暇を楽しみ、稼いだお金を惜しみなく使うようになる。このことは、ツアー・オペレーター、航空会社、航空機メーカー、旅行関連ウェブサイトなど、旅行に関わるあらゆる企業に有益な結果をもたらす。これらの企業は全て利益が急増するはずだ。
5.米銀行株売り/ドル買い
ギリシャの債務不履行は避けられないということが周知ならば、ギリシャ支援を続けているのはなぜか。答えは簡単だ。ドイツとフランスは、自国の銀行が、ギリシャに関連する債権とクレジット・デフォルト・スワップの大半を第三者に売却したことを確認するまでは、ギリシャの全債務の「再編」を望まないだろう。彼らは、自国の金融システムを破壊するほど愚かではない。
では、購入したのは誰か。最終的にギリシャ国債を大量に保有する羽目になるのは、米国の銀行のようだ。アジアと中東の銀行も同様に大量の債権を保有している可能性がある。ギリシャの債務不履行が起きれば、損失をまともに受けるのは、これらの銀行だろう。
ところが、ドルは上昇する公算が大きい。ユーロは、国際準備通貨としての地位を狙う有力候補だった。その見込みがなくなった今、ドルは、今後さらに10年間は、世界の主要通貨として君臨することになる。いずれは弱みが表面化するだろうが、最後の審判の日は先送りされるはずだ。
他にも多くの影響が出てくるだろう。スペインは不安定になり、イタリアは、ユーロ参加以来の事実上の恒久的なリセッション(景気後退)から回復する可能性がある。
この5つのトレードを行なえば、読者は少なくとも、ドイツ人やオランダ人と同様、ギリシャやポルトガルを格安で旅行できるはずだ。
(マシュー・リン氏はロンドン在住の金融記者。「Bust: Greece, the Euro and the Sovereign Debt Crisis」などの著書がある)
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記者: Matthew Lynn
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