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ユーロ安のとばっちりに苦しむスイス フラン高で空洞化の懸念〜雇用維持のため賃下げも
Bloomberg Businessweek 【プロフィール】v
Matthias Wabl(Bloomberg Newsチューリッヒ支局長)
Corinne Gretler(Bloomberg News記者)
米国時間2011年6月2日更新「 The Swiss Can Barely Afford Their Currency 」
スイス・チューリッヒの目抜き通りバーンホフシュトラッセ(駅前大通り)の高級宝飾店ツェット・マイヤーの店員、シルビー・ギルハウゼンさんは、店にやって来る外国人客が携帯電話を取り出すたびに、不安になる。
「何人ものお客様が携帯電話に保存してある自分の国での値段とうちの値段とを比べているのです」。彼女の傍らに飾ってあるスイスの高級時計ブランド「IWC」や「タグホイヤー」の時計は、1万900スイスフラン(1万2930ドル、約104万円)する。「10%値引きしても、彼らの国で買った方が安いのです」。
ユーロ圏で進行中の経済危機のために、ユーロを敬遠した投資家は、こぞってスイスフランを買っている。資金の「安全な避難先」として判断してのことだ。その結果、フランは過去2年間に、対ユーロで25%上昇した。
2011年1月と2月には、中央銀行の調査に応じた企業幹部のほぼ半数が、フラン高の「負の影響を受けている」と答えている。旅行客相手の商売をしているツェット・マイヤーのような店は売り上げに支障をきたしている。輸出企業もしかりだ。チューリッヒの証券調査会社ケプラー・キャピタル・マーケッツのトップ、ジョン・コックス氏は「ユーロ建てで大量に売り上げても、スイスフラン建てのコストが嵩むので、みるみる利益が減っていく」と、言う。ユーロの売り上げをスイスフランに両替すると、業績が目減りしてしまうのだ。
雇用を守るために賃金カット
世界最大の食品コングロマリット、ネスレのような多国籍企業は、生産拠点を海外に移転することで、為替損失を緩和できる。だが、スイスの中小企業は、コスト削減の手段が尽きつつある。チューリッヒに拠点を置くロビー団体、スイス・エクスポートの代表ペーター・ウィドマー氏はこう語る。「打てる手だてがまるでなく、状況は危機的だ」。スイスの高級時計メーカー、パテック・フィリップのティエリー・スターン社長は今年3月、スイスはユーロに加入した方が好景気になるかもしれないと発言した。「誰にとっても悪夢のような状況だ。この現状に対処しなくてはならない」。
食品メーカー向けにパッケージ素材を作っているモパックは2011年2月、260人いる従業員の賃金を、スイスフラン高を理由に約10%削減した。この件で会社を訴えた従業員の代理人を務めるスイス労働組合のハンス・ハルトマン氏は、同社は3カ月おきに、為替レートに合わせて賃金を調整していると語る。同氏は「為替変動のリスクは企業側が負うべきリスクだ」と続ける。これに対して、同社CEO(最高経営責任者)のライナー・フュクスリン氏は、「ユーロとフランの為替レートが2009年の水準に戻れば、賃金を2月以前の水準に引き上げる。賃金を下げなければ、生産をユーロ圏に移すしかなかっただろう。賃金カットは従業員を守るための措置だった」と主張する。
ダボス市のサンスター・パークホテルのユルグ・ツルヒャー支配人は、米国やユーロ圏、アジアからの旅行客は、フランスやオーストリアなどの国の、より安い部屋に宿泊することが少なくないと言う。「いま我々は、欧州市場よりも、スイス国内市場の顧客向けのマーケティングに力を注いでいる」。
しかも、宿泊客が来ても、あまりカネを落としていってくれない。ブラジルから来た建築家のマウロ・ポルテラ氏(43歳)と弁護士のフレッド・フェレイラ氏(25歳)は、物価の高さに驚いた。「欧州では国によって物の値段が違うことを知らなかった」と話すポルテラ氏は、スイスでカルティエの時計を買うのはやめにしようかと思案中だ。「欧州は全体的に物価が高いが、スイスは特に高すぎる」。
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