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デフレ市場の個人の行動
デフレ市場では個人はどのような行動をしているのだろうか。なぜ経済が縮小循環に陥いるのだろうか。
これまで外観から主にデフレ市場を見てきた。生産量(生産能力)に比べ著しく資金量が減少した市場であると指摘してきた。それをグラフで表すと45度以下の所得線を描くことになる事も指摘した。
資金の減少による消費額の減少が、生産過剰をもたらし、販売競争の激化から低価格商品が増え、付加価値が減じ、所得が低下していく。その循環が縮小再生産をもたらすのである。
それでは市場で、
このような所得線の角度が45度以下に下がり生産量に比べ資金量が大きく減じているデフレの場合、個人はどのような行動を取っているのだろうか。
今回はこれを明らかにしよう。
個人が住宅ローンを返済している場合に、担保が少なくなり、ローンが増えた時や所得が低下した場合を考えてもらいたい。
あるいは重税により国民負担が大きくなって現状の所得では、ほとんど貯蓄ができず、借金をしなければ生活できない場合などを考えていただきたい。
このような時、個人は借金を返済するため、あるいは生活をレベルを維持するため、一生懸命働き生産量を少しでも伸ばすように努力をする。
ところが一生懸命働きその生産で得た所得を、借金の返済や、国民負担の消費税などの税金や、保険料に奪われるため、生活費に十分資金を回すことができない状態になっている。そのような人がたくさんいる市場なのである。
このような人々の多くは所得から借金の返済額や、税金などの国民負担額を差し引いた残りで生活することになる。その結果、消費額が自分たちが所得を得るために生産した生産額以下に下がらざる負えなくなっている。
このような自分が得た所得の産出量より少なく消費する人がたくさんいることが、経済が循環的に収縮し、付加価値が減少し、資金が枯渇していく。このような人がたくさんいる市場がデフレ市場と定義できよう。
多くの人が、貯蓄以上の借金を背負い、消費に回す資金を少なくしたり、あるいはまた借金がなくとも、国民負担額が大きいため、十分に消費することができない所帯や人々が大勢を占めている市場では、常に生産過剰になり、不良在庫が生じる。
例えば、土地資産の暴落により大借金を背負った人達は、その利子や、ローンの返済のため、収入のほとんどをその返済に当てなければならない。
大資産家も、それ以上の大借金を背負えば、消費が極端に少なくなるし、稼ぎのよい所得の大きな人も、大借金を背負えば、消費にお金が回らなくなるのである。
仮に、所得のうち2割をローン返済や利子の返済に当てなければならない人達が多くいる市場では、例えば年間に百万の所得があれば、そのうち20万が借金に返され、80万が消費に回ることになる。この20万が不良在庫となり売れ残るのである。この循環が繰り返されることにより、経済が縮小していく。
次の循環は64万の消費と16万の借金の返済になる。16万の買い残りが出る。この循環の結果は皆さんご存じの通りです。
正常な経済であり、借金より貯蓄額の方が多い経済では、この20万の在庫は、貯蓄によって、市場からの漏れとなって生じている。それは投資などの再投資によって活用される。それ故、正常な経済は、貯蓄と投資のバランスにより均衡する。
インフレ(バブル)の状態では、貯蓄以上の投資が行われ、所得以上の消費がなされている市場である。
しかしデフレ市場では、買い残り品は、欠損に過ぎない。需要があっても買えない状況におかれているのである。消費者は、買いたいものがあっても買えない状態になっているのである。資金が欠乏している状態なのである。
企業はその不良在庫を販売する当てがない状態なのである。企業はその在庫を処分販売せざる負えない状態に置かれるか、リストラをして不良在庫分の生産能力を削ることになる。
それ故、デフレ市場では、人々は得た所得を先ず最初に、借金の返済や、税金として、あるいは保険料として徴収され、所得から差し引かれ、残りが消費に回される。この循環が繰り返され、消費額がどんどん少なくなっていく。
市場の多くの人がこのような行動を取るため、企業は売上が伸びず、不良在庫ができるため、それを解消するために、低価格や、過剰サービスで販売量を確保しようとする。
それが企業の付加価値を下げ、値引きや、賃金カットなどのリストラが行われ、所得が下がることになる。
さらに所得が下がっても、借金の返済額や、国民負担は変わらないため、市場からさらに資金減少する。
所得の減少が、人々の生活レベルの維持が難しくし、その結果生活防衛のため、より安い製品を買い求める行動をする。それがさらに企業のリストラを生み、所得の低下をもたらす。
このような生産額以下の消費が常に行われる個人の行動が、市場を縮小させていくのである。これがデフレ市場の個人の行動の仕方である。
例として、住宅を購入し、ローンを返済している人が、所得が少なくなると、ほぼこのような行動をしているだろう。
また貯蓄のできない低所得者が物価の高騰、ガソリン価格の高騰、国民負担(保険料の増額、医療費の値上げ、消費税の増税)の増大などにより、消費を減額せざる負えなくなっている。
この20年間の低所得化は、このような層をますます増やしている。初期の頃は、金融資産、土地資産の暴落による借金返済が低所得化の大きな部分を占めていた。消費税を2%上げ5%にしてからは、国民負担の増大が低所得化の大きな要員となっている。
このような行動をとる人達が増えるほどデフレが深刻化していくのである。現状はこのような循環に歯止めが効かず、循環毎に、生活保護所帯や貧困所帯や、下流層が日々増えている状態である。
一言主
この辺は、デフレ・インフレの一般理論の核心部分ですので引用でご紹介願います。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/デフレ・インフレの一般理論参照
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
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