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かっては日本経済を支える高額雇用の期待の星も今は学生の人気も凋落している
しかし、他に有望な成長雇用があるわけでもない現実
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/10032
IT業界ではなぜ「うつ病」が多いのか 過酷な労働で衰弱していく技術者たち
2011.06.06(Mon) 乘浜 誠二
経営のためのIT活用実学
当社のマネジャーミーティングで賛否両論の議題があるので私の意見を聞きたいという。「あるプロジェクトに関わっている技術者が、クライアントから夜間の作業を依頼された。今日、勤務することになっているのだが、作業をさせていいものだろうか」というのだ。
管理部門からは、「契約では就業時間(9〜18時)内の勤務となっている。22〜8時の夜間に作業するのは、契約違反である。もし何か問題が起きたら、会社としては責任を負えない」と言う。
その心配はよく分かる。実はその技術者はかつて働きすぎが原因で、軽度のうつ病を発症したことがあったのだ。
技術部門は、私の判断に任せるという。「本人に確認したら、このプロジェクトでは断るわけにはいかないので、一番年少の自分が出ると言っています」とのことだった。
営業部門は、作業に行くべきだと考えているようだ。「夜間の作業は他社では普通に行われていることです。日常茶飯事です。ここで契約とか労働基準法とか持ち出されても困ります」と不満顔だ。
結局、その技術者には翌日1.5日分の振替代休を取ることを条件に働いてもらった。
IT企業でなぜこれほどうつ病の発症率が高いのか
当社では、システム開発とは別に、ASPサービス(インターネットを通じて各種ソフトウエアの機能を提供するサービス)を提供している。その中の1つに「POD(Point of Depression)システム」がある。Web画面上の質問に答えてもらうことで、回答者の「うつ的症状」を判断するというものだ。
PODのユーザー数は現在約80社で、述べ8万人に使用してもらっている。当社の解析データによると、IT企業のうつ病の発症率は一般企業の2倍にもなるのだ。
なぜIT業界ではうつ病になってしまう人が多いのだろうか。
やはり、2次請け、3次請け、4次請けという多重請けの業界構造や、勤務時間の長さが原因としてあるのだろう。
労働契約上の問題もありそうだ。IT業界では、1カ月の基準労働時間を160〜200時間とし、200時間を超えた時に初めて超過分を支払うという雇用習慣が一般的になっている。つまり、200時間を超えるまで残業代を支給しないのである。
過去には、当社の技術者も「深夜勤務」を頻繁にさせられていた。プロジェクトが終了し、リリース祝いの時に、プロジェクトマネジャーが「これで深夜勤務もなくなります。皆さん、よく頑張りました」と挨拶し、「そんなことは聞いていないぞ」と唖然としたのを覚えている。
真面目で仕事を抱え込むタイプが発症しやすい
どうすれば、うつ病を防ぐことができるのか? 職場で同じような仕事をしているのに、なりやすい人となりにくい人がいる。それはなぜだろうか。
下の図は、私がよくセミナーで使う資料からの抜粋である。
「自己効力感」と「自己統制傾向」で分類した4つのタイプ
よくメンタルヘルスの専門家が言うのが、「自己効力感」と「自己統制傾向」である。
自己効力感とは、分かりやすく言うと「自分に自信があるかどうか」を示すものだ。自分に対してどれぐらい自信を持ち、自分を大切に考えているか、あるいは自分を肯定的に見ているか、否定的に見ているかの度合いを表す概念である。
自己統制傾向とは、「物事は自分が頑張ればうまくいくはずだ」(内向き)と感じているのか、それとも「物事には時の運も左右する」(外向き)と感じているのか、そのどちらの傾向が強いかを測る概念である。
上記の図でいくと、「A」のタイプがうつ病になりやすいと言われている。反対に「D」のタイプは、なりにくいと言われている。
「A」タイプは、自己効力感が低く、自己統制傾向が内向きなタイプだ。真面目で、言われたことを黙々とこなすが、自分に自信がない。深夜も土日も仕事をして、完遂しようとし、仕事を抱え込むタイプである。
仕事量をコントロールし、コミュニケーションを活発に
実は、「A」タイプになるか「D」タイプになるかは、先天的な性格とはあまり関係がないようだ。
IT業界(特にシステム開発)で働く人は、もともとの自己効力感や自己統制傾向がどうであれ、必然的に大量の仕事を抱え込まされ、いつの間にか「A」タイプになってしまうのである。
どのような強靭な精神力、肉体を持っていても、IT業界で働くと誰でもうつ病になる可能性が増えるということである。これは大きな問題だ。
技術者をうつ病から守るための、会社の責任と役割は重大である。技術者が追い詰められたり、極限まで頑張りすぎたりしないようなプロジェクトマネジメントが必須であろう。そして、コミユニケーションを活発に行い、風通しのいいプロジェクトにすることである。
システム開発を発注する側のユーザー企業は、システム開発会社の社内の雰囲気やプロジェクトチームのコミュニケーションの様子をチェックすることも必要だろう。
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