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世界経済が二番底に突入するのでは、とうい懸念が広まっている。アメリカもヨーロッパもそして今や日本も抱えている問題が大きく、即座に事態を好転させる可能性は見えていない。
アメリカで3日発表された経済指標が期待するほどの内容でなかったためドルは円に対して更に下げ、80円を一旦は切って多少戻したが、現在も80円台の前半で推移している。
アメリカだけでなくヨーロッパはギリシャの負債問題を抱えている。ギリシャに続いてスペインとかポルトガルなどが控えている。日本は今回の震災で特に製造業、漁業、農業などに打撃を受け、原発問題が更に暗い影を落としている。
日本のこの大震災は、今後世界に転写されていく、と言われており、今回起きたチリの火山爆発はその転写の一つの例かもしれない。それが地震多発国だけで起きるのではなく、地震などおきそうもない場所でも起きる可能性があり、それらは必ず世界経済に大きな影響を与えていく。
二番底に対しては、可能性ではなくそれが来るものとして、準備する必要があるだろう。
●二番底に対する世界的な懸念が増大
http://www.timeslive.co.za/sundaytimes/article1101022.ece/Global-double-dip-fears-mount
世界的な第2の景気後退に突入する可能性は低いが、世界経済の成長鈍化の可能性は非常に高い。
アメリカの労働省は3日、アメリカ経済は5月に予想されていたものより雇用が進まなかったとし、失業率は9.1%に上昇したと発表した。全米供給管理協会(ISM)は今週、5月の購買担当者指数 (PMI)が減少したと発表した。
S&Pインデェシーズのインデックス委員会議長のデイビッド・ブリッツァーによれば、第一四半期の米国住宅価格ケース・シラー指数の3.61%の下落は、「アメリカの住宅価格の二番底を示すものだ」という。
元労働省長官のロバート・レイヒは3日、アメリカ経済のリカバリーは頓挫し、アメリカがまだ二番底に入っているとはいえなくとも、その可能性は高まっている、と語った。
しかし民間のアナリストは、世界経済の本格的な二番底を恐れるのは正しくない、と言っている。
「景気の回復は短期で終わると恐れていた一年半前は、二番底は新たな本格的なリセッションを意味した」と、アブサキャピタルの調査部長のジェフ・ゲーブルは語った。
「もしも、二番底がある種の成長率が抑制気味ということを意味するならば、第2四半期にそれがおきたことは殆ど確かな事だ。しかし、もしも世界経済が新たな困難な状態に突入しつつあるということを意味するのならば、私はそうとは思わない」
ゲーブルは、5月に17カ国の内16カ国のPMIが下落したとしても、それでも50ポイント以上にあると述べた。
「だから、16カ国では製造部門はまだ成長しているが、恐らく前よりかは力強くないことを示している」
「それは、穏やかな成長は可能であることを意味すのであって、2008年・2009年の再来を恐れるべきではない」
経済協力開発機構(OECD)は今週、機構内のGDPの成長率は第一四半期で0.5%であったと発表した。これは去年の第四四半期の成長率と同じである。機構内の7大国の内、日本とアメリカだけが昨年の第四四半期より悪かったのだ。日本経済は前の四半期0.8%の収縮だったのに比べ0.9%の収縮だった。アメリカ経済は、前の四半期の0.8%の成長と比べて0.5%の成長に留まった。
NKCインデペンデント・エコノミストのエコノミストであるクリスティー・ヴィルジョンは、各種の指標に示される緩和された成長はある部分は、3月に日本で起きた地震の影響によるものである、と語った。
「日本は基本的には停止状態になった。それが世界の製造業に影響を与え出している」
シタデル社の投資戦略部長のデイブ・モールは、二番底の可能性について語る際には、その底の原因について考察されるべきだ、と語った。「リセッションの原因の大部分はアメリカの住宅市場のクラッシュだ」と彼は語った。
「住宅市場内の動きは鈍いが、もっと悪化するとは思わない」
「アメリカで二番底が起きるとすれば、政府が赤字を減らそうとするあまり急激に増税することだ。しかし、彼らは状況がいかに厳しいかを知っているからそういうことはしないだろう」
モールは、ギリシャのデフォルトの可能性は、ドイツとフランスの銀行のバランス・シートに載っているギリシャの負債の額のため、ヨーロッパが落ち込むことになるかもしれないと語った。
格付け会社のムーディーズは1日、ギリシャをB1からCaa1へ格下げした。
「ヨーロッパ中央銀行はギリシャのデフォルトを非常に恐れている」とモールは語った。「彼らは、ギリシャのデフォルトはリーマン・ブラザース破綻と似た危機を引き起こすということを分かっている」
リーマンのサブプライムローン危機による2008年9月の破綻は、世界経済メルトダウンを引き起こす要素の一つである、と考えられていた。
「しかし我々がリーマン問題を経験したので、ヨーロッパの当局者らは似たような状況を出来る限り避けるように努力するだろう」
二番底のその他の可能性ある原因として、例えば中国など新興市場で深刻なまでに何かが悪化するような場合である。
しかし大方の新興市場では乗り越えることができるだろう。
彼らは多少インフレ気味で金利を上げたので、成長は鈍化するだろう。しかし、それでも彼らは成長し続け、何らかのショックの原因となることはないだろう」
ゲーブルは、もしも世界的二番底が南アフリカに影響を与えるとすれば、最初は日用品価格に現れるだろう。目に見えないところからだ、と語った。
モールによれば、ヨーロッパの最悪のシナリオは南アフリカの輸出に悪影響を与えるかもしれないが、南アフリカの経済は過度に製造業と輸出に依存しているわけではない、と語った。
「外部からの大きなショックで、我々の回復は頓挫する」と彼は語った。
そのようなショックがくれば、二番底とは石油価格が下がり南アでの外因性のインフレの低下を意味するので、金利の上昇が予想よりゆっくりと起きることになるだろう。
ヴィルジョンは、アメリカとヨーロッパでの低金利が長引いていることと、アメリカで更なる量的緩和策が取られる可能性があることは、南アのランドの為替レートが強いままで継続することを意味する、と語った。
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