http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/890.html
Tweet |
ドルと円が仲良く下落 東京株式 格下げ方向報道の円安受け、輸出銘柄堅調
[東京 31日 ロイター]
日本のソブリン格付けを引き下げ方向で見直し=ムーディーズ
2011年 05月 31日 12:55 J
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは31日、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付Aa2を引き下げ方向で見直しの対象としたと発表した。
ムーディーズによると、今回の格付けアクションは、経済成長見通しの悪化と、緩慢な政策対応によって、政府が信頼できる財政赤字削減目標を設定し、それを達成することが難しくなるとの懸念の高まりに伴う措置。ムーディーズでは、効果的な戦略を打ち出さなければ、既に他の先進国を大幅に上回る水準にある政府債務が、さらに膨張するのは避けがたいとみている。
ムーディーズは、日本国債の発行が困難になるような危機的状況が短中期的に発生するとは考えにくいが、長期的には圧力が高まる可能性があり、現在の高い格付けにおいてもその点を考慮する必要があると指摘。また、将来のいずれかの時点で転換点が訪れ、日本国債にリスクプレミアムが織り込まれる可能性があるとの見方をしている。
格下げ方向での見直しについて、ムーディーズは、1)3月11日の東日本大震災に関連する経済・財政コストが当初の予想をはるかに上回る規模となることにより、世界的金融危機が財政と経済に与えたマイナスの影響がまだ日本経済が完全に回復していなかったにもかかわらず、より拡大しつつあること、2)現在の政策の枠組みでは、今後も適切な時間軸において財政赤字削減を達成できないとの懸念があること、3)人口動態上の圧力の高まりや危機後の不安定かつ不確実なグローバル経済環境において発生しうる新たなショックに対して、長期的財政再建戦略が脆弱であること──が背景としている。
<見直しの根拠>
世界的金融危機は、日本経済にも深刻な影響を及ぼした。これによって、政府が2020年までにプライマリーバランス(利払い費を除く)の均衡を達成する上で、政策上の取り組みによって克服すべき課題も大幅に増加した。日本の2010年の実質国内総生産(GDP)成長率4%は、主要先進国の中でも高い水準となったとみられるが、名目成長率でみた回復は弱く、2010年第4・四半期はマイナス成長となった。大震災の影響により、2011年第1・四半期の実質成長率は年率換算でマイナス3.7%に落ち込み、この10年で3度目の景気後退となった。
これに加えて、震災関連のコストは、当初の予想を大幅に上回ることが明らかになりつつある。暫定的な見通しでは、政府が負担する直接的なコスト(福島第1原子力発電所の事故に関連する、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の債務から発生しうるコストは含まない)はGDPの約2%とみられている。これは、1995年の阪神淡路大震災でかかったコストの2倍。
このような状況が、財政赤字を着実に削減するための助けとなる十分な経済成長の達成を一層難しくしている。政府が想定するベースラインの「慎重」シナリオでは、2020年までの長期においても、成長率は実質ベースでも名目ベースでも1─2%のレンジを上回ることはないと予想されている。
また、政府のより楽観的な「成長戦略」シナリオでは、2020年までに名目GDP成長率が3.8%に達すると予想されているが、それだけではプライマリーバランスの赤字を解消するには十分でないため、効果的かつ時宜を得た政策対応が重要。このシナリオでは、より力強い世界経済と国内労働参加率の上昇が、経済成長を押し上げると想定しているが、プライマリーバランスの赤字を解消するためには、新たな財政改革が必要となることは必至という。
そのために、政府は6月をめどに包括的な税制改革案をまとめる意向。しかし、野党自民党が参議院議席の多数を占めるねじれ国会や、菅直人首相に対する政治的圧力の高まりによって、そのような取り組みが難航するという状況が続くとムーディーズは予想している。
ムーディーズは、日本政府が短中期的に資金調達危機に陥るとは考えていないが、どの国も永久に財政赤字を出し続けることはできないと指摘している。
1990年代初頭以降の多額の赤字と低迷する経済成長により、政府債務は主要先進国の中で最大となり、2010年の政府債務のGDP比は国際通貨基金(IMF)の推定で226%、内閣府の推定で174%となっている(両者の差異は会計基準の相違によるもの)。また、いずれも現在の政策および成長見通しでは、長期的に債務が増大することは避けられない。
<格付けを支える要因>
ムーディーズによると、日本の格付けを支えている主な要因は、国内投資志向を生み出している厚みのある金融市場。日本政府はどの先進諸国よりも低い名目コストで資金調達を行うことが可能だ。また、世界的金融危機後、大震災発生後の数カ月を通しても、日本国債は厚みがあり信頼できる調達基盤を持つことにより、安全投資対象として引き続き高いパフォーマンスを示した。
この国内投資志向に加え、高水準の対外支払いポジションにより、日本は外部ショックの影響を免れている。構造的な経常黒字に加え、GDP比50%を上回る対外純資産は先進諸国の中でも最大で、ドイツの約2倍。一方、Aa格のスペインとイタリアは対外純債務国。事実、対外資産からの所得収支の方が、貿易収支よりも経常黒字に大きく貢献している。
強固な対外支払いポジションは、日本の大規模な輸出企業の競争力を反映している。ムーディーズは、昨今の円高にもかかわらず、輸出セクターが引き続き成長と対外ポジションを長期的に支えていくとみている。
<将来の格付けアクションにつながる要因>
日本の極めて大規模な経済と非常に厚みのある金融市場は、経済に対するショックを吸収する基盤を提供している。しかし、政府債務の大幅な増大から、財政再建を軌道に戻すための取り組みが喫緊の課題となっている。また、政府が多額のリファイナンスニーズを抱えているため、信用市場における転換点の到来の可能性を高めるかもしれない。そうなれば、国債価格の急落と利回りの急上昇がもたらされ、格付に下方圧力が加わるとみられる。
ムーディーズによると、格付けの見直しは次の2点を重視する。ひとつは政府が提案する包括的な税制改革の範囲、実効性、および実施時期の適時性の評価。もうひとつは、東日本大震災に関連する短期および長期の財政コストと地震が経済に及ぼす影響。
ムーディーズは、他のリスク要因から直ちに格付けへの圧力が生じることはないとみているが、いくつかの分野で、次に挙げるようなマイナス方向への展開がみられれば、格付けの方向性に下方圧力が加わるとみている。
ひとつは国内金融資産が枯渇し、政府のリファイナンスニーズを十分に賄いきれなくなった場合で、これは家計貯蓄率がマイナスになった場合に生じる可能性がある。もうひとつは経常収支が赤字に転じた場合で、これは貯蓄の減少傾向を受けて生じ、政府の資金調達コストは諸外国の国債市場と同程度まで上昇する。また、日本国債のリスクプレミアムも急激に上昇する可能性がある。
政府財政の安定化と政府債務の増加傾向の反転させるような財政・経済改革案が実施されれば、ムーディーズはAaレンジの格付けとの整合性が保たれるとみている。
一方、今後も弱い経済成長見通しが続く中で、改革プログラムの内容に実効性が乏しい、あるいは実施が遅れるような場合は、格付けに加わる下方圧力が増大し、Aaレンジの格付けを維持できる可能性が低下する見通し。
(ロイターニュース 片山直幸;編集 田中志保)
*内容を追加します。
© Thomson Reuters 2011 All rights reserved.
日本のソブリン格付けを引き下げ方向で見直し=ムーディーズ
2011年 05月 31日 12:55
ムーディーズが日本国債見通し引き下げ:識者こうみる
2011年 05月 31日 12:44 JST
ムーディーズによる日本国債見通し引き下げや、それに伴う市場への影響に関する専門家の見方は以下の通り。
●円はドル安ムードの受け皿として容量小さい
<外為どっとコム総合研究所 社長 植野大作氏>
ドル安ムードが全体的に強まる中で、ドル/円が最安値更新までのりしろがある水準で止まっているのは、こうした財政問題が意識されているため。とりわけ今週は内閣不信任案の提出があり、原発事故や震災の対応がどうなるのか見通すのが難しくなる。はっきりと利上げの方向が見えている欧州通貨や、資源輸出の強みがある通貨に比べ、積極的に買う理由がない分、円は世界的に強まるドル安の受け皿としての容量が小さい。ただ、全般的にドル安圧力が強い分、一方的に円安に振れることもないだろう。
●市場、相応に反応か
<みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>
ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けAa2を引き下げ方向で見直しの対象としたと発表した。1段階引き下げにとどまれば、ダブルA格は維持する見通しだ。だが、社会保障と税の一体改革など財政政策策定に影響を与えそうなタイミングであることに加え、ギリシャなどの欧州債務問題で緊張感が伝わる中での警告とあって、金融市場も相応に反応するのではないか。
●市場は落ち着き、リスクは政策転換
<ニッセイ基礎研究所 主任研究員 斎藤太郎氏>
株式・債券マーケットともに目立った動きはみられず、落ち着いている。日本の財政再建姿勢や経済構造に変化はなく、最近相次いでいる格付け会社の判断が妥当であるかは疑問だ。
もっとも、財政状況が悪化する中で、現状では低位安定している長期金利が、今後、急上昇するリスクは残る。金利上昇のきっかけとなるのは格下げではなく、政権交代や政策転換が引き金になるとみている。
© Thomson Reuters 2011 All rights reserved.
ムーディーズが日本国債見通し引き下げ:識者こうみる
元GSトレーダー創設のヘッジファンド、震災後に運用資産の大半失う
ソニー、日韓・香港以外でPSNサービスを週末までに再開へ
震災・原発事故の収束という義務果たす=退陣要求で菅首相
特集 東日本大震災
「緩慢な政策対応」で格下げ方向
ムーディーズは日本の財政赤字懸念を背景にソブリン格付けを引き下げ方向で見直すと発表。 記事の全文 | 関連記事
生産は早くも底打ちか:こうみる
消費税15年度までに10%=経財相
東電格下げ、高まる銀行負担リスク
日本・HK・韓国以外でPSNサービス再開
プレジデントロイター:実物「給与明細」拝見
トップニュース
海外での放射能風評被害が収まらず、新規輸出開拓難しく 12:49pm
オバマ米大統領、統合参謀本部議長にデンプシー氏を指名 12:52pm
リビア首都で大規模な反体制デモ、活動家がネットに動画投稿 12:42pm
日経平均3日ぶり反発、先物主導で9600円回復 12:12pm
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。