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(http://diamond.jp/articles/-/12488?page=4)
■不動産バブルとインフレ懸念が顕著の中国バブルは崩壊するのか?
最近、欧米の経済専門家の間で、中国経済の先行きに悲観的な見方がいつになく強まっている。それに伴って、有力メディアでも中国経済に懸念を表明する記事が目立ち始めている。
その背景には、中国の“不動産バブル”と“インフレ懸念”の2つの要因がある。特に、中国の“不動産バブルについて、「1980年代後半の日本の不動産バブルと同じプロセスを歩んでいる」との見方もあり、早晩バブルが崩壊するとの予測も出ている。
大規模な“不動産バブル”が弾けると、わが国が辿ったような長期経済低迷の時期が来る可能性もあるというロジックだ。
また、当局の金融引き締め策などにもかかわらず、今のところ中国では、食料品中心に価格の上昇に歯止めがかからない。こうした状況が続くと、国民、特に低所得者層の購買力が低下して、消費が低迷することも考えられる。それは、中国経済の成長力の足を引っ張ることになるはずだ。
もう1つ無視できない要素は、中国の政権交代が来年に迫っていることだ。一党独裁の政治システムを持つ中国で、リーダーが変わることの意味は大きい。特に、経済の裏表が存在する中国では、新しい権力者の政権運営によって、今までの特権階級が淘汰される可能性もある。
これだけ勢いのついた中国経済が、すぐに失速するとは考えにくいものの、中長期的に見ると、相応の混乱が発生するリスクは十分にあるだろう。長い目で見ると、中国リスクは頭に入れて置くべき要素だ。巷でまことしやかに囁かれる「いよいよ中国バブル崩壊か」という観測は、果たして本当だろうか。「日本と相似形」という指摘もあるが
実は大きく異なる中国バブルの成り立ち
中国の経済専門家の間で、「中国の“不動産バブル”は、80年代後半の日本によく似ている」というレポートが話題になっている。2005年以降の中国の不動産価格の上昇は、80年代後半の日本の地価高騰によく似ているという。それに従うと、2011年にも、中国の“不動産バブル”が崩壊すると予測するものもある。
日本も中国も、金融当局によって大量に供給された資金の一部が不動産市場に流れ込み、不動産価格を急上昇させてしまった。日本では、それに対して政策当局が、不動産価格の上昇を抑え込むために金融引き締めなどの対策を実施し、それが“不動産バブル”を破裂させ、最終的には、不動産価格の急落を招いた。
確かに中国でも、金融当局が注入した資金が、“不動産バブル”を作ったことは間違いない。しかもその背景に、日本には円高阻止、中国には人民元の過小評価という、為替に関連した問題があったこともその通りだ。
しかし、大きな相違点もある。それは、“不動産バブル”を作った主体だ。日本の場合には、民間の“地上げ業者”や不動産会社が主体だった。一方、中国の場合には、地方政府が宅地造成などを直接行なっているため、中国の“不動産バブル”は、言ってみれば「官製バブル」ということもできる。
また、中国は現在でも、共産党の一党独裁体制が続いており、短期的には価格統制など、中央政府のコントロールが効きやすい状況にある。そのため、経済全体に痛手となるような不動産価格の変動に対しては、政権はなりふり構わず権力を駆使することだろう。
それは、少なくとも短期的には“不動産バブル”の崩壊を阻止する方向に作用するはずだ。とういうことは、「すぐに中国のバブルが弾ける可能性は高くない」と見た方がよい。
■一党独裁政治とアングラ部分が大きい経済。中国経済を観察する「二大ポイント」。
中国は、我々日本人にとって理解が難しい国だ。中国経済の先行きを分析するに当たっては、おそらく次の2つのことをしっかり頭に入れて置く必要がある。
@ 政治の仕組み=一党独裁体制だ。一党独裁であるため、ほとんどの権力は、共産党のリーダー=国家主席に集中する。特定少数のリーダーの考えによって、様々な政策が運営される。国全体に、その考えが浸透するか否かは別として、どうしても統制色の強い仕組みにならざるを得ない。
A 経済活動のアンダーグラウンド部分が大きいことだ。中国に進出している日本企業の経営者の1人は、「中国の取引企業にお金を払おうとしたら、社長がやってきて、『代金の3分の1は自分の個人口座に入れてくれ』と言われた」という。
つまり、売り上げの3分の1を、会社ではなく社長個人の所得にしてしまう算段なのだろう。それは、正当にGDPに反映されないことだろう。
中国経済の専門家は、そうしたアングラ部分の経済活動は、GD全体の15%程度あると指摘していた。中国の表のGDPは約500兆円とすると、それプラス70兆円以上のおカネが、表に出ることなく動いていることになる。そして、アングラ部分の多くが、企業経営者や役人などの権益層の個人所得になっていると考えられる。
そうした経済のアングラ部分があるからこそ、上海では東京と同程度の価格のマンションを買える人がいるのであり、多くの人が海外旅行に出かけ、気前よく多額の買い物をすることができる。
逆に考えると、そうしたアングラ部分のために、中国経済はしたたかに発展しているとも言える。おそらく、そうした状況はすぐに変わることはないだろう。中国経済は、これからもしたたかであり続けることになる。
■既得権益者の動向によって経済情勢も変動。リーダー交代は無視できない要素。
来年、中国共産党のリーダーが変わる。胡錦濤・国家主席は、習近平・副主席にリーダーの座をバトンタッチするのである。最高権力者が変わることは、中国にとって紛れもなく、大きな変化だ。
おそらく、様々な点で変化が起きる。中でも最も注目されるのは、今までの権益層が、これからのその地位に留まることができるか否かだ。従来、恵まれた権益を受けてきた人々にとって、その変化はまさに死活問題だ。リーダーが変わっても権力サイドに留まることができれば、メリットを受け続けることができる。
一方、リーダーが変わることによって、権力サイドから外れることになると、経済的なメリットの享受が怪しくなる。また、中国の法制度では、収賄罪は極刑に位置付けられていることを考えると、それこそ身の安全を確保することも難しいケースが出てくるだろう。
ある市場関係者は、「来年の政権交代を見据えて、多くの中国の富裕層は、自分の財産を海外に移動したり、子弟を海外留学させたりしている」と指摘していた。それが、足もとで、上海株式市場が不安定な展開を示している1つの理由だという。
問題は、来年中国のトップに立つ習近平・新国家主席の政策運営能力だ。中国のリーダーになるのだから、相応の能力や決断力を持っていることは疑いの余地はない。
しかし、現在の中国の状況をみると、政策運営は今までの延長ではあり得ない。従来、経験のないことが発生するだろうし、それに迅速に対応できなければ、中国の先行きに黄色信号が灯る。
民主化の遅れや、統制色の強い経済体制という大きな矛盾を抱えて、中国という大国を運営することは、口で言うほど容易ではない。その意味では、長い目で見ていつか、その矛盾が破裂するときは来るだろう。ただし、その時期はもう少し先のような気する。
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