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市場は再びリスク回避モード   ギリシャ融資に暗雲、EUとIMFの対立露呈
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/871.html
投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 27 日 14:55:38: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21397720110527
市場は再びリスク回避モード、ギリシャ債務問題が緊迫化
2011年 05月 27日 13:56 JST

 [東京 27日 ロイター] 欧州でギリシャ債務問題が緊迫化しており、市場は再びリスク回避モードになっている。同国支援に関して欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の対立が鮮明化するなか「質への逃避」が再開、円債先物は震災直後以来の141円台に乗せた。

 米英は来週30日が休場で、海外勢の動きが鈍く株式市場は薄商いだが、米景気への警戒感もあり、外為市場では米量的緩和第3弾(QE3)観測が浮上、ドル売りが進んでいる。

 <ギリシャ支援でEUとIMFが対立、不安広がる>

 調整一服感もあったマーケットを再びリスク回避モードに引き戻したのは、ギリシャ支援に対するEUとIMFの対立だ。ユーロ圏非公式財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長が26日、IMFが6月に予定されている次回のギリシャ向け融資を実行しない可能性があるとの見解を示したことで欧州株が下落、独連邦債先物が上昇した。ユンケル議長は、IMFが融資を実行しなければEUが肩代わりしてくれるとIMFは期待するだろうが、それは無理だと指摘するなど、舌戦が過熱していることに市場は警戒感を強めている。

 ユーロ圏各国とIMFからの支援で何とか「食いつないでいる」ギリシャにとって、支援継続は死活問題。ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は今週、次回融資を受けられない場合、債務返済を履行できなくなると述べていた。

 また償還期限の延長といった債務再編が行われればデフォルトと認定される可能性があり、それは民間金融機関だけでなく、金融支援をしているユーロ国にも大きな影響を与える。根本的な解決には程遠いが、支援継続が現時点では関係者にとって一番痛みが少ない政策であり、そのシナリオに暗雲が立ち込めることを市場は警戒している。

 「ギリシャの経済規模自体はそれほど大きくないが、ドイツやフランスなどの銀行はギリシャ向け債権を少なからず保有しているほか、ユーロ諸国も金融支援をしている。ギリシャの債務再編が実行されれば連鎖的に大きな影響を被る」(東海東京調査センターのシニアストラテジスト、柴田秀樹氏)という。

 一方、25日公表のロイター調査によると、ギリシャの公的債務再編は遅かれ早かれ避けられないと多くのアナリストが考えており、実際に起きれば、再び銀行の資本再注入が相次ぐほどの打撃を欧州の銀行システムに与えるとみられている。

 <米金利が低下、景気への警戒感も強まる> 

 マーケットでは「質への逃避」が進み、26日の米国市場で米10年債利回りは半年ぶりの低水準を更新、節目の3%に接近した。円債先物も反発し、中心限月6月限は一時、震災直後の3月15日以来となる141円台に乗せている。

 先物相場の上昇は、邦銀の買い戻しが主因とみられている。市場では「前日の20年債入札にらみでデルタを落としていた銀行が、7―9年を買い戻しているのではないか」(外資系金融機関)とみられている。

 4月の全国消費者物価指数(CPI)は前年比0.6%上昇と2年4カ月ぶりにプラス転換したが、市場の物価や金融政策に対する見方は変わっていない。8月に予定されている基準改定による押し下げなどでCPIは再びゼロ%近辺に押し下げられる可能性が大きいとみられているためだ。ただ、高水準の商品価格が消費を圧迫する懸念なども示されている。

 第一生命経済研究所の主席エコノミスト、嶌峰義清氏は「授業料無料化のはく落や、エネルギー価格の上昇など特殊要因があったので、このぐらいの上昇は仕方ないと思うが、懸念しなくてはいけないのは、原油を含めて商品全体が高い水準にあり、さらにここにきて欧州の干ばつの影響で小麦が一段と高くなっていること。家計は苦しくなる。景気に対する下振れ圧力を警戒すべき」と述べている。

 また円債マーケットが強い背景には、米景気の先行きに対する懸念が強まっていることもある。ドイツ証券のチーフ金利ストラテジスト、山下周氏は「米10年債利回りが節目の3.1%を割り込んだことで、金利が上昇しにくいという見方が定着しつつある。国内需給で見ると、前日の20年債入札が順調だったので、投資家の買いに拍車がかかった面がある。月末のインデックスの長期化の買いも想定できる。相場の持続性に関しては、来週の米国の経済指標、国内では10年債入札の結果を見ていく必要がある」と話した。

 <QE3観測が浮上、ドル売り進む>

 外為市場では米量的緩和第3弾(QE3)観測が浮上、ドル売りが進んだ。「ユーロ買いというより、ドル売り。米金利が下げ止まらないことから、米量的緩和第3弾(QE3)の思惑が出てきている」(大手銀行)という。

 主要国首脳会議(ドービル・サミット)の昼食会で、米国はこのところのユーロの対ドルでの下落に懸念を表明した。欧州連合(EU)外交筋が明らかにしたもので、米国が「米国の輸出に深刻な問題をきたす恐れがあるユーロの対ドルでの下落について、真剣に議論するよう求めた」という。「米国は、景気支援のためにドル安を志向しているのかもしれない」(大手銀行)との声が出ている。

 1─3月期米国内総生産(GDP)改定値や新規失業保険申請件数など米経済指標がさえなかったことに輸出勢の売りが重なって、ドル/円は81円を一時割り込んだ。ギリシャをめぐる悪材料がつきないユーロは、一人負けのドルに対しては買われたが、朝方からモデル系のファンドがユーロを売っていたとされ、全般的にはさえない動きだった。

 <株式市場は海外休場前に薄商い>

 株式市場は前場の東証1部売買代金が4444億円と薄商い。日経平均は円高進行にもかかわらず底堅いが、休日を前にして海外勢の動きが鈍っており方向感には乏しい。「来週30日は英国がバンク・ホリデー、米国がメモリアルデーで休場であり、きょうの東京も閑散商いが続きそうだ」(外資系証券トレーダー)という。 

 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントのシニア・インベストメント・マネージャー、菅原繁男氏は、日経平均で9700─9800円は下期の業績回復を織り込んだ水準と指摘。「何もなければ横ばい、リスク要因が強まれば下落する展開だろう。今は海外のネガティブ要因が出てきて株価は下落している。ただ、下期の企業業績回復の可能性は大きく、株価が大きく下げた局面では景気敏感株の押し目を拾うチャンスだ」と述べている。
 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫) 
 

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21387820110526?sp=true
ギリシャ融資に暗雲、ユーロG議長発言でEUとIMFの対立露呈
2011年 05月 27日 08:27 JST


 5月26日、財政危機のギリシャに対する欧州連合と国際通貨基金の支援に暗雲が垂れこめている。写真はアテネの議会前でデモをする市民ら(2011年 ロイター/John Kolesidis)
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 [ルクセンブルク/アテネ 26日 ロイター] 財政危機のギリシャに対する欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の支援に暗雲が垂れこめている。ユーロ圏非公式財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長は26日、IMFが6月に予定されている次回ギリシャ向け融資を実行しない可能性があるとの見解を示した。

 ユンケル議長は、IMFは、自分が融資を実行しなければEUが肩代わりしてくれると期待するだろうがそれは無理と指摘。発言を受けて欧州株は下落、独連邦債先物が上昇した。

 ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は今週、次回融資を受けられない場合、債務返済を履行できなくなると述べていた。

 ユンケル議長は26日の会見で、IMFは、12カ月間の借り換え保証がある場合にしか融資を実施できないと指摘。

 「IMFが6月29日に次回融資の負担分を実施しないことを欧州側が認めざるを得ない場合、IMFとしては、欧州側がIMFの負担を肩代わりすると考えるだろうが、そのようにはならない。ドイツ、フィンランド、オランダなどの国は、IMFの負担を肩代わりすることを受け入れる準備ができていない」と述べた。

 その後、ユンケル議長の報道官は、EUとIMFの調査団がギリシャの追加財政健全化計画に納得すれば、次回融資は問題なく実行されると説明した。

 ユンケル議長の発言について、アナリストの間では、27日に協議を予定するギリシャ政府首脳と野党幹部に追加の財政健全化計画で合意するよう圧力をかけるための瀬戸際戦略との声も一部にある。

 だが、議長の発言には、次回融資をめぐるドイツなどのEU主要国とIMFの綱引きも透けて見える。

 オランダのルッテ首相は26日、「IMFがどのように対処するか注視している。IMFがギリシャに次回融資を行わないと決定したならば、オランダも融資を実施しない」と述べた。

 IMF報道官は、ギリシャが欧州諸国から融資を受けられるという保証を得られなければ、IMFは同国への融資を実施することはできないとの立場を示した。

 報道官は、問題を認めれば、決して融資をしない、とし、そうすることでIMFは加盟国からの拠出金の安全性を確保している、と説明した。

 ギリシャの財政計画や成長支援措置に関する保証を求めるとの見解も示した。

 <EUとIMFの対立>

 ギリシャ支援をめぐるEUとIMFの足並みの乱れが明らかになったのは23日のギリシャ財務相の発言。パパコンスタンティヌ財務相は、IMFが、ギリシャが来年に必要な資金調達をEUが支援すると保証するまで融資実行を凍結する構えをみせていると述べた。

 昨年5月に合意したEU/IMFの支援プログラムによると、ギリシャは来年、資本市場に復帰し、240億ユーロの調達を目指すことになっている。

 しかし、危機の深刻化で、それが実現する可能性は乏しくなっており、EUには第2弾支援策の圧力がかかっている。

 <ドイツの姿勢が軟化>

 ドイツは、ギリシャ債務の返済期限の自主的延長を主張していたが、欧州中央銀行(ECB)や格付け会社がそのような措置はリスクが高いと指摘したことを受け、態度を軟化させているもよう。

 ショイブレ財務相は、5月に入り、他のユーロ圏諸国と返済期限の自主的延長などのソフトな債務再編の選択肢を協議したとされているが、26日付の独紙によると、返済期限の変更は暴挙との見方を示した。

 同相はハンデスルブラット紙とのインタビューで「債務再編のシナリオには高いリスクが伴う」と指摘。「ギリシャの支払い能力に対応する結果として、全ての融資が直ちに支払い期日を迎える可能性がある」と述べた。

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G8特集
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ギリシャ融資に暗雲

ギリシャへの支援プログラムをめぐり、EUとIMFの足並みの乱れが鮮明化。IMFによる次回融資が実行されないとの懸念も。 記事の全文 | 関連記事
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コメント
 
01. 2011年5月27日 15:54:37: Pj82T22SRI
http://www.nikkei.com
デフォルトを望むギリシャ国民
 

 万が一、日本国債が債務不履行(デフォルト)になったら、その最大の保有者である日本国民が直接に痛みを感じる。しかし貯蓄性向の低いギリシャの場合は、同国国債の保有主体の7割はギリシャ国外である。ゆえにデフォルトになっても、そのツケの多くは他国の国債保有者にまわる。その国債保有者(特に銀行)を救済すれば、ツケが納税者(特にドイツ)にまわされる。そのどちらを選択するかで現在もめているわけだが、ギリシャ国民にしてみればどちらにせよ「うちは無いものは無い」。それゆえギリシャ国民の本音は、自らデフォルトを望む。

 デフォルトを回避するために欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から施しを受けても、その条件としての超緊縮政策は年金大幅カットなどあまりにきつ過ぎる。もう耐えられない。そのような背景で5年物ギリシャ国債CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の料率は1455ベーシス(14.55%)という過去最高水準に高止まりしている。

 この数字の意味するところは、今後5年間にわたり1000万ユーロ相当のギリシャ国債の元本、利息をCDS業者に保証してもらう為には145.5万ユーロを支払わねばならないということだ。

 投資家はギリシャ政府の元本保証が信用できないのでマーケットを通じて保険をかけるわけだが、料率の決まり方はオプション同様に確率論の世界だ。ギリシャ政府のデフォルトの確率が高まれば料率も上昇する。

 CDS料率1455ベーシスということは、デフォルト確率が5年以内で70%に達したことを意味する。

 なにやら地震発生確率を連想させる。5年以内確率70%といわれても、この数字からいつ発生するかまでは特定できない。しかしマーケットはそこまでのギリシャ国債デフォルトを織り込みつつある。

 金市場なども以前はVIX指数(ボラティリティーインデックスの略称。S&Pを対象とするオプション取引に値動きを元に算出、公表され、投資家が抱く相場の先行きへの不透明感を表すとされる)に反応していたが、最近はもっぱらCDSのほうをウオッチしている。今週の動きもソロス売却などは織り込み済みとされ、ギリシャCDSのほうに強く反応し急落から徐々に上昇に転じ、1520ドル前後まで戻してきた。

 原油価格もゴールドマン・サックスが予測を130ドル(今年末のブレント)まで引き上げ、モルガン・スタンレーも今年平均価格を20%上げて120ドル(ブレント)としたことで、徐々に落ち着きを取り戻している。銀先物証拠金引き上げをきっかけに起きたコモディティー大雪崩も終息に向かっているようだ。

 なおデフォルトという用語も最近は色々新語が誕生しているのでここで整理しておこう。デフォルトの定義は国債保有者(投資家、債権者)が契約上受け取れる利息や元本を受け取ることができなくなる状況のことだ。それが最近はソフトデフォルトとか債務再編(債務リストラ)などといわれるのだが、完全なデフォルトではなく部分的デフォルトのほうが現実的なシナリオとして語られている。

 具体的には利息支払遅延、元本の一部償還不能(ヘアーカットと云われる)、元本償還延期などのケースである。デフォルトというと厳しい語感がするので政治的配慮から債務再編(restructuring,reprofiling)などの新語が最近使われるようになった。デフォルトというとD-wordとかいわれほとんど忌言葉扱いである。

 先に述べた5年以内70%接近という時は、本来のハードデフォルトを指すが、ソフトデフォルトとなると今年末までに起きる確率が高まっている。国債を大量に抱える欧州系銀行でもこれなら条件を飲みやすいからだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 ワールド ゴールド カウンシル(WGC)日韓地域代表。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて貴金属ディーラーとなる。同行で南アフリカやロシアなどから金を買い、アジアや中近東の実需家に金を売る仲介業務に従事。さらにニューヨーク金市場にフロアトレーダーとして派遣され、金取引の現場経験を積む。その後東京金市場の創設期に参画。ディーラー引退後、WGCに移り、非営利法人の立場から金の調査研究、啓蒙活動に従事。金の第一人者であり、素人にもわかりやすく金相場の話を説く。


02. 2011年5月27日 16:05:50: Pj82T22SRI
ジム・ロジャーズ氏「IMFは無用な存在」

2011/5/23 10:42
日本経済新聞 電子版

 90分にわたるCNBC対談収録が終了寸前にロジャーズ氏が突然「これだけは言っておきたい」とストロスカーン前専務理事のスキャンダルに揺れる国際通貨基金(IMF)について語り始めた。

 「私はその時、件のNYのホテルに居たわけではないから、何が起こったかは知らない。ただ、IMFは数十年にわたり間違いを犯している。我々(私、君、そして視聴者諸氏もだ)にカネ出せといって、それを官僚化した組織がばら撒いている。南欧諸国も破綻させるべきなのに救済資金を投入して問題を悪化させている。何かをしようとしているが、もはや不必要な組織で、ないほうが世界は良くなる」

 2400名のスタッフを抱えるIMF本部ビル内はワシントンDCの中でも“治外法権”地域同然。そこでは世間とは異なるルールが支配していた。「上司と部下の親密な関係をハラスメントとは見なさず」との内部規則の一部をNYタイムズは伝えている。プロジェクトチームの長期海外出張が日常茶飯事の組織内には「ロマンスの土壌」があった。女子職員の訴えは曖昧に処理され「職場でスカートをはくのもはばかられる」とまで書かれている。

 しかしいま、本当に問われているのはIMFそのものの存在意義であろう。

 1944年ブレトンウッズ体制の中で「最後の貸し手」として外貨準備不足の国際収支赤字国へ短期救済融資を目的に作られた国際通貨基金IMF。しかし融資の条件として景気後退期に緊縮財政や高金利政策を課す傾向があるので憎まれ役にもなりやすい。その最たる例がアジア経済危機であった。ロジャーズ氏の苦言も現地にいまだに残るアンチIMFセンチメントを映している。

 当時、韓国がIMF管理下に置かれ伝統的儒教国の終身雇用、年功序列が槍玉にあがり、整理解雇制が法制化されたので、労働者から「IMF=I’M Fired(私はクビになった)」と揶揄(やゆ)されたものだ。

 その反省から2001〜02年に勃発したアルゼンチン危機に際しては融資条件を緩めすぎてモラルハザードを生む結果となる。

 その後はさしたる危機=出番もないまま07年にストロスカーン氏が専務理事に就任。彼の最初の仕事は組織のリストラであった。IMFの歳入源は経済危機国への融資から生じる金利収入なのだ(それに最近は投資勘定に保有する資金の運用収益、そして保有金の売却益も加わったが)。

 そして彼が一躍頭角を現したのが翌08年のリーマンショック。すぐさまIMF加盟国から追加出資を引き出し、中国、インドからの協力も取り付けた。この頃から彼の大胆な意思決定能力、強い政治力、そして優秀なエコノミストとしての才能に対する評価、さらに加えて「女癖の悪さ」も急上昇。女性エコノミストとの関係など組織内では公然の事実であった。

 そこに降って湧いたギリシア危機。EU首脳たちが利害不一致で初期対応の決断が遅れ、欧州中央銀行(ECB)はIMFの介入を断固拒む中で、持ち前の政治力を駆使し欧州連合(EU)−IMF協調救済案をまとめ上げた。特に彼はフランス人であるにもかかわらず、“マダム・ノー”の異名を取る独メルケル首相でさえ一目置く存在になったことで、救済する国とされる国のかけ橋的存在になったことは特筆に値すると言っていい。サルコジ大統領に欠ける“知性”を持ち合わせていたからだ。それゆえストロスカーン氏は、次期フランス大統領選挙出馬が噂され国内では最強の対立候補とされていたほどだ。

 なお、彼のIMF流ギリシャ救済策には異論も多い。流動性(liquidity)危機と位置づけ、まずは巨額の救済資金投入。同時に超緊縮政策を最優先順位とする。しかし危機の根源は国の債務弁済能力(solvency)ゆえ、債務再編こそ焦眉の問題なのだ。さらに第一次ギリシャ救済策が事実上失敗したにも関わらずアイルランド、ポルトガルにも同様の対応を続け、ギリシャへの第二次救済策の発想も変わらない。

 最後に後継人事だが、世銀トップは米国人、IMFトップが欧州人という不文律の範囲内で、ラガルド仏財務相が濃厚。しかし新興国を含めた世界各国からの出資金を欧州出身者が欧州財政危機のために使うという事に関する反発も無視できない。新興国からの候補者も噂されるが現国連事務総長の韓国人、潘基文氏への欧米社会からの強い風当たりを見るにつけ、現実の厳しさも感じざるを得ない。ちなみにシンガポールでは黒田アジア開銀総裁の名前も“雨夜の品定め”で挙がっていた。 


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