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貿易収支、予想ほど悪化せず:識者はこうみる
2011年 05月 25日 10:05 JST
5月25日、4月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は4637億円の赤字となった。横浜港で4月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)
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[東京 25日 ロイター] 財務省が25日に発表した4月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は4637億円の赤字となった。東日本大震災による生産の落ち込みを背景に輸出が大幅減少したことが影響し、3カ月ぶりの赤字に転落した。4月の貿易収支の赤字転落は、第2次石油危機時の1980年以来、31年ぶり。この時の赤字額は5083億円だった。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●意外に赤字幅広がらず
<みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>
財務省が朝方発表した4月の貿易収支は4637億円の赤字となり、予想より赤字幅が広がらなかった。ロイター予測は6921億円の赤字だった。通常、月末にかけて輸出が伸びる。今回は東日本大震災の影響で赤字が下旬にかけても続くと思っていたが、意外に巻き返した格好だ。これを受けて為替相場がやや円高方向に振れているが、債券市場への影響は限定的とみられる。
●生産回復で赤字は徐々に縮小へ
<マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上 尚己氏>
4月は市場予想よりも貿易赤字幅が小さかったが、誤差の範囲だろう。6月くらいまでは赤字が続く見通しだが、輸出が減れば部品などの輸入も減るため、どんどん赤字が拡大していくわけではない。またサプライチェーンも予想より早く復旧してきており、生産の回復とともに赤字は徐々に小さくなっていく見通しだ。
為替への影響も大きくなく、株価もほとんど反応していない。
●生産は月後半から回復傾向、年内に黒字化へ
<コスモ証券 投資情報部 担当課長 田口はるみ氏>
4月の貿易収支は4637億円の赤字と予想よりも落ち込みが小さかった。4月上中旬までの貿易収支が7868億円の赤字だったことを踏まえると、月後半の生産回復が輸出の改善に寄与したとみられる。輸入では資源価格の高騰や震災復興の影響などで引き続き高水準が見込まれるが、自動車など生産再開の前倒しが伝わっており、今後も輸出の改善が見込まれ、貿易収支は緩やかに回復してくるとみている。4─6月期は赤字を余儀なくされそうだが、生産回復を背景に早ければ7─9月期、遅くとも10─12月期には黒字回復するだろう。
●4月の経常収支は黒字化し、円買い戻しも
<東海東京証券 チーフエコノミスト 斎藤 満氏>
4月の貿易収支が予想を下回る赤字となったことで、所得収支を含む経常収支は黒字となる見込みだ。これで心配されていた経常収支の赤字化による円金利上昇圧力や円売り圧力はオフセットされ、円の買い戻しにつながるだろう。
既に公表されていた4月上中旬の貿易収支(原数値)は7868億円の赤字だったので、下旬に入って貿易収支は約3000億円規模で黒字化したことになる。下旬の貿易黒字については、2つの可能性が考えられる。
1つは、生産供給網をネックとした輸出への制約が意外と早く立ち直った可能性。
もう1つ、海外業者が放射能汚染による日本への寄港を躊躇(ちゅうちょ)したことにより、輸入が伸び悩んだ可能性も排除できない。
もし後者の可能性が高く、実態をより正確に反映しているとすれば、日本経済は、モノ不足による供給懸念というリスクを内包していると言えよう。
●4月が当面の赤字ピークだが、円安観測はくすぶる
<野村証券 金融市場調査部 シニア為替ストラテジスト 池田 雄之輔氏>
4月の貿易赤字は市場予想を下回る結果となったが、これは4月の上中旬に一時的なものも含めて輸入が拡大し、それが下旬に入って平準化したためと見ている。事後的に見れば、単月では4月が当面の赤字のピークとなり5月以降は赤字幅が徐々に縮小した可能性が大きい。
過去の事例との比較では、リーマンショック後の2009年1月に貿易赤字が拡大し、翌月(2月)には、市場がリスク・オフ地合いだったにもかかわらず、大幅な円安が進行した。今後は1、2カ月のタイムラグを伴って円安が進行するという観測がくすぶり続けるだろう。
●円高要因だが一過性
<大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所チーフ為替ストラテジスト、亀岡裕次氏>
4月の貿易赤字が予想より小さかったことは、方向としては円高要因だ。中身をみても、輸出がほぼ予想通りだったことに対して輸入が予想より小さく、景気が想定よりやや弱めであることが見て取れる。これも方向としてはリスク回避の円高要因だ。貿易統計の発表後にドル/円が一時82円を割り込んだのは、このためだろう。
ただ、長続きする材料ではないとみている。米金利が下げ渋ってきたこともあり、ドル/円の水準は81円台から82円台にじわじわと上がってきている。これまでソブリン問題を無視して上昇してきたユーロ/ドルが下落に転じており、1.35ドルより下までは売られるとみている。これによるドル買いの波及などから、ドル/円も3カ月から半年タームでみれば85円を超えて上昇すると予想している。
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