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株式日記と経済展望
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アメリカは世界中の預金を自分の預金であるかのごとく自由に使い、
バブルのもとでそのお金を運用し、膨大なキャピタルゲインを得ていった。
2011年5月23日 月曜日
超マクロ展望世界経済の真実 水野和夫、萱野稔人:著
http://books.rakuten.co.jp/rb/%E8%B6%85%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E5%B1%95%E6%9C%9B%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E6%B0%B4%E9%87%8E%E5%92%8C%E5%A4%AB-9784087205688/item/6856959/
◆水野和夫・萱野稔人 「超マクロ展望 世界経済の真実」 (6) アメリカのあとにヘゲモニーを握る国はどこか 4月30日 Victoria
http://d.hatena.ne.jp/victoria007/20110430/1304161080
1 中国はアメリカのヘゲモニーを奪い取るか
これまで、世界資本主義のヘゲモニーが移動するときは、より大きな軍事的支配力をもつ国家に移動してきた。
金融危機までのバブルでふくらんだ金融資産が投資され、ものすごい勢いで成長している中国だが、アメリカに拮抗するだけの軍事力がないので、ヘゲモニーを確立することは難しいと思われる。
単に、生産拠点や技術が移転され、経済成長がなされ資本蓄積が行われるようになるだけでは、資本主義のヘゲモニーは動かない。
ヘゲモニーを獲得するためには、世界のお金やモノの動きに関するさまざまなルールや制度を策定する力がどうしても必要だ。
例えば、韓国のサムスン・グループのあげた利益のうち半分ほどは欧米系の資本にすいあげられていると言われている。
外資がどんどん入ってきて株を買い占めてしまったので、配当というかたちで利益はが他国の資本へと流れていくためだ。
だから、これからは、生産を通じて資本の蓄積がおこなわれる場所と、軍事的あるいは金融的に世界経済がコントロールされる場所が分裂して、世界の中でヘゲモニーが分担されるようになっていくのではないか。
2 先進国の中産階級の没落
実物経済のもとで利潤がもたらされる場所と、その利潤が集約されコントロールされる場所が分離すると、資本と国民の分離が生じる。
利益は普通、国民に還元されるが、資本と国民が分離すると、中産階級は十分な利益を享受できなくなる。
その影響が深刻なのは、先進国の中産階級だ。
生産拠点がどんどん先進国から新興国に移り、先進国の資本が新興国の生産現場と結びつくようになると、先進国の国民に仕事やお金がまわってこなくなってしまう。
先進国の資本が自国の国民を見捨てるわけで、先進国の労働者は新興国の労働者との国際競争に敗れて没落してしまう。
グローバルな世界の中で、資本主義のルール策定や運営にたずさわるひとたちはより大きな利益を得るが、その繁栄の裏で、多くの中産階級以下の人たちが没落していくだろう。
3 新興国の台頭がもたらす本当のインパクト
ヨーロッパのグローバル化が進展した1870年から2001年に着目すると、地球の人口の約15%だけが豊かな生活を営むことができたのがわかる。
つまり、15%の人々が、残りの85%から資源を安く輸入して資本主義のメリットを享受してきたわけだ。
全地球がグローバル化する現代では、OECD加盟国の10億人以外の、57億人全員が資本主義の恩恵を受けようとする。
しかし、全員がグローバル化していくと、安く仕入れる先がもうなくなってしまう。
これからは、先進国に新興国が合わさって、資源の争奪戦が激化していくだろう。
世界中の人たちが、むちゃくちゃに資源を使わないようにしないと、これから世界は破滅の方向へと向かっていくかもしれない。
◆水野和夫・萱野稔人 「超マクロ展望 世界経済の真実」 (8) 米ソ冷戦の構図の中で起こった日本のバブル 5月1日 Victoria
http://d.hatena.ne.jp/victoria007/20110501/1304234182
1 ドルを強くすることがアメリカの国益
1971年のニクソン・ショック以降、アメリカは一環してドルを強くするための政策を打ち出す。
実物経済で勝負するのではなく、金融経済で優位性を確立しようとしたためである。
80年代のレーガノミックスは失敗したが、95年のルービンの「強いドル」政策は成功した。
80年代にアメリカは国債を売って資金を調達しようとしたが、95年は、主に株式で集めた。
株式だと利払いが発生しないので、対外的な支払いが増えない。
当時、年間8000億ドルの経常赤字に対して、1兆2000億ドルの資本流入があった。
差し引き4000億ドルを海外投資にまわして、そこで高いリターンを上げる。
その際、アメリカの中をバブルにするだけでなく、投資する相手国もバブルにして、海外から調達したお金を使って高いキャピタルゲインを得ようとした。
こうして、バブルに依存する構造がうまれていった。
2 国際資本の完全移動性とバブル
アメリカの「強いドル」政策が成功したのは、この時点までに、国際資本の完全移動性が実現していたからである。
このような比喩がある。
「国際資本が完全に移動していないときは、日本人は日本の領土内にプールをつくり、そこに貯蓄という水を入れて、日本人だけがそのプールで無料で泳ぐことができた。
アメリカ人が「そっちで泳ぎたい」と行っても「高い入場料を払ってください」といわれてしまう。
しかし、国際資本が自由化されると、太平洋と大西洋にひとつだけ大きなプールをつくり、みんなで自由に貯蓄をいれて入場無料で泳ぐことができるようになった。
これでアメリカはプールに水をいれる努力をすることなく、自由に泳げるわけである。
一方、日本は一生懸命貯蓄をして、がんばってプールに水をいれている」
こうやって、アメリカは世界中の預金を自分の預金であるかのごとく自由に使い、バブルのもとでそのお金を運用し、膨大なキャピタルゲインを得ていった。
3 米ソ冷戦の終焉と日本のバブル
89年11月にベルリンの壁が崩壊し、その二ヶ月後の89年12月末に日経平均株価がピークをつける。
そこがバブルのピークで、年が明けると、日経先物市場で外国人投資家主導でどんどん売り浴びせがなされ、日経平均がみるみる下がっていく。
ここから読み取れることは、80年代の土地バブルはアメリカの対ソ冷戦の構図の中で起きたということだ。
日本は自らバブルを創出することによって対米資金環流を積極化し、軍拡を続けていたアメリカを金融面で支えた。
ソビエト連邦との軍拡競争で拡大するアメリカの財政赤字を、日本の企業がファイナンスしたわけである。
バブルはたんなる貿易問題の結果として生まれたものではなく、日米の間でお金が環流するようなシステムを意図的に強化しようとした結果生まれたものだった。
日本のバブルは、アメリカが実物経済の落ち込みをおぎなうためにバブルを必要としていた状況で、アメリカに先行してバブルを肩代わりしたものだと位置づけてよい。
そして、バブル崩壊後、日本は低成長社会のもとで金融経済化していく先進国がぶつかるであろう問題をいちはやく経験してきたのである。
(私のコメント)
お金は使うことによって価値を生ずるものであり、貯めて持っているだけでは何の価値もない。逆に貯めて持っていなくても借りて使えば価値を生ずることが出来る。先日も日本の60歳以上の人の貯蓄が平均で2500万円もあることを書きましたが、彼らはなぜ金を使わないのだろうか? 2500万円も持っているのなら、1500万円くらい不動産投資すれば今なら上手くすれば10%の利回りがある。
私自身も3000万円借金してアパートに投資をして、今でも年に230万円の家賃収入がある。借金は返済が終わっているので家賃=収入だ。もっとも誰がやっても成功するとは限らないが、貯蓄を持っていても運用する能力がなければ貯蓄は何の価値もない。若い人でも貯蓄がなくても運用する頭があれば借金して投資して金を稼ぐことが出来る。
日本全体を見ても、2500万円の貯蓄を持ったままの老人と同じであり、国際収支は黒字で世界最大の債権国なのですが、日本の人々の生活レベルは低下する一方だ。頭を使って積極的な投資をして金を稼ぐべきなのでしょうが、日本人は臆病な国民性で、投資をして金を稼ごうという人は少ない。日本人はまじめでバカ正直で地道なことを好んで、イチかバチかの勝負事はしない。
その意味ではアングロサクソンは、イチかバチかの勝負事が大好きであり命知らずの国民性を持っている。16世紀においては船で外洋に出ることは非常に危険であり、遭難して死ぬ確率が非常に高かった。今なら有人の宇宙飛行のようなものですが、当時の外洋の航海は嵐ばかりでなく海賊の襲撃もあり、死を覚悟しなければ出来ないことだった。それに対して日本人は鎖国して国内に引きこもってしまった。
だから大英帝国が七つの海を支配したのに対して、日本は島に引きこもって世界の覇権争いから大きく遅れてしまった。明治に入って日本は大英帝国に刺激されて海外制覇に乗り出しましたが、既に帝国主義の時代は終わりかけていた。領土を獲得して植民地から財産を略奪するよりも、資本主義が発達して金が世界を自由に動けば、金融帝国主義で稼いだほうが割がいいことになっていた。
しかし金融帝国は世界地図で見てもどこにもなく目には見えない帝国だ。金融帝国を見るには財務諸表などを分析しないと見えてこない。たとえば韓国のサムスンを見ても、表向きは韓国の代表的な企業ですが、資本から見れば過半数が外国資本だ。日本の大企業の3割近くは外国資本ですが、ソニーやキヤノンはもはや日本企業とはいえない。
「超マクロ展望」に欠かれているように、中国の経済成長は外資による投資によるものであり、このまま中国が経済発展してアメリカを凌ぐ超大国になるかといえば、外資はいつまでも中国に投資し続けるわけではなく、いつかは投資を回収にかかるだろう。中国には自国を代表するようなグローバル企業がない。経済規模がいくら大きくても実態は世界の下請工場に過ぎない。
中国は高度成長を維持するためには、外資に代わって自前で技術開発して、ブランド化をして付加価値をつけなければなりませんが、そのようなものは見かけない。このような状況で中国が軍事大国化しても、外資が引き上げてしまえば後には何も残らないだろう。中国が請け負っているのは生産であり、先進工業国の生産を中国が安い労賃で引き受けているだけだ。その為に先進国の生産が空洞化して中産階級がどんどん縮小している。
「超マクロ展望」ではアメリカの軍事力と日本の経済力がソ連を崩壊させた仕組みを述べていますが、アメリカの軍事力増強を日本の資金が賄った形だ。しかしソ連の崩壊によって冷戦が崩壊すると、アメリカは昨日の味方は今日の敵というわけで、日本叩きに来た。しかしアメリカが超大国でいることは日本の資金無しにはできないことであり、日本から見ればアメリカも中国も日本の投資先だ。
金融の自由化で、アメリカのヘッジファンドは日本のゼロ金利で資金を調達して新興国に投資をしてきた。新興国も経済成長で資金が貯まるとアメリカのヘッジファンドに資金を預けて資本が還流した。日本は20年間、一生懸命貯蓄するばかりで自ら投資しようとはしない。またドルに代わる基軸通貨になる野心もないようだ。しかしドル以外で高くなっている通貨は日本の円だけであり、中国の人民元は野心はあっても通貨高になると中国経済は耐えられない。
アメリカ経済にしても中国経済にしても、陰で支えているのは日本経済であり、東日本大震災で日本がダメージを受けて資金が還流して円が高くなっている。日本企業の重要部品の生産が止まると世界の生産がストップしてしまうことを誰が気がついていただろうか。自動車用コンピューターのマイコンを日本は40%生産していますが、それが止まってしまった。
日本は世界に気がつかれない様に世界のヘゲモニーを握ろうとしているのかもしれませんが、アメリカと中国という二つの超大国を、日本が金融や産業技術で支えているようなものだ。マスコミでは日本の衰退を盛んに記事にしていますが、日本の円高とゼロ金利がなぜこれほど長く続いているのか分かっていないのだろう。
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