http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/825.html
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所詮は多勢に無勢 ゴマメの歯ぎしりと言ったところか
http://d.hatena.ne.jp/Syouka/20110519/1305830899
日本の貯蓄の6割が60歳以上の世帯に集中
総務省が昨日発表した2010年平均の家計調査 貯蓄負債編(2人以上の世帯)によると、1世帯当たりの平均貯蓄額は前年比1.2%増の1657万円となり、5年ぶりに増加した。
貯蓄額の年代別の割合をみると、60歳以上の世帯が全体の62.4%にのぼり、この比率は前年比1.7ポイント上昇した。さらに過去に遡って推移を見ると、ほぼ一貫して貯蓄が高齢世帯に集中し、30代以下の貯蓄が減少していることがわかる。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h22_gai4.pdf
http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h22_gai8.pdf
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001073917
1.貯蓄が60歳以上の世帯へ集中
下のグラフは、総務省が発表している家計調査による、年代別の貯蓄額の割合の推移。
スペースがなくて、29歳以下の貯蓄の割合がグラフからはみ出しているが、2002年が0.8%、2010年が0.4%となっており、もともと少ないの割合がさらに少なくなっている。なお、この統計は2人以上世帯が対象となっているため、単身者は入っていない。
貯蓄額にみる60歳以上の世帯の比率は、2002年には53.2%だったのが、2010年には62.4%に上昇した。家計調査は2002年以降しか現在公表されていないので、それ以前と比較することができないのが残念だ。
60歳以上の世帯の割合自体が上昇していることも、高齢者に貯蓄が集中する理由になっている。
グラフを見てわかるとおり、2002年と比較すると、50代が世帯数でも貯蓄額でも大幅に減少しているが、これは団塊の世代が60代に移行しつつあるためと考えられる。
2.20代と30代の平均貯蓄額が大幅に減少
各世代の平均貯蓄額の推移を見ると、下のグラフのように概ね微減の傾向にある。
2002年を100とした場合、2010年は、29歳以下74.0、30〜39歳86.9、40〜49歳95.8、50〜59歳91.0、60〜69歳99.8、70歳以上88.3となっており、特に29歳以下と30〜39歳の貯蓄額減少の比率が著しい。
下のグラフは、29歳以下と30〜39歳だけを取り出して、平均貯蓄額の推移をみたもの。
29歳以下の貯蓄は、2002年に366万円だったのが2010年には271万円に減少し、30〜39歳では2002年に726万円だったのが2010年には631万円に減少した。
最近、20代・30代では将来のために貯蓄をする人が増えていると聞くが、統計上はそうした傾向は見られない。若者の間では非正規雇用が増えているので、貯蓄できる人とできない人に二極化しているのかもしれない。
なお、今回の家計調査は2010年の平均であり、東日本大震災の影響は含まれていない。先月発表された3月の家計調査では、消費は前年同月比8%減少しており、自粛ムードの影響が見られる。今年の貯蓄がどうなるかについては、震災を経て安全指向が高まり貯蓄が増えるかどうかもポイントになるだろう。
【続編】若者から高齢者への所得移転をやめよ
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昨日の記事では、家計調査の貯蓄の推移を見ると、ほぼ一貫して貯蓄が高齢世帯に集中し(2010年では貯蓄額の62%が60歳以上の世帯)、30代以下の貯蓄が減少していることについて書いた。
今日はその背景と現在の社会の問題点について書きたい。
1.人生後半に集中する資産形成チャンス
ごく平均的なライフスタイルでは、定年後に備えて地道に貯蓄をしていき、定年後にそれを取り崩していく。従って、60歳以上の高齢者の貯蓄が多いこと自体は、それほど不思議なことではない。
しかしそれだけでなく、多くの日本人にとって、多額の現金や資産を受け取る機会が、人生の後半に集中していることが高齢者の資産が多い要因として指摘できる。それは、退職金、生命保険、相続だ。
退職金は、転職をして途中でもらうこともあるが、多くの人が最も多額の退職金を得るのは、60から65歳の定年時だ。
保険については、親族が亡くなった場合に受け取る場合の時期はさまざまだが、配偶者が亡くなって受け取る生命保険は、概ね老後になってから。それ以外の養老保険等も、定年後に受け取る設定になっているものが多いのではないだろうか。
相続に関しては、日本では高齢化が進展しているので、90歳の親が亡くなって、60歳の息子が財産を相続するというような老老相続が増えている。日本の相続人の平均年齢は、67歳だ。
こうした理由もあって、日本では高齢になってからの貯蓄が上昇し、年金までも貯金して、大前研一氏いわく”死ぬときが一番資産リッチ”になる。
今まではともかくこれから先の年金があてにならないことから、自己防衛として老後の資金が必要なことは間違いない。
しかし、60歳を超えてから数千万円の現金が入っても、子育てが終り、住宅ローンも概ね返済し、家の中にはモノがあふれていれば、どれだけ有効に活用できるのだろうか。資金を元手に起業する、あるいは豊富な人生経験を生かして、創業間もない企業に対し資金を供給するエンジェル投資家として活躍すればいいように思うのだが、そういう話はあまり聞かない。
むしろ、消費も投資もせずに、使い道が特にないのに漠然とした不安からお金を貯めることのほうが多いように思える。銀行に預金して、それが間 接的に国債購入の原資となっている。10年ほど前に、きんさん、ぎんさんという双子のおばあさんが話題になったが、100歳を超えても「老後のために貯金 する」のが、日本の姿。だからこそ、オレオレ詐欺が成り立つのだ。
一方で、ニートやパラサイトシングルといった生活を支えているのも、親の世代がリッチだからということはいえる。
さて、先ほど老後に資産形成チャンスが集中する要因としてあげたもののうち、相続については本人がコントロールすることはできない。しかし、 2011年度税制改正では、生前相続の対象範囲が広げられているので、普及するか否かは不明だが、社会として若年層への資産移転を促す方向には進んでいる といえるだろう。
次に退職金についてだが、通常の企業では勤続年数が長くなるほど増加するように設計されており、さら自己都合で退職するより会社都合で退職す る方が増加するので、企業側にとっては長期勤続の奨励、定着率の向上といったメリットがある。もともとの退職金の意義が、賃金の後払いなのか、退職後の生 活保障なのか、定年まで勤めた功労報償なのかは企業によってさまざまだ。しかし、退職金制度と年功序列制度は、労働力の流動化を抑制し、社員が若いころの受取額を減らすことにつながっており、日本経済にとってはマイナスに作用する側面もあるのではないだろうか。
2.若者へのしわ寄せ
日本では解雇規制が厳しいため非正規雇用を活用する企業が多いが、それは日本経済が成長しなくなった1990年代後半から特に増えており、その対象となったのが、主に20代、30代である。
非正規社員は、正社員と比較して賃金水準が低く、さらに雇用が安定しない。短期の派遣を繰り返しても特別なスキルアップができないことが多く、多くは非正規雇用のままで留まっている。そのため、貯蓄の余裕はない。
中高年を中心とした正社員の雇用を守ることで、若者にしわ寄せがいったといえる。
それでは正社員は安泰かというと、必ずしもそうとはいえないように思える。企業に勤めていれば、若者や中堅社員が稼いだ分で高齢の役職者に高 給が支払われていることは身をもって感じているはずだが、今の20代、30代が50代になったときに、それが続く保証がないことは、JALや東電を見れば わかるだろう。
団塊の世代が定年退職を迎えつつあることで、彼らの人件費が若者へ移転するといいのだが。
3.若者から高齢者への所得移転
現在の日本では、若者から高齢者への所得移転の制度が多い。
以前も書いたように、現在の日本の年金制度は、個人が納めた保険料を積み立ててその運用益とともに個人に返す(=積立方式)のではなく、現在の現役世代の納める保険料によって現在の高齢者の年金給付を賄うという世代間扶養、すなわち若者から高齢者への所得移転の仕組みによって成り立っている。
厚生労働省では、世代ごとの給付と負担の試算を公表しているが、それによると、国民年金は1940年生まれの人は払った保険料の4.5倍が給付されるのに対して、2000年生まれの人は、1.5しか給付されない(個人的には、この試算は非常に楽観的なので、2000年生まれの人が1.5倍給付されることはないと考えている)。
参考:「平成21年度の年金制度のポイント」
国債の発行も将来世代へツケを 回すことだ。国債の発行によって作られたインフラを利用するのは将来世代なのだから、一方的に負担を押し付けているわけではないという意見もあるが、利用 者のいない空港を作っても、必要の無いダムを作っても、将来世代のためにはならない。それだけでなく、将来発生するメンテナンスコストまで押し付けること になる。さらに、現在の社会保障に使われた資金は、将来世代には何ももたらさない。
公的交通機関など、65歳以上の利用者に割引をするところが多いが、2030年には65歳以上の人口が3割に達すると予測されているのに、それで経営が成り立つのだろうか。もし高齢者割引が維持できなければ、現在の40代以下は負担だけして、メリットを享受できないことになる。
また、75歳以上の医療費無料化を主張する政党があるが、それを負担することになるのは若年・中高年層だ。
つまり、全体としてみると、貧しい若者から豊かな高齢者への所得移転が進んでいるということになる。
無論、高齢者が全て多額の貯蓄を有しているわけではなく、中には貧しい人がいるのは事実だが、比率でいけば、貧しい若者のほうが多い。「高齢者=弱者」などという間違った図式で語るのは止め、年齢ではなく、本当に困っているかどうかで線引きすべきだ。
なぜ、こんな政策がまかりとおるのかといえば、若者の投票率が低いのに対して高齢者の投票率は高く、政治家にとって重要な票田だからだ。また マスコミが、とかく「高齢者=弱者」という図式で語りたがるのも、新聞の主な購読層が高齢者で、昼のテレビも高齢の視聴者が多いからだ。
これを変えられるのは、政治しかない。
とにかく、若者はもっと選挙に行かなきゃダメだよ!!
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年金革命2 シルバーデモクラシー
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就職氷河期世代のいま〜改めて終身雇用について考えた
特報首都圏の『“自信が持てない” 〜就職氷河期世代のいま〜』では、1990年代半ばから始まった就職氷河期に社会人になり、経済環境の変化に翻弄されてきた30代を特集していた。
正社員にならないと、キャリアが築きづらい
放送の中では、30代後半の就職活動中の3人が出演していた。
薬科の大学院を出て派遣の研究員に。次にロースクールに入ったが司法試験に失敗し、就職活動中。
派遣で携帯のソフト開発をしていたが、携帯電話の出荷数の減少で契約終了。塾講師をしながら、携帯関連の仕事に復帰すべく就職活動中。
就職に失敗し、新聞配達・販売員・保険のセールスなどを経験。FPの資格を取得したが、経験がなく仕事に結びつかない。
3人を見ていて、今の日本では、「正社員にならないと、キャリアが築きづらい」という根本的問題があると改めて思った。
派遣社員やパートとして働いてきた人が、正社員になるのは、現実的には難しい。転職には職歴が重視され、30代には即戦力が求められるからだ。
日本企業の一般的な賃金体系は、年功序列で年齢をベースにしている。経験が少ない人に30代として相応の給料を払うと割に合わない。では経験 相応の賃金を払ってアシスタントからスタートさせるかというと、これも企業内の秩序が乱れるのを嫌うのか、やらない企業がほとんどだ。
終身雇用と年功序列は、日本の伝統ではない
終身雇用と年功序列、企業別労働組合は、日本型企業の三種の神器のようにいわれているが、これが日本の伝統であるというわけではない。
歴史を遡れば、明治時代には転職はあたりまえで、仕事のできる社員ほど、企業を渡り歩いていた。企業側が社員を引き抜いても、業界で悪評がたったわけでもなかった。
大正期の大阪市『労働調査報告』には、「我国労働者の最大欠点は何と云っても同一工場に勤務して居る期間の短いこと」とあるそうだ。
こうした労働市場のダイナミズムが、明治時代の新たな産業の成長を支えた側面もある。
関連記事:明治の新聞(22)〜新聞を支えた人材の流動性
また当時の労働組合は、今の企業別組合ではなく、欧米と同じく職能別に企業を横断して結成されていた。
終身雇用や年功序列の賃金体系が日本で始まったのは、大正時代。第一次世界大戦後に本格的に工業化が進んだことと、激しい労働争議がいくつも起こったことで、学校を卒業したばかりの優秀な若者を雇って養成し、勤続を奨励するような賃金体系(=年功序列)が大企業を中心に導入されていった。
続いて、第二次世界大戦時の国家総動員法(国の資源と労働力を戦争遂行のために動員することを目的とした法律)にもとづいて、従業員雇入制限令、従業員移動防止令、労務調整令などが制定され、労働者の移動を防止し、企業側も勝手な採用や退職、解雇ができないようにした。
また賃金統制令で、初任給や定期昇給の額を細かく決め、産業報告会という労使懇談会(労働組合のようなもの)も企業ごとに作らせた。
野口悠紀雄さんの「1940年体制 さらば戦時経済」によると、長期雇用契約や年功序列賃金は、この戦時経済制度を通じて全国的に普及していった。
更に高度成長期には、終身雇用と年功序列賃金に代表される日本型経営が、成長のエンジンとなった。
勤続年数が増加すれば給料が上がるため、従業員はその組織に長くとどまることがメリットとなり、会社への高い忠誠心を持ち、滅私奉公的に働いた。
企業側では新卒を採用して訓練することで、職場の雰囲気に合わせて仕事をする、みなで力を合わせて目標を達成するようがんばるという集団主義を生み出し、保養施設や寮・社宅などの福利厚生を充実させていった。
また、労働行政は長期雇用を理想とし、技術革新でそれまでの仕事がなくなっても、配置転換で継続して勤務させることを企業に求めた。いわば、企業内で雇用調整を行っていたのである。大企業がさまざまな事業を抱えていたことも、これを可能にしたし、系列やグループ企業がこれを支えた。
転職コストが増大
この長期雇用契約や年功序列賃金という労働者の囲い込みシステムには、問題もある。勤続年数が評価されるのは同じ会社にいる場合に限定され、他社に移ると引き継がれない恐れがあるため、転職コストが高くなった。
また採用時に職務内容をはっきり決めず、入社してからも配置転換を頻繁に行うために、結果的に専門的能力のない、他社で働くことが難しいゼネラリストを大量に生み出した。
こうした状況で、「ここでしか働けない社員」は、やめたくてもやめられず、過酷な労働を強制されても拒否できず、過労死という問題にもつながった。
しわ寄せが若者に
就職氷河期を生み出したのは、企業は経営が悪化しても、正社員を解雇する前に、新卒採用を抑制するべきだとする判例があったことによるところが大きい。
いわば既得権を守ることを社会全体で推進した結果、不況の荒波を若者がかぶった。
そして、新卒で就職できなかった若者は、フリーターや派遣社員となって、キャリアアップの難しいワーキングプアとなっていった。
日本の社会は、企業の終身雇用の仕組みを基本にした社会システムを設計しているので、派遣社員などそこから漏れる人に対するセーフティーネットが、十分に整備されていない。
だから、派遣切りのような現象がおこった。
転職しやすい社会への転換を
年功序列型の賃金制度は、若いころに低い賃金で我慢して、壮年になってからそれを取り戻すという仕組みだ。
これを維持するには、壮年者の数<若者の数 でなければならない。そして、成長を維持して給与の源泉を増やし続けなくてはいけない。
しかし日本の人口ピラミッドから明らかなように、それは今や不可能だ。
また、これまで日本では、雇用調整は企業内で配置転換という形で行なわれてきたが、これからは企業の枠を超えた雇用調整が必要になる。産業構造が大きく変化していて、さらに総合型の大企業の体力が落ちているからだ。
今の企業が30年後も存続する保証など、どこにもない。
これから求められるのは、より良い転職を促す労働行政だ。
「終身雇用制を維持していくことが望ましい」という考えとは、決別しなければいけないと思われる。
この点に関しては、NARAが2009年4月発行した「緊急提言 終身雇用という幻想を捨てよ―産業構造変化に合った雇用システムに転換を―」の主張に賛成だ。
以下引用
「これからの雇用システムは、いかに解雇を減らすかではなく、いかに解雇された労働者を新しい職場につかせるか、産業構造の変化に合わせて、 どのような能力を身につけさせるかに重点を置いた制度設計をすべきである。転職や離職をより前向きに捉えられるような方策も必要だ。」
キャリアプランへの意識
環境変化が激しい現代では、仕事内容やそこで必要とされる能力が急速に変化することがある。
今回「特報首都圏」に出演していた方々を見ると、各自努力はしていても、この対応が少々ピントはずれに感じた。
自分なりの努力だけでなく、第三者にコンサルティングをしてもうことも有効で、行政でそういった援助をしてもいいだろう。
ただ行政のほうでも、若者には力を入れても30代後半となると対象からもれてしまうのが、悲劇である。
番組ゲストの就職アドバイザーは、派遣でも給料が安くても何でもいいから、目指す職種に関連することを2、3年やって実績を積み上げ自信をつけるのがいいとのアドバイスしていた。
実務的には、これ以上のことはいえない。
ところで昨日も書いたのだが、環境が激変する時代には、個人が、会社でいう経営哲学や経営理念などを持つことが役に立つと思う。
そして、早い段階から自分のキャリア・プランについて意識して、なるべくそれに沿った仕事を選べる範囲で選ぶことで、必要とされる人材を目指すことだ。
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