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海外へ拠点を移転させるべき 100% というのは笑える
DOLアンケートはやらせか
http://diamond.jp/articles/-/12361/
【第5回】 2011年5月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
財部誠一 [経済ジャーナリスト]
ついに始まった産業の空洞化 日本企業が見出せないこの国にとどまる意味
「大規模新築ビルへの移転」と
「西日本への本社機能分散」が始まった
日本企業の“大移動”が始まった。東京の賃貸オフィス市場には震災の影響が如実に現れている。法人向けオフィスビル賃貸の大手仲介業者の経営幹部は「首都圏では大規模新築ビルへの移転が急増している」という。
「3月14日以降のほぼ1ヵ月間で、震災関連の依頼件数が302件にのぼりました。その内、直接的な被害を受けた東北(一部関東圏)エリアは126件。それ以外の、被害は受けていないものの今後のリスク回避を目的とするケースが186件。同業他社を含めると、リスク回避を目的とした依頼は500件を優に超えていると思います。新築大規模ビルの空室にはあっという間に商談が入り、借り手市場から一転、商談即決の事例が多くみられるようになりました」
リーマンショック以後、首都圏では最大のコストであるオフィス賃料を抑制するために転居する企業が相次いでいたが、3.11の震災を境に、流れが逆転したという。耐震性能に優れた新築大型ビルの需要が急増しているのだ。
大移動は新旧ビル間だけで起きているわけではない。「西日本への本社機能分散」も本格化しつつある。
「当社大阪支店への依頼75件のうち、62件は東京に本社を持つ企業からのものでした。震災直後のニュースでは計画性のない狼狽的な企業の西日本移転が話題になっていましたが、落ち着きを取り戻した3週間目以降、事業継続のための本社機能の一部移転の動きが活発になってきました。西日本といってもオフィスの場合は、圧倒的に大阪志向で、福岡や名古屋はきわめてまれです。また企業の傾向でいえば外資系企業は業種を問わず全般、日本企業においてはよりシステムの重要性が高い金融やIT系企業の反応が早かったように思います」(前出の不動産仲介業者幹部)
次のページ>> 市場にはさらに“中古品”があふれることに
一部上場のあるIT企業は地震発生の翌週月曜日には大阪の物件を依頼、2日後に800坪クラスのビルの賃借を決定するという素早さを見せた。狼狽的とも見えるが、とりあえず3ヵ月賃貸して様子を見た後に、面積の見直しもできるという条件での契約だったという。東京のみにオフィスを持つことのリスクを痛感した経営者が、リスク分散に機敏に動いた結果という他ない。
地震による揺れの恐怖、その後の交通網ストップによる帰宅困難、福島の原発危機に端を発した電力供給不安等々、移転動機は単純ではない。ビル選定の条件が一気に高まった。「新耐震は当たり前、できれば制振あるいは免震ビル」「交通手段が脆弱でない立地」「テナント向け非常用発電機設置済みのビル」等々、これまではコンピュータ、ソフトウェア・システム開発関連企業、金融機関などしか要求してこなかった条件を一般企業までが前面に押し出して物件探しをするようになっている。
ならば、さぞや不動産仲介業の市場は活気に満ちているのかと思えば、それは違うとこの仲介業者幹部は語る。
「短期的には需要が膨らむようにみえるビル市況も中長期的には厳しいでしょう。冷静に見れば『業容拡大・拡張』ではなく、『借り換え』でしかないことを見落としてはなりません。新たにオフィスを借りるばかりでなく、どこかが古いあるいは余ってしまうオフィスは返却され、市場に中古品が多数供給されることになります。これは、新たな現象ではなく、震災以前からの現象であり、今後さらに拍車がかかるというだけの話です」
「海外へ生産移転」の引き金となった
菅政権の場当たり的対応
当然のことながらリスク分散への対応はオフィスだけで起きている現象ではない。被災直後は復旧への努力に集中していた製造業だが、ここにきて生産移転のニュースが急激に増えてきた。5月16日付の日経新聞朝刊にも、こんな記事が掲載されていた。
次のページ>> 日本製部品の供給不能は、世界のサプライチェーンを崩壊させる
「ホンダは先週、新型車『フィットシャトル』の生産を、予定していた埼玉県狭山市から三重県鈴鹿市の工場に移した。発売間際で工場を変えるのは異例だ。東京電力の原発事故などを契機にした東日本の電力不足を乗り切るため、企業は西日本へ、海外へと目を向けざるを得なくなった」
「スマートフォン(高機能携帯電話)の電子回路に欠かせない極薄の銅箔。三井金属は電力消費の大きい工程を埼玉県の工場から海外に移す検討を始めた。世界シェアは9割。電力不足で供給が細るかもしれないとみた携帯電話メーカーの問い合わせが殺到した。技術流出のリスクはあるが、『あらゆる方法で顧客の心配を解消しなければならない』(久岡一史執行役員)」
これらの記事には日本の製造業の本音が凝縮している。東日本大震災は日本製の部品や部材が供給不能になると、それは世界の製造業のサプライチェーン崩壊に直結することを明らかにし、逆説的ではあるが、日本のモノづくりの存在感の大きさを見せつける結果になった。
だが今回、部品メーカーの被災によって生産工程が長く全停止に追い込まれ、フル生産まで半年以上もの時間が必要になってしまった自動車メーカーはもちろんだが、震災の影響があまりにも大きすぎる日本国内での生産見直しに、多くの製造業が着手している。
地震や津波など自然災害のリスクコントロールだけなら、まだ国内に踏みとどまる選択もあっただろう。致命的だったのは原発危機だ。それは福島第1原発の事故そのものというよりも、エネルギー政策に対する菅政権の場当たり的対応がもたらした電力供給不安である。
浜岡原発の全停止は多くの国民の支持を得て、与野党からの“菅降ろし”を封じ込めるには見事に成功した。しかし、その後、福島第1原発は被災からわずか16時間後にはメルトダウンしていた事実が明らかになり、原発への不信感が増長。浜岡原発全停止の結論だけが独り歩きしかねないことを、個人的には大変憂慮している。
次のページ>> もはや日本に踏みとどまる理由はない
カントリーリスクの高い国、日本
もはや踏みとどまる理由は見出せない
菅政権最大の問題は、政府として機能していないことだ。重大な政策決定のプロセスが不透明なばかりか、浜岡原発全停止も熟慮の結果というには唐突すぎた。そして科学的な論拠も乏しかった。要するに政策になっていない。大衆受けはしたが、これから先、日本の電力供給は大丈夫なのか、という抜き差しならぬ不安が産業界に走ったことは言うまでもない。事実、原発を抱える全国の自治体で点検中の原発再稼動に対して「NO」が突きつけられている。当然の帰結だ。
これは原発賛成、反対の問題ではない。製造業を中心に生きてきた日本にとって、安定した電力供給はグローバル競争の上で圧倒的な強みだった。それが福島の原発危機で東電管内の電力供給が不安定になり、オフィス同様、東日本から西日本へとの生産移転が当然の流れとして生まれてきていた。企業経営者も世論の反発を恐れて、海外への生産移転については明言を避けてきたが、電力供給の先行きが全く見えなくなってしまった日本国内に踏みとどまる理由はもはや見出だせなくなってきた。
グローバルには先進国から新興国へという経済構造の大転換があり、日本企業の視線はいまや完全にアジアに向かっている。その一方で為替は1ドル80円近辺が常態化するという円高水準だ。そして日本国内の電力供給の先行きはまるで見えない。
さらに悪いことに法的根拠なしに浜岡原発に停止要請をいきなり突きつけた菅政権は、これまた法的根拠なしに銀行に対して東電への債権放棄を要求している。たしかに銀行は悪役としてうってつけの存在だ。魔女狩りのように大衆の喝采をうけると幹事長の枝野幸男は期待したのだろう。東電の株主責任を問わず、倒産処理もなさぬまま、銀行に債権放棄をうながすのは、もはや民主主義でもなければ資本主義でもない。
日本企業にとっていまの日本は、生産を継続するにはあまりにもカントリーリスクの高い国になってしまった。
確実に日本は今、産業空洞化に向かって急な坂を転げ始めている。
質問1 岐路に立たされた日本製造業の生産拠点、それでも日本国内に留めるべき?海外へ出て行くべき
海外へ拠点を移転させるべき 100%
日本国内の同じ場所に留めるべき
日本国内でも場所を変えて留めるべき
その他
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