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中小の連鎖倒産は避けられないか
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p110504.html
2011年5月18日
特別企画 : 第3回:「東日本大震災関連倒産」の動向調査 (5月17日時点速報)
東日本大震災による倒産、累計100社突破
〜阪神大震災時の2倍の速さ、「自動車関連企業」が増加の兆し〜
はじめに
2011年5月6日発表『「東日本大震災関連倒産」の動向調査』、同12日発表『第2回「東日本大震災関連倒産」の動向調査 』の続報。
調査結果
東日本大震災による直接、間接の影響を受けて倒産に至った企業は、5月17日時点で累計102社判明し、100社を突破したことが分かった
今回の震災による倒産が100社を突破したのは、震災発生後67日目にあたる。阪神大震災時には震災から129日目で100社を超えており、ほぼ2倍の速さとなった
地域別では、岩手、宮城、福島の3県が20社(19.6%)。5月に入り、被災地の倒産が少しずつではあるが、判明しはじめてきた。震災の直接被害を受けた東北と関東以外でも、北海道8社、北陸8社、中部9社、近畿5社、四国1社、九州9社が倒産
倒産パターン別では、「直接被害型」が13社(12.7%)に対し、「間接被害型」が89社(87.3%)と大部分を占める。間接被害型の中では、「得意先被災等による売上減少」が32社(31.4%)、「消費自粛のあおり」が26社(25.5%)を数える
業種別では、「旅館・ホテル」(13社)が最も多い。「機械・金属製造」(9社)、「建設」(8社)が続いた。また、各種部品製造・販売、金型製造などの「自動車関連企業」が10社に達するなど、ここにきて増加の兆し
今後の見通し
東日本大震災による企業倒産は、震災発生から67 日経過時点で100 社を突破した。95 年の阪神
大震災時は129 日かかったのに比べ、ほぼ2 倍の速さである。102 社の内訳を見ると、旅館・ホテ
ルや自動車関連企業などの被災地以外の「間接被害型」の倒産が大部分を占める。こうした点が、
被災地の「直接被害型」の倒産が中心であった阪神大震災時とは大きく異なる。5 月に入り、被災
地の倒産も津波の被害の少なかった内陸部から徐々に判明し始めている。沿岸部にある企業の現
状確認が進んでいけば、「直接被害型」の件数が全体を押し上げる形で、関連倒産はさらに増加す
ることは間違いない。
ここにきて、震災後の資材不足や受注減で行き詰まる建設業者の倒産が散発し始めた。政府は
2011 年度予算の公共事業費等の5%分の執行を留保し、被災地向け事業に重点配分する方針を示
しており、被災地以外ではそのあおりを受けた形での建設業者の倒産が相次ぐことが予想される。
このほか、原発問題が未だ収束の気配を見せておらず、旅館・ホテル、外食といった観光・レジ
ャー関連を中心に、“不要不急”のモノやサービスを提供する企業の倒産は引き続き高水準で推移
する見通し。夏の電力不足や部品供給難による影響が拡大している自動車業界においても、すで
に関連倒産が増加の兆しを見せ始めている。リーマン・ショック後の生産調整ですでに体力をす
り減らしている中小・零細業者を中心に、全国にある下請けメーカーの倒産多発が懸念される。
(株)帝国データバンク 本社 産業調査部 内藤 修
http://www.tdb.co.jp/report/tosan/syukei/1104.html
2011年4月報
倒産件数は956件、3ヵ月連続の前年同月比減少
負債総額は2636億2900万円、6ヵ月ぶりの前年同月比増加
倒産件数 956件 負債総額 2636億2900万円
前月比 8.2%減 前月比 9.4%減
前月 1041件 前月 2910億7500万円
前年同月比 0.6%減 前年同月比 3.6%増
前年同月 962件 前年同月 2545億800万円
■件数
ポイント 3ヵ月連続の前年同月比減少
倒産件数は956件(前月1041件、前年同月962件)発生し、前月比は8.2%、前年同月比も0.6%の減少となった。3ヵ月連続で前年同月を下回ったものの、ほぼ横ばいとなり、減少幅は2月(前年同月比8.5%減)、3月(同9.3%減)に比べて大幅に縮小した。
要因・背景
1.東日本大震災の主な被災地である東北(27件、前年同月比▲44.9%)が大幅減少
2.負債5000万円未満(464件、前年同月比+7.2%)の零細倒産の高止まりが続く
■負債総額
ポイント 6ヵ月ぶりの前年同月比増加
負債総額は2636億2900万円(前月2910億7500万円、前年同月2545億800万円)で、前月比は9.4%の減少となったものの、前年同月比は3.6%の増加で、6ヵ月ぶりに前年同月を上回った。
要因・背景
1.負債トップは、消費者金融の丸和商事(株)(静岡県)で336億円
2.負債100億円以上の倒産は3件にとどまり、大型倒産の沈静化続く
■業種別
ポイント 製造、卸売、運輸・通信の3業種で前年同月比減少
業種別に見ると、製造、卸売、運輸・通信の3業種で前年同月を下回り、卸売業(113件)、運輸・通信業(30件)の2業種は前年同月比20%超の大幅減少。一方、建設業(247件、前年同月比+5.6%)、小売業(175件、同+10.1%)など4業種は前年同月を上回った。
要因・背景
1.卸売業 …織物卸(1件)や野菜・果実卸(1件)などで減少目立つ
2.運輸・通信業 …道路貨物運送(18件)が前年同月比30.8%の大幅減少
3.建設業 …公共工事削減などで、東日本大震災の被災地以外の北海道、中国、四国で増加
■主因別
ポイント 「不況型倒産」の構成比83.3%、23ヵ月連続で80%台の高水準
主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は796件(前月882件、前年同月770件)となった。構成比は83.3%(前月84.7%、前年同月80.0%)で、前月は1.4ポイント下回ったものの、前年同月は3.3ポイント上回った。2009年6月の81.2%以降、23ヵ月連続で80%台の高水準が続いた。
要因・背景
1.「返済猶予後倒産」が25件(前年同月比+47.1%)発生、うち円滑化利用後倒産は17件
2.「円高関連倒産」が5件(前年同月比▲28.6%)発生、うちデリバティブ関連は3件
倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■規模別
ポイント 負債5000万円未満の構成比48.5%、小規模倒産は高水準で推移
負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は464件、構成比は48.5%を占め、前年同月を3.5ポイント上回った。一方、負債100億円以上の大型倒産は3件にとどまった。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満が521件発生、構成比は54.5%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業を見ると、中小企業は954件で全体の99.8%、小規模企業も829件と同86.7%を占め、小規模倒産は高水準で推移した。
要因・背景
1.負債5000万円未満の構成比、小売業では67.4%を占め、全業種中で最高
2.負債100億円以上の倒産、2009年5月以降24ヵ月連続で1ケタにとどまる
■地域別
ポイント 東北が前年同月比44.9%の大幅減少
地域別に見ると、9地域中4地域で前年同月を下回った。なかでも東北(27件)は前年同月比44.9%の大幅減少となり、岩手(1件)や山形(2件)などで減少が目立った。一方、関東(383件、前年同月比+4.4%)、北陸(29件、同+11.5%)など5地域は前年同月を上回った。
要因・背景
1. 東北は、手形の不渡り報告記載猶予や災害復旧貸付、返済猶予などの様々な特例措置によって倒産が減少したほか、実質倒産状態の企業でも現状確認が困難なことなども影響
2.関東は、群馬で製造業、東京や神奈川で小売業などの増加が目立つ
■上場企業倒産
4月は、3ヵ月連続で上場企業の倒産は発生しなかった。
2011年の上場企業倒産は、日本振興銀行(株)関連の中小企業信用機構(株)(民事再生法、1月)の1件のみにとどまっており、上場企業の倒産は沈静化が続いている。
■大型倒産
4月の負債額トップは、消費者金融の丸和商事(株)(静岡県)で336億円。以下、森林事業の社団法人群馬県林業公社(群馬県、負債166億円)、元・ソフト開発・販売のニイウスメディカルシステム(株)(東京都、同104億9000万円)と続く。
負債100億円以上の大型倒産は上記3件のみで、2009年5月以降24ヵ月連続の1ケタにとどまっており、大型倒産の沈静化が続いている。
■景気動向指数(景気DI)
景気DIは30.4、前月比1.2ポイント減と2ヵ月連続で悪化
2011年4月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.2ポイント減の30.4となり、2ヵ月連続で悪化した。
福島第一原発の事故は事故後1ヵ月を経過して原子力事故の評価尺度(INES)に基づく暫定評価が最も深刻なレベル7に引き上げられ、海外では日本の農水産物や加工食品のほか、被災地域外の工業製品を敬遠する動きにも拍車がかかった。また、サプライチェーンの混乱が企業の生産活動回復の妨げとなったほか、内需も自動車や家電、外食、観光関連業種など不要不急のモノやサービスの停滞が続いた。
さらに、原材料価格も騰勢を強めたことで企業の収益性は厳しさを増し、相次ぐ強い余震も家計や企業のマインドを下押しした。政局も統一地方選挙の結果を受けて不透明感を増し、復興政策や原発対応への懸念も強まるなど、震災後の閉塞感を払拭するには至っていない。
国内景気は内需の下支えによって一段の急落には陥らず、復興の兆しも
こうしたなか、震災直後に比べて飲食料品など生活関連業種では復調の動きがみられ、他業種でも設備の新設・復旧へ向けた投資マインドや金融機関の融資姿勢に改善がみられた。個人消費についても「飲食料品小売」や「各種商品小売」などが堅調で、「小売」は2ヵ月ぶりに改善した。国内景気は停滞を余儀なくされているが、内需の下支えによって一段の急落には陥らず、復興の兆しも見え始めている。
今後の見通し
■倒産件数は前年同月比横ばい、政策効果の一巡に震災の影響も
2011年4月の企業倒産は956件発生し、前年同月比0.6%減とほぼ横ばいとなった。2月(前年同月比8.5%減)、3月(同9.3%減)に比べ減少幅は大幅に縮小しており、政策効果の一巡に震災の影響も加わり、ここにきて増加に転じる兆しが見られた。負債総額は2636億2900万円にとどまった。6ヵ月ぶりに前年同月を上回ったものの(前年同月比3.6%増)、低水準が続いた。負債100億円以上の倒産は消費者金融の丸和商事(負債336億円、静岡)など3件のみで、24ヵ月連続の1ケタにとどまった。上場企業倒産も4月は3ヵ月連続で発生しなかった。
■地域別では、東北が44.9%の大幅減少
業種別では、全7業種中、製造、卸売、運輸・通信の3業種が前年同月を下回った。他方、建設業が5ヵ月ぶり、小売業が3ヵ月ぶり、サービス業が8ヵ月ぶりに前年同月を上回った。建設、小売、サービスの3業種だけで毎月、倒産全体の60%以上を占めるだけに、現在の基調が続けば、企業倒産全体も早晩増加に転じる可能性が高い。地域別では、震災の主な被災地の東北が前年同月比44.9%の大幅減少となった。これは、手形の不渡り報告記載猶予や災害復旧貸付などの様々な緊急支援策の効果に加え、津波の被害が甚大で倒産手続きの準備すら進められない企業が少なくないためとみられる。4月の企業倒産はほぼ横ばいとなったが、各種特例措置で4割減となった東北を除けば、実質的にはすでに増加に転じていると見ることもできる。
■「東日本大震災関連倒産」が急増
3月11日の東日本大震災から2ヵ月が経過した。戦後最悪の大災害は、未だ収束しない福島第一原発の事故、電力不足問題、自動車・電機産業をはじめとするサプライチェーンの寸断、全国的な自粛ムードの高まりなどを通じて、日本経済全体への影響は長期化の様相を呈している。ここにきて、今回の震災による直接、間接の影響を受けて倒産した「東日本大震災関連倒産」も急増している。北は北海道から南は宮崎まで全国各地で発生しており、自粛のあおりや取引先の被災を受けての「間接被害型」の倒産が目立つ。他方、震災による被害の大きさに比べ、岩手、宮城、福島の3県の関連倒産は現時点であまり判明していない。これは、各種特例措置に加え、実質倒産状態の企業は多数あることが推測されるが、津波や原発事故の被害が甚大で被災企業の現状確認が困難を極めていることが影響している。今後、これらの地域で直接被害を受けた企業の実態把握が進めば、関連倒産の件数はさらに増加する見通しである。
■企業倒産は早期に増加に転じるおそれも
5月2日、震災復旧のための総額4兆153億円の2011年度第一次補正予算が可決・成立した。これにより本格的な復興に向けて動き出したわけだが、先行きは懸念材料が山積している。最大の不透明要素が、東電・原発問題である。同社は原発安定まで最低半年かかる見通しを明らかにしているが、この間にも日本製品に対する風評被害、海外観光客の激減、夏場の電力不足等を通じて、引き続き幅広い産業に影響を及ぼすことが予想される。事態はすでに、巨額の損害賠償に向けた東京電力の経営問題にまで発展している。今後の処理方法や電力政策の変更内容によっては、東電グループの既存の取引先企業に与える影響も大きく、動向が注目される。このほか、金融円滑化法の活用などでリスケしたにもかかわらず、経営改善できずに倒産した「返済猶予後倒産」は4月も25件判明(前年同月17件)するなど高水準が続いている。震災発生で「実抜計画」の達成や策定が困難となっている企業は増加していると見られる。今後は、こうしたリスケ延命中の企業の倒産に加え、震災の直接、間接の影響を受けた関連倒産が全体の件数を押し上げる形で、企業倒産は早期に増加局面に転じるおそれも十分にある。
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