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2010年WSJアジア・ベスト・アナリスト・ランキング:日本編
2011年 5月 16日 11:00 JST
2010年WSJアジア・ベスト・アナリスト・ランキングの日本編では、不動産や金融分野のアナリストが多数ランクインした。
1位 沖野 登史彦 氏(UBS証券/住宅・不動産・建設・J−REIT)
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沖野 登史彦 氏
金融業界で20年近いキャリアを持つ沖野氏は、東日本大震災が有数の国難であることを確信している。それでも、市場が秋にも景気回復を織り込み始めるとみているが、政府が協力して補正予算を通すことが条件だという。
沖野氏は1998年にUBS証券に入社し、不動産、建設、日本の不動産投資信託(J−REIT)に関するリサーチ部門を率いている。昨年は、日銀が景気浮揚のため行ったJ−REIT買い上げが選好銘柄の追い風となった。
たとえば、商業不動産を中心に投資をする日本リテールファンド投資法人は昨年56%、ケネディクス不動産投資法人は59%のリターンをもたらした。これに対し、日経平均は3%の下落だった。同氏は、魅力的な株価水準と消費回復見通しから、両社を「買い」推奨としていた。
震災後も引き続き日銀の資産購入がJ−REITの追い風となっている。資産購入規模は復興対策のため拡大した。沖野氏は、この購入が株価を下支えし、震災前の水準に押し上げる一助になったと語る。ただ、今年再びJ−REIT上昇をもたらすような材料は見当たらないとしている。
同氏は、一部商業不動産デベロッパーに対する方が楽観的だ。金融機関やIT企業を中心に一流のオフィス物件に対する需要は今後も上向くだろうとみている。
株価はなお割安なようだ。たとえば、三菱地所は純資産に対して40%のディスカウントで取引されている。一方、三井不動産は千代田、中央、港の3区に集中した保有資産が魅力だ。一帯のビルには非常用発電機が備えられており、震災後の電力不足を避けるのに好都合だろう。
* * *
以下、2位の藤木彩氏と3位の大野東氏に両氏の2010年ベスト/ワースト推奨と2011年の見通しを聞いた。
2位 藤木 彩 氏(UBS証券/金融<ノンバンク・保険>)
・2010年のベスト推奨:オリックス(「買い」)。危機モードから脱し、事業正常化に向かうと判断した。予想通り、与信コストの改善(前年比56%減)、海外拡大戦略などが株価の押し上げ要因になった。
・2010年のワースト推奨:クレディセゾン(「中立」)。当初の会社予想は悲観的なものだったが、過払い金請求の減少を受けて2Q、3Qと上方修正が行われた。これによる投資家マインドの改善は一時的とみたが、株価の回復基調は11年3月まで続いた。
・2011年の見通し:企業部門の貯蓄が過去最高水準にあることから、設備投資の回復を見込む。東日本大震災の影響と電力不足の可能性は大きな不透明要因だが、年後半には震災復興需要が期待できる。11年のもう1つのテーマは、震災復興に向けた財政拡大。大規模な増税をすることなく2兆〜3兆円の国債増発が実施されれば、企業部門の貯蓄を減らすと同時に、長期金利の押し上げ圧力になる。こうした状況は、第一生命など生保にとってはプラス。
3位 大野 東 氏(クレディスイス証券/証券・保険・ノンバンク)
・2010年のベスト推奨: 松井証券。投資判断を柔軟に変更することができた。タイミングも良かった。
・2010年のワースト推奨:野村ホールディングズ。国内勢としては比較的堅調な業績を見込み、「アウトパフォーム」としたが、バリュエーションの変動で株価は伸び悩んだ。
・2011年の見通し:証券にとって、市場環境は厳しく、投資機会は限られる。短期的な反発はあるかもしれないが、業績の支えが十分ではない。損保は、震災の影響と自動車保険の収益性が先行きの視界不良につながっている。損保株の再評価には、こうした不透明感が解消される必要がある。ノンバンクは、国内金融業界にあって、比較的堅調な業績が期待でき、投資対象の候補と言える。
イメージ Bloomberg
4位 安藤義夫 (ドイツ証券/通信)
5位 大久保寛 (マッコーリーキャピタル証券/不動産)
6位 和田浩隆 (JPモルガン/機械)*2011年4月まで在籍
7位 荒木正人 (三菱UFJモルガン・スタンレー証券/インターネット・マスコミ)
8位 竹内一史 (三菱UFJモルガン・スタンレー証券/REIT)
9位 大塚 亘 (野村證券/ノンバンク・オンライン証券)
10位 大室友良 (モルガン・スタンレーMUFG証券/不動産)
また、セクター別のランキングでは、エレクトロニクス部門で2位に井手秀一氏(みずほ証券)、3位に佐藤弘康氏(2010年中に大和証券キャピタルマーケッツから東京海上アセットマネジメント投信に移籍)が入った。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Stock-Markets/node_236649
2010年WSJアジア・ベスト・アナリスト・ランキング―投資リターンでみる銘柄推奨の的中度
2011年 5月 16日 11:00 JST
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、アジアの証券アナリストが行った投資推奨について追跡調査を実施し、2010年の投資リターンを指数化したランキングをまとめた。WSJがこの種のランキング調査を行うのは今回が初めて。ランキングで上位を占めたのは、韓国の造船セクターや香港の携帯電話事業に関する逆張りが奏功したケースや、アジアでテーマ化しているインフレ関連、ヘルスケア、資源などの分野だった。特に、消費関連のほか、中国、インドの資源セクターで高リターンが達成された。
2010年のアジア株は14%高と堅調だった。タイ株が51%高、マレーシア株が32%高など、東南アジアがけん引役となった。一方、過熱景気の抑制に舵を切った中国では、2%高にとどまった。
セクター別では食品のリターンが最大だった。なかでも、Capital Nomura所属のアナリスト、Ploenjai Jirajarus氏は、銘柄パフォーマンスで1位と2位を買い推奨した。1位はタイのアグリビジネス大手、Charoen Pokphand Foods、2位は同じくタイで水産品加工を行うThai Union Frozen Productsで、両銘柄とも125%のリターンを上げた。Ploenjai氏は、タイ株全般の好調が追い風になったとしながらも、食糧安全保障や食の安全について懸念が高まったことも両銘柄の買い材料になったとしている。
MF Global Sify Securiites India所属のGauri Anand氏もテーマ物色の波に乗った。Anand氏は、規制緩和の恩恵が広がったインドの肥料メーカーを推奨し、うち、Coromandel Internationalは年間のリターンが171%に達した。
総合スコアでアジアのトップに立ったのは、韓国Morgan Stanley所属のPark Sang-kyoo氏。Park氏は、韓国造船セクターの復調予想を的中させた。同セクターは、08年の世界金融危機で低迷が続いていたが、Park氏は、その後の回復が市場で十分織り込まれていないとして、積極的な買い推奨に転じた。同氏が推奨したHyundai Heavy Industriesは159%のリターンをもたらした。
Mirae Asset Securities所属のSokje Lee氏も、韓国造船銘柄の急騰を言い当てた。同氏は、海運最大手のMaerskが低燃費大型船の発注を計画していることを材料に、造船需要の回復を予想した。
Morgan Stanley所属のゲーム・コングロマリット担当アナリスト、Praveen Choudhary氏の場合も逆張りが成果を上げた。同氏は、3G携帯電話事業の収益目標未達が続いていたHutchison Whampoaの買い推奨を維持し、結局、50%の年間リターンを物にした。テクノロジー担当から転じたChoudhary氏は「複数のセクターをカバーした経験は財産。投資はアートのようなもの。ロケットメーカーをカバーするのにロケット工学の知識は必要ない」と語る。
昨年は資源株の高騰も目立った。オーストラリア、マレーシアのトップ銘柄が資源関連だったことは自然な流れだ。それらの銘柄を推奨したアナリストもランキングで上位に入った。
オーストラリアのトップ・アナリストはDeutsche Bank Research所属のBrendan Fitzpatrick氏だった。鉱山技術者出身の同氏は、フィリピンを中心に金生産を行うMedusa Miningなどを推奨し、Medusaは93%のリターンを上げた。OSK Investment Research所属のJason Yap氏は、成長が続くマレーシアの石油・ガス銘柄を推奨し、Dialog Groupは90%超のリターンをもたらした。Yap氏は、保守的な予想を着実に達成する企業を選ぶのがカギだと言う。
食品のほか、消費関連も中国、インド、韓国の各市場でアウトパフォームが目立ち、特にヘルスケアが好調だった。各国政府が医療関連の支出を拡大しているほか、質の高い医療サービスを求める高額所得層の需要増を背景に、民間の関連投資も膨らんでいる。
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Matt Kenyon
昨年の中国市場は全体として伸び悩んだが、ヘルスケアは例外だった。Morgan Stanley所属の Bin Li氏が推奨したUnited Laboratories International Holdingsは300%近いリターンを記録している。しかし、科学者出身のLi氏は、選択眼の重要性を強調し、ヘルスケア全般の買いは勧めない。「企業訪問で、操業水準を確かめる」という。
マレーシアのトップアナリスト、Norfauzi Nasron氏(クアラルンプールのOSK Investment Research所属)もヘルスケア銘柄の推奨で投資家に恩恵をもたらした。「所得増に伴ってヘルスケア支出が増えている」と言う同氏推奨のKPJ Healthcareはリターン48%だった。マレーシアでは、民間のヘルスケアサービスが急速に広がりつつある。
その他の消費関連では、腕時計からカジノ運営までさまざまな銘柄が高リターンを上げた。ムンバイのHSBC Securities & Capital Markets (India)に所属するPercy Panthaki氏は、インフレの影響を受けにくい消費関連銘柄を物色し、同氏が買い推奨した腕時計メーカーのTitanは84%のリターンを達成した。Panthaki氏は、その後、Titan の投資判断を「ホールド」に変更している。一方、韓国HMC Investment & SecuritiesのPark Jong-ryeul 氏がトップピックに選んだ通販のCJ O Shoppingは68%のリターンをもたらした。CJ O Shoppingは、アジアの個人消費拡大を追い風に、中国とインドで事業を拡大している。
カジノ関連銘柄も、年間を通してみれば、高パフォーマンスを記録した。売りに転じたアナリストもいたが、結果的には、買い推奨を貫いたアナリストに軍配が上がった格好だ。Deutche Bank所属のKaren Tang氏は、香港上場のSJM Holdingsについて、買いの判断を変えなかった。SJMは、これまで独壇場だったマカオのカジノ市場を米大手のLas Vegas SandsやWynn Resortsに浸食されつつあるが、「中国の投資家にとって、SJMのブランド価値は大きい」とするTang氏の判断を信じた投資家は、188%の年間リターンで報われることになった。
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