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TOPマネー・金融広瀬隆雄 世界投資へのパスポート
http://diamond.jp/articles/-/12145
【第131回】 2011年5月3日
広瀬隆雄 [投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLC代表]
最近のドル安は米当局が仕組んだもの。金・銀・原油のバブル相場は当面続く!
【今回のまとめ】1.FOMCで「QE2」の6月終了が確認された2.同時に、現在のユルユルな金融政策を当分変更しないと明言した3.仕組まれた「米ドル安」に、投資家が便乗する動きになっている4.新興国はインフレ退治の仕事を押しつけられている5.金、銀、原油といった「グローバル・コモディティ」はバブル相場になっている
米国と欧州で、中央銀行に温度差があるワケは?
先週、FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)を開催し、大方の予想どおりに、政策金利を現行の0〜0.25%に据え置くとともに、「QE2(追加的量的緩和政策)」を当初の計画どおり6月に終了させることを決めました。
併せて、当分の間、緩和的な金融政策を継続し、FRBのバランスシートが膨張したままの状態を維持することを意思表示しました。
つまり、これ以上の金融緩和はしないけれど、現在のユルユルな金融政策は当面変更しないと明言したわけです。
このように、米国の中央銀行が金融引き締めに消極的なのに対して、ECB(欧州中央銀行)は一足先に政策金利の引き締めに入っています。
IMF(国際通貨基金)の予想によると、2011年の米国のGDP成長率は2.8%で、欧州のそれは1.6%となっています。
すると、米国より欧州の経済成長率が低いにも関わらず、米国では「まだまだ成長率が低すぎる」と景気後退のリスクを心配し、その一方で、欧州では「そろそろインフレのほうが心配だ」とブレーキを踏み始めている構図が見えてきます。
なぜ、米国と欧州の中央銀行の間で、これほど温度差があるのでしょうか?
歴史的に、ECBはインフレ抑制という任務をまっとうすることだけが期待されており、景気のテコ入れは中央銀行の主な仕事ではないと考えられてきました。
これに対して、米国の中央銀行は景気が悪い時に、積極的に動くことをためらいません。
また、このような歴史的背景の違いに加えて、米国の場合は住宅市場が相変わらず景気の足を引っ張っており、これが建設セクターの雇用などを低迷させているという問題があります。
米国では、「住宅市場が景気全体に果たす役割が大きいため、それがダメな時は、他のところで一生懸命がんばらなければならない」といった発想が主流となっているのです。
仕組まれた「ドル安」に投資家が便乗しているだけ
米国が緩和的な金融政策を維持するのに対して、ECBが引き締めに入ったことは前述のとおりです。
そうなると、政策金利の方向性としては、欧州のほうが徐々に魅力を増します。
最近の米ドル安はこれが一因です。
しかし…
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米国株は新高値を更新している最中ですし、債券も安定していることを考えると、広範な「米ドル不安」が噴出しているという認識は間違っています。
むしろ、「仕組まれた米ドル安に投資家が便乗している」と形容したほうが、現状をよくとらえていると思います。
この計画的な米ドル安は、景気低迷から抜け出す処方としては極めて適切なやり方だと、米国では一般に考えられています。
■新興国で「予定外の利上げ」が相次いでいる
しかし、「米国には金融を引き締める気がサラサラない」ということが、ここまであからさまに市場に伝わってしまうと、インフレ退治作業のお鉢はその他の国に回ってきます。
とりわけ、GDP成長率が高く、賃金インフレ圧力が高い新興国は「もうそろそろ打ち止めにしようか?」と思っていた政策金利の引き上げを、さらに継続することを強いられます。
最近、ブラジル、ロシア、中国などの新興諸国で、エコノミストの予想に反して相次いで利上げが発表されたのは、このような事情によります。
新興国でこのような「予定外の利上げ」が相次いでいる環境では、株は上昇しにくいです。
■野放しになっているリスクトレード
金、銀、原油といったグローバルに取引されるコモディティに関しては、新興国やECBが少々利上げしたからといって、どうなるものでもありません。
下に示したのは、代表的な銀のETFである「アイシェアーズ・シルバー・トラスト(ティッカー:SLV)」の値動きです。
つまり、これらのコモディティに蔓延している投機熱は、FRBのいささか利己的な金融政策が生みだした結末なのです。
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