http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/671.html
Tweet |
(2011年4月30日/5月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
最近まで、先進国はスタグネーション(停滞)とインフレーション(持続的な物価上昇)の間を行ったり来たりしていた。危機の最悪期には、生産高が急減したが、最大の懸念はデフレであって、インフレではなかった。
そして各国経済が回復し、コモディティー(商品)を含めた資産価格も回復。そのコモディティー価格がインフレ率を政策当局者たちの快適ゾーンから押し出すことになった。
今、生産が減速する一方で物価が上がり続けているため、1970年代の恐ろしい混成語の両者が一体化する恐れがある。スタグフレーションは不快な記憶から現在の危険となったのである。
最新の生産高の統計は失望させる内容だ。英国では、第1四半期の経済成長率が年率換算で2%となった。経済がフル稼働しているのであれば、これは悪くない数字かもしれないが、生産高がまだピークを下回っている状況では、そうではない。昨年第4四半期の深刻な経済縮小を考慮すると、英国経済は6カ月間にわたってスタグフレーションに見舞われている。
やはり4月最終週に発表された米国の統計も良くなかった。米国経済の伸び率は英国経済以上に緩慢で、年率1.8%どまりだった。確かにこれは前四半期に、経済が縮小した英国と異なり、3.1%という躍進を遂げた後の話だ。米国人は明らかに英国人よりもうまく大雪に対処するようだが、それでも減速が期待外れであることに変わりはない。
米国経済の減速は、財政刺激策の終了(政府支出は減少した)と民間部門の警戒心の強まり(消費者と企業の支出はともに減速した)の両方を映したものだ。
悪いニュースを完結するように、3月の地震と津波を受けて日本の鉱工業生産は統計が始まって以来最大の下げ幅を記録し、欧州の見通しはいまだに債務危機のために暗いままだ。
現在と1970年代の違い
こうした暗い状況の中、現在と1970年代の違いから一定の安心感を引き出すことができる。先進国は過去数十年間で最悪の景気後退から持ち直す余地がまだ大きいという事実は、今は当時より、金融緩和政策が手に負えないインフレを引き起こす可能性が低いということを意味している。
2番目の明白なポイントは、中国を筆頭とする新興国が活気に満ちていることだ。実際、過剰なほどの活気に満ちており、多くの新興国は過熱する恐れがある。各国は次第に、(まだ小さいとはいえ)先進国の輸出需要の源となりつつある。
このことが、今と昔の3つ目の違いを説明する。コモディティー価格の上昇が全般的なインフレ高進を招く動きは少なくとも、供給と同じくらい需要によって引き起こされているということである。
産油国が蛇口を閉めたことが、1970年代の石油危機を招いた。対照的に現在のコモディティー価格の高騰は主に、新たな工業大国からの貪欲な需要を反映したもので、中東問題などの供給ショックによる価格上昇は一部に過ぎない。
このことは、もし先進国が軽いスタグフレーションに見舞われるのなら、それは避けられない経済的変化の一時的な症状だという期待を持たせてくれる。だが、それほど害のないスタグフレーションの傾向でさえ、不快感を引き起こす。経済のエンジンのバランス是正は決まって、大変な状況を生むのだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。