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2次補正は一体改革後、与野党に総財政需要「数十兆円」との声
2011年 05月 2日 19:07 JST
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[東京 2日 ロイター] 東日本大震災の復旧対策を盛り込んだ2011年度第1次補正予算案が2日成立したのを受けて、政府は直ちに復興対策の検討に着手する。
野田佳彦財務相は2次補正予算案の提出時期について6月にまとめる社会保障と税の一体改革の具体案が示された後に編成作業を行う方針を示しており、夏以降となる見通し。民主・自民・公明で合意した「復興債の償還を担保」し、財政規律の信認確保のために、消費税を含む抜本税制改革の方向性を見極める必要があると判断したとみられるが、民主党内には復興の名のもとの増税に反発の声は強く、2次補正予算編成までは紆余(うよ)曲折が見込まれる。
規模については、2次補正予算を含む総財政需要について、与野党内で20兆円超必要との声が挙がっている。ただ、このうちどの程度が国の財政支出によるものかは不透明。復興に取り組む期間も10年を軸に検討されている。当初の集中復旧・復興期間に傾斜配分されるとしても、過度な追加国債発行懸念は禁物のようだ。
<2次補正予算編成、税・社会保障一体改革踏まえ7月以降に>
野田財務相は1日の参院予算委員会で、2次補正予算編成時期について「社会保障と税の一体改革の成案を踏まえないと第2次補正予算は作れない」と述べ、7月以降となる見通しを示した。
本格的な復興予算について政府は、政府の復興構想会議が6月にまとめる復興の青写真を踏まえ規模や財源を詰めるとしていたが、同時期にまとまる抜本税制改革の方向性も見定める方針を明確にした。
復興時の増税論には与野党から強い抵抗が出ている。しかし、多額の財政需要が見込まれるなか、野田財務相は財政規律への疑念が生じれば経済への悪影響も懸念されるとして並々ならぬ決意で臨んでいる。1日の国会でも「経済や財政のことを勘案しながらも、マーケットリスクを考えていくことが政治家の役割だ」と述べ、臨時増税論議に反論し関東大震災の時のように復興財源には国債を充てればよいとする主張をはねつけた。
後押ししたのが、民主・自民・公明の政調会長が4月29日に補正予算の財源をめぐって交わした画期的な合意。民主党は子ども手当など目玉政策のさらなる見直しを検討することで譲歩し、復興のための必要財源について「既存歳出の削減とともに、復興のための国債の発行等により賄う。復興のための国債は、従来の国債と区別して管理し、その消化や償還を担保する」ことが明記され、将来の増税で復興債の償還財源を担保する方針もにじませた。
さらに、民主党は第1次補正予算で年金財源を転用するが、年金財政が毀損することがないよう、社会保障改革と税制改革の一体改革について「可及的速やかに」実行可能な案を示すことを約束し、自民・公明の1次補正予算の財源確保法への同意を取り付けた。
菅直人首相も合意を「了承した」とし、野田財務相も「重く受け止めたい」と述べており、政調会長の3党合意は既に政府・民主と自民・公明の政党間合意に格上げされた格好。マニフェスト見直しや増税論議にカジを切ったとも見えるが、民主党内の反発は必至だ。
<復興の総財政需要、与野党に20兆円超必要の声>
全体の規模をめぐっては、菅首相が1日の国会で「相当大規模な財政出動が必要」と発言。民主党の玄葉光一郎政調会長(国家戦略担当相)も1日の民放テレビ番組で「少なくともそういう規模(10兆円)では収まらない」とし、「今回の大震災は阪神淡路の10倍くらいの事態だ」と述べた。
阪神淡路大震災の時の被害総額は10兆円で3次にわたる財政支出は計約3兆円。玄葉政調会長は規模について明言は避けたが、同じ番組で自民党の石破茂政調会長は「全体で20兆円くらいは(必要だ)」と指摘。民主党内からも「少なくとも20兆円必要」との声が出ている。
民間からも、武藤敏郎・大和総研理事長(元財務次官)が「復興のための財源は20兆円から30兆円必要」と見通している。27日に日本国債の格付け見通しを引き下げたスタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は復旧・復興費用は30兆円を標準に20兆─50兆円の範囲になると予想し、増税などの財源措置がとられない限り日本の財政が悪化すると警告した。東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所事故の収束時期が見通せず賠償問題の不透明さが復興対策を見通しにくくしているが、日本総合研究所の高橋進・副理事長は、内閣府試算の16兆─25兆円には原発事故による間接被害が入っていないため、「もっと膨らみ、30兆円─40兆円くらいにはなるのではないか」と見通した。
<財源調達は多様>
ただ、財源調達手段は多様で、日本総研・高橋氏は、国・地方自治体が関わるべきもの、民間資金の活用などの組み合わせを提案する。
民主党が4月30日に政府に提言した復興ビジョン第1次提言でも復興財源については「復興需要の大きな部分が民間による投資や活動で賄われるものであることなどを踏まえ、政府・政府系金融機関のみならず、民間資金を積極的に活用した基金等を創設」することを提言。歳出見直しのほか「税制の見直しを含めて検討を行うべき」としている。
民主・自民・公明の合意でも復旧・復興のための必要な財源については「既存歳出の削減とともに、復興のための国債の発行等により賄う」と明記された。関係者によると、復興債のほか基金創設なども視野に入っているという。復興債の償還が担保されれば、みんなの党が提案する「国債整理基金への一般会計からの繰入停止」も選択肢になりえるとの声もあがる。このためにも、抜本税制改革の方針決定が不可欠のようだ。
(ロイターニュース 吉川 裕子、編集;内田 慎一)
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