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不況下の物価高がやってくる 3月11日の東北地方太平洋沖地震以来、納豆や箱入りティシュなどの品不足が目立っていたが、鶏卵、即席めん、食パン、電池などの値上がりが目立ってきた。震災前に比べて20%前後も上がった品目もある。( http://www.yukumoto.com/koramu/20110428 ) 今後、震災被害対策などで巨額な政府支出が行われる。その額は20兆円を超え、原発被害を入れたら30兆円を超えるかもしれない。 これらは基本的に、労働の対価として支払われるものではなく、生活のための消費を支えるために支払われる。つまり貨幣の裏付けとなる労働がないままに貨幣だけが増えるため、確実にインフレに結びつくのだ。 しかし、東北地方を中心に生産力の回復には時間がかかる。また、日本には今後二つの重大なマイナス要因がある。 一つは以前から言われていた少子高齢化だ。今後数年で団塊世代が年金受給年齢になる。既に多くの地域では65歳以上の年代が人口の30%を超えつつある。年金と貯金に頼る人たちが30%以上を占める社会で食料品を中心にした物価高は直接的に生活苦に結びつく。つまり、物価高を避けるだけでなく、高齢化した人々をどう支えていくのかが今後の課題になる。 もう一つは東北地方太平洋沖地震で顕在化した地震や噴火のリスクだ。1995年の阪神大震災をもたらした兵庫県南部地震以来、日本は地震の活動期に入ったと言われてきたが、3月11日の大地震はそれを改めて実証するものだった。今後、10年ほどは毎年マグニチュード7を超えた地震が日本各地を襲うはずだ。地震による社会インフラ破壊という被害だけでなく、原発震災もあり得るわけで、日本の各地にある原発を直下型の地震が襲えば、確実に福島第一原発事故を上回る規模の原発震災になり、日本の経済破たんは確実だ。いかに震災対策をし原発震災を避けるか、それが大きな問題だ。 このほかにも、日本の財政赤字や農漁業従事者の高齢化など難問山積だ。つまり、今後の日本が迎えつつあるのは好景気によるインフレではなく、不況下の物価高ということになる。現在はまだ昭和の時代に築いた巨額な海外資産のために円高が維持されているが、今後、数年もしないで円安に転換するのは確実だ。そうなれば、ただでさえ高騰している原油やLNG価格が国内物価に直接的な影響を及ぼしてくる。同じく、輸入に頼る大豆・小麦や飼料も大幅な値上がりが避けれない。 だから、今後年率10%を超すインフレがやってくるのは間違えないし、インフレに見合うほどの給与の上昇も望みえない。つまり、借金をして不動産を買ったりする行動はおよそ引き合わない社会になって行くはずだ。 更に、公務員待遇の引き下げが今後は本格的に検討されざるを得なくなるだろう。これは単に財政赤字の問題ではなくて、社会的な公正さのためにも重要な問題だ。財政破綻を避けるために増税だけが行われるなら、民間と公務員の待遇格差に対する不満が爆発し、社会的な治安悪化に結びつくからだ。 このままでは、99.9%の人々は生活水準を切り下げざるを得なくなるし、それだけではなくて、互いに相手を犠牲にして自分を有利にすることだけに集中し、生活物資の奪い合いという状況に陥ってしまうだろう。企業は目先の利益を追いかけてしまい、より多くの派遣社員やアルバイトに頼るようになる。 大学教育はますますコストがかかるものになり、進学率は10%台へ急落するだろう。その陰で、入試不正や採用試験不正、資格試験不正がはびこり、コネ社会化が進む。これも全体としては経済の活性を阻害し、社会全体としては劣化、窮乏化していくことになる。 娯楽への支出や広告費はどんどん切り下げられるので、プロスポーツやマスコミは今後存続の危機に直面するはずだ。 ではどうしたらいいか?答えは簡単だ。より生産性の高い産業構造に転換するしかない。具体的には石油やLNGなどの輸入エネルギー資源や本当は高コストの原子力に頼るのを止め、純国産であり、本当は低コストの地熱発電を大規模にやるのだ。そして、もう一つは、年金支給を基本的にやめ、健康で働ける人々にはノルマを課さない形での労働をしていただき、その対価として年金分の給与を支払う形にするしかない。こうすることで、年金に頼って消費だけをしていた人々を生産サイクルへ参加していただけるからだ。もちろん高齢のために労働できない方たちは無条件で生活保障をすることも必要だ。 問題は、こういった変化は大きな摩擦を伴うことだ。巨大な利権に群がっている人々は勿論のこと、日常の生活習慣を根本的に変える必要もある。しかし、これができなければ、日本社会全体として崩壊が待っているだけだ。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<546>>
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