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逆に言えば、雇用回復が望めなければ、消費増は期待できず
デフレ圧力とドル安は続くということになる
インフレとのバランス
http://www.gci-klug.jp/masutani/2011/04/30/012615.php
増谷栄一のアメリカ経済情勢
米3月個人消費、実質わずか0.2%増=雇用増が頼みの綱
2011/04/30 (土) 20:58
−可処分所得は実質横ばい=物価上昇で目減り−
【2011年4月30日(土)】 − 米商務省が29日に発表した3月の個人所得・支出統計(季節調整済み、年率換算)は、個人所得が政府の社会保障税の減税効果で、名目値では前月比0.5%増となったものの、主にガソリン価格の上昇に伴う物価上昇の影響を除いた実質ベースの可処分所得は同0.1%増と、ほぼ横ばいにとどまった。
ただ、所得の伸び悩みは消費に悪影響を与えるものの、3月の雇用統計で新規雇用が前月比21万6000人の純増と、前月(2月)の同19万4000人増を上回り、昨年5月以来10カ月ぶりの大幅増となるなど、このところ、新規雇用が増える傾向にあることから、個人消費の先行きは今後の雇用の拡大次第という見方が広がりつつある。
■消費、ガソリン価格の上昇が寄与
一方、個人消費の名目値は前月比0.6%増となったが、前月(2月)の同0.9%増から伸びが減速した。個人消費の増加は前月同様、ガソリン価格の上昇によるところが大きい。ガソリン支出は同4.4%(172億ドル)増の4092億ドル(約33兆3100億円)と、前月の同7.1%(259億ドル)増を下回ったものの、依然、高い伸びを維持している。
これより先、商務省が14日に発表した3月の小売売上高(季節・営業日調整後)でも、ガソリンスタンドの売り上げが前月比2.6%増と、前月(2月)の同2.4%増(改定前1.4%増)の大幅増のあとも、さらに伸びている。前年比も16.7%増(2月は14.4%増)と高水準だ。
これは、主にガソリン価格の上昇によるものだが、EIA(米エネルギー情報局)によると、3月28日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1ガロン当たり3.596ドルで、これは1月31日時点の3.101ドルから16%も上昇している。4月25日時点でも3.879ドルと、一段高となっている。
ガソリン価格は、今夏には4.5ドルを超えるとの予想もあり、政府が今年1年間だけの条件で社会保障税の税率を2%引き下げた減税効果もガソリン価格の上昇で吸収され、消費者の購買余力を削ぐのは必至と見られている。
景気対策の一環として1月から実施された社会保障税の税率2%引き下げで、消費者は年間1100億ドル(約9兆円)、月平均91億7000万ドル(約7500億円)の余裕資金が生じると見られている。これは大半の世帯が年間1000-2000ドル(約8万2000-16万4000円)、高額所得者だと、4000ドル(約33万円)以上になる計算だ。
エコノミストは、昨年12月にオバマ大統領が社会保障減税法案に署名した当時は、年間1100億ドルの減税のうち、3分の2が消費に回ると予想していた。しかし、実際には2月にエジプトやバーレーン、リビア、チュニジアなどの中東・北アフリカで起きた反政府暴動で、原油やガソリンなどのコモディティ価格が急上昇し、その影響で食品価格も上昇しているため、今では減税効果はほとんど期待できないとの見方に変わっている。
また、物価調整後の実質ベースの個人消費は、ガソリン価格の上昇でPCE(個人消費支出)物価指数が前月比0.4%上昇と、2008年7月以来2年7カ月ぶりの高い伸びとなった前月と同率の伸びとなったため、物価上昇の影響を除いた伸び率は同0.2%増と、名目値の半分以下となっている。
■1、2月の個人消費、上方改定
明るい材料となったのは、個人消費の1月の伸び率(名目値)が前回発表時の前月比0.3%増から今回は同0.5%増、2月も同0.7%増から同0.9%増に上方改定されたことだ。もし、1、2月の上方改定がなければ、3月の伸び率は1.6%増と、今回発表された0.6%増の3倍近い高い伸びになっていた。
多くのエコノミストは実質ベースの個人消費の伸びが、依然、弱いことや、今後、原油先物価格は1バレル当たり150ドル近くまで上昇し、ガソリンや食品の価格上昇は夏か秋まで続くと見ていることから、今年のGDP伸び率は昨年の+2.8%を上回るものの、+3〜+3.5%と、緩やかな伸びを予想している。しかし、この程度の成長率では、失業率(現在は8.8%)は大幅に低下しないだろうと懸念している。
FRB(米連邦準備制度理事会)が27日に公表した2011‐2013年の中期景気見通しの修正版によると、長期見通しのGDP潜在成長率は+2.5〜+2.8%で、2011年は+3.1〜+3.3%(前回1月予想時+3.4〜+3.9%)、2012年は+3.5〜+4.2%(同+3.5〜+4.4%)、2013年は+3.5〜+4.3%(同+3.7〜+4.6%)としている。
■実質可処分所得、わずか0.1%増
個人所得の名目値は、前月比0.5%増の13兆0420億ドルと、6カ月連続の増加、また、市場予想の同0.4%増を上回り、前月(2月)の同0.4%増(改定前0.3%増)も上回ったが、実質ベースでは依然、緩やかな伸びにとどまっている。
個人所得(名目値)の内訳は、大半を占める民間部門の給与・賃金が前月比192億ドル(0.3%)増と、4カ月連続の大幅増となったほか、失業給付金などの社会保障給付も同247億ドル(1.1%)増と、2カ月連続の増加となり、株式配当金・利息の受け取りも株価の堅調で89億ドル(0.5%)増と、6カ月連続の増加となっている。
税引き後の可処分所得も、名目値は前月比0.6%増の11兆7710億ドルと、前月の同0.4%増から伸びが加速したが、2005年価格水準で計算した実質可処分所得は前月の横ばいから同0.1%の微増にとどまっている。
■個人消費、0.6%増=実質は0.2%増
一方、個人消費の名目値は前月比0.6%増の10兆7557億円と、前月の同0.9%増から伸びが鈍化した。ただ、市場予想の同0.5%増を上回り、9カ月連続で増加は維持している。
しかし、2005年価格水準で計算したインフレ調整後の実質ベースの伸びは、同0.2%増にとどまり、前月の同0.5%増(改定前0.3%増)から伸びが大幅に減速している。
個人消費の内訳は、名目値では自動車などの耐久財支出が前月比0.1%増と、前月の同2.1%増から伸びがほぼ止まったほか、非耐久財も同0.9%増と、前月の1.7%増に続いて9カ月連続の増加となったものの、伸びが大きく鈍化した。ただ、全体の約7割を占めるサービスが0.5%増(前月は0.4%増)と伸びが加速したのは明るい材料で、これは消費者が少額の購入にシフトしているためと見られている。
一方、2005年価格水準で計算した実質ベースでは、耐久財支出が前月比0.1%増(前月は1.9%増)、非耐久財も同0.3%減(0.7%増)と、いずれも前月から大幅に伸びが減速した。ただ、サービスは同0.4%増(0.2%増)と、2009年12月以来15カ月ぶりの大幅な伸びとなっている。
また、今回の個人所得・支出統計では、第1四半期(1-3月)の個人消費の伸びは名目値で前期比6.6%増と、2010年全体の3.5%増を大幅に上回り、リセッション(景気失速)が始まる前の2007年の同5.2%増も上回っているが、実質ベースでは第1四半期は2.7%増と、2010年の1.7%増を上回っているものの、依然、緩やかな伸びが続いている。
先に発表された3月の小売売上高(季節・営業日調整後)でも、前月比0.4%増の3893億ドル(約31兆7000億円)と、昨年7月以降9カ月連続の増加となった。しかし、4カ月ぶりの大幅増となった前月(2月)の同1.1%増からは伸びが半分以下に減速している。
このうち、自動車・同部品とガソリン、建築資材を除いた、いわゆるコアの小売売上高は、前月比0.4%増と、10カ月連続の増加となったものの、前月の1.1%増から伸びが大幅に鈍化している。このコア売上高はGDPの計算に利用され、長期の個人消費の動向を見る上で有効とされているものだ。
一方、ICSC(ショッピングセンター国際評議会)が7日発表した3月の米小売各社の既存店売上高指数は前年比2.0%上昇(小売大手ウォルマート・ストアーズは除く)と、16カ月連続の上昇となったが、伸び率は1月の4.7%上昇や前月(2月)の4.2%上昇から縮小している。
内訳は、百貨店が前年比0.3%低下(2月は5.7%上昇)と、急激に悪化、高級品店も同7.0%上昇(10.1%上昇)、衣料品店も同1.6%低下(3.2%上昇)、ドラッグストアも同2.2%上昇(2.4%上昇)、ディスカウントストアも同4.4%低下(2.1%上昇)と、急速に悪化している。3月の同指数は百貨店や量販店、ドラッグストア、衣料品店の主要29社の売上高で構成。
■4月消費者信頼感、やや改善=一方でインフレ懸念増す
最近の消費者マインドを見ると、29日に発表された4月のミシガン大消費者信頼感指数の確定値は69.8(速報値69.6)と、市場予想と一致したが、前月(3月)の67.5を上回った。
エコノミストは、ガソリン価格の上昇が引き続き予想されるため、消費者のマインドを悪化させ、4月以降の個人消費に悪影響が及ぶ恐れがあると見ている。
また、サブ指数である半年先の消費マインドを示す期待指数は61.6(速報値61.2)と、前月の57.9から上昇した。ちなみに、現況指数は82.5(速報値82.7)と、前月と変わらなかった。
さらに、向こう1年間のインフレ期待指数は4.6と、速報値とは変わらなかったが、前月の3.4から急上昇しており、インフレ期待が高まっている。このため、エコノミストは、いずれ、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融引き締めで対処せざるを得なくなると見ている。
■貯蓄率、5.5%で変わらず=依然、高水準
3月の可処分所得に対する貯蓄の割合である貯蓄率は、個人消費の伸び(0.6%増)が所得の伸び(0.5%増)を上回ったものの、前月の5.5%(改定前5.8%)から変わらなかった。しかし、水準的には1月の5.9%や昨年6月に記録された昨年の最高水準の6.3%を下回っているものの、リセッション前の2007年の水準(2.1%)の2.6倍の高さだ。
ベン・バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長は、高水準の貯蓄率は長期的には、家計の収支バランスを健全化させ、消費を上向かせるが、短期的には消費を抑制し経済成長を阻害する、と指摘している。
■PCE物価指数、0.4%上昇=前年比1.8%上昇
一方、インフレの動向を示すPCE(個人消費支出)物価指数は、前月比0.4%上昇と、前月の0.4%上昇と同じ伸びだった。前年比は1.8%上昇と、これも前月の同1.6%上昇から伸びが加速したが、昨年3月の2.5%上昇に比べ、依然、インフレは抑制されている。
また、FRBが重視しているコアPCE物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)は、前月比0.1%上昇と、前月の0.2%上昇から伸びが鈍化した。前年比は0.9%上昇と、前月の同0.9%上昇と同じ伸びにとどまっている。昨年6月の1.4%上昇からは低下傾向にある。
FRBは27日に2011‐2013年の経済見通しを修正したが、その中で、長期インフレ目標を従来の+1.6〜+2.0%から+1.7〜+2.0%へ上限を引き上げたが、全体のPCE物価指数もコア指数もレンジ内に収まっている。(了)
【注:名目ベースは現在価値で集計、実質ベースは2005年価格水準で集計】
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