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途上国化する日本 編集委員 西條都夫
2011/4/27 7:00日本経済新聞 電子版
東南アジアに駐在する三菱重工業の営業マンは顧客にアタマを下げる日々が続いている。「たいへん申し訳ありませんが、日本への設備供給を優先させてください」――。
ガスタービンなどの重電分野に強い三菱重工はシンガポールとベトナムに自家発電用の小型発電機の工場を持ち、タイなどを含めて東南アジア一円に供給している。現地の電力インフラはまだまだ貧弱。そこで急な停電に備え、タイやベトナムに立地する工場は自家発電を備えるのが常識だ。そうした商機をとらえ、もともとは国内中心だった三菱の自家発電機器ビジネスも東南アジアなどの比重が高まり、今では海外売上比率が8割を占めるという。
関連記事
・4月5日日経朝刊1面「温暖化ガス削減、達成困難に 議定書の例外扱い要請」
・4月20日日経朝刊1面「川重と三菱重工、自家発電装置を増産」
■自家発電機をアジアから日本に逆輸入
ところが、「3.11」と、それに続く原発事故がすべてを変えた。夏場にかけて東北・関東圏の電力不足が心配されるなかで、国内の企業や工場から「ウチも自家発電を入れたい」と矢の催促。引き合いは300件以上に達し、急きょ東南アジア製の発電機を日本に逆輸入することにした。
今週の筆者
月(国際) 飯野克彦
火 竹中平蔵
慶大教授
水(企業) 西條都夫
木(政治) 秋田浩之
金(企業) 田中陽
「ご予約いただいていた現地のお客様には迷惑をかけるが、日本の窮状は現地でもよく知られており、日本優先を承諾してくれるケースが多い」と三菱重工の担当者はいう。
「停電の少なさ」が自慢の種だった日本の電力業界だが、それも震災前までの話。今では東南アジアに比べても、非常用電源(自家発電)をより緊急に装備しなければいけない不安定な環境になってしまった。ライフライン・インフラの充実や安定性がその国の発展度合いを測る物差しだとすれば、夏場の電力不足や大停電におびえる今の東北・関東圏の電力事情は途上国並みと言っていいかもしれない。
もう一つ、同様の文脈で注目されるのが、「日本政府が京都議定書の例外扱いを要請する方針を固めた」という4月5日の報道だ。
複数の原子力発電所が事故などでストップし、当面、炭酸ガスを大量に出す火力発電に頼らざるをえない。そこで京都議定書でうたった温暖化ガスの排出削減目標の達成が難しくなった。日本政府は「年末の南アフリカで開くCOP17で、地震による不可抗力のため、目標を達成できなくても罰則を科さないように求める」という。
京都議定書の原則は、いわゆる先進国と途上国の「共通だが差異ある責任」という考え方だ。あらゆる国が温暖化防止について「共通の責任」を負い、炭酸ガスの削減に努力するが、歴史的にたくさん二酸化炭素(CO2)を出してきた先進国はより重い責任を引き受ける。つまり削減幅を数値で示し、それを達成することを義務付けられるのだ。
■京都議定書、「途上国扱い」を要請する日本
だから、「京都議定書の例外扱いを要請」ということは、日本を先進国カテゴリーではなく、途上国カテゴリーで扱ってほしいという意思表示にほかならない。現時点で火力依存はやむを得ないとはいえ、環境大国を自認していた国としては、かなり情けない事態ではないか。
今回の震災と原発事故をどう克服するか。その対応いかんで日本の国際的な位置づけは大きく変動する。私たちは歴史の岐路に立っている。
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