05. 2011年4月27日 11:49:20: cqRnZH2CUM
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_228709 【津山恵子のアメリカ最新事情】オバマ大統領がフェイスブックで言いたかったこと 2011年 4月 27日 9:02 JST 米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に米長期国債の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げたことを受けて、ワシントンでは、にわかに「財政」に注目が集まり始めた。2012年大統領選挙の焦点の一つにもなるのは間違いない。 オバマ大統領の集会 Bloomberg オバマ米大統領(左)とフェイスブックのザッカーバーグCEO(20日、フェイスブック本社) 格付け見通しの引き下げが4月18日だが、オバマ大統領は20日から、自らが示した財政安定化策を宣伝するため、各地の集会に乗り出した。その象徴的なイベントが、カリフォルニア州パロアルトにあるフェイスブックの新しい本社で開かれた集会だ。 オバマ大統領とフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が中央に座り、それをぐるりとフェイスブック社員が囲んだ。ザッカーバーグ氏が手元のパソコンでチェックする、フェイスブックの利用者が書き込んだ質問にも答える形で、久しぶりにオバマ大統領にとっても、「御しやすい」集会だったようだ。 この集会を見て、支持率が低調ななかで、オバマ氏を好意的に見守っている人々がどういう点を評価しているのか、久しぶりに分かった。聴衆は20〜30代が中心のフェイスブック社員とその利用者。しかもカリフォルニアの中でリベラルな指向が強いシリコンバレーだ。 冒頭、オバマ氏はなぜ集会の場所にフェイスブックを選んだのか語った。 「 フェイスブックは、君が言っていることが一方的じゃないことを可能にしてくれる」 実は、オバマ氏はあまり、メーンストリームのメディアが好きではない。事実を伝える際に分析や批判的な見方が入っていて一方的だというのが理由だが、それでなおさら、個人と個人が「直接」情報をシェアするフェイスブックがお気に入りだ。 最初に大きな拍手を浴びたのは、意外なことに「経済再生・雇用問題」だった。長いことオバマ政権の支持率が伸び悩む原因と考えられていた分野だ。質問したのはミシガン州デトロイト出身の社員。 「大統領就任当時は、雇用創出と経済再生に重点を置いていたが、最近は、歳出削減と財政赤字問題にシフトしてきた。当初の課題とどうやってバランスを取って行くのですか」 オバマ氏はこれに対し、大統領就任直後、大型の財政出動を図った結果、過去1年半の間に民間で200万人の雇用が送出され、景気が回復に向かっていると強調。最後にこう付け加えた。 「デトロイトについて言えば、政府が行った投資で、本質的に米国の自動車業界を救済することになった。現在、3つの自動車メーカーが利益を出し、ゼネラル・モーターズ(GM)は、レイオフを予定していた社員を雇い始めている」 これには、大きな拍手が上がった。 次は、「レース・ツー・ザ・トップ(Race to the Top)という公教育事業についてだ。大統領自身も、「与野党ともに満足でき、今までで最も効果があった事業」としている。同事業は、教育関連予算の1%を使って、全米の公立学校が既存システムの改善を行ったことを証明すれば、予算が配分されるというもので、全米40州の学校がコンペに参加した。最後に、シリコンバレーということもあって、オバマ氏は数学と科学の重要性を強調した。 「女の子にも、黒人にも、ヒスパニックにももっと数学と科学を教えよう」 「大統領として1期目にどうしても成し遂げたいことは?」という、用意されたような質問は、フェイスブックの利用者から来たが、オバマ氏の考え方を知るにはいい質問だ。 オバマ氏は「財政赤字をコントロールすること」「移民政策の整理」「化石燃料から脱するエネルギー政策」の3つを挙げた。 よくまとまった集会だった。オバマ氏の語りも記者会見よりずっと滑らかだった。しかし、普段は、そして来年の大統領選挙までは毎回こういうわけにはいかないだろう。聴衆が高学歴で育ちのいいシリコンバレーの高給取りだけというのは、もうあり得ない。有権者のほとんどは、月々の支払いや失業に苦しみ、日々もがいて生活し、フラストレーションがたまった人ばかりだ。そして、そういう人たちと対峙するときは、オバマ大統領が苦しむ番でもある。 ***************** 津山恵子(つやま・けいこ) フリージャーナリスト tsuyama_300.jpg_image_Col3wide_image_Col3wide 東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」「文芸春秋」などに執筆。著書に「カナダ・デジタル不思議大国の秘密」(現代書館、カナダ首相出版賞審査員特別賞受賞 津山恵子のアメリカ最新事情 バックナンバー≫ http://jp.wsj.com/US/Politics/node_221967 米大統領、財政安定化計画−増税と「一律」支出削減の約束を 2011年 4月 14日 7:51 JST 【ワシントン】オバマ米大統領は13日、長期的な財政安定化策を発表し、財政赤字を2014年までに抑制できない場合、増税を実施するほか支出の「一律」の削減を約束するよう議会に呼び掛けた。 画像を拡大する オバマ大統領 Reuters ジョージ・ワシントン大学で演説するオバマ大統領(13日、ワシントン) この大統領提案は、政府支出削減と税収拡大のため議会に早急に行動するよう強いるものだ。しかし同提案の議会承認は困難と判明するだろう。多くの共和党議員は増税に強く反対しており、多くの民主党議員はホワイトハウスが提案している支出の大幅削減に抵抗しているからだ。 それでも、民主、共和両党関係者はこれまで、ホワイトハウスが向こう数週間以内に政府債務上限の引き上げで議会の支持を得る唯一の方策は、赤字削減努力で大幅に進展した場合だけだと指摘している。オバマ大統領の新提案はこの努力の第1歩だ。 オバマ大統領は上下両院指導者に対し、「包括的な赤字削減の法的な枠組みで合意する」ため、バイデン副大統領と5月初めに交渉を開始する代表議員を指名するよう要請した。 米国は5月16日までに債務上限に達すると予想されており、財務省によれば、上限が引き上げられない場合、7月8日までにデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある。 オバマ大統領はホワイトハウス近くのジョージ・ワシントン大学でこの新計画を発表した。これに先立ち同大統領は議会指導者に新計画内容を説明したが、共和党指導者は、予算合意の一環として税収増を含めるかどうかで一切譲歩するつもりはないと伝えたという。 上院のべイナー議長(共和、オハイオ州)は「われわれが対立点を解消できるとすれば、増税はその一部にならない」と述べた。ただ同議長は、債務上限引き上げが緊急に必要との認識では同意すると述べた。 オバマ大統領の提案は、軍事費、メディケア(高齢者向け医療保険)、その他一連の政府プログラムの支出削減のほか、とりわけ富裕層を対象にした幾つかの増税を盛り込んでいる。 ホワイトハウスは財政赤字の伸びを向こう12年間以内に4兆ドル(約336兆円)削減することを目標としている。オバマ大統領は多くの税額控除を廃止するため抜本的に税法を改正するよう求めている。ホワイトハウス当局者によれば、これによって削減総額4兆ドルのうち1兆ドルを削減できるという。残り3兆ドルは、支出削減、債務に対する利子軽減などによって実施する。 米国の債務は14兆2000億ドルで、2011年度の財政赤字は1兆5000億−1兆6500億ドルになる。医療コスト増加、ベビーブーマーの高齢化、既存債務利子の上昇が予想されており、米国の財政は持続不可能になるとみられている。 政府内外の関係機関はこれまで数カ月間、この債務削減へのさまざまなシナリオを提案してきたが、ホワイトハウスはこれまでおおむね議論の脇にあった。オバマ大統領の提案は、こうした議論への本格的な参加を意味する。 下院共和党は先週、独自の削減計画を発表している。これはメディケアやメディケイド(低所得者向け医療保険)の抜本的な改革を含め、一連の大幅支出削減を通じて債務増加を抑制する内容だ。 オバマ大統領の提案で最も注目されるとみられるのが、「債務フェールセーフ(自動安定装置)発動」メカニズムだ。これは、2014年までに国内総生産(GDP)に対する債務比率が低下し始めない場合、一律の支出削減と増税を自動的に発動する、という内容だ。 記者: Damian Paletta and Jared Favole
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