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微妙な時期に資産買い入れを打ち切る米国 米国人より貯蓄しなくなった日本人 外国からの資本流入に依存する国が不利に
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/610.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 26 日 09:26:28: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5935
微妙な時期に資産買い入れを打ち切る米国
福島、ワシントン、中東、中国・・・変わりゆく資本の流れ
2011.04.25(Mon) (2011年4月23/24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

損傷した原子力発電所から56キロ離れた福島県郡山市では、ある段ボール工場が売り上げ減少を受け、賃金をカットしている。「我々は直接的な被害は受けなかったかもしれないが、間接的には、我々のような多くの企業が生き残りをかけて戦っている」。工場経営者はブログで友人たちにこう語った。

 ワシントンでは、米連邦準備理事会(FRB)による6000億ドル規模の資産買い入れ計画が正式に終了する6月に向けて、カウントダウンが本格的に始まる。

FRBの資産買い入れ終了に向けてカウントダウン

FRB、米成長率予測を上方修正

米ワシントンにあるFRBのビル〔AFPBB News〕

 金融市場には何カ月も計画終了を考慮する時間があったため、本来は大したことのない出来事のはずだった。だが、ほかの場所で起きていることを考えると、そうはならないかもしれない。

 グローバル化した世界では、郡山の出来事とワシントンの出来事の関係は一見明白ではないかもしれないが、それでも実際関係している。様々な場所で様々な理由から、お金は数カ月前ほどふんだんに外へ流出していない。

 FRBに代わって米国債の最後の買い手となる人がどこから現れるか(先日、スタンダード・アンド・プアーズ=S&P=が米国債の格付け見通しを引き下げたことで、ますます妥当性を増した疑問)という問題は、日増しに不確かになっている。

 FRBの買い入れ計画終了は折しも、世界に溢れかえる多くの流動性の源泉が減りつつある時に起きる。かつて海外に流れた資金は今、アジア、中東双方の国内市場で多く使われるようになっている。

 その累積効果はかなり大きなものになるだろう。資本に制約のある国や先進国の企業(特に米国)では見通しが暗くなる一方、アジアと中東の過剰資本を抱えた国や企業がかつてないほどの影響力を持つようになるからだ。

米国人より貯蓄しなくなった日本人

 まず日本から見てみよう。震災の前でさえ、倹約的な日本人貯蓄家というイメージは事実ではなくなっていた。大半の貯蓄は高齢者に集中しており、彼らは年を取るにつれ、お金を使うようになる。今では、日本人が貯蓄するお金は米国人よりも少ない。

 国内の成長が見込めず、投資機会が欠如しているため、日本の資本は何年も国外へ流出してきた。だが、地震と津波の後は資本が以前より少なくなる。減りゆく資本のより多くが国内にとどまり、3000億ドルとされる被害の修復に充てられる。

国内投資を増やす中東諸国

 対照的に、原油価格の高騰のおかげで、中東には多額の資本がある。従来、中東諸国の課題はこうした資本を生産的に海外に再循環させることだった。というのも、アブダビのような小さな首長国や、それよりずっと大きなサウジアラビアでさえ、石油販売による利益を吸収する能力が限られていたからだ。
米政府、産油国に金融支援要請か クウェート紙

サウジアラビアは国内の経済対策に1350億ドル投じることを決めた〔AFPBB News〕

 だが、多くの近隣諸国で政情が不安定になる中、サウジアラビアは落ち着きを失いかねない国民を満足させるために1350億ドルのカネを使った。そうでなければ、恐らく国外へ流れていただろう資金だ。

 多くの首長国も国内投資を増やしている。クウェート投資庁(KIA)は地元の不動産市場を下支えするために、36億ドルの資金を投じることに同意した。通常なら、取りたがらない行動だ。

 大半の政府系ファンドと同様、KIAも一義的な使命は国外への投資だと考えている。だが、今は平時ではない。

 そして、中国の存在がある。外貨準備高が今や3兆ドルを突破した中国では、2月の貿易赤字は異例だった。だが、かつてないほど貿易黒字が増えていくパターンは、当てにできない。中国は均衡のとれた経済モデルにシフトしており、膨大な貿易黒字を生んだ輸出だけでなく、消費や内需にも依存する経済を目指している。このことは、より多くの資本が国内にとどまることを示唆している。
外国からの資本流入に依存する国が不利に

 海外からの資本流入に依存する国々は、資本の移動が鈍化したら、次第に不利な立場に立たされる。これは米国についても言えるが、中国などよりもはるかに資本コストが高いインドのような国にも当てはまる(また、インドは、切に必要としている長期的なインフラ投資プロジェクトのための資金が格段に少ない)。

 国について言えることは、企業についても言える。銀行などの金融機関では特にそうだ。HSBCのような流動性の高い銀行は、ホールセール市場に資金調達を依存する銀行よりも大きな力を持つ。

 FRBの金融緩和政策から生じた大量の流動性は、すぐに新興国市場の問題となった。流動性の低下は、米国自身の頭痛の種になる。
By Henny Sender  

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コメント
 
01. 2011年4月26日 11:29:51: cqRnZH2CUM
QE継続なら、さらなるドル安か
瞬間風速ドル円60円台を一度見てみたい気もする
http://zai.diamond.jp/articles/-/112289
第130回】 2011年4月26日広瀬隆雄 [投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLC代表]バーナンキFRB議長が初の質問攻めに。QE2が終了するかどうかが聴きどころ
【今回のまとめ】1.4月27日(水)のFOMCから、FRB議長の記者会見が行われる2.「QE2(追加的量的緩和政策)」が予定どおり、6月で終了するかのニュアンスに注意3.経済指標から判断すると延長の必要はない4.延長なしがコンセンサスになっている
より「開かれたFRB」を目指して
 4月27日(水)に、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が新しい試みを始めます。
 それは、政策金利を決定する会合であるFOMC(連邦公開市場委員会)の声明を発表した後、新聞記者を前にして、FRB議長が会見を行うというものです。
 このような質疑応答は、ECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行(英国の中央銀行)、日銀ではすでに実施されています。
 その意味では、FRBは遅れていると言えるでしょう。
 世論調査会社のギャロップによると、米国の国民はFRBの采配を信頼していません。
 FRBが積極的にメディアと対話する姿勢を打ち出した一因は、ここにあります。
「QE2」が6月に終わるか、ニュアンスに注意!
 それでは、今回のバーナンキ議長の会見の聴きどころはどのあたりでしょうか?
 それは、昨年11月に開始され、予定どおりならば今年6月に満了となる「QE2(追加的量的緩和政策)」を、スケジュールどおりに終わらせる意向がFRBにあるのかという点です。
 昨年の夏、バーナンキ議長が「何かやらなければならない」という危機感を持った背景には、リーマン・ショック以降の景気回復が失速するような兆候を見せていたことがあります。
 たとえば、小売売上高を見てみましょう。
 下のグラフのように、2010年の春から夏にかけて減速が感じられました。

 その背景には、個人所得の伸び率が鈍化したことが挙げられます。

記事の続きを読む
また、製造業の景気を示すISM製造業景況指数も、同じ時期に落ち込みました。

 これらの指標はその後、追加的量的緩和政策のおかげで再び伸びています。
 その意味では、追加的量的緩和政策の延長の必要性は低いと判断できます。
 しかし、住宅着工件数のように、昨年から回復の兆候を見せていない指標もあります。

 なお、米国の機関投資家の間では、「QE2」の延長はなく、予定どおりに6月をもってプログラムが満了となるというのがコンセンサス意見になっています。
■今週の米企業の決算発表は3Mやコカコーラなど
 最後になりましたが、米国では今週も決算発表が続きます。
 そこで、今週の主な決算発表予定を記しておきます。


02. 2011年4月26日 14:58:05: cqRnZH2CUM
http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2011/0425/988.html 

企業の内部留保の動向

<ポイント>

企業収益は、足元では震災の影響が懸念されるものの、2009年10-12月期から2010年10-12月期までは前年比でみて改善を続けてきた。リーマンショック後の収益悪化が大きかった大企業が中心ではあるものの、中小企業においても同期間に増益が続いていた(図1)。

ここで、企業活動によって得られた利益の使われ方をみるために、企業の利益配分についての考え方を「法人企業景気予測調査」によって確認しよう(表1)。これをみると、すべての規模において、内部留保への配分の重要度が最も高く、内部留保以外では、全規模ともに設備投資の重要性が高い。調査方法が、重要度の高いものを3点回答する形であることを考えると、内部留保と設備投資の両方を重要と考える企業が多いことがうかがわれる。また、内部留保への利益配分については、調査時点を遡ってみると、重要度が高いと考える企業の割合が高まる傾向にあると言える(図2)。

では、この企業が重要視する内部留保の動きを確認しよう(図3)。企業が調達したすべての資金に対する内部留保の割合、すなわち資産全体に対する比率をみると、内部留保の比率は上昇傾向にあることがわかる。一方で、現金化しやすい資産を合計した手元資金の資産比率は横ばいとなっており、内部留保比率を下回っている。このことから、内部留保された資金を、金融資産として運用するよりも事業活動への投資に振り向けていることが推測できる。

内部留保の動向について規模別に確認してみよう(図4)。企業を資本金別に、1億円以上の大企業、1千万円以上1億円未満の中小企業に分けてみてみると、大企業に比べて、中小企業で手元資金比率が高いことがわかる。金額ベースのシェアをみても、内部留保は大企業のシェアが高く、中小企業は手元資金のシェアが高い(図5)。このことから、中小企業が調達した資金が、大企業ほどには事業活動への投資に向かっていない可能性が指摘できる。

また業種別に内部留保の状況をみてみると、内部留保が大きい業種において、固定資産が大きくなる傾向がみられる(図6)。また、固定資産の大きい業種では、設備投資をより多く実施する傾向がある。この結果から、企業が内部留保を蓄積して固定資産を形成している可能性が指摘できよう。


図1.経常利益の推移
表1.企業規模別の利益配分のスタンス(回答の多かった順位)
図5.内部留保と手元資金の規模別業種別シェア
図2.内部留保の重要度の推移
図3.内部留保比率と手元資金比率の推移
図4.規模別の内部留保比率と手元資金比率
図6.内部留保、固定資産、設備投資の関係

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 植松 陽平 直通:03-3581-0806 


03. 2011年4月26日 19:37:44: cqRnZH2CUM
それでもドル安は継続か


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米3月新築住宅販売、反発=前月の天候要因剥落で
2011/04/26 (火) 17:36

―市場予想上回るも依然、低水準続く―

【2011年4月26日(火)】 米商務省が25日発表した3月の新築住宅販売件数(季節調整値)は前月比11%増の年率換算30万戸と、米東部・中西部を中心に襲った大吹雪で過去最低を記録した前月(2月)の同13.5減の27万戸から急反発した。増加に転じたのは昨年12月以来3カ月ぶりで、市場予想の28万戸も上回った。

 過去の推移を見ると、昨年12月はカリフォルニア州政府の住宅取得減税の期限切れによる駆け込み需要で前月比16.8%増の33万4000戸と、一時的に急反発したが、年明けの1月はその一時的要因が剥落したため、同6.6%減の31万2000戸に反落。2月に入っても大幅減少から回復できず、前年比でも2月は22.2%減(改定前28.0%減)と、大幅に前年水準を割り込んでいる。

 当初、2月の販売低迷は、フォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などの、いわゆる格安なディストレスト物件の販売増の影響と見られていた。

 しかし、今回3月の新築販売が急反発したことで、米東部・中西部を襲った大吹雪による一時的な天候要因が大きかったことが裏付けられたとの見方が広がっている。それでも、ディストレスト物件の中古住宅市場への流入は高水準で続いていることに変わりはなく、新築と中古との価格差が依然大きいため、新築住宅の購入意欲が削がれる状況が続いている。

 2月のデータは、前回発表時は前月比16.9%減の25万戸と、昨年8月に記録した過去最低の27万4000戸も更新したが、今回の発表では27万戸に上方改定されたものの、過去最低には変わりはない。

 また、過去3カ月(1-3月)の月平均販売件数も29万4000戸と、前3カ月(2010年12月-2011年2月)の同30万5000戸を3.6%下回って低迷が続いている。

 季節調整前の原数値では、3月の新築販売件数は前月比38%増の2万9000戸と、過去最低となった前月から持ち直したが、前年同月の3万6000戸をまだ19%も下回っており、住宅バブル期の2005年2月に記録した10万9000戸の約3分の1という低水準だ。住宅建築業者は住宅の完成戸数を大幅に絞り込んでおり、新築住宅業界の回復の兆しは一向に見えてないとの見方が大勢だ。

 一部のエコノミストは、住宅市場の本格的な回復は来年にかけてまで見られないという見方や、"健全な"水準である60万戸に戻るにはあと2年はかかると悲観的な見方も変わっていない。

■3月中古住宅販売、依然低水準=投機で持ち直すも

 一方、 NAR(全米不動産業協会)が20日発表した3月の米中古住宅販売件数は、前月比3.7%増の年率換算510万戸と、前月(2月)の同8.9%減の大幅減から反発、再び500万戸の大台に持ち直した。

 しかし、今回の販売件数の反発は、プライベートエクイティ(PE)ファンドなど投資グループによる格安なディストレスト資産への強い投資需要に支えられたもので、本格的な回復とはいえない。依然として、2007年8月以来3年5カ月ぶりの高水準となった1月の540万戸を30万戸(5.6%)下回っており、また、前年比でも6.3%減と、7カ月ぶりに前年水準を上回った1月の6.1%増のあと、前年割れが2カ月連続で続いている。

 長期トレンドでは、過去8カ月間のうち、昨年10月と今年2月を除いた6カ月は対前月比で増加し、中古住宅市場は回復が続いていると見られるが、依然、回復の足腰は弱い。中古住宅の販売水準は健全水準といわれる600万戸を18%も下回っており、昨年7月の直近の景気循環サイクルの谷間(386万戸)からまだ32%しか回復していない状況だ。

 新築住宅販売が不振な理由の一つは、中古住宅価格の急激な値下がり続いていることだが、これは、ディストレスト資産の中古住宅市場への流入が高水準で続いているためだ。実際、全体の中古住宅の販売件数のうち、投機対象となるディストレスト物件が占める割合が急伸した。1月は37%だったが、2月は39%、3月は40%と、この2カ月間で3%ポイントも上昇している。

 この結果、3月の中古住宅価格の中央値は前年比5.9%低下の15万9600ドルとなった。このため、住宅購入者は住宅価格が底を打つまで様子見になる可能性もあり、販売件数の減少要因にもなりうる。

 エコノミストは、中古住宅の販売価格の低下を重く見ている。これは、新築住宅は中古住宅、特に、ディストレスト物件との厳しい競争に直面しているため、中古住宅の価格低下は対抗上、新築住宅の価格も引き下げざるを得なくなるからだ。

 また、売れ残って在庫となっている新築住宅はすでに完成している物件なので、住宅建築業者は販売を促進させるため、さらに値下げせざるを得なくなり、コスト割れで売るたびに採算の悪化は避けられないという状況にある。

■3月フォークロージャー、7%増

 今年のフォークロージャー物件数はなかなか減りそうにもない状況だ。米不動産調査会社リアルティトラックが13日発表した、住宅価格の押し下げ要因となっている3月のフォークロージャー件数(デフォルト通知や競売通知、銀行差し押さえ件数の合計)は前月比7%増(前年比35%減)の23万9795戸となった。

 しかし、フォークロージャー件数は5カ月連続で30万戸割れとなっている。これは、いわゆる、"robo-signing"という、専門家の監査を受けずに融資担保物件を差し押さえた問題で、一部の大手金融機関がフォークロージャーの書類審査が適切だったかどうかを確認するための見直し作業に入っており、その間は、フォークロージャー手続きやデフォルト物件の売却が停止されているためだ。

 また、今年第1四半期(1-3月)のフォークロージャー件数は前期比14.8%減(前年比26.9%減)の68万1153件と、増加しておらず、フォークロージャー処理が依然遅れていることを示している。今後、中古住宅市場へのフォークロージャー物件の流入が長期化し住宅市場の回復が思ったよりも厳しくなる可能性がある。

 同社のジェームズ・サカシオCEO(最高経営責任者)は、「過去に実施された不適切なフォークロージャー手続きの金融機関による確認作業は遅れており、これは今後、再び、フォークロージャー件数は増加し始めることを意味している」とし、また、弱い住宅需要や住宅価格の低下、住宅ローンの借り入れ難を考えると、住宅市場の回復は遅れると見ている。

■ペンシルベニア州のフォークロージャー対策に注目集まる

 一方、フォークロージャー対策をめぐっては、野党の共和党はオバマ政権のフォークロージャー対策「Home Affordable Modification Program」(HAMP)は効果がないとして批判を強めているが、FRB(米連邦準備制度理事会)傘下のニューヨーク連銀の最新の調査によると、ペンシルベニア州政府のフォークロージャー対策「Emergency Mortgage Assistance Program」(HEMAP)が高い効果を上げており、注目を集めている。

 同州の対策は、失業した住宅所有者に対し、再就職するまでの間、州政府が最大120日間のつなぎ融資を実行し、金利の支払いも所得が回復するまで停止するというもので、これにより、フォークロージャーを未然に防止するのが狙いだ。

 ニューヨーク連銀の調査によると、2009年から総額300億ドルでスタートした政府のHAMPは、これまでに住宅ローンの再構築は目標の300万-400万世帯に対し、63万世帯分にとどまって効果が出ていない状況だが、ペンシルベニア州のHEMAPだと、少ない税金投入でもっと多くの世帯を救済できると結論付けている。

 調査では、21万ドルの住宅ローンで試算すると、政府のHAMPで要するコストは1万3600ドルに対し、同州のHEMAPではわずか1620ドルと、10分の1程度にとどまる。これはHAMPでは、政府が不良化した住宅ローン債権の回収を行うサービサーに補助金(1件について年間1000ドル)を交付して住宅ローンの再構築するものの、住宅所有者が再就職の有無に関わらず5年間にわたって支援するためだ。

 しかも、効果についても、ペンシルベニア州のHEMAP制度利用者の約80%が自宅を手放さずに済んでいる。また、HEMAPの財源も利用者のつなぎ融資の返済で賄われる利点がある。現在、約18万3000人が同ローンを申請し、そのうち、23%の4万3000件が利用している。

■新築住宅、南部除く全地域で反発

 中古住宅の統計は購入契約が完了した時点で集計するが、新築住宅の場合は、契約した時点で集計する。通常、契約してから住宅が引き渡されて契約が完了するまでには1カ月かかるため、新築住宅の統計はまさに現在の状況を示す。その意味で、3月の新築住宅が3カ月ぶりに増加に転じたことは明るい材料だ。

 3月の新築住宅販売の地域別の販売動向は、主力の南部が前月比0.6%減の16万2000戸となったものの、西部は25.9%増の7万3000戸、北東部も同66.7%増の3万戸、中西部も同12.9%増の3万5000戸と、2月の大吹雪の悪影響を受けた地域で急反発している。

■4月業況判断指数、16に低下

 一方、18日に発表された、住宅業界の業況判断を示す今年4月初旬のNAHB(全米住宅建設業者協会)住宅建設業者指数は前月の17から16に低下し、市場予想の17を下回った。

 同指数は2009年1月の過去最低の8からは改善傾向にあるものの、依然、好不況の分かれ目となる50を2006年4月以来58カ月連続で下回り続けている。同指数は50を下回ると、大半が業況の悪化を感じていることを示すが、同指数のピークは2005年6月の72。

 また、サブ指数で半年先の業況感を示す期待指数も前月の26から23に、3ポイント低下し、昨年10月以来6カ月ぶりの低水準となった。

 この結果について、NAHBのボブ・ニールセン会長は、「一部の地域では住宅見学者数の増加が見られるが、多くの消費者はまだ住宅市場の回復や住宅ローンの調達について慎重な見方を変えていない」と指摘している。

 また、同会長は、「中古住宅市場に格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件が増えて、新築住宅との競争が激化していることや、買い替えを検討している消費者は現在、居住している中古住宅の販売に苦戦していること、さらには、建築業者と消費者も銀行からの融資が困難なことなどで、春の住宅販売シーズンはスロースタートとなっている」とし、依然、慎重な見方だ。

■在庫、7.3カ月分相当に低下=依然、高水準

 また、3月の新築住宅の売れ残り住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む)は、前月比1.1%減の18万3000戸と、昨年6月以降10カ月連続の低下となり、依然、1967年12月以来43年3カ月ぶりの低水準となっている。前年比も19.7%減と依然、前年水準を下回っている。

 3月の販売ペースで計算した在庫水準も7.2カ月分相当と、前月の8.2カ月分(改定前8.9カ月分)相当から大幅に低下(改善)した。しかし、住宅建築業界が容認可能な水準6カ月分相当を上回っている。ただ、最悪だった昨年1月の12.4カ月分(34万戸)を大幅に下回っている。

 エコノミストの間では、在庫水準の低下傾向で、新築住宅の販売が上向けば住宅建築が動き出す可能性があるとの明るい見方も出てきている。

 内訳を見ると、建築中の住宅在庫は前月比横ばいの7万8000戸と、依然、過去最低水準となっており、また、完成済みの住宅在庫は同5.2%減の7万3000戸と、依然、低水準で、住宅メーカーは在庫減らしに懸命になっていることを示している。

 また、住宅が完成してから実際に売れるまでに要する日数(中央値)は、3月は8.5カ月と、前月の8.1カ月を上回り、2カ月連続で上昇(悪化)している。通常は5カ月なので、依然、販売に手間取っている状況は続いている。

■新築住宅価格、4.9%低下=それでも中古より34%割高

 一方、新築住宅価格の中央値(季節調整前)は、前年比4.9%低下の21万3800ドルと、前月の同6.4%低下に続いて2カ月連続の前年割れとなった。ただ、前月比では2.9%上昇と、前月の同13%低下からは反発した。

 また、中古との比較では、3月の中古住宅の中央値15万9600ドルを34%も上回っている。これは健全な市場環境では中古と新築の価格差は15%といわれるが、その2倍以上にも格差が広がっていることを示しており、新築住宅の価格は中古住宅並にまで十分低下しなければ需要は喚起されないとの見方がある。

 価格帯の内訳は、20万ドル以下の格安物件の販売比率が前月の45%から44%にやや縮小した一方で、20万-40万ドルの比較的高額な物件が前月の41%から46%に拡大。また、40万ドル以上の高額物件も15%から10%に縮小している。 (了)


04. 2011年4月26日 21:46:56: cqRnZH2CUM
FRB、初のFOMC後の議長記者会見に向け周到な準備 WSJ

2011年 4月 26日 8:17  
 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が、今月26-27日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に開く初の記者会見は、周到に準備されたものとなる見込みだ。

 参加者の選定や、バーナンキ議長がどのように口火を切るのか、質問にはどのように回答するのかなど、他の多くの機関にとっては日常的な事柄が、今回の会見では市場を動かす重要性を持つ可能性があり、周到な計画が必要となっている。

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イメージ
Joshua Roberts/Bloomberg

米連邦準備理事会(ワシントン)

 バーナンキ議長の冒頭発言について、27日のFOMC声明発表後2時間弱の米東部時間午後2時15分に議長は記者団の前に姿を現し、簡単な冒頭発言を行った後、質疑応答に移る公算が大きい。冒頭で長々と話して、会見前に発表されるFOMCの公式声明内容から投資家の気がそれる可能性を避けたいというのが目標のようだ。

 バーナンキ議長は自身の考えというよりも、FOMCでの決定の総括に力を入れるとともに、メンバーの一致した見方を優先する見込み。FOMCには12人の地区連銀総裁と5人の理事が出席する。議長の会見は合計で45分程度となる見通し。

 また参加者についても事前の準備が必要となる。ヘッジファンドマネジャーで参加を望まない向きはいないだろうし、金融関係のブロガーも同様だろう。会見の統制を維持するために、FRB当局者らは参加者を議会認定の報道機関に限定するとともに各機関ごとの参加者は1人に限ると決定した。その結果、ウォール・ストリート・ジャーナルとワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズといった米紙ならびに、外国の報道機関やテレビ、ラジオ局、雑誌といった数百の報道機関に参加の可能性が与えられている。

 さらに、質疑応答の方法が問題となる。バーナンキ議長はナショナル・プレスクラブでこれまで2回にわたり、報道陣の質問を受け付けた。その2回とも、記者団はカードに質問を記し、ナショナル・プレスクラブの司会役がどの質問に回答するかを決めた。一方、今回の記者会見はもっと伝統的で制限の少ない形式となる見通しで、記者団が手を上げて、議長自身もしくはスタッフが記者を指名し、質問が始まるという形となることが予想される。記者はさらに追加の質問をする機会が与えられる可能性もある。

 バーナンキ議長は議会証言の時と同様に当然、事前に考えられる質問に準備することになろうが、記者団からの質問内容については事前には知らされない。

 今回のFOMCは通常より若干早めに終了し、FOMC声明は従来の米東部時間午後2時15分ではなく、午後12時30分に発表される予定。その後、議長の記者会見は午後2時15分に始まる。その時点でFRBは米景気の最新見通しを公表する。これはこれまでは、3週間後の議事録発表時まで公表されていなかった。

 この景気見通しはFOMC議事録の一部と同様のものとなり、2011年と12年、13年ならびに長期見通しが含まれる予定。また見通しは通常通り、経済成長率見通しの上下限と失業率、インフレ率に加え、FRBが中心傾向と呼ぶ、見通しのうち高いほうと低いほうからそれぞれ3つずつを除く値が示される見込み。

記者: Jon Hilsenrath


05. 2011年4月26日 21:47:04: cqRnZH2CUM
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バーナンキ議長の初の記者会見
2011/04/26 (火) 15:48

 今週、バーナンキ議長は、公開市場委員会の会合後に、初めての記者会見に応ずることになっている、とか。

 何が起こっているのでしょう?


Next, we're going to try to figure out where the economy is going. Here is some of what we know. The dollar is down, but the stock market is up. Profits are up. Wages are not. Food and gasoline prices are up, but the Federal Reserve says it is not worried about inflation. David Wessel, economics editor of The Wall Street Journal has been tracking all this.

「次は、経済がどうなっているか見ることにしましょう。先ず分かっていることといえば‥ドルは下がり、株価は上がり、企業収益は上がり、賃金は上がっていない、と。食料とガソリンの価格は上がり、しかし、連銀はインフレを心配はしていないと言っている。ウォールストリートジャーナルのデービッド・ウェッセルが、それらのことを調べています」

INSKEEP: So has is it that some parts of the economy are improving, while others are not?

「景気がよくなっている面もあれば、そうではない面もあるようですが、何故なのでしょう?」


Mr. WESSEL: Well, you're right. It's a very uneven recovery. So manufacturing is doing well, increasing exports, increasing profits, increasing productivity without doing a whole lot of hiring. The stock market reflects that. People who make their money off of the stock market - the big banks, the trading - they're doing well.

「そうですね。大変区々な回復状況になっています。製造業はよくて、輸出は伸び、企業収益も伸び、生産性も上がっていますが、雇用はたいしたことはない。株式市場にはそれが反映されています。株式市場でお金を儲ける人々、つまり大きな銀行などは、景気がいいですね」

And we get a glimpse of how the overall economy did in the first quarter on Friday when the government releases its first estimate of first quarter growth. Economists are betting it'll be bad. But they say these good things are beginning to work their way through the whole economy. And by the second, third quarter of this year, things will be getting better unless something else goes wrong.

「今週の金曜日に第1・四半期のGDPの数値が出ます。政府が第一次速報値を発表するのです。エコノミストたちは、良い数字は出ないとみています。しかし、こうした良い兆候が次第に経済全体に浸透していくであろうと言っています。第2・四半期か第3・四半期までには、変なことが起こらない限り、ずっとよくなるでしょう」

INSKEEP: Although when you say manufacturers are doing more business, exporting more, making more profits but not doing a lot of hiring, right there would suggest why it's been an uneven recovery.

「製造業が生産を伸ばし、輸出も増加し、収益も伸びてはいるが、雇用はそれほどでもないという
ことで、区々の状況だということでしょうか」

Mr. WESSEL: That's right. That's right. But they are now beginning to hire, and the unemployment rate is coming down. It's just coming down so painfully slowly that there's widespread anxiety about that. And not much increase in wages. And that is contributing to a lack of enthusiasm among consumers, which is keeping the economy from growing faster.

「そのとおりです。しかし、労働者を雇う動きが出始めています。だから今失業率が下がり出して
いるのです。しかし、そのペースは痛々しいほどゆっくりで、不安もあるのです。賃金もあまり上がっていません。ということで、消費者の意欲には強さが欠け、だから、成長のスピードが速まらないということですね」

INSKEEP: Now, longtime listeners to this program or readers of your column will know that you closely track the Federal Reserve. They're meeting tomorrow and Wednesday. And this raises a question, I guess. Is the Fed going to do anything to address unemployment or do anything to address rising prices?

「この番組を永く聞いて下さっている方や、貴方のコラムの読者は、貴方が連銀の動きを注意深くウォッチいることを知ることになるとおもいますが‥連銀は明日と水曜日に委員会を開きます。それで質問が浮かぶのですが‥、連銀は、失業問題に取り組むため、或いはインフレを抑えるために何か特別なことをやるつもりでしょうか?」

Mr. WESSEL: Actually not. They're kind of in a wait-and-see mode now. They're signaling they're going to keep interest rates near zero for several more months, at least. They think that they've done enough to get the economy going. And it's not such a good party that they need to take away the punch bowl, as the cliche goes there.

「それはないと思います。今彼らは、静観モードに入っています。これから先数カ月間、或いはもう少しは、ゼロに近い金利を維持すると示唆しています。古い言い方をすれば、パンチボウルを持ち去ることが必要なほどの浮かれたパーティにはなっていないということです」

But actually, the big news this week isn't what they're going to do, but how they're going to explain it. Ben Bernanke, the Fed chairman, for the first time ever is going to have a press conference after the meeting to explain to people why he didn't do what he didn't do.

「しかし、今週の大きなニュースは、彼らが何を決定するのかということでははくて、それをどうやって説明するのかという方法についてなのです。議長のバーナンキ氏は、初めて、会合後に記者会見をすることになっているのです。しなかったことについて、何故しなかったのかを人々に
説明するわけです」

INSKEEP: Why is that a big deal?

「それが重大なことなのですか?」

Mr. WESSEL: Well, it's a big deal because Fed chairmen generally haven't done them. They usually take questions in public only at congressional hearings, which usually means they don't end up talking very much about the substance of monetary policy. Mr. Bernanke has advocated for a long time doing this stuff in public. He believes in what he calls transparency.

「それはですね。連銀の議長は普通、そんなことをやってこなかったからなのです。普通は、議会の公聴会での質問しか公式には受けません。と。それは、金融政策の中身について余り喋らないということなのです。バーナンキ氏は、これまでずっと公開でやるべきだという考え方でした。その方が透明性を高めることができると信じているのです」

But I think there are two other things going on. One is the Fed knows that people don't trust them. It's the residue of the financial crisis. And he's looking to use this as an opportunity to build confidence in the Fed.

「しかし、あと2つ、理由があると思います。一つは、連銀は、人々は彼らを信じないと知っている、と。金融危機の後遺症です。バーナンキ氏は、これによって連銀への信頼感を取り戻したいと考えているようです」

And secondly, there's a big committee at the Fed, and they tend to all talk at the same time and confuse people. By being the first one out to talk to people after the Fed holds its policy meeting, he will set the tone and he will send a clear message, he hopes, that won't be so polluted by every - all the disagreements being aired in public.

「二番目の理由は、連銀で重要な委員会が開かれ、全員が同時に話をすれば、人々を混乱させかねないということです。委員会の会合を開いた後、最初に彼が話すことによって、メッセージを統一し、しかも明確なメッセージを送ることができるでしょう。彼は、意見の対立が人々に広まらないことを望んでいるのです」

INSKEEP: That said, is there a bit of a risk? A reporter asks the wrong question in the wrong way, Bernanke gives the wrong answer and somebody looks at the wrong word, and the stock market goes down 300 points.

「とはいっても、リスクはないのですか。レポーターが間違った質問をして、バーナンキ氏が間違った答えを出し、そして、それを誰かが間違って解釈し、株価が300ポイントも低下するとか」

Mr. WESSEL: You bet. And they are spending a lot of time at Fed worrying about just that and prepping him. He's watched the tapes of other central bankers doing press conferences so he can avoid that. But that's the downside risk, and they know it.

「確かにそうですね。随分長い時間、そのことで心配し、バーナンキ氏に準備をさせているようです。他国の中央銀行の記者会見の録画ビデオを見て、そんなことのないように、と。しかし、それがリスクになるのでしょう」

And it'll be a big challenge when Bernanke leaves and they get a new Fed chairman, who - in the past, you never had to select someone who was good on TV in real time. In the future, that will be part of the criteria they need.

「それから、バーナンキ氏が議長を辞め、新しい議長を選出するときも、大きな問題になるでしょう。過去には、TVに出演して見栄えがいいような人を選ぶ必要はなかった訳ですが‥これからは、それも考慮する必要があるでしょう。


INSKEEP: David, always a pleasure speaking with you.

Mr. WESSEL: You're welcome.

INSKEEP: That's David Wessel, economics editor of the Wall Street Journal this morning.


以上


06. 2011年4月26日 21:51:17: cqRnZH2CUM
【WSJ社説】バーナンキ議長のインフレ・パラドックス

2011年 4月 26日 16:55 JST 
 26日から連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。われわれは、お祝いを言うべきかもしれない。FOMCは昨年9月、物価がもっと上がって欲しいと言い、それが実現したのだから。連邦準備理事会(FRB)はインフレは景気回復にプラスに働くと言ってきた。だが、今は、インフレが起きたことによって景気回復が損なわれないかどうかが問題になっている。

 これが異常に緩和的な金融政策のパラドックスだ。この問題が今ほど明らかなときはない。FRBは世界を流動性で溢れさせ、株式やそれ以外の資産価格を上昇させた。デフレのリスクを解消し(もし、そのようなリスクが本当にあったなら)、景気の二番底を回避した。金融業界と米政府は大喜びだ。

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Bloomberg News

バーナンキ米FRB議長

 一方、ドルの洪水は国際商品価格のバブルを発生させ、ドルに自国通貨を連動させている国々にインフレを起こした。そして投資家に非ドル建て資産を探すよう仕向けた。だが、こうした資産への投資はリスクが高く失敗につながることが多い。こうしたことはすべて、実質所得の成長を妨げ、消費者信頼感を損ない、回復の持続力への懸念を浮き彫りにした。米国の中流階級は豊かになったとは感じていない。

 これを、バーナンキ議長の金融政策バスケットに、皆の景気拡大期待を全部突っ込んだことの対価と呼ぼう。

 同議長はいまだに明るいサイドしかみていない。2003年から2005年にかけて金融緩和期と同様だ。同議長は今月、「インフレ率の上昇は一時的なものだと考えている」と語った。上昇の原因は「世界的な需給関係に基づく原油と食品価格の一時的な上昇が原因」であると分析した。FRBの賢人たちは「食品とエネルギーを除く「コア」インフレ率の上昇は緩やかだとした。また原油問題は近く解消されるだろうとの見方を示した。米国以外のインフレについては、関知するところでないと述べた。

 しかし、これはわれわれの関知するところであることが明らかになりつつある。原材料や部品価格の上昇は米国の物価に影響を及ぼし始めている。米日用品大手キンバリークラークは25日、コストの上昇によって利益が急減したとして北米で販売される大半の製品の価格を引き上げた。クリネックスやハギーズの価格上昇は「コア」インフレの上昇にはならないのだろうか。

 FRBが昨年、量的緩和第2弾(QE2)を打ち出して以降の生産者価格の上昇率をみてみよう。マスコミはFRBがいつQE2を止めるかを忙しく議論している。確かに重要な問題だ。しかしもっと大きな問題は、景気浮揚のけん引役として米国がFRBに頼りすぎていることだ。財政政策による景気刺激が失敗したため、著名なケインズ主義の経済学者らはFRBにもっと景気刺激をやらせようとしている。彼らはオバマノミクス(オバマ大統領の経済学)を救うのはバーナンキ議長だと考えているようだ。

 しかしFRBはすでに2年4カ月も政策金利をゼロ近辺に置いている。住宅ローン担保証券と国債の購入額は過去に例のない金額に膨らみ、FRBのバランスシートを2兆7000億ドルに拡大させた。米国は近年、こんな緩みきった金融政策を取ったことはない。こんな政策を正当化できるのは金融危機の真っただ中だけだ。しかし今は2年近く回復基調にある。拡大スピードは遅いが拡大はしている。

 われわれも成長を加速したい。しかし、そのためには財政政策などの改革が必要だ。またそれによって過去4年間の政策成果を反転させることになりかねない。大幅な歳出削減、税制改革、自由貿易を進め、規制強化は止めなければならない。差し押さえの抑制や銀行いじめも止め、「オバマケア(医療保険制度改革)」の、雇用を削減しかねない増税や、さまざまな義務の強化などを止めさせなければならない。

 一方、FRBがドルをじゃぶじゃぶにするほど、経済へ悪影響を及ぼす懸念は大きくなる。わたしには、どんな害悪が起きるかを予知する能力はないが、危険の兆しはいたるところにある。中国ではトラック運送業者がインフレによる運賃の引き上げを要求してストを実行している。中東では食品価格の上昇が不公平感を高め政治的抗議運動につながっている。

 世界では、投資家が金、銀、アイオワの農地、新興国の株式などに投資をしている。ドル資産の価値低下へのヘッジだ。国際商品価格の上昇から利益を得ようとしている者もいる。このドルの洪水は永遠に続くことはありえない。もし、それが止まったとき、その悪影響は厳しいものになろう。

バーナンキ議長は、インフレは一時的だと自信を持っている。同議長が正しいことを期待する。しかし、われわれは2007年5月に議長が「経済の基礎的条件は住宅需要を下支えするはずだ」、「サブプライムローン市場の問題の住宅市場全般への影響は限定的だ」と自信を持って言っていたことを覚えている。それが実際どうなったかも。


07. 2011年4月26日 22:00:54: cqRnZH2CUM
【WSJコラム】IMF、アメリカ時代の終わりを2016年と予想
マーケットウォッチ

2011年 4月 26日 18:55 JST

 【ボストン】国際通貨基金(IMF)が「爆弾」発言をした。しかし、その時、誰も気づかなかった。
イメージ STR/AFP/Getty Images

北京の不動産フェア

 IMFは、「アメリカの時代」が終わり、米国の経済が中国に追い越される日を初めて予測した。

 それは、多くの人が考えるよりもずっと早い時期だ。

 2週間前に公表されたIMFの公式見通しによると、中国の経済は、実質ベースで2016年――今からわずか5年後に米国を追い抜く。

 これは、カレンダーに書き込む必要がある。

 この見通しによって、今、ワシントンで起きている予算対立の状況は厳しいものとなる。また、わずか数年先の国際安全保障体制の行方にも多くの疑問が生じる。さらに、覇権国という地位に数十年間支えられてきた米ドルと巨大な米債券市場にも暗雲が立ち込める。

 IMFの予想に従えば、来年の大統領選挙で誰が選ばれようと――現職のオバマ大統領、ミット・ロムニー氏、ドナルド・トランプ氏の誰であろうと、その大統領が、世界1位の経済大国を治める最後の大統領になる。
チャート

IMFのデータによると、中国経済は2016年に米国を追い抜く

 多くの人は、心の準備ができていない。事態がそこまで切迫しているとは気づいてもいない。各方面の専門家の話を聞いても、それは数十年先の話だと言われるだろう。最も弱気な向きでさえ、2020年代半ばと予想するだろう。

 しかし、彼らの予想は誤っている。彼らは、米国と中国の国内総生産(GDP)を、現行の為替レートを使って比べているだけだ。

 そのような比較は、実際にほとんど意味がない。為替レートはめまぐるしく変わる。そのうえ中国の為替レートは偽物だ。中国は、大規模な市場介入を通じ、人民元を割安な水準に操作している。

本当に重要な比較とは

 IMFの分析は、為替に基づく比較に加え、購買力平価(Purchasing Power Parities)を使い、経済の実態に目を向けたものだ。

 購買力平価に基づくと、中国のGDPは、今年の11兆2000億ドルから2016年に19兆ドルに拡大する。一方、米GDPは、15兆2000億ドルから18兆8000億ドルに拡大する。この時点で、世界のGDPに占める米国のシェアは17.7%と、近年で最も低くなる。中国のシェアは18%に達し、さらに拡大を続ける。

 わずか10年前、米国のGDPは中国の3倍だった。

 もちろん、こうした予測は不確実だ。時間の経過や不測の事態はつきものだ。中国が米国を追い抜くその日は、IMFの予想よりも早まる可能性もあり、若干遅れる可能性もある。一部で懸念が強まっているように、“巨大な中国のタイヤがパンクする”事態も起きるかもしれない。その場合、「Xデー」は数年遅れる可能性がある。しかし、その日が来ることはほぼ疑いようがない。

 これには数字以上のインパクトがある。アメリカ時代の終えん、である。2週間前、欧州のある債券ストラテジストは、「われわれは、米経済覇権の最後に立ち会うことになる」と言った。

 1890年代に米国が大英帝国から経済覇権を引き継いだ後、米国主導の世界が続き、現在、それ以外の体制を知る者はいない。米英両国は、立憲政治、人権擁護、財産権の保障など、極めて近い価値観を共有するが、中国は違う。そうした価値観を持たない国だ。「中国の時代」とは、極めて異質なものになるだろう。

 センター・フォー・ストラティージック・アンド・インターナショナル・スタディーズ(CSIS)のアジア研究のシニア・アドバイザー、ビクター・チャー氏は、アジアにおける中国の近隣諸国は、すでにその危険性を認識済みだと話す。

 チャー氏は、「過去にはみられないような、米国に対する期待感がアジアで強まっている。アジアは、中国の対抗勢力として米国をみており、過去半世紀にわたる米国の覇権について、かなり寛大な性格を持っていたと感じている。一方、中国の経済大国化は慈悲深いものではなく、略奪的になり得ると考えている。寛大な覇権だとはみていない」と述べた。

 中国の経済発展と米国の地位の相対的低下は、米中西部の工場閉鎖から原油価格・商品市況の高騰まで、あらゆるところに影響を及ぼしている。昨年秋、私がロンドンで農産物投資の会合に出席した際、南米などからの農地や食料の買い付けに中国が意欲を示しているという話で持ちきりで、驚かされた。

 「中国の国家資本主義と、米国の自由なかつての自由資本主義の、2つの制度の衝突がある」とニューヨーク大学のスターン経営大学院のラルフ・ゴメリー教授は言う。同教授は、米国から中国へと大規模な生産能力のシフトがあったと指摘。その際、米国は労働ではなく利益を取り、労働は中国に移った。その結果、米国の生産能力は落ち、中国の生産能力は高まっていると説明した。

 さらに教授は、「それは、かなり破壊的な意味を持つ。米国で、ごく少数の富裕層とミドルクラスの貧困化という二極化が進んでいるのはこのためだ」と指摘した。

米支出策は効果なし

 中国の発展が防衛や外交問題に及ぼす意味については、ほとんど論じられていない。それどころか今、米国は、国際的に強い立場を維持するために、多額の資金を費やしている。

 英国、スペイン、その他の帝国の歴史から、われわれが教訓を得るのは容易なことだ。要するに、あがいても無駄なのだ。経済がうまくいかなければ、世界に君臨することは困難なのだ。

 経済、投資家への影響も同じことだ。

 数年前のことだが、ロンドンを拠点とするヘッジファンド・マネジャー、クリスピン・オデイ氏とランチを取ったことがある。私は、彼のことを最も頭の良い投資家だと思っている。彼によれば、市場は、ほとんど常に、満足のいく程度の効率的な価格設定を行うが、画期的な技術や地政学上の新たな変化など、大規模で革新的な「パラダイム」シフトの正確な予想となると、過ちを犯す可能性が高い。

 米債券市場は、世界の金融のベンチマークであり続けるという前提のもとに続いている。たとえば米経営学大学院では、10年国債の金利は「リスクフリー金利」だと教わる。こうしたことが1世紀以上も続いている。しかし、これらはすべて、「アメリカの時代」を前提としたものだ。

 今、金投資が盛んなことも何ら不思議ではない。米ドルが世界唯一の準備通貨でなくなったら、何がそれに代わるのか。

IMFからの反応

 IMFから私の記事への反応があった。IMFは、マーケットウォッチ宛てのステートメントのなかで、報道について確認した。しかしIMFは、私のデータの解釈には意義を唱えている。「購買力平価を使った米中経済の比較は、最も適切な手段ではない。‥‥なぜならば、購買力平価の価格水準は、取引されないサービスに影響され、対外的よりも国内的に意味を持つためだ」とIMFは言っている。

 またIMFは、為替レートを使った比較の方が良いとし、その比較に基づくと、現在、米国の経済規模は中国を130%上回っており、2016年時点でも70%上回る、とした。

 私の解釈はこうだ。まず、どんな手段も、ひとつで完璧ということは有り得ない。それは誰もが知っていることだ。GDPそれ自体についても同じことが言える。たとえば、ハリケーン「カトリーナ」は、救済活動や住宅再建など、多くの経済活動を刺激し、米GDPの押し上げ要因となった。しかし、「カトリーナ」が米国にもたらした影響が「ネットでポジティブ」だったと考える者はいるだろうか。統計には注意が必要なのだ。

 第二に、IMFの言うように2つの経済を単純な為替レートを使って比較することには大きな問題がある。

 為替市場は変動する。実質的な生産ではなく、国際的な資金の流れを映すものだ。

 米ドルは、年初から対ユーロで10%近く下落した。しかし、米国の実体経済が同期間、欧州と比較して10%縮小した、と考える者はどこにもいない。

 中国は、大規模なドル買いを通じ、人民元を割安な水準に抑制している。その結果、人民元は為替市場で大幅に過小評価されている。為替レートで経済を比較するだけでは、このことをすべて見落としてしまう。

 購買力平価は完璧な方法ではない。そもそも完璧な方法など存在しない。しかし、購買力平価は、紙幣ではなく、実際のモノとサービスという尺度で経済生産を測ることができる。だからこそ、各国経済を比較する際に広く使われている。購買力平価のデータは、IMFだけでなく、経済協力開発機構(OECD)も発表している。それを多くのエコノミストが利用している。

(筆者のブレット・アレンズは、マーケットウォッチとウォール・ストリート・ジャーナルのパーソナルファイナンス・セクションのコラムニスト)

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記者: Brett Arends


08. 2011年4月26日 23:33:35: cqRnZH2CUM

2011 Monex, Inc. All rights reserved.

チーフ・エコノミスト 村上 尚己
鉱工業生産が10%落ち込む時〜株価とドル円〜
*今週4月28日(木)に3月分の鉱工業生産指数(以下、生産指数)が発表される。大震災による生産停止をうけて極めて大きな落ち込みが予想されており、日経QUICKの調査では中央値で前月比-10.5%となっている。一足早く昨日発表された、各乗用車メーカーの生産台数は前年比-57.5%もの落ち込みとなった。
*日経新聞では金融危機後の影響を受けた2009年2月の減少幅を超え、最大の落ち込みと報じられている。実際に、大震災の影響は大きく単月(2月→3月)の自動車生産の急減幅は、リーマンショック時よりも大きい。自動車生産の落ち込みからみて、28日発表の生産指数は予想通り10%以上の減少となるだろう。
*もちろん、こうした生産活動の混乱は、ある程度市場で織り込まれている。ただ、4月時点で工場は再開しても稼働率はほとんど上昇しておらず、4月も生産指数は低下するだろう。サプライチェーンも少しずつ修復し5月から生産指数は回復するだろうが、早期に震災前の水準まで戻るのは難しい。
*3,4月の生産活動の落ち込みで、鉱工業生産指数は10%以上の調整となる。その後回復に転じるとはいえ、企業業績を含めて経済活動の停滞は深刻になる。1990年以降で、生産指数が10%以上落ち込んだ4回のケースはいずれも景気後退となっている。

*過去のケースでは総需要の落ち込みが生産減少をもたらしており、今回の供給ショックとは異なる。ただ同様に生産が落ち込んだ、株式、為替市場(ドル円)がどのように推移したかは参考になる(グラフ参照)。生産指数と株式市場との関係をみると、生産指数が落ち込んだ4回とも、株式市場は調整している(1995年阪神淡路大震災では生産指数は3%しか減少しなかった)。また株価が反転するタイミングは、生産指数反転とほぼ同じになるケースが目立つ。

*ドル円については、過去4回のうち2回(1991年〜、2008年〜)は円高、2回(1997年〜、2001年〜)は円安と分かれた(グラフ参照)。ドル円の動きは、日本と米国の両ファクターが影響するので一概には言えない。ただ、1997年など金融システム不安を背景に日本の弱さが際立ったケースでは円安が進んだ。今回は、これらのケースに似ていると考えている。


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