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http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_226894【インタビュー】今年前半はマイナス成長の見通し=白川日銀総裁
2011年 4月 23日 6:58 JST
【東京】日銀の白川方明総裁は、東日本大震災後の日本経済について、今年上半期のマイナス成長を見込む民間予測と同様な見方を示した上、景気が一段と悪化する場合には措置を講じると明言した。
白川日銀総裁 Getty Images
白川日銀総裁
白川総裁はウォール・ストリート・ジャーナル/ダウ・ジョーンズ経済通信との22日のインタビューで、「少なくとも、第1、第2四半期の国内総生産(GDP)は減少するとみている」と語った。
中央銀行の総裁がこうした予測を示すことはまれで、白川総裁が今年第1-2四半期のマイナス成長見通しを公式に示したのは今回が初めて。こうした見方は、民間予測の大勢と一致している。
内閣府の外郭団体である経済企画協会がまとめた4月の「ESPフォーキャスト調査」によると、今年第1四半期(1-3月期)の実質GDP成長率は43人のエコノミストの予測平均で前期比年率0.22%減、第2四半期(4-6月期)は2.83%減となった。
白川総裁は、震災後の日本経済が直面する主要な問題はサプライチェーンへの打撃だとの見方を示した。
総裁は「これが問題の核心だ」と表明し、「今回は、需要が蒸発したわけではない。供給が大きく抑制されているため、潜在的な需要が実現しないということだ」と続けた。さらに総裁は、こうした状況を「深刻なサプライショック」と呼んだ。
白川総裁は、今夏に予想される電力不足も生産面での混乱の長期化につながる可能性があると指摘した。
東日本大震災とそれに伴う津波で東北地方の生産拠点が打撃を受け、自動車から電子機器に至る様々な製品の全国的なサプライチェーン(供給体制)に支障が出ているほか、被災した福島第1原子力発電所の事故で、電力不足が生じている。
白川総裁は、7月か8月には電力不足が再び悪化する可能性がある、として、サプライチェーンの問題は少なくとも8月まで続く、との見方を示した。
同総裁は今月上旬には、供給不足が6月か7月に軽減されることを期待すると述べていた。
日銀は今月28日に開く金融政策決定会合で経済見通しについて協議するとともに、年2回の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を発表する予定で、これには実質GDPの数値予測が含まれる見込み。
また、白川総裁は、景気見通しの後退を踏まえ、経済状況が悪化する場合には、日銀は一段の緩和措置を講じる用意がある、とした。
東日本大震災の3日後、日銀は、マインド面の悪化をめぐる懸念を鎮めるため、リスクの高い資産の買い入れを中心に資産買入額を倍増し10兆円とすることを決めた。
白川総裁は、「これは、所期の効果を発揮したと思う」と表明し、これらの策が今後数カ月間にどのように効果を及ぼすかを注視している、と述べた。
日銀は過去には、長期にわたるデフレへの対応が効果を発揮していないとして、内外で厳しく批判されてきた。しかし、今回は必要な対策を講じているとする一定の評価が聞かれる。
JPモルガン・チェースの首席エコノミスト、ブルース・カスマン氏(ニューヨーク在勤)は、「日本の金融システムが新たな軟調源とならないことを確実にするために必要な策を講じた」との見方を示した。
カスマン氏は、過去20年のデフレ対策が十分ではなかった可能性を指摘しながらも、現在の日銀が景気の腰折れ回避に向けて一層の策を講じる必要があるかどうかの判断は時期尚早だと述べた。
カスマン氏は、「流動性という観点から適切な措置が取られた。日銀の追加措置が必要かどうかを判断するには、日本経済がどのような軌道にあるかを見極める必要がある」と続けた。
企業や家計の資金需要の大幅増に対する銀行の対応能力をめぐって懸念が強まるなか、日銀は資産購入計画の拡大に加え、金融市場に豊富な流動性を供給している。
日銀による積極的な資金供給の結果、金融機関の手元資金量を示す日銀当座預金額は3月下旬に42兆円超に達した。これは2000年代初期の日銀による量的緩和政策時に記録したこれまでの過去最高額36兆円を大幅に上回る。
日銀は今回の震災で打撃を受けた被災地の金融機関を対象に、復興支援のための総額1兆円の低利融資制度を創設することを決め、さらに、資金供給を行う際に金融機関から受け取る担保の条件を緩和することも検討し始めている。
しかし、日本経済に関する不確実性が高いことから、アナリストの多くは日銀が最終的には追加緩和策を取らざるを得なくなるとみている。
経済協力開発機構(OECD)は今週、日本の経済見通しが悪化する場合には日銀が国債の買い入れ増額などを含む広範な量的緩和措置を導入するなどの一段の措置を取る必要があろう、との見解を示した。
日銀は現在、市場への資金供給の一環として、月額1兆8000億円規模の長期国債の買い入れを行っている。
日銀の長期国債保有残高を日銀券発行残高以下に収める「銀行券ルール」の縛りがあるが、日銀の最新データによると、まだ20兆円規模の買い入れ余地が残っている。
記者: MEGUMI FUJIKAWA And TATSUO ITO
財源含む震災復興ビジョンは5〜7月に=枝野官房長官
2011年 4月 22日 18:03 JST
枝野官房長官は22日、ウォール・ストリート・ジャーナル/ダウ・ジョーンズ経済通信とのインタビューで、東日本大震災の復興計画とその財源について、5月から7月にかけての時期に概要を示す考えを明らかにした。
枝野官房長官 AFP/Getty Images
枝野官房長官(21日)
同長官は、復興のビジョンと政府支出に必要な財源は同じ時期にはっきりしてくるとし、概要を示す時期は「5月、6月、7月という段階だと思う」と述べた。財源については、「復興目的税は選択肢として十分あり得る」とし、「その場合の税目が消費税なのかそれ以外の税目なのか、国民的な議論が必要」と指摘した。
復興の財源については、予算の組み替えや増税のほか、「震災国債」の発行など、さまざまな議論が持ち上がっている。経済協力開発機構(OECD)は21日に発表した日本経済に関する提言をまとめた年次報告書で、「歳出の組み替えや、国民の連帯感に訴えかけ、歳入の短期的な増加による復興に向けた支出を賄うことが重要」だと指摘した上で、中期的には財政健全化への取り組みを継続すべきとしている。
枝野長官はインタビューの中で、「震災によって一時的に歳出が膨らむのはやむを得ないと思っているが、中長期的な目で見れば歳出に対するしっかりとした改革を同時に進めていくことで、将来の消費税率についてもいろいろな選択肢を取り得る状況を作らなければならない」と語った。
同長官はまた、東京電力に対する政府支援の枠組みについては、来週ぐらいには方向性を出したいと語った。
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