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日経と対照的なDOLだが
http://diamond.jp/articles/-/11971
【第177回】 2011年4月20日山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]東日本大震災復興構想会議は要らない
ダメ会社の会議に似ている
五百旗頭真防衛大学校長を議長とする東日本大震災復興構想会議が発足し、4月14日に第1回目の会合が行われた。
不謹慎かも知れないが、このニュースを見て最初に思ったのは、ダメな会社の会議に似ているということだった。経営が上手くいっていない会社、特 に、社長が事業を把握して指示を出すことが出来ない会社は、しばしば、経営課題が発生するたびにこの課題に向けた「会議」や「委員会」を発足させる。
たとえば、具体名は挙げないが日本の運用会社の場合、親会社である大手金融機関から、運用の仕事に詳しいとはとても言えない天下り社長が経営して いるケースがしばしばある。運用会社の管理職社員は実のところ時間が余っている場合が多いという事情もあるのだが、この種の会社では、「運用」や「商品企 画」、あるいは「リスク管理」といったテーマで次々と会議や委員会が発足し、多くの社員を巻き込む会議が行われることが多い。また、社長の声がけで、外部 の専門家を講師に呼ぶ「勉強会」が行われることも多い。
しかし、本来、経営者が社業を十分把握していれば、個々の社員の貴重な時間を多くの会議に費やすのではなく、プロフェッショナルな仕事に使わせる べきだ。経営者は、方針を提示すると共に必要な指示なり監督なりを行っていればいい。方針の決定や伝達の仕組みとして必要最小限の時間で会議を使うことは あってもいいが、会社に必要なのは、会議ではなく仕事だ。アイデアを募るために会議を行う、などというのは、経営者が機能していない会社の愚行だ。
東日本大震災復興構想会議は、被災地から3名の県知事がメンバーに名を連ねているが、この他に、建築家、脚本家、学校校長、僧侶など雑多な分野からの識者が加わる合計15人が本会議のメンバーとなっている。
復興構想会議は、何かを決定する会議なのか。それとも首相その他の「勉強会」的位置づけなのか。同会議が、そもそもどの程度の権限を持っていて、 何を決めるのかが曖昧である点からして、スタートから拙いと言わざるを得ないが、初回の会合から、原発問題を含めて議論するかどうかで異論が出たり、復興 財源に関していきなり増税の話が出たりと、混乱した内容になった。
次のページ>>この会議自体が復興の早期実施を妨げる存在になりかねない
会議の設置を決めた4月11日付けの閣議決定では「活力ある日本の再生につながる復興構想を早期に取りまとめる」とあるように、この会議の結果を 踏まえて、具体的な復興計画が策定される、という建て付けのようだ。そうでなければ、最大限に評価しても「ただの勉強会」の位置づけにすぎない。
そして、6月末を目処に第一次の提言をまとめることが、初回の会合で確認された。
これは、2ヶ月以上先のことであり、この会議があるせいで、復興事業の実施が2ヶ月も遅れかねないということではないだろうか。この会議自体が復興の早期実施を妨げる存在になりかねない。
権限と責任のある者が早く動け
本来であれば、首相と重要閣僚、被災した自治体の知事が集まって重要方針を決めて、必要があれば関連法案を国会に提出し、さっそく復興事業に取りかかるべきだ。
復興の方針をまず首相の責任で国民に示し、意見や批判を募り、被災地自治体の要望を聞いた上で、事業に取りかかったり、関連法案を提出したりすればいい。
しかし、菅首相は、震災発生から1月以上たったこの期に及んでも、「野党にも(復興の)青写真を作る段階から参加していただきたい」(4月12 日、記者会見)と呼びかけている。「青写真」は、先ず菅首相の責任の下で政府が示すべきなのだが、メンバーを集めて意見を募ることが自分の仕事だと思って いるようだ。仕事の分からない社長と同様の状態といえる。
会議の提出資料を見ると、委員である達増拓也岩手県知事が提出した主に被災地の8自治体の県・道知事連名の「東日本大震災に係る要望書」という書類がある。
千葉県や東京都といった震災被害に関連の深い自治体の意見が反映されていない点に不備があるが、被災地域からの要望は、既にある程度まとまっている。今は、政府が具体案を国民に問うべきタイミングだ。まとまりの無い会議を開いて、無駄な時間を費やすべきでない。
尚、初回の会合にあって、敢えて注目点を挙げると、復興財源の資金調達に関する問題が挙げられよう。
次のページ>>資金を地方に、個人に
五百旗頭議長が復興税の創設に言及して早速波紋を呼んだが、先の8知事の要望書には「必要な財源の確保のため、不足する国の財源は、日銀の国債引受により対処すべきこと」(要望書3ページ。「(2)特別立法による被災者生活再建支援の特例的基金の創設」の項)とある。
重要な問題に関して、早速意見が割れているようだが(割れていること自体は構わないし、議論は大いに結構だ)、果たして、このメンバー達はこの問題について実のある議論が出来るのだろうか。
この話題の一方の当事者でもある五百旗頭議長の手腕が興味深い。
資金を地方に、個人に
復興にあたっては、どこにどのような街を作り、どのように各種のインフラストラクチャーを構築するかについて、多くの意見があり、議論があり得る。しかし、煎じ詰めると、重要なのは、現地の人々の意思であり希望だろう。
国との調整が必要なものや、自治体間の調整が必要なものもあるだろうが、基本的には、使える予算を自治体に渡して、何をするかは地方地方で決めたらいい。国は、「お金は出すし、協力は惜しまないが、口は出さない」優しいスポンサーのような存在になるべきだ。
また、広範囲な被災者に対して、生活支援のための現金を早急に支給すべきだ。復興予算の一定割合(たとえば、3割程度)は被災者個人に支給すると 決めて、早急に部分的支払いを開始すべきではないだろうか。配分の決定が遅れて、善意で集まった義援金さえも支払われていない現状は動きが遅すぎる。
「地方分権」、「コンクリートから人へ」という民主党がかつて掲げた理念を、大災害の克服にあたって、もう一度思い出すべき時ではないだろうか。
菅首相のなすべき事は、財源と権限を早急に然るべき当事者に配分することであって、中央政府で復興の青写真作りを抱え込んで政権の座に粘ることではない。
質問1 東日本大震災復興構想会議の存在意義について、あなたの意見は?
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不要
7.5%
どちらともいえない
5.6%
必要
http://diamond.jp/articles/-/11994/
高橋洋一 [嘉悦大学教授]「復興増税」論の隠された意図を暴く「通貨」の信認と「国債」の信認の正体
東日本大震災の復興に巨額な資金が必要なのは誰にも異論がないだろう。直接的な損害でも20兆円前後になるし、それに関連する経済損失を合わせれば、30兆円以上の公的支出が必要だろう。
復興構想会議は増税構想会議か
政府は4兆円程度の第1次補正を決めたが、これでは少なすぎるので、第2次補正にすぐ取りかかるべきだ。第2次補正では、つなぎ国債を発行して、その担保に増税という話が出てきている。
政府の復興構想会議は、14日にスタートした。1923年9月1日に発生した関東大震災後、2日から帝都復興院が検討され、9月27日にはすでに設立されていたのに比べると、何ともスピード感がないが、「増税」論だけは素早かった。
復興構想会議の事務局を財務官僚が牛耳っているので、五百旗頭真(いおきべまこと)議長の挨拶に、増税を入れ込むことくらい簡単なのだが、非経済系の有識者がまんまと財務省に丸め込まれているのは情けない。
復活構想会議に声かけられたが参加を断ったある知識人は、五百旗頭議長の挨拶について、まだ議論していないのに増税はないと吐き捨てていた。
財務省からみれば、復興構想会議そのものも、増税のためのワン・ステップでしかなく、世論つくりさえすればお役ご免だろう。
財務省の復興構想会議のメンバーに対する「レク」は、「復興増税、日銀引受禁じ手」のようだった。「日銀引受は禁じ手です。そんなことをしたら、通貨の信認が失われます」と財務省官僚がいえば、ほとんどの人はそれを信じてしまう。
次のページ>>新聞などではほとんど書かれていない事実
毎年行われていることがどうして「禁じ手」なのか
ところが、前回このコラムに書いたことだが、日銀引受は毎年行われている。毎年行われていることが禁じ手のはずがない。毎年行われていて、激しいインフレにもなったことない。むしろ最近はズーとデフレのままだ。
マスコミだけでなく、経済学者も、この事実を知らないで、日銀引受は禁じ手といってきたわけだ。ちなみに、野田佳彦財務相も知らなかったのは、財務相としては恥ずかしい。
今年度の予算書の一般総則でも、「第5条 国債整理基金特別会計において、「財政法」第5条ただし書の規定により政府が平成23年度において発行 する公債を日本銀行に引き受けさせることができる金額は、同行の保有する公債の借換えのために必要な金額とする」と書かれている。
この事実は新聞などではほとんど書かれていないが、ネット社会のいいところで、本コラムなどを通じて多くの人が知るようになった。
そこで、財務省や日銀は、ここでいう直接引受は「日銀が保有している国債の満期償還に伴う引受であり、すでに保有している国債の借り換えなので通貨膨張にはならない」と、火消しにやっきだ。
これで、これまで日銀引受は禁じ手であるといってきた有識者もほっとする。やはり官僚のいうことは正しいと。
説明にウソはないが肝心なこともいわない官僚の説明術
たしかに説明にはウソはないが、肝心なこともいわない。これが巧妙な官僚の説明術だ。数字をいわないのである。
具体的に今年度の話をしよう。予算書でも、今年度の日銀引受額の数字が書かれていない。数字は財務省の国債発行計画に、12兆円と書かれている。国債発行計画というと、立派に聞こえるが、その性格は国会の議決などの重いものでなく、政府内で適当に変更できるものだ。
次のページ>>18兆円の国債引受は現状の予算でもできる
さらに、財務省・日銀はもう一つの数字もいわない。それは、今年度日銀が保有している国債の償還額がいくらかである。これは、30兆円だ。
これでわかるだろう。今年度12兆円の日銀引受を行っても、30兆円の償還があるので、それだけを見ると、今年度末には18兆円日銀の保有国債残高が減少し、通貨膨張というより通貨減少してしまうのだ。
ということは、財務省・日銀の言い分をそのまま鵜呑みにしても、あと18兆円の日銀引受は可能だ。日銀引受は禁じ手という財務省・日銀の「ご説明」を受けているだけの御用学者、御用マスコミは、こうした数字の議論はできない。
前回のこのコラムで書いたように、復興は新たな公共投資になるので、赤字公債ではなく建設公債の発行で行うのが、財政論の基本である。それを無視してまで、増税による財源調達をいうのは、おかしい。
今年度の国債発行計画は新規債、借換債などで170兆円の国債発行になるが、その市中消化はは158兆円、日銀引受が12兆円。18兆円の建設国債を発行すると、発行額は188兆円になるが、日銀引受を30兆円とすれば、市中消化額は158兆円のままだ。
しかも、これはすでに国会で議決された今年度の予算の範囲内の話だ。
日銀引受をすると国債金利が上昇するともいう。財務省・日銀が煽れば多少は金利も動くだろう。ただ、毎年行われてきた日銀引受である。多少の変動 はたいした話でないし、市場のアヤだ。もし、財務省・日銀のいわばしもべであるマーケット関係者(債券関係者)が、この情報を使って商売しているとすれ ば、そのほうが金融商品取引法で禁止されている風説の流布にあたるかもしれず、そのほうが問題であろう。
なお、金利のことをいうマーケット関係者は債券関係者が多い。日銀引受の裏側にある話は大型公共投資の実施である。その話に反応するのはマーケットでも株式関係者である。マスコミは債券だけでなく株式にも取材したらいい。
次のページ>>国債整理基金の剰余金10兆円を使っても問題はない
国債整理基金の余りカネを使っても国債の信認は低下しない
これが通貨の信認の正体であるが、他にも増税路線へ追い込む話がある。国債の信認である。先日、テレビ番組で、江田憲司みんなの党幹事長が、国債 整理基金の余りカネ10兆円を大震災復興のために充てよと発言したのに対して、岡田克也民主党幹事長は、国債整理基金への繰入があるから国債の信認が保た れているので、それはできないと言った。岡田幹事長の言い方は、財務省のそのものであり、まやかしである。
まず国債整理基金の仕組みを整理しよう。国債整理基金(特別会計)は国債の償還や利払いを行うための区分整理会計である。この特別会計は、いろい ろな特別会計からの繰入が多いが、国債の償還・利払いだけに絞ると、その歳入は、借換債発行による収入、一般会計からの繰入、前年度からの剰余金で、歳出 は国債の償還、利払いとなる。
一般に国債発行は今年度予算では44兆円といわれるが、これは新規債だ。このほかにも借換債110兆円、財投債14兆円があり、上で書いたよう に、今年度の国債発行は170兆円。新規債、借換債、財投債といっても、マーケットではまったく同じ条件なので、マーケットの人でもどの国債を扱っている かさえもわからない。
国債整理基金の国債償還の部分は、借換債110兆円、一般会計から20兆円、前年度からの剰余金10兆円が収入となり、一方、償還120兆円、利 払い10兆円が支出になって、次年度への剰余金が10兆円となる。したがって、国債整理基金の収入のうち10兆円を震災復興に回しても、次年度への剰余金 がなくなるだけで、国債償還にはまったく支障ない。
はたして、岡田幹事長(財務省)のいうように、10兆円を回したら国債の信認が失われるか。この手法を初めて聞く人は、財務省が「そんなことをしたら国債の信認が落ちて、国債市場が暴落しますよ」といえば、そう信じるだろう。
ところが、この手法は過去、1982〜89年度、93〜95年度において、計11回も採用されたことがある。いずれも、国債の暴落など起こっていない。
次のページ>>日本の将来を危うくする財務省・日銀の稚拙な政策
国債の信認について、財務省の説明は海外ではあまり通用しない。日本のように国債整理基金を作り、一般会計から一定額を繰り入れる仕組みを減債制度というが、この仕組みは日本だけのもので、海外にはないからだ。
財務省・日銀の説明こそ日本の将来を危うくする
国債の信認は、日本経済の実力やマクロ経済運営の巧拙などからでてくるのだ。このような奇妙な日本の仕組みを説明すると、日本はマクロ経済運営で重大なミスを犯しているにもかかわらず、それを隠蔽するために、変な口実をしていると勘ぐられるのがオチだ。
通貨の信認や国債の信認を財務省・日銀が言い出すときには、相当の注意が必要である。それらの言葉は無定義語である。どうなったら通貨の信認や国 債の信認が失われるのか、当局はいわない。はっきり言えば、そうならないことが誰の目にも明らかになるからだ。はっきり言わないで、数字に疎い有識者やマ スコミの不安を煽っているだけだ。
実は私はハイパーインフレになったときが、そういう状態であると思っている。ただ、ハイパーインフレとは経済学では年率13000%以上の物価上昇だ。国際会計では年率30%以上だ。
はっきりいおう。今年度の日銀引受12兆円を30兆円に増額して18兆円の復興財源を捻出しても、今年度の予算の範囲内の話である。国債整理基金 の10兆円を復興財源に回しても、過去に何度も行われてきた話だ。これらを実行しても、年率30%のインフレにはならないし、通貨の信認も国債の信認も失 われない。
このような当たり前の予算手法を隠してまで、増税を行うために通貨の信認や国債の信認を損なうという財務省・日銀の説明こそ、日本の将来を危うくする稚拙な政策だ。
質問1 日本銀行が国債を引き受けると、通貨価値の下落(インフレ)になると思いますか?
62%
思わない
23.2%
引き受ける金額による
7.7%
よくわからない
7%
そう思う
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