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【金融スクープ】綱渡り続く米国の財政運営
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110420/ecn1104201119001-n1.htm
2011.04.20 :夕刊フジ
東日本大震災の復興財源問題がクローズアップされ、民主党政権の目玉施策であった「子ども手当」の見直しなど、財政のやり繰りに苦悩する菅政権。しかし、財政危機は日本だけではない。
米国の民主党と共和党は8日夜(日本時間9日昼)、2011会計年度(10年10月〜11年9月)予算について基本合意した。暫定予算失効期限1時間前というギリギリのタイミングでの合意であり、懸念された15年ぶりの政府窓口の閉鎖は瀬戸際で回避された。
2011会計年度予算では、歳出削減項目を巡り民主党と共和党の主張が鋭く対立、最終局面でもなお100億ドル近くの削減項目で溝が埋まらなかった。中でも象徴的だったのは、共和党が要求した女性向けがん検診などの助成費3億ドルの削減を巡る議論。共和党はこの助成費が中絶費用に転用されていると指摘し、その撤廃を求めていた。
中絶の是非を巡る議論は米国を二分する大きな問題であり、共和党内の保守派の反対は根強い。また、昨年11月の中間選挙で共和党躍進の原動力になった草の根保守である茶会(ティーパーティー)がこの流れを後押しした。最終的には、助成費削減は見送られたものの、予算の歳出削減幅はオバマ大統領の当初提案に比べて785億ドル減と大幅なものとなった。ただ、交渉が決裂していた場合、連邦職員約200万人(軍人を除く)のうち80万人前後が一時帰休を余儀なくされ、各種の行政機能がマヒすることが懸念されていただけに朗報といえる。
しかし、米国の危機がこれで解消されたわけではない。最大の懸念材料は、5月中旬にも突破するとみられる連邦債務の上限問題である。
金融危機以降、オバマ政権は経済の落ち込みを回避するため、ドルの下落を半ば容認する形で金融緩和を推し進めている。「QE2」と呼ばれる「量的金融緩和第2弾」で市場に供給された資金は約6000億ドル。大量の国債を発行して財政出動を行うことで景気を下支えしているのが実情である。その要となっているのが、発行される国債の7割を買い入れている連銀である。しかし、連邦債務については、連邦債務上限法により上限(現在、14兆2940億ドル)が定められている。ガイトナー財務長官は、議会指導者あての書簡で5月16日にも上限を突破し、国庫をやり繰りしてもせいぜい7月までが限界と通告している。もし議会が法定上限の引き上げで合意しなければ、国債の新規発行もできず、利払いにも支障が出かねない。
商品相場の急騰からインフレ懸念がくすぶる米国であるが、弱い雇用や不動産市場の低迷から当面、金融緩和を継続するしかない。連邦債務の上限引き上げは不可避である。オバマ大統領は、上院議員時代の06年に米連邦政府の債務上限を引き上げる法案に反対票を投じた過去があるが、「大統領は後悔している」(カーニー報道官)と釈明した。米国の財政運営は依然、綱渡りが続く。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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