http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/542.html
Tweet |
4月18日(ブルームバーグ):日本銀行は28日公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年度比上昇率の見通しを0%台半ばに上方修正する見通しだ。一方で、政策委員の大勢が1%程度を中心とみていた物価安定の理解から「大勢」という表現を削除し、1%をより明確に打ち出す方針だ。複数の関係者への取材で明らかになった。
日銀は4月と10月の年2回、展望リポートを作成して先行き2年ほどの経済、物価の見通しを公表し、7月と1月に中間評価を行う。昨年10月の前回展望リポートで示された11年度のコアCPI見通し(委員の中央値、以下同じ)は0.1%上昇だったが、国際商品市況高の影響から、今年1月の中間評価で0.3%上昇に上方修正されていた。
ニューヨーク原油先物相場は、昨年10月時点の1バレル=80ドル台半ばから、今年1月には同90ドル台半ばに上昇。足元では同110ドル前後とさらに騰勢を強めている。物価見通しの上方修正により実質ゼロ金利政策の時間軸が揺らぐのを防ぐため、日銀は望ましい物価上昇率として1%を明確に打ち出すことでバランスを取る構えだ。
白川方明総裁は7日の会見で、3月11日に発生した東日本大震災が物価に与える影響について「供給力が低下すると同時に、それに伴って需要も減少しているため、足元の需給ギャップについて正確に捉えることはなかなか難しいように思う」と述べ、現時点では明確に判断できないとの見方を示した。
物価安定の理解も修正へ
白川総裁は一方で、「財によってはボトルネック(供給制約)が生じると思うので、その面からは短期的には物価が少し上がる要素があるように思う」と指摘。「このところ国際商品市況がさらに上昇していることから、こちらの面でも物価は上昇していく要素がある」と述べた。関係者の1人は、国際商品市況の上昇により、11年度のコアCPI見通しの上方修正は避けられないだろう、と語った。
日銀は昨年10月に包括緩和を打ち出し、政策金利を0−0.1%とするとともに、物価の安定が展望できるまで実質ゼロ金利政策を継続すると表明。いわゆる時間軸を導入した。日銀の物価安定の理解はCPI前年比で2%以下のプラスで、委員の大勢は1%が中心と考えている。日銀は毎年4月の展望リポートで物価安定の理解を見直す。
昨年4月の見直しでは、多くの委員が「1%程度を中心値として上下0.5%ないし1%の範囲内」、1人の委員が「0.5−2%で中心は1%より幾分上の値」としたのに対し、ある委員は「1%よりゼロ%に近いプラスを中心」と考えており、「1%を過度に強調するのは望ましくないのではないか」と述べた。
成長率は11年度下方修正、12年度上方修正
3月末で退任した須田美矢子前審議委員は06年7月の講演で「私の物価安定の理解の中央値はプラスであるものの、かなり低め」と述べており、最後の1人と考えが一致する。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、須田委員が退任したこともあり、「物価安定の理解の表現を修正することで、間接的に超低金利政策の『時間軸』を強める可能性は、8、9割はある」と予想する。
一方、日銀は東日本大震災を受けて、11年度の実質国内総生産(GDP)成長率を1.6%から下方修正し、12年度は2.0%から上方修正する見通し。上野氏は「サプライチェーン分断と電力不足による供給制約で夏場までの景気は弱い動きとなる」が、秋以降は「供給制約が解消すること、補正予算による公共投資上積みの効果が出てくることなどから、輸出主導の緩やかな回復局面が再開する」とみている。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 Masahiro Hidaka mhidaka@bloomberg.net
更新日時: 2011/04/18 18:19 JST
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。