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http://jp.wsj.com/World/Europe/node_224036【コラム】スペインはユーロ圏債務危機のドミノか、それともダムか
2011年 4月 18日 11:34 JST
ドイツ政府当局者は、ギリシャ政府が国際金融支援による借り入れを全額返済できるとの作り話を放棄した場合に備え、債務再編計画を用意していることを認めた。債務再編とは、債務履行(デフォルト)のことだ。ギリシャ政府はこのほど、追加的な財政赤字削減策を発表したが、それでも財政赤字の対国内総生産(GDP)比は10%を超え、2013年の債務残高の対GDP比は160%に達する見通しだ。
イメージ Reuters
スペインのサルガド財務相
ギリシャ国債の利回りは上昇を続け、同国経済は縮小している。オリ・レーン欧州委員(経済・通貨担当)は、ギリシャの債務再編は選択肢にはないと否定しているが、年間の成長率がマイナス3%超で、2年物国債利回りが18%近くに達している国がどのように債務を返済していくのかは説明していない。
アイルランドとポルトガルが、ギリシャの次に債務再編に追い込まれるかどうかは分からない。というのも、ポルトガルは財政緊縮策の詳細をまとめていないからだ。有力格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはアイルランドの国債を、投機格級にあと1段階まで引き下げている。欧州中央銀行(ECB)がインフレ高進を受けて利上げに踏み切ったことで、アイルランドの債務返済も困難さが増している。
デフォルトになれば、欧州の多くの銀行のバランスシートはめちゃくちゃになるだろう。ドイツの銀行は、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、さらにスペインの国債を465億ユーロ(約5兆6000億円)保有している。このためドイツのメルケル首相はこれらの国に対する金融支援に前向きになっている。しかしこれら中小国ではなく、経済規模が支援を受ける3カ国合計の2倍でユーロ圏第4位のスペインの場合は、話は別だ。
スペインのアルフレド・ペレス・ルバルカバ第1副首相は、「スペインはもう一つのドミノから、ユーロ圏を守るダムに変貌を遂げている」と強調し、懸念の払しょくに躍起となっている。経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長も、スペインは労働市場や年金、財政赤字、金融機関の改革により難局を切り抜けられると、楽観的な見通しを表明している。
スペインがこれまで金融支援を受けた国よりは強固なのは疑問の余地がないが、決して盤石ではない。同国政府は今年の成長率を1.3%、来年については2.3%と予想している。だが、同国中央銀行は今年が0.8%、来年が1.2%との見通しを示し、シティグループ・グローバル・マーケッツは「ほぼゼロ成長」を見込んでいる。成長が止まってしまえば、今年の財政赤字の対GDP比を昨年の9%超から6%に縮小するとの目標達成は極めて難しくなる。
同国では失業率は20%超、若年労働者では40%に高止まりの様相をみせており、実質可処分所得は急減している。しかも、住宅と金融の両セクターの双子の問題がある。売れ残り住宅が約100万戸に達し、在庫は一人当たり換算では米国の3倍となっている。
住宅価格が低下し、住宅ローンの返済不履行は増加に向かっており、スペイン政府はすでに過小資本のスペインの銀行が不良債権償却のため約200億ユーロの資本調達が必要になるとの予想を示している。ムーディーズは、資本調達必要額が最高1200億ユーロに達する可能性があると述べている。
誰を信じればいいのか。それを判断する上で、ヒントになる話がある。スペイン政府は中国の政府系投資ファンド(SWF)の中国投資(CIC)がスペインの銀行に90億ユーロを投資すると発表した。だがCICは事実無根と否定し、スペイン政府は当惑しながら「意思疎通に問題があった」と釈明した。
記者: Irwin Stelzer
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