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日本総停電の引き金世界最悪「レベル7」の衝撃 大規模停電」を避けるための 行動経済学 エアコンを買い替えよ
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/535.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 18 日 10:43:03: 6WQSToHgoAVCQ
 

DOL電力・節電特集

http://diamond.jp/articles/-/11931
日本総停電の引き金となる世界最悪「レベル7」の衝撃

東京電力の福島第1原子力発電所の事故がチェルノブイリ事故と同等と認定され、関係者に衝撃を与えた。世界最悪の原発事故と並んだことで、原発の稼働への理解は得にくくなる。夏場は東日本のみならず、西日本も電力供給不足の可能性が出る。日本総停電へと向かう影響は計り知れない。
福島第1原子力発電所と同等で世界最悪の事故を起こしたチェルノブイリ発電所 Photo:AP/AFLO

「レベル7でチェルノブイリと同じといっても実際は違うんだ!」

 ある原発メーカー首脳は嘆く。原子力安全・保安院が12日に国際原子力事象評価尺度(INES)を8段階中の「レベル5」から最悪の「レベル7(深刻な事故)」に引き上げたからだ。

 過去最悪の原発事故、旧ソ連・チェルノブイリ事故(1986年)と東京電力の福島第1原発事故が肩を並べたことは原子力業界関係者を動揺させた。

 ただし、事故の状況がここに来て大きく変わったわけではない。原子力安全・保安院と原子力安全委員会が事故のデータを揃え、すり合わせて評価を変えただけだ。

 福島の事故はチェルノブイリ事故とは主に二つの点で異なる。

 両者の説明によると、まず第1に環境への影響だ。チェルノブイリは原子炉が爆発・炎上し、大気中に520万テラベクレルの放射性物質をまき散らした。対して、福島では原子炉の核反応は自動的に止まり、放射性物質の拡散も37万〜63万テラベクレルと1割程度になっている。

 第2に人への影響だ。チェルノブイリでは4000ミリシーベルト以上の放射線量を浴び急性被曝で29人が死亡した。福島では、緊急時の被曝線量の上限100ミリシーベルトを超えた作業員が21人という状況にとどまる。

 実際、国際原子力機関(IAEA)も火消しに躍起になっている。レベル7になったにもかかわらず「チェルノブイリのほうが深刻だ」などと釈明するほどである。

 だが、レベル7に引き上げられた意味は大変に重い。世界最悪の事故が福島で起きているという印象を与えてしまったからだ。ある原子力関係者は「直感的に事故の規模がわかる尺度で福島とチェルノブイリとが並べば、その印象はぬぐえない」と話す。

 印象による風評被害が地元経済に与える影響は計り知れない。福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の加盟約650社のホテルや旅館では、これまでにほとんどの予約がキャンセルされた。レベル7はそれに追い打ちをかける。事務局の担当者は「地元の人より外の人たちが福島を怖がっている。これで客足はえらい遠のいた」と話す。

 だが、問題は福島には収まらない。原発慎重論が高まることは、日本全体の停電を引き起こす。
次のページ>> 原発の運転再開ができず西日本も夏は電力不足へ

 別の原発メーカーの首脳は話す。

「点検中の原発は多くあるが『原発は怖いからいや』との住民の声が高まり、動かせなくなるだろう」

 現在、日本の原発は全54基のうち25基しか営業運転していない。残りは震災による停止や定期検査中で約2500万キロワット分に及ぶ。経済産業省は3月末に福島原発事故を踏まえた緊急安全対策を指示しており、その基準さえクリアすれば運転再開はできる。だが、福島の事故が収束しないなか、地元が容認するとは考えにくい。本来、運転再開に住民の意向は必要ないが、さすがに無視はできない。

 これらの原発の運転再開のメドが立たなければ、夏場に西日本でも電力不足に陥る可能性が高い。

 北陸電力は志賀原発1、2号機の運転再開の見通しが立っていない。このままでは、夏の最大電力需要526万キロワットに対して供給力は535万キロワットで、需要に対する供給力の余裕を示す供給予備率は2%にすぎない。通常は10%以上は確保されるものだが、猛暑や発電所トラブルで需給が逼迫し、停電の恐れもある。松岡幸雄副社長は「最悪に備えていく」と話す。

 四国電力も深刻だ。4月中にも伊方原発3号機が点検に入るが、運転を再開できない可能性が高い。3号機は、プルトニウムを再処理した溶けやすいMOX(混合酸化物)燃料を使用している。福島原発3号機もMOX燃料のため、住民の理解を得るのは難しい。すると夏の最大需要の550万キロワットに対して供給予備率は1%になる(以下、本誌推計)。

 九州電力は「計画停電も否定できない」という見解を示すほどだ。玄海原発2、3号機と川内原発1号機が動かなくなれば最大需要1669万キロワットに対して予備率は3%にすぎなくなる。

 関西電力も苦しい。美浜原発1号機、高浜原発1号機、大飯原発1、3号機が止まったままでは供給予備率はマイナスだ。

 言うまでもなく東日本の電力は逼迫する。東電は夏場に向け約1000万キロワットの供給力が足りず、東北電力も需要に対して150万〜230万キロワット足りない見通しだ。約1年ごとの定期検査で全原発が1度は止まることからも日本総停電への道筋はいやでも見えてくる。

 当然、経済活動に悪影響を及ぼす。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「電力制約は関東だけではすまずに、かなりの期間に及び日本経済の成長を下押しする可能性がある」と話す。

 レベル7への引き上げは、夏に向けての電力不安を全国共通の課題へも引き上げそうである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男、小島健志)


http://diamond.jp/articles/-/11890
なぜ、電気使用料の上昇だけでは節電に結びつかないのか?
――価格の「見える化」が自発的な節減を加速する!

 震災によって電力供給量が大幅に落ち込む中、東京電力管内における夏季の電力不足が問題となっています。果たして大規模停電を防ぐ手立てはあるのでしょうか。本稿では、上智大学経済学部教授、川西諭氏による、経済学、そして人間心理を踏まえた行動経済学の知見を用いた政策提言を紹介します。

 後編となる今回は、最大の問題である「では、どのくらい値上げするのが正しいのか」について議論していきます。電気料金の「見える化」など、行動経済学の知見も利用した方策を実施すれば、現在想定されているよりも少ない上昇幅に抑えられることを示します。(前回の記事はこちら)
電気料金3.5倍は妥当か?
感情に留意すれば上昇幅は抑えられる

 前回の記事では、計画停電、政府案である「一律25%節減」案、経済学者が提唱している「電気料金の値上げ」による需要と供給の調節案を順に検討し、より公平な案が「値上げ」であることを示してきました。その際、感情を踏まえた議論を避けて通れないことも合わせて指摘し、「キャッシュバック制」の導入により、値上げはより公平で効果的なものとなることを述べました。

 値上げに際して大きな問題となるのは、「では、価格をどれだけあげなければならないのか」という点です。この点についての推定は人によってまちまちで、たとえば経済学者の野口悠紀雄先生は、単価を3.5倍にする必要があるかもしれないと指摘しています。

 しかし上昇幅について、私はそれほど高くならないのではないかと考えています。3.5倍という数字は「電力消費が料金の値上げに対してそれほど反応しない」という過去の研究結果に基づいているのですが、今回は比較的小さい値上げでも大きな効果をあげられる理由が少なくとも4つあります。これも、国民感情の理解が一つのポイントとなります。以下、順に見ていきましょう。
次のページ>> 値上げは「夏場の平日の昼間」だけで大丈夫! 時間帯による料金の変動で停電を回避


@善意の節電効果はバカにできない

 これまでの推計は、単に電気料金単価が上昇しただけで、社会的に節電が呼び掛けられた状況を分析しているわけではありません。料金単価が上昇していない現在でも多くの人が善意の節電に協力しています。電気の使用量は料金単価だけでなく、人々の善意にも依存しているのです。3.5倍という数字はおそらく、「電気使用量が料金単価だけによって決まる」という前提から出た数字だと思われます。

 善意の節電による需要抑制の分だけ、料金単価の上昇による需要抑制は少なくても済むのですから、その分料金単価の上昇幅も小さく抑えられると考えられます。
ピーク時の料金だけを高くすれば、
それ以外の時間に電気使用が「シフト」する

A需要を減らすのはピーク時だけ

 今回、電力使用を抑制しなければならないのはピーク時だけです。産業活動とクーラーの使用が集中する「夏場の平日の昼間」にだけ需要を抑制すればよいのです。それ以外の時間帯の電力使用が増えることは問題ありません。この点をうまく利用すれば、大きな犠牲を伴うことなく問題を解決することが可能です。電力使用をピーク時からそれ以外の時間帯にシフトさせれば、電力使用の総量を減らさなくてもよいからです。

 料金単価の上昇をピーク時に限定すれば、消費者は料金単価の高いピーク時から、安い時間帯へと電力使用を自発的にシフトするでしょう。電力使用時間をシフトさせられる分だけ、ピーク時の電力使用は価格上昇に対して大きく反応すると考えらます。

 実際に東京電力では、深夜電力が安くなるプラン(「おトクなナイト」「電化上手」など)を提供していますが、これらのプランを選んだ消費者の多くは洗濯や食器洗い、携帯電気機器の充電などを夜間寝ている間に行うなどして賢く電気を使っています。時間帯に関わらず単価が上がる場合は消費時間帯をずらすという対応はとれませんが、単価上昇の時間帯が限定されていれば、時間帯をずらせる分だけ単価上昇に対応できる余地が大きくなるのです。
次のページ>> 3.5倍は本当に必要か? ピーク時からシフトすれば上昇幅は抑えられる


 理想は、需要が供給能力を超えそうな場合にのみ電気の単価が上昇することです。技術的に可能であれば、供給能力の80%を超えたら2倍、90%を超えたら3倍などと段階的に単価を上げることによって負担増を限定しつつ柔軟な需要コントロールが可能になります。

 それができないとしても、季節が限定されていることも柔軟な調整を可能にします。電力不足が予想される夏季に東京を一時的に離れて旅行に行くことも、電力不足問題解消に大きく貢献することになります。夏休みは学校も休みです。会社員の人が有給休暇をなるべく電力が不足する期間にとって、家族と一緒に東京電力の管内を離れた場所で過ごすことはそれほど難しくないはずです。

 電気を使わなければ単価上昇の負担はほとんどなく、前回の記事で提案したキャッシュバックの分だけが受けられるので大きなメリットを享受できるはずです。
[図2]季節と時間帯を限定した料金単価上昇によって生じる、ピーク時間帯からの需要シフト

 電気料金3.5倍という数字は「電気使用が価格上昇に対してあまり反応しない」という過去の調査結果に基づいていますが、この結果は対象となる価格上昇が特定の時間帯に限定されないものだったことに注視する必要があります。使用時間を料金の安い時間帯にシフトさせることができなければ、電気使用が価格上昇に対してあまり反応しないのは当然です。

 料金単価の引き上げをピーク時だけに限定すれば必要な値上げ幅はずっと小さくなるはずです。値上げされる時間帯も限られ、値上げ幅も小さければ、電気の使用を減らすことができない消費者や企業の負担増もそれほど大きくはならないはずです。
次のページ>> 人間行動の不合理を逆手に取る! 電気使用料金の「見える化」で自発的な節電を促そう

電気料金の「見える化」が促す
自発的な節電効果

B電力価格は見えにくい

 行動経済学の研究では、人は「見える価格」には反応するのに、「見えにくい価格」には反応しないことが知られています。多くの人は、支払う額は同じなのに消費税込みの価格を見せられると高いと感じ、消費税抜きの価格を見せられると安いと感じます。では電力の価格について、単価がいくらかを知って使っている人は一体どれほどいるでしょうか。実際に、私自身よく調べずに使っていました。

 過去の研究で電力価格の上昇が大きな需要の減少をもたらさなかった原因として、この「価格の見えにくさ」が大きいと私は考えています。ガソリンの料金のように、現在1リットル何円なのかがハッキリ書いてあれば、高い安いがよくわかりますし、より敏感に価格に反応して消費者は需要を調整するはずです。

 この問題は料金単価の引き上げを有効に行う際に、極めて重要です。もしも、単価の引き上げをしているのに、消費者がそのことに気がつかなければ電力消費の抑制効果が小さく、結果として3.5倍の単価上昇が必要になるかもしれません。逆に単価を「見える化」して、ニュースや携帯などでリアルタイムに電気料金を伝えることをすれば、人々はその時間帯だけ電気の使用を自発的に控えようとするはずです。

 テレビのCMやニュースで、こんなメッセージが流れているところを想像してみてください。

「現在電力使用が供給能力の90%を超えました。需要抑制のため電気料金単価が70%上昇しています。電気の使用を控えましょう」

 余計な電灯や使っていないパソコンを消そうという節電努力が自然に引き出されると思いませんか?

 さらに、供給能力の95%を超えたら緊急地震速報のような形で「電力需要が一時的に供給能力を超えて大規模停電が起こる恐れがあります。パソコンなどのデータを保存し、停電時の故障が心配される電子機器はコンセントからはずしましょう」などといったメッセージが伝えられれば、より大きな節電を引き出すことも可能でしょう。
次のページ>> 人の行動はすぐには直らない。早急なアナウンスでより高い効果を引き出す
自家発電が「トク」ならどうする?
料金単価の上昇は、社会全体の発電能力の増強を後押しする

C供給も増える

 電力料金単価が上昇すると東京電力から電気を買うよりも、自ら電気を発電した方が得になるケースがでてきます。太陽光やガスを利用した発電機器の利用は増えていますが、料金単価が上昇すれば、その使用メリットも高まり普及スピードが速くなるでしょう。

 特に太陽光発電は、夏場クーラーが最も使用される昼間に大きな発電を行いますので夏季の供給不足を補うには効果的です。もちろん、自家発電設備の設置には時間がかかるのでこれだけですべてを解決することは難しいでしょう。しかし、単価上昇は社会全体の発電能力増強を後押しする働きがあることも忘れていけません。

 以上のことを考えると、3.5倍の単価上昇は高すぎるというのが私の認識です。上手に単価上昇をアナウンスすれば、単価の上昇幅を2倍以下に抑えることができると私は考えています。
人は急には動けない
「早急なアナウンス」が効果を高める

「見える化」と同じぐらい重要なことは、できるだけ早い段階で単価上昇の方針を決定し、広くアナウンスすることです。単価上昇に対応して電気の使用時間帯を変えたり、一時的に東京を離れて旅行に出かけたり、自家発電設備を導入したりするのには時間がかかります。人の行動や計画は短期的には変更できません。より積極的な調整を引き出すためには、できうる限り早い段階でのアナウンスが必要なのです。

 単価上昇はある程度の効果をもたらすと考えられますが、現時点でその効果を正確に予想することは困難です。少し早い6月ぐらいから、季節別時間帯別料金を導入して、価格上昇の効果を見ながら7月、8月の料金を決定していくという方法が現実的かもしれません。需要動向をみて、事後的に価格調整を認めることも検討してよいでしょう。

 柔軟な価格変更が難しい以上、価格変更だけで完全に大規模停電を防ぐことはできないかもしれません。需要の抑制効果が十分でない場合には大口の需要者に節減をお願いする必要が出てくるでしょう。しかし、価格引き上げである程度の需要抑制を行っておけば、大口の需要者へのシワ寄せも小さく抑えることができます。

 単価引き上げとキャッシュバックは一つの案に過ぎません。私の提案と近い案は民主党内でも検討されたと報道されていますが、残念ながら現状では政府の節電対策案に盛り込まれていません。しかし、大企業はもちろん、一般家庭と中小企業の自発的な協力を引き出し国家の危機を乗り切る。それを実現する方法を模索していくべきです。
川西 諭 [上智大学経済学部教授]
1971年北海道生まれ。
1994年横浜国立大学経済学部卒業。1999年東京大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。1999年上智大学経済学部専任教員。2000年経済学博士(東京大学)。
現在、上智大学経済学部教授、行動経済学会理事。
著書に、『ゲーム理論の思考法』『図解 よくわかる行動経済学―「不合理行動」とのつきあい方』『経済学で使う微分入門』などがある。

http://web.diamond.jp/rd/m1399523
【[緊急提言]真夏の計画停電を回避する方法】
◆今すぐエアコンを買い替えよ
今夏の計画停電や大規模停電を何としても回避するために、まさに今の時期
に企業と家庭が着手できることがある。それはエアコンだ。節電行動より購買
行動、効率的かつ効果的に電力を削減できる「節電プラン」とは―。

計画停電は実施しないが
家庭には2割の節電を

 東京電力は4月8日、「今後、計画停電は原則として実施しない」とする方針を発表した。さらに今夏も原則実施しない≠ニいう。「計画停電終了宣言」と報じるメディアさえあった。

「これで停電は回避できるのか」と安心したのもつかの間、同日に政府は、契約電力500キロワット以上の大口需要者には電力使用を昨年比25%程度、小口需要者(同500キロワット未満)には昨年比20%程度の削減を求めるといった、節電促進に向けた対策の骨子を発表している。

 大幅な電力不足が見込まれている以上、突発的な電力需要増の懸念も捨て切れない。計画停電の可能性は依然として残っているのだ。

 約1000万キロワットともいわれる真夏の電力不足。今夏の計画停電を何としても回避するためには、やはり企業の自発的な節電への取り組みが必要不可欠のである。

 では実際に、どのような手段を講じればいいだろうか。

 今回からは、「エネルギーコスト削減」の見地から私が強く推奨する、極めて抜本的かつ具体的な5つの節電プランをご紹介する。

 ひとつめのプランは「エアコン」に関する提案だ。
使用電力の約3割を占める
エアコン

 節電対策に最も求められているのは「ピーク時電力を確実に下げる」という発想だと前回述べた。それを大前提にして、まずは電力需要のピーク時間帯の図をご参照いただきたい(図1)。
図1 1日の電気の使われ方(拡大画像表示)

 夏場の電力需要は、朝の9時頃から一気に増え始め、13〜15時を頂点に18時頃まで高い状態が続いている。

 このピーク時間が意味することは何か。朝9時といえば、平均的な企業の始業時間であり、18時は同じく平均的な終業時間だ。出社すると需要が上がり、終業時を境に需要が下がる。夏の電力需要量は世の中のビジネスタイムと密接にリンクしているのである。

 そしてこの時間帯に、もっとも電力を消費しているもの、いちばん電気を食っているのが――空調・エアコンだ。

 朝、オフィスに出勤してエアコンを稼動させ、夕方、仕事を終えてエアコンを切ってオフィスを出る。その時間帯が、そのまま夏の電力需要のピークになっているのである。

 実際、使用電力全体に占めるエアコンの割合は約3割にも及ぶ(図2)。オフィスや商業施設に限れば、その割合はさらに高くなり、全体の半分以上を空調・エアコンが占めるケースも多いだろう。
図2 オフィスビルの用途別エネルギー消費

 夏場の使用電力はもっと高い(前回の連載記事の図1を見てほしい)。当然、夏場だけでいえば、エアコンの割合はもっと高くなるだろう。

 企業が焦点を当てて取り組むべき節電は、やはり「エアコン」にあるのだ。
次のページ>> 「ニッパチの法則」で徹底節電

「ニッパチの法則」で
徹底節電する

 ビジネス業界には80:20の法則、別名「ニッパチの法則」という言葉がある。上位20%の要素が全体の80%を占める=主要な一部の要素が全体の大部分を占めるという考え方だ。

 私も企業のコスト削減に関するコンサルティングをする際は「上位20%のコストを削減することで、コスト全体の8割を削減できる」という、ニッパチの法則を最重視している。

 この法則はそのまま節電にも当てはまる。

 数値的には80:20ではないが、「使用電力のかなりの部分を占めるエアコン」をターゲットに節電すれば、使用電力の大部分を抑制できるということだ。

 オフィスの照明をこまめに消す、待機電力を抑えるという節電も、決して間違いではない。やらないよりはやったほうがいいに決まっている。

 しかし薄暗がりの中での作業や、いちいち電気機器を立ち上げなければならない手間と時間を考えれば、節電効果よりも業務効率へのマイナス影響のほうが大きいだろう。また、繰り返し述べるが、ポイントは「ピーク時の電力をいかに抑えるか」だ。日々節電節電とうるさく言っていても、それがピーク時の行動につながらなければ、意味はない。

 不便・不自由で仕事の効率を落としてまで我慢して節電しても、思ったほどの節電効果が上がらない。働く人たちの士気が下がることも、企業にとってはリスクである。「労多くして実り少ない」という結果になりかねない。

 ならば、いちばん電気を食うものだけにターゲットを絞って対策を講じるべき。それこそがシンプルかつ効果的、しかも合理的な電力需要抑制効果を生み出すのである。
次のページ>> エアコンの買い替えだけで4割削減!?

エアコンを「買い替える」だけで
使用電力は40%削減!?

 今回、私が推奨する「エアコンに焦点を当てた節電プラン」は、スバリ、「エアコンを最新型に買い替える」というもの。

 設定温度の変更やこまめに消すといった「節電行動」よりも、まずは「購買行動」である。大きな節電効果が期待でき、業務効率に影響が少なく、なおかつコスト減になって経営者も納得できる――。そんな欲張りな要望をかなえてくれる節電方法だ。

 ここで言う「最新型」とは、いま主流になっている「省エネタイプ」のエアコンのこと。最新型の省エネエアコンは、使用電力が従来型と比較して約半分、さらに高性能のものになると約3割程度で済む。その節電効果は圧倒的なのだ。

 中部電力のホームページによると、「1995年型と最新型(2008年型)の比較では、消費電力量はなんと約40%も削減されています」とある。驚きの数字である。

 極論すれば、10年以上の古いタイプのエアコンであれば、いくら躍起になって設定温度を1度上げても、こまめに消したとしても、その努力に見合った節電効果は期待できないのだ。エアコンそのものが省エネではないのだから。

 前述のようにエアコンは使用電力全体の3割を占めている。とすれば、仮にすべてのエアコンを「使用電力が従来の3分の1」という最新型に替えた場合、それだけで使用電力全体の2割は下げられる計算になる。

 そもそも一般的なエアコンは8〜15年ぐらいが買い替えのサイクルとされている。買い替え時期を迎える場合はもちろん、まだ多少早くても、積極的に最新型へ買い替えることを強くおすすめする。

 エアコンを買い替える。それだけで、ほかに何もしなくても、使用電力を2割近く下げられるのだから。
次のページ>> 今やらなければ、間に合わない

また、このプランにはもうひとつの側面がある。

 大きな節電効果があるということは、当然、その分コスト(=電気代)の削減効果も非常に高いということ。

 実際にエアコンを最新型に交換すると、わずか数年で電力コストが激減し、エアコン購入代もすぐに回収できる。今夏の節電対策だけでなく、長い目で見れば、エアコン買い替えは企業のコスト削減にも大きく貢献するのである。

 私がクライアント企業に対して行なっているコスト削減コンサルティングでも、「エアコンの買い替え」は、重要項目のひとつとして推奨しているほどだ。
お達しが出てからでは遅い
今すぐ買い替えの決断を

 また、今の時期に「エアコンに絞れ」というのには、ほかにも理由がある。

 今、エアコンを使用しない時期だからだ。今のうちに、いや、やるなら今しかない。

 エアコンの買い替えと同様に、ビルの空調工事なども、今やるべきだ。こちらも省エネに大きく寄与する。いずれにしても、企業の場合、今すぐにでも意思決定して具体的な検討に入る必要がある。

 忘れてはならないポイントがもうひとつある。

 取り付け工事の問題だ。

 大掛かりな作業になる企業のエアコン取り付け工事は、基本的に年2回、6月頃か9月頃に集中してしまう。夏に間に合うようにエアコンを替えようとすると、ベストなタイミングはゴールデンウィーク、遅くとも6月中には工事をしなければならない。

 それに遅れると、真夏にエアコンを止めて取り替え工事をするハメになる。工事が集中し、すぐに対応してもらえないことも想定される。

「いまは計画停電もないし、夏はまだ先」などと言っていては間に合わないのである。

 予想される電力不足の状況を考えれば、政府が企業に向けて、より強制力の強い節電対策を打ち出してくる可能性は決して低くない。実際に、政府は電気事業法27条に基づいた「電力使用制限令」発動もあり得るとしている。

「絶対に25%節電しなさい。できなきゃ罰します」というお達しが出てから、「エアコンを取り替えなきゃ」とあわてても、もう工事が追いつかない恐れがある。

 夏が来る前に、エアコンを使わなくていいときに、手を打っておく必要があるのだ。今必要ではないからこそ、今考え、今行動すべきなのだ。
次のページ>> 家庭向けに、エコポイントの復活を!

家庭用エアコン買い替え推進のために、
エコポイントを復活せよ

 省エネタイプのエアコンへの買い替えプラン、これは企業だけでなく一般家庭でもぜひ実践していただきたい。

 家庭レベルでの節電より大口需要者である企業をまとめて抑制するほうが効率的、効果的であることは前回も申し上げたとおりだ。

 しかしそれは、当然ながら、節電を企業任せにするということでも、家庭では何もしなくていいということでもない。

 冒頭でも申し上げた、4月8日に政府が発表した節電促進対策の骨子には、企業などの大口・小口需要者だけでなく、一般家庭に向けても15〜20%の電力使用抑制を求める(強制力はない)内容が盛り込まれている。

 企業のみならず家庭においても、夏場の電力使用に占めるエアコンの割合は非常に高い。ならば「あれこれ分散させるより、いちばん電気を食うものを狙って節電する」というニッパチの法則は、一般家庭にもそのまま通じるのだ。

 家庭・個人レベルでも、大きな節電効果が期待できる「エアコンの買い替え」を、より推進させるために、政府にひとつ要望がある。

 それはエコポイント制度の復活だ。

 エアコンを買い替えた家庭に対する優遇措置を今すぐ行ってほしい。

 省エネ家電購入者サービスとして話題になった「家電エコポイント制度」だが、2011年1月1日以降、エアコンはエコポイント対象から外れてしまっている。

 だが今夏に向けて、環境対策というよりも重要な節電対策として、省エネタイプのエアコンに限り、エコポイント制度を復活させていただきたい。

 本格的な夏を前に、ほかの家電はともかく大量節電につながるエアコンに関してだけは、購入時の優遇措置を続けるべきなのだ。もっといえば、このことを徹底してテレビCM等でPRし、いかに節電になるかについても周知徹底をはかるべきだ。

 企業においても、一般家庭においても、一時的な設備投資と取り付け工事が必要なだけで、その他には何の不自由も発生せず、非常に大きな節電効果が期待できる。なおかつ大幅なコスト削減になる。

 さらにエアコン特需が起きれば、景気向上にもつながる可能性もある。

 本連載で何度も申し上げている「経済を回しながら電力を削減し、計画停電を回避する」ことが実現できる、非常に現実的なアイデアだ。新しい法律や制度、仕組みを作るわけではないので、政府は今すぐに着手できるはずだ。

 最新型、省エネタイプのエアコンへの買い替え――実に効果的で合理的、そしてシンプルな対策と言えるだろう。


http://diamond.jp/articles/-/11922
第592回】 2011年4月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部 

電力25%削減規制で浮上する
銀行界“バンクホリデー”構想
毎週水曜日は銀行の定休日となり、ATMだけが頼りになるかもしれない…
Photo:REUTERS/AFLO

 この夏に実施予定の電力使用量規制を受けて、金融界がその対策案の捻出に奔走している。そうしたなか、銀行界からとんでもない案が飛び出している。

 経済産業省は現在、規制の中身を検討中で、瞬間最大使用電力の25%削減が濃厚となっている。これを受けて産業界は、それぞれ自主行動計画をまとめるよう指示されている段階だ。

 金融界では、金融庁が業界団体や大手金融機関へのヒアリングを開始。このうち銀行界からは、「バンクホリデー」(業界関係者)なる構想が浮上しているというのだ。

 業界団体の全銀協では、「毎週水曜日を休みにし、週休3日制にする」との案が出ている模様。銀行融資には休日であっても利子が付く。まさに「寝ているあいだに儲かり、政府に対しても顔が立つ」(同)というひと粒で2度おいしい案なのだ。

 一方、割を食っているのが証券取引所。東京証券取引所や大阪証券取引所は、5月から現物株取引の昼休み時間を短縮、取引時間を延長する予定だったが、これを秋まで先送りするよう要求され、しぶしぶ呑んだ。だが、「システムは24時間稼働で、節電効果はほぼゼロ。しかも収益は落ちるし、海外投資家に対して印象が悪い」とあって、関係者たちは首を傾げる。

 大証に限っていえば、7月から開始予定のデリバティブの深夜取引も「やめてほしいと言われている」(大証関係者)。夏の電力使用量ピークは13〜15時で、効果はあまりないにもかかわらずだ。

 オンライン証券業界も、取引所と同じく装置産業のため、「電気使用量の約9割が売買システムを含むデータセンターで、25%も削減できない」(業界関係者)と冷や汗モノだ。

 もっとも、詳細が明らかになるのはこれからで、経産省は4月末までに中身を固める見込み。だが、業界内の事情と節電効果を鑑みた対応がなされる気配は、今のところない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)  

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コメント
 
01. 2011年4月18日 11:50:09: 9gCSQcWbXk
sciは、電力業界の回し者だろう。どうでも良い記事ばかりで時間の無駄。表で読めるものはだすな。
アクセス禁止処分がお勧め。

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