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【放射能漏れ】他社負担、料金上げ、増税、国有化、分割…賠償財源、複数案が錯綜
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110416/trd11041600090000-n1.htm
2011.4.16 00:09 :産経新聞
東京電力福島第1原子力発電所事故の賠償問題で、政府と東電は数兆円に上るとの見方がある巨額の賠償資金の捻出方法の検討を進める。ただ、巨額な賠償金を東電だけで対応するのは難しく、政府の支援に加え、他の電力会社も負担する案や電力料金の引き上げで対応する多数の案が浮上している。東電の一時国有化や分割もくすぶっており、難航は必至だ。
「損害賠償の一義的責任は東電にある」。15日開かれた経済被害対応本部の初会合で、本部長を務める海江田万里経済産業相は、改めてこう強調した。
現行の「原子力損害賠償法(原賠法)」では、地震や津波が原因の場合、原発1カ所当たり1200億円まで国が拠出できる。電力会社から原発1カ所当たり毎年3600万円を徴収している補償料に基づく「保険金」だ。戦争などの社会的動乱が理由の場合、免責で国が全額を負担することもできるが、政府は東電への適用を否定している。
保険金の超過分は原則として東電が負担することになるが、将来の利益や電力料金の値上げを含めても長期にわたり分割で拠出せざるを得ない。このため、政府の肩代わりなどの支援は不可避だ。
政府内で検討されているのが、原発の受益者という観点から、他の電力会社にも負担を求める案だ。原発を持つ8社が原子炉の基数などに応じて資金を出す共済制度の創設のほか、東電が設立する基金への拠出などが浮上している。
これに対し、業界では「他社の賠償を負担すれば、株主代表訴訟を起こされかねない」と否定的な声が多い。
また電力各社に課している「電源開発促進税」の増税も検討されている。ただ共済や基金も含め電力各社の負担が増えれば、料金に上乗せされ、結局、国民に負担が及ぶことになる。
政府・与党内でくすぶり続けているのが、東電の一時国有化だ。破綻した金融機関と同様に、政府が資本注入を行い、その資金を賠償に充てる案だ。しかし、東電が注入資金を返済できないと、国民負担に直結するほか、民間事業への国の関与に経済界が強く反発している。
海江田経産相も15日、「事業体として存続し、電力供給の責任を負ってもらう」と述べ、東電の国有化を否定した。
このため、電力供給を担う会社と、国が関与し原発事故処理や賠償問題を担当する会社に分割する案のほか、政府保証をつけた公的機関が、市場などから資金を調達し賠償に充てる案が取り沙汰されている。
政府や与党、経済界の複雑な思惑がからみ、議論も錯(さく)綜(そう)しているのが実情だ。
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