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東電は政府出資を経て「チッソ型」処理か
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110413/ecn1104131213000-n1.htm
2011.04.13 連載:森岡英樹の金融スクープ:夕刊フジ
★補償と事業継続の2社に分離される可能性も
政府内では、東京電力について一定の公的出資を通じて政府管理下に置く案が練られている。原発で深刻な放射性物質漏れが続く東電を準国有化することで、政府が前面に出て対処するとの意思表示に他ならない。損害賠償の額を含め事態はすでに一企業が負える領域を超えている。
東電は、2010年3月期に9980億円のキャッシュフローを稼ぎ、総額7兆5240億円の有利子負債に対して、1530億円のネットキャッシュ(正味現金)がある。純資産は2兆5160億円を有する。一方、今年中に約5700億円の社債を償還しなければならないが、社債償還費を差し引いた後でも、最大3兆6900億円の追加費用を負担できると試算されている。
メガバンクなどの取引銀行は今期末に約2兆円の緊急融資を行ったほか、政府系金融機関や生保なども追加融資の検討に入っている。東電は社会インフラを担う企業として破綻は許されない、「TOO BIG TO FAIL」な存在といえる。だが、東電の株価は、昔で言う「額面割れ」しており、下落が止まらない状況に陥っている。保守的な会計原則に立てば、東電株を大量に保有する金融機関などは、3月期決算で巨額な減損処理を迫られる可能性が生じる。
米格付会社ムーディーズは3月31日、東電の長期格付けを「A1」から「Baa1」に3段階格下げした。同18日にも2段階格下げしていることから、東電は震災前から一挙に5段階引き下げられた格好になる。S&Pも1日、東電の長期格付けを「シングルAプラス」から「トリプルBプラス」へ3段階引き下げた。原発事故に伴い、地域住民への損害賠償など莫大な損失が見込まれ、「東電単独での信用状況は投資適格水準に見合わなくなっている」とムーディーズは指摘している。社債での資金調達の道は事実上、断たれた格好である。東電は政府管理下に置かれることで、市場から半ば「隔離」される可能性があろう。
問題は、現在の福島第1原発の放射能漏れがいつまで続き、損害がどこまで拡大するのか。事態が収束した後、当該事故が原子力損害賠償法上でどう位置付けられるのかが焦点になる。
原発事故には、原子力損害賠償法が適用され、その第3条で「原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる」と定められているが、ただし書きで「この損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」との免責事項が規定されている。今回の福島第1原発事故が、このただし書きに該当するかどうかが問われる。
その後、東電の処理がどうなるのか。早くも発電と通電の2部門に会社を分割する案も浮上しているが、かつて水俣病で揺れた「チッソ」型の処理も有力視される。折しもチッソは、この3月末に水俣病患者への補償を行う「チッソ株式会社」と、事業を行う「JNC株式会社」に分社化された。東電も補償と事業継続の2社に分離される可能性があろう。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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