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投機マネーが天災を人災に変える
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投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 14 日 10:50:12: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://president.jp.reuters.com/article/2011/04/13/008F50DC-61AF-11E0-91CB-1EB13E99CD51-2.php
投機マネーが天災を人災に変える
復興過程において日本銀行は引き続き円資金の供給を続ける必要がある
プレジデント 2011年5.2号

東日本大震災は、多くの人々の暮らしと日本経済に大きな被害をもたらした。震災後の為替市場の動向を通して、市場が抱える問題と復興への道筋について筆者が説く。

一橋大学大学院商学研究科教授 小川英治=文 平良 徹=図版作成 写真=Getty Images、The Asahi Shimbun/Getty Images
キーワード: ビジネススクール流知的武装講座 東日本大震災 経済・金融 投資・信託
 

いつの間にか「失われた20年」に突入した

東日本大震災の後、ガソリンを求めて列を作る人々(写真=Getty Images)
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東日本大震災の後、ガソリンを求めて列を作る人々(写真=Getty Images)

3月11日午後2時46分頃に東北地方太平洋沖でマグニチュード9.0を記録する、信じられないほどの巨大な地震が発生した。それは、東西南北何百キロメートルにわたってプレートがはね上がることによるものであった。また、そのために大きな津波が次々と東北・関東地方の沿岸に押し寄せて、被害をより一層甚大なものとした。この東日本大震災によって被災された方々には心よりお見舞い申し上げたい。

東日本大震災が発生したとき、筆者はたまたまソウルで会議に参加していた。その会議の真っ最中に、会議に参加されていた日本の方の携帯にその一報が入った。早速、ホテルの部屋に戻り、NHK BS、BBC、CNNと次々にチャンネルを変えて、テレビの画面に見入った。画面には津波の大きな被害が映し出され大きな衝撃を受けた。その衝撃の大きさから愕然としていたところへ、その週明けに始まった突然の東京電力による計画停電が追い打ちをかけた。計画停電およびその影響を受けた公共交通機関の大混乱・運休が、東北・北関東のみならず首都圏にも多大な影響を及ぼすこととなった。

筆者自身は、東日本大震災の翌日に、震災の影響を受けて、フライトが1時間ほど遅れて金浦空港を出発したものの、羽田空港に無事に戻ることができた。乗客の中には、出発が1時間遅れとなった理由の説明がないとキャビン・アテンダントに詰め寄る人もいた。空港に置かれたテレビで東日本大震災のニュースが流れていたので、出発遅れの理由は聞くまでもないことだろう。非常時においてもいつでも飛行機がスケジュール通りに飛ぶはずだという予想(期待)が彼らを不愉快にさせていたのだろう。むしろ被災者の方々のことを考えると、遅れてでも羽田空港に降り立つことができたことは、幸運だったと感じたのは筆者だけではなかっただろう。

しかし、東日本大震災の当日に帰宅難民となって、疲れ果てて帰宅した家族とソウルから帰国したばかりの筆者は、スーパーマーケット等の店頭からお米やミネラルウオーターやトイレットペーパーが消え失せていることも、ガソリンを入れるためにガソリンスタンドの周りに長い車の列ができていることも知る術はなかった。

直接に甚大な震災被害を受けていない東京において、店頭からお米などが売り切れとなったり、ガソリンが入手困難となったりしている状況は、流通が滞っているというよりもむしろ買い占めや買い溜めによるところが大きい。普段、豊富に店頭に並んでいると買い占めや買い溜めが起こらないにもかかわらず、だれかがそれらを普段より大量に買い込んで、店頭における在庫がだんだんと少なくなってくると、ますますそれらが店頭から消え失せる前に買わなければならないという消費者心理が働く。そして、ついには、店頭からそれらの商品が消え失せてしまう。これは、たとえ商品の在庫がある程度あったとしても、皆が買いにきて、商品が店頭からなくなってしまうのではないかという予想(懸念)から起こる行動である。

円の急騰を反転させたG7協調介入

混乱する東京の駅構内(写真=The Asahi Shimbun/Getty Images)
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混乱する東京の駅構内(写真=The Asahi Shimbun/Getty Images)

東北・北関東にある多くの民間企業の工場も大きな被害を受けた。また、東北・北関東の幹線道路が緊急車両の通行のために一般車両が通行止めになる一方、ガソリンの入手困難のために、東北・北関東を中心として経済活動に支障をきたしている。このような日本経済の一部に大打撃を与えた状況において、東日本大震災が発生した週明け(3月14日)より、為替相場が急速に円高に進んだ。それが、株安と同時に起きた。

震災の大きな影響を受けた日本企業が多数存在したことから東京証券取引所では大きな株安となった。同時に、震災の大きな影響を受けた日本企業が円の手元現金の保有残高を増やすだろうという予想(思惑)、そして日本の機関投資家などの金融機関が対外証券投資を控えたり、さらには国際分散投資に占める外貨の比率を下げ、円の比率を上げるという予想(思惑)が外国為替市場の一部の投機家によってなされた。これらの投機家が近い将来の日本の企業や金融機関による円買いを予想して、日本の企業や金融機関が円買いを始める前に、すなわち、円がまだ高くなる前に円を買って、そして日本の企業や金融機関が円買いを始めて、円高となったところで円を売って、キャピタルゲインを得ようという投機が行われたのである。そのため、3月16日のニューヨーク外国為替市場では、1995年4月に付けた79円75銭/ドルという当時の最高値を超えて、76円25銭の最高値を更新した。

それに対して、主要先進七カ国(G7)の財務大臣・中央銀行総裁が3月18日に電話会議を開催し、「日本における悲劇的な出来事に関連した円相場の最近の動きへの対応として、日本当局からの要請に基づき、米国、英国、カナダ当局および欧州中央銀行は、2011年3月18日に、日本とともに為替市場における協調介入に参加する」ことを合意した。その直後に、協調介入が実施されたことによって、同日のうちに81円/ドル台に反転した。近年においては、とりわけリーマンショックによるユーロとポンドの暴落が起きたときにでさえ、G7の財務大臣・中央銀行総裁は協調介入を行わずに、為替相場を市場に任せて、変動させてきた。しかし、今回は、東日本大震災が日本経済のみならず先進主要諸国経済をも混乱させることが懸念された。

「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与える」ことが認識され、G7の財務大臣・中央銀行総裁は「為替市場をよく注視し、適切に協力する」という声明を発表した。

この東日本大震災後の円高、そして、協調介入後の円安という為替相場の乱高下は、いかに投機が外国為替市場を攪乱しているかを示している。以前にも本誌においてフリードマンの言う投機の自然淘汰説に対して批判的に説明したことがある。投機家はファンダメンタルズを知っているので、ファンダメンタルズ水準から為替相場が乖離すれば、投機家の投機によって即座に為替相場がファンダメンタルズ水準に戻る。そして、ファンダメンタルズを知らない投機家は自然淘汰されるために、ファンダメンタルズを知っている投機家だけで投機が行われる、投機によって為替相場が安定化すると。

ファンダメンタルズによる予想と近視眼的な予想

円ドル相場
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円ドル相場

投機家は、東日本大震災によって日本経済が大打撃を受け、ファンダメンタルズでは円安になることを予想しているのであろうが、近視眼的な目先の円資金需要増大による円高を予想して、投機を行うことによって、為替相場を安定化させるどころか、不安定化させることに100%寄与したのである。それは、リーマンショックによってアメリカの投資銀行に対する経営破綻の波及の懸念が、ドル安ではなくむしろ、ドル資金の回収のためのドル需要増大からユーロやポンドに対してドルが高くなった状況と似ている。

東日本大震災のような災害が起きる非常時においては、前述した、スケジュール通りのフライトの予想(期待)や品切れになるのではないかという予想(懸念)や円高の予想(思惑)が正常時よりも際立ってくる傾向がある。そのため、災害による直接的な経済的影響のみならず、人々の予想に基づいた次的な経済的影響も相まって、全体として経済的影響が莫大なものとなってしまう。災害の直接的な経済的影響が天災であるのに対して、人々の予想に基づいた副次的な経済的影響は人災と言っても過言ではないであろう。災による直接的な経済的影響からいかに復興するかという取り組みとともに、人々の予想に基づく人災をいかに軽減するかが、その後の災害からの復興にも大きく影響を及ぼす。

今後の東日本大震災からの復興において、直近では、前述した日本の企業や金融機関による復興のための円資金需要が拡大することから、日本銀行は、3月14日に15兆円の円資金を供給したが、引き続き円資金の供給を続ける必要がある。それとともに、為替相場が再び円高に振れるようなことが起きれば、外国為替市場において円売り介入を行うことによって円高を抑制するとともに、その円売り介入を不胎化せず、円資金の供給増大をそのままにして、復興のための円資金需要の拡大に間接的に応えることも考慮に入れるべきであろう。

そして、東北・北関東における被災地の復興に早めに取りかかる必要がある。それは、単に元の状態に戻すという意味での復旧ではなく、勢いを取り戻し、さらにその勢いを後押ししてやるという意味での復興であるべきだ。また、そのことによって、打ちひしがれた東北・北関東の被災地の方々だけではなく、日本人全員の希望の光となって、日本に元気が出てくることが望まれる。それには、単に被害を受けた社会インフラを復旧するだけではなく生産性を高める産業を復興・新興させることが考えられる。農業・漁業・畜産業といった伝統的な産業を広域において再生することによってそれらの生産性を高めること。また、ライフ・イノベーション(今回の大震災によって医療分野の重要性が認識された)やグリーン・イノベーション(今回の大震災によって太陽光発電などによる自家発電の重要性が認識された)を活用した新しい産業を東北・北関東において興すこと。これらによって東北・北関東から元気な日本を復活させることをめざすべきだ。

最後に、原子力発電所に関連する風評など、「誤った情報に基づく予想」は、日本の社会と経済を混乱させることとなり、前述した「予想(期待)」や「予想(懸念)」や「予想(思惑)」よりずっと大きな副次的な社会的・経済的影響を及ぼすことに注意しなければならない。  

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コメント
 
01. 2011年4月14日 15:30:33: sOM5kQDn1w
取引税導入?
日本は消費税で代用。
端末は国内にあるから、国内取引になる。

02. 2011年4月14日 18:28:32: cqRnZH2CUM
投機筋が仕掛けた円最高値 “ミセス・ワタナベ”敗れたり

2011/4/11 7:00
日本経済新聞 電子版

 東日本大震災から1カ月。震災後の混乱のさなか、外国為替市場では円相場が急騰し、約16年ぶりに円最高値を更新した。震災後のマーケットで何が起こったのか。激しく乱高下した円相場の舞台裏を探った。         

 ミセス・ワタナベ敗れたり――。外国為替市場の円取引の2〜3割に相当する売買を手がけ、海外にも存在感を誇示してきた外為証拠金(FX)取引参加者。一般の主婦が自宅で取引することも多く「ミセス・ワタナベ」の通称で広く知られるが、ここにきて急速に元気を失い、取引を大きく減らしている。背景にあるのは3月17日早朝の円最高値更新時のトラウマ。「魔の20分」とも言うべき円急騰劇にミセス・ワタナベは翻弄された。

 「投機筋にいいようにもてあそばれた。損失は60万円」。都内に住む中小企業経営者は3月17日早朝の出来事をこう振り返る。

 11日の震災発生を受け、日本経済の先行き不安からいったん円安が進んだ。だがその後、なぜか円は上昇に転じる。これを見て、逆張り(相場の動きと逆方向の取引)を得意とするFX投資家は積極的に円を売ってドルを買った。FX取引を扱う東京金融取引所(金融取)によると、17日早朝の円に対するドル買越額は約30億ドルと、震災が起こった11日の早朝から約5割も増えていた。

■たった20分で3円も急騰

 だが予想に反し、円高は止まらなかった。17日午前6時前。円は1995年4月に付けた当時の最高値(1ドル=79円75銭)をついに突破した。市場に衝撃が走ったのはその直後だ。ヘッジファンドなどの投機筋による円買いが加速。円はたった20分間で3円以上も跳ね上がり、一気に76円25銭の最高値を付けた。想定をはるかに超える円急騰に即応できず、多くのFX投資家は多額の損失を被った。

 ただ2つの疑問が残った。1つは、なぜわずか20分間で3円以上も円高が進んだのか。そしてもう1つは、そもそもなぜ震災後に円が上昇に転じたのかという点だ。

 実は、17日早朝の円高に拍車をかけたのはFX取引そのものだった。カギを握るのは「ロスカット」の存在。ロスカットとは、FX投資家が一定の評価損を抱えた際に取引を強制的に終了させる機能だ。17日早朝の円急騰時にロスカットが発動すれば、ドルを買っていた投資家は強制的に円を買い戻させられる。つまり円買いが一気に増え、円高に拍車をかけるわけだ。それは同時に、FX投資家の損失確定を意味していた。

 ではなぜ投機筋は早朝に円買いを仕掛けたのか。有力な説の1つが、FX投資家によるドル買いが膨らんだ局面で円買いを仕掛けてロスカットを発動させ、円急騰を促したというものだ。取引が少なくなる早朝は少額の取引でも相場が動きやすい。円が急騰した段階でドルを買い戻して膨大な利益を得る。それが投機筋の狙いだったのではないかとの見方だ。こうした手法を「ミセス・ワタナベ狩り」と呼ぶ市場関係者もいる。

 震災を挟んだ1週間、投機筋の円買いが急増したことを示す数字もある。投機筋の売買を反映するとされるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータをみると、15日時点のドルに対する円買越額は震災発生前の8日から倍増していた。

■根拠不明の情報はどこから

 震災後にいったん円安が進んだのに、投機筋が一転して円を買い進めた理由とされたのが、震災を受けて日本の機関投資家がひとまずリスクを軽減するため、外貨建て資産を処分して円に戻すという思惑だ。震災で生じる膨大な保険金の支払いに充てる円資金を確保するため、日本の保険会社が外貨建て資産を売って円に戻すという解説もまことしやかに流れた。

 だがこうした説の妥当性には、後に疑問が投げかけられた。当の保険会社から「現預金など換金性の高い資産は十分確保している。外貨建て資産を換金する必要はない」(日本損害保険協会の鈴木久仁会長)といった反論が次々と出されたからだ。「円買いをあおりたい投機筋が流した根拠不明の情報だったのではないか」。こんな疑念を口にする市場関係者は少なくない。

 投機筋による円買いは、意図的に仕掛けたものばかりではなかったとの見方もある。受け身的な円買いもあったという指摘だ。海外市場で低金利の円を借りて高金利の外貨に投資する「円借り(キャリー)取引」を手がけていた投機筋が、震災後の円金利上昇を受け、取引解消のための円買いを迫られたというのだ。海外市場で円金利が一時的に跳ね上がったのは事実。震災後の混乱のさなか、手元に円資金を多めに置いておこうとした日本の銀行が、海外の銀行に円資金を貸すのをためらう動きが広まったからだ。

 震災後の投機筋による円買いの真相は表に出ないが、17日早朝の円急騰で多くのミセス・ワタナベが損失を被ったことに変わりはない。だがFX投資家のショックは、この日だけでは終わらなかった。第2幕があったのだ。

 「きょう円売り介入があるのか?」。18日未明、日本経済新聞電子版の記事が寝る間を惜しんで取引していたFX投資家の目にとまった。見出しは「円高阻止へ介入容認、G7緊急電話会議で調整へ」。円高を阻止するため、主要7カ国(G7)が日本の円売り介入を認める方向で一致すると報じていた。

■円急落時も手を打てず

 震災に加え、円高の悪影響が懸念された日本経済にとって朗報だったが、ミセス・ワタナベにはそうではなかった。17日早朝の円急騰時にロスカットが相次いで作動し、多額の損失を被ったため、介入で大幅な円安が進みそうだと思っても、先にドルを買っておく余力のある人は少なかったからだ。

 実際、記事が流れた18日未明時点で、すぐに手を打てた人は限られたようだ。介入が始まる直前の18日早朝時点の金融取のデータをみると、円に対するドル買越額は19億ドル程度で、前日の3分の2に減っていた。

 ドル買越額が減った背景には、ドル買いどころか、逆に円買いに走ったFX投資家がいたという事情もあった。前日の17日の円最高値を目撃し、もう少し円高が進むと考えたからだろう。だが市場関係者の1人は「理由はそれだけではない」と語り、1枚の表を示す。記されていたのは「スワップポイント」に生じた異変だった。

大手FX業者の円・ドルのスワップポイント収入
ドル買い ドル売り
2011/3/10 2 -2
2011/3/11 2 -2
2011/3/12 2 -2
2011/3/13 2 -2
2011/3/14 2 -2
2011/3/15 0 0
2011/3/16 -27 27
2011/3/17 -58 58
2011/3/18 -58 58
2011/3/19 -58 58
2011/3/20 -58 58
2011/3/21 -25 25
2011/3/22 1 -1
2011/3/23 0 0
2011/3/24 1 -1
2011/3/25 1 -1
2011/3/26 1 -1

注)1万ドルあたり、単位:円、マイナスは支払い
 スワップポイントとは、FX取引に伴う金利の受け取りや支払いを指す。例えば、低金利の通貨を売って高金利の通貨を買えば、その金利差分がスワップポイントとして毎日収入になる。逆に高金利の通貨を売って低金利の通貨を買えば、金利差分を毎日支払わなければならない。円は低金利通貨であるため、通常はドルを買えば、スワップポイントが手に入る。ところが震災直後は前述のように円金利が一時的に跳ね上がる特殊事情があり、円を買うとスワップポイントが手に入る状況が起きていたのだ。

 結局、一部のFX投資家は17日の円急騰時に続き、18日の円売り協調介入後の円急落局面でも損失を被った。しばらくは取引を控えたいと考えるのも無理はない。金融取では、今月6日早朝時点のドルに対する円買越額は3月17日早朝時点と比べて6割も減った。ちなみに協調介入後、円安の流れが鮮明になるなかでドルを積極的に買い上げたのも、主に投機筋だったとされる。円急騰時に続き、円急落時にも再び投機筋に利益を持っていかれたわけだ。

■歴史的なチャンス逃す

 外為市場での影響力拡大が注目されてきたミセス・ワタナベ。だが「16年ぶりの円最高値更新」「10年半ぶりの協調介入で円急落」という歴史的な大相場が連日訪れたのに、打つ手がすべて裏目に出てしまった。

 足元では、日本経済の弱さに着目した円独歩安がじりじりと進みそうな気配もある。さすがにミセス・ワタナベも外貨買いを少しずつ再開し始めた。これがマーケットへの本格的な復帰につながるのか注目したい。

(編集委員 清水功哉)

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