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高齢化と人口減少という被災地の厳しい条件 地域人口データを使って阪神・淡路大震災と比較してみると…
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/480.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 14 日 09:50:35: 6WQSToHgoAVCQ
 

Mwで数千倍巨大だったから、その差から考えれば圧倒的に被害は小さいとは言え
それでも阪神・淡路に比べて、あらゆる点で数倍のダメージだ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110412/219417/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>投資・金融>復興の経済学
高齢化と人口減少という被災地の厳しい条件 地域人口データを使って阪神・淡路大震災と比較してみると…

2011年4月14日 木曜日 出口 恭子 政治  金融  投資 
 東日本大震災から1カ月余り が経った。原発事故は収束の見通しすらたっていない。余震も広い範囲にわたって続いている。一方、津波被災地でも岩手県や宮城県では、復旧に向けた取り組 みが始まっている。また、各方面で、被災地の復旧・復興のための議論形成や提言づくりに向けた動きが広がりつつある。
 震災から日が経つにつれ、首都圏の電力不足問題、部品の供給(サプライチェーン)問題、放射能漏れに伴う風評被害などの二次的被害が顕在化してき ているが、原発事故による被害を除いた地震、津波による直接的被害さえ、その甚大さから、全貌が明らかになるには、もうしばらく時間を要するだろう。しか し、「今後大幅に増加する見込み」といった条件付きながらも明らかになる各分野の被害状況等から、今回の被害が1995年1月の阪神・淡路大震災の被害を 大きく上回ることは明らかだ。
 災害救援や復旧作業の関係者から、津波被災地を取り巻く諸条件が、阪神・淡路大震災の時よりも厳しいという声がしばしば発せられている。では、被 災地全体を見た場合、どの程度厳しいのだろうか。こうした視点は、復旧・復興に向けて、阪神・淡路大震災の経験を参考にするにせよ、新たなパラダイムに 立った計画を練るにせよ、必要になるのではないだろうか。
 そこで、地域人口データという限られた側面からではあるが、津波被災地を阪神・淡路大震災の被災地と比べてみることにした。ここでの比較は、災害 発生から20日あまり経過した時点で発表されている被害状況に基づくものであり、今後の被害状況の修正に応じて変化することをご了承いただきたい。
岩手・宮城・福島3県の沿岸部だけでも6倍の面積
 東日本大震災の津波は、太平洋に面する青森県から千葉県までの全長500キロに及ぶ沿岸部に甚大な被害をもたらした。これら南北に伸びる沿岸部でも、岩手、宮城、福島の東北3県の沿岸部では、人的被害が特に深刻である。
 岩手、宮城、福島の3県の市町村数は、3県合計で128市町村。その約3割にあたる37市町村が太平洋に面した海岸線を持つ。この沿岸部37市町村の市町村域の面積を足すと、約9200平方キロとなる。これは、鹿児島県の面積にほぼ匹敵する(注1)。
(注1)この沿岸部37市町村には仙台市が含まれる。仙台市については、市域全てではなく、海岸沿いの宮城野区と若松区の2区の面積のみを算入した。
 阪神・淡路大震災の被災地は、一般的に、兵庫県下の神戸市などの10市10町(当時)のエリアとされる。そこで、行政区域を用いて単純計算してみると、今回の被災地のうち、津波被害が特に深刻であった東北3県の沿岸部だけでも約6倍の面積となる(注2)。
(注2)阪神・淡路大震災では、兵庫県下の10市10町(当時) に災害救助法が適用されたことから、この10市10町が被災地とされることが多い。この10市10町とは、神戸市のほか、人口集積の高い尼崎市や西宮市等 のほか淡路島の1市10町である。一方、東日本大震災では、被災地でない地域が積極的に避難者の救助に当たれるようにするため、災害救助法の弾力運用によ り被災地でない市町村にも同法が適用されていることから、同法の適用市町村を被災地とみなすことができない。
 次に、被災地の人口について比較してみた。東北3県の沿岸部37市町村の住民は、 2010年10月実施の国勢調査の速報結果を用いると、180万人程度である。阪神・淡路大震災時の被災地の住民(350万人程度)の半分程度と少ないも のの、熊本県1県分の人口にほぼ匹敵する(注3)。
(注3)仙台市については、面積と同様に、宮城野区と若松区の人口のみを算入した。
 つまり、津波による人的被害が甚大であった東北3県の沿岸部は、阪神・淡路大震災の被災地の6倍の広いエリアに、その半分の人口が点在するという地理的条件を持つ地域だった(図1)。

 津波被災地が広範囲に及ぶことから、震災生存者の捜索・救助や、被災地への救援物資の輸送が難航しているといった報道があるが、データからもそれがうかがえる。さらに、この悪条件は今後の復旧作業においても負担となるであろう。
 なお、ここでの比較は、あくまでも津波被害が特に甚大であった東北3県の沿岸部についてみたものである。津波被害は、この3県のほか、八戸周辺(青森)から九十九里浜(千葉)にも及んだ。現実には、これよりも厳しい地理的条件に津波被災地は直面していたことになる。
住民の1割超が死者・行方不明者となる自治体が3つも
 東日本大震災の人的被害をみると、死者と行方不明者とを合わせた数が2.7万人を超 え、阪神・淡路大震災の4倍以上となっている。犠牲者の大半が津波によるもので、そのほとんど全てが岩手、宮城、福島の3県に集中し、震災発生から1カ月 が経過しても、行方不明者が死者を上回っている(注4)。
(注4)身元不明の遺体が多いことから、死者と行方不明者が重複して数えられている可能性がある一方、被害の大きかった市町村の中には、行方不明者数がいまだ不明の市があることから、行方不明者がさらに増加する可能性もある。
 次に、死者・行方不明者を地域別にみるため、市町村別の死者・行方不明者数を、その市町村の人口に占める割合でみた。
 ここで用いた被害状況はあくまでも暫定的なものであるが、津波により市街地の大半が水没した岩手県の陸前高田市(震災前の人口2.3万人)、大槌町(同1.5万人)、宮城県の女川町(同1万人)の1市2町では、住民の10%以上が死亡もしくは行方不明となっている。
 岩手県の沿岸部の12市町村合計でみても、沿岸部で比較的人口の多い宮古市や釜石市で多数の死者・行方不明者が発生したことから、その割合は3% である。宮城県では、石巻市(被災前の人口16万人)で5500人近い住民が死亡・行方不明となり(人口の3.4%に相当)、県全体では、仙台市の所在未 確認者を含めると、沿岸部人口の2%近くが死亡・行方不明となっている。
 死者6434人(行方不明者3人)を出した阪神・淡路大震災でも、死者が人口に占める割合は0.2%であった。震源地付近の神戸市東灘区や灘区でもその割合は0.7〜0.8%であり、津波被災地を大きく下回る(図2)。

 これらの数値から、津波による人的被害が、阪神・淡路大震災をはるかに凌ぐ打撃をコミュニティーに与えたことがうかがえる。既に被災地では、役場 職員もその多くが犠牲者となってしまったため、災害救援・復旧に平時を大幅に上回る人員が必要であるにもかかわらず、人員不足で役場が機能しないという問 題が生じた。
 これに似た問題は、今後他の分野でも出てくるだろう。それぞれの分野の専門知識やノウハウ、技能を持ち、かつ、地域の特性も踏まえて柔軟に動くことのできる人材の多くが津波の犠牲者となってしまったことは、地域社会・地域経済の再建にとって大きな痛手である。
 さらに、今回の津波被災地では、住宅損壊等で避難生活を強いられている人々の割合も 高い。震災から20日あまり経った時点の行政公表の避難者数によれば、岩手県沿岸部で人口の17%(4万7000人)、宮城県沿岸部で人口の6%(5万 6000人)が、それぞれの地域の避難所にとどまっていた。また、被災地以外の地域の公共住宅等に一時的に転出する動きも始まっていたが、陸前高田市や大 槌町では地元の避難所にとどまる避難者が住民の半数以上であった(注5)。
(注5)行政が公表する避難者数には、避難所でなく、親戚や知人の家に避難している人が含まれていないことがある。このため、実際の避難者は、行政が公表する避難者数を上回る可能性が高い。
被災地の震災前の平均年齢は46歳
 被災から復旧・復興までの多大なエネルギーが必要となるプロセスを、被災地の人々は人口減少、高齢化という条件の下で進めていかなければならない。
 今回の津波被害が甚大であった東北3県と、阪神・淡路大震災時の兵庫県において、人口減少と高齢化の程度について、被災前における両地域の人口変化率と住民の平均年齢を使って比べてみた(注6)。
(注6)東北3県においては、沿岸部のみならず、内陸部でも高齢化が進んでいるため、平均年齢について、沿岸部と、内陸部も含めた県平均との間に著しい差はない。兵庫県についても、被災地と、被災地以外の地域も含めた県平均との間に著しい差はない。
 まず、東北3県をみると、岩手や福島では、10年以上前の1990年代後半には人口減少局面に入っており、宮城を含めても、2000年代後半の人 口変化率は0.45%(年率換算)の減少になっている。一方、阪神・淡路大震災時の兵庫県では、震災前(1989年〜1994年)の人口変化率は 0.36%(年率換算)の増加であった(図3左)。
 平均年齢については、2010年のデータがまだ公表されていない。このため東北3県について、2005年の43.9歳をもとに、過去のトレンドを 用いて計算してみると、震災直前の平均年齢は、約46歳であったと推定される。一方、1990年の兵庫県の平均年齢は37.6歳であった。上記の東北3県 と同じように概算すると、震災直前の平均年齢は、約39歳であったとみられる(震災後の1995年10月の兵庫県の平均年齢は39.4歳だった)(図3 右)。

 今回の被災地の平均年齢が被災でどう変化しているかについては現時点では分からないが、仮に被災地の平均年齢に大きな変化がないとすれば、被災地 の平均年齢は阪神・淡路大震災と比べて約7歳上昇することになる。なお、2009年時点で、東北3県では65歳以上人口の割合が24.2%、15歳〜64 歳人口の割合が62.5%であった。一方、1995年の兵庫県では、65歳以上人口の割合は14.1%、15歳〜64歳人口の割合が69.6%であった。
 日本全体の平均年齢も上昇している。阪神・淡路大震災時には約39歳であったが、東日本大震災時には約45歳と約6歳上昇している。また、阪神・ 淡路大震災では、被災地の平均年齢は全国平均と同年齢にあったが、今回の被災地の平均年齢は全国平均に比べて約1歳年上となっている。
 人口変化率についてはどうか。阪神・淡路大震災時には、兵庫県も日本全体も緩やかながらも人口増加局面にあったが、今回の被災地である東北3県は、被災前から人口減少局面に入っていた。日本の総人口も、2007年をピークに減少に転じている。
被災地では震災前より人口減少のスピードが加速していた
 被災地の人口をもう少し詳しくみるため、東北3県の沿岸部の37市町村について、過去10年間の人口の動きを2000年代前半と2000年代後半 の2期間に分けてみてみた。2000年代前半に8割近くの市町村で既に人口が減少していたが、2000年代後半には、これらの市町村の多くで、人口減少の スピードが加速していた。岩手県の沿岸部では、12市町村の全てがこのパターンにあてはまる。一方、東北3県の沿岸部で2000年代後半に人口が増加した 市町村は、全体の2割にとどまる(図4)。

 以上のように、(1)東日本大震災の津波被災地は、阪神・淡路大震災の被災地と比べ、平均年齢が7歳上の46歳であると同時に、10年以上前から 人口が減少を続けている地域がほとんどである、(2)日本全体の平均年齢も、阪神・淡路大震災時から約6歳上昇して約45歳となり、多くの地域では人口減 少が始まっている。
 今後の復旧・復興において、被災地では若壮年層が中核的存在となるが、今回の被災地では、こうした年齢層の割合が阪神・淡路大震災の被災地よりも 小さく、さらにこうした人々の年齢も総じて高くなっている。加えて、10年以上前から人口が減少している地域も多く、中には、津波によって人口の1割超が 死亡・行方不明となっている市町村もあり、被災地では、地域の事情に通じた即戦力の人材の不足が深刻であるとみられる。
 一方の支援する側の地域も、程度の差はあるにせよ、高齢化し、人口が減少するという、いわば同じ課題を抱えている。
阪神・淡路大震災よりも厳しい条件の下で
 以上は、地域人口データという限られた面から、津波被災地の置かれた状況の一端をみたにすぎないが、被災地の広域さ、人的被害の地域社会・地域経 済に及ぼす影響の大きさ、被災地と支援する側の地域の双方での高齢化・人口減少の進行、といった点からみると、津波被災地に突きつけられている条件は、阪 神・淡路大震災よりもはるかに厳しい。
 わが国では、阪神・淡路大震災が教訓となり、災害救援から復旧・復興に至る過程で、さまざまなノウハウの蓄積や人的ネットワークの形成等が行われ てきた。既にそれに基づく実践が、自治体、企業、NPO等のほか、個人レベルでも、被災地はもちろん、地理的に離れた被災地とそれ以外の地域との間でも広 く行われている。
 阪神・淡路大震災よりもはるかに厳しい条件の下で、津波被災地が復旧・復興を遂げるためには、こうした取り組みのさらなる発展が不可欠であろう。
 しかし、今回の津波被災地が阪神・淡路大震災と大きく違う点は、被災よりもかなり前から地域経済の衰退等によって、人口が減少していたこと、被災地も、それを支援する側も、高齢化し人口減少に直面しているということだ。
 阪神・淡路大震災の教訓をベースに培ってきた知恵の深化・発展はもちろん必要であるが、それを超えた地域再建の手腕、例えば、激化するグローバル 競争の下で、被災地の強みを活かしつつ、地域経済が自律的に展開し、生き残っていくための制度や仕組みはどうあるべきかという視点を含めた地域づくりが重 要になってくるのではないだろうか。
復興の経済学
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出口 恭子(でぐち・きょうこ)
政策研究大学院大学准教授。1993年東京大学経済学部卒業。同年経済企画庁(現内閣府)入庁。2010年から現職。
 

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