05. 2011年4月13日 18:27:09: cqRnZH2CUM
やはり急激な円安が一方通行で進むというよりも、振動しながら 1年くらいかけて、100~120円台になるという感じか増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイルトップ | 米2月貿易赤字、2.6%縮小=輸出入減少で景気減速示す 2011/04/13 (水) 18:21 −Q1・GDP伸び率を1%ポイント押し下げか− 【2011年4月13日(水)】 − 米商務省が12日発表した2月の米貿易・サービス赤字は、輸入と輸出がともに減少したが、減少ペースは輸入の方が輸出より大きかったため、前月比2.6%減と、前月(1月)の同16.7%増から4カ月ぶりの縮小に転じた。 輸出は、前月は5カ月連続の増加となったが、今回の統計では前月比1.4%減と、6カ月ぶりに減少に転じた一方で、輸入は前月が原油高と原油輸入量の急増などで過去最高を更新、輸出の増加ペースを大幅に上回ったが、今回は、同1.7%減と、4カ月ぶりに減少に転じ、輸出の減少ペースを上まわっている。 この結果について、エコノミストは米経済が減速していることを示すと見ており、一部では今月28日に発表される第1四半期(1-3月)GDP伸び率を前期比年率+2%以下に下方修正している。ちなみに、前期(昨年10‐12月期)は堅調な輸出に支えられて同+3.1%だったが、1‐3月期は外需がGDP伸び率を1%ポイント押し下げると見ている。 また、注目の対中赤字は対米輸入が前月比13%減と、大幅に減少したことから、前月比18%減の188億ドルと、大幅な縮小に転じた。しかし、依然、高水準に変わりはない。一方、中国政府が11日発表した3月の貿易収支は輸出の伸び(前年比35.8%増)が輸入の伸び(同27.3%増)を上回ったため、市場の赤字予想に反して前月の大幅赤字から若干の黒字に戻っている。 オバマ政権は1月19日の胡錦濤国家主席との首脳会談で中国側が人民元の一層の切り上げを約束したことから、中国が人民元の為替レートを操縦しているかどうかの判定を再び見送ったが、中国の3月の貿易統計が再び黒字に戻ったことから、米国の政府や議会、産業界からの人民元の一段の切り上げ問題が再燃する可能性が強まる見通しだ。ティモシー・ガイトナー財務長官は今週、中国に対し、人民元の一段の切り下げを急ぐよう圧力をかけると見られている。 ■貿易赤字、拡大傾向変わらず=GDPのマイナス要因 2月の貿易・サービス赤字(季節調整済み)は、原油輸入が大幅に落ち込んだのが響いて、前月比2.6%減の458億ドルと、4カ月ぶりに減少、市場予想のコンセンサスである457億ドルの赤字をやや上回った。 2月は赤字幅が縮小したとはいえ、過去3カ月(2010年12月-2011年2月)の移動平均と見ると、月平均は444億ドルと、前3カ月(2010年11-2011年1月)の同419億ドルから、まだ6%も拡大している。 また、2月までの貿易赤字は、年率換算では5564億ドルとなる。これは2010年の通年の貿易赤字4957億ドルを32.8%も上回っている。2010年だけでも2009年の3749億ドルを32.2%も上回り、2000年以来10年ぶりの高水準となって、2010年のGDP伸び率を0.5%ポイント押し下げたと見られているだけに、今年のGDP伸び率にはマイナス要因となる見通し。 ただ、エコノミストは今年の貿易赤字は昨年とほぼ同じ規模になると楽観的に見ている。それでも、リビアの内戦状況が長期化するなど中東・北アフリカ情勢次第では、原油価格の高止まりや、一段高となる可能性もあり、その場合、米国の貿易赤字が拡大の一途をたどる可能性も否定できない。 ■原油・資本財の輸入、減少=景気減速か 今回の2月の貿易統計の結果を米経済との関係でどう見るかがポイントになるが、まず、財とサービスに分けて見ると、財の赤字幅は前月比10億ドル縮小したのに対し、サービスの黒字幅は3億ドル拡大した。 これは、つまり、財とサービスを合わせた全体の貿易赤字は、財だけの赤字と見ることができる。ただ、2月は財の赤字は、輸入の減少ペースが輸出の減少ペースを上回ったため、縮小に転じたが、輸入の大幅減少の要因は原油輸入の落ち込みによるものだ。 特に、原油価格が上昇しているにもかかわらず、原油輸入が前月比15億ドルも落ち込んだのは輸入量が減少したためで、経済活動の減速を示している、とみられる。しかし、原油輸入の減少は一時的で、3月以降の統計では、中東・北アフリカ情勢の悪化で原油価格が急騰していることから、増加に戻ると見られている。 さらに、財のうち、自動車と航空機を除いたコアの資本財の貿易赤字額が通信機器やコンピューター、電子機器、機械類などの輸入減で、前月の24億4000万ドルから6億5000万ドルへと18億ドル縮小したのは、企業の設備投資が低調なことを意味しており、米国の生産は弱まっている兆候と見られている。 ■輸出、前月比1.4%減=自動車や産業機械など減少 2月の輸出はドル安も追い風にはならず、前月比1.4%減の1651億ドルと、6カ月ぶりに減少に転じた。FRB(米連邦準備制度理事会)の主要通貨バスケットに対するドルの価値を測るドル・インデックス(名目値)は、1月の72.9456から2月は72.0050、3月も70.8304と、ドル安になっている。 前月は1675億ドル(改定前1677億ドル)と、過去最高を記録し、2008年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんで世界的な金融危機が起こる前の水準(危機前の2008年7月の輸出額は1657億ドル)に戻ったが、長続きしなかった。 輸出の内訳は、サービスを除いた財が前月比2.0%減の1180億ドルと、前月の同2.6%増から6カ月ぶりに減少に転じた。インフレ調整後では同3.7%減となっている。これは、主力の自動車・自動車部品に加え、工業用サプライ(石油含む原材料)と農産物がそれぞれ大幅に減少したためだ。 自動車・自動車部品は同9.3%減の100億ドルと、大幅に減少した。自動車・同部品を除いた資本財も同0.8%減の390億ドルとなっている。 工業用サプライ(石油含む原材料)も同1.4%減の392億ドル、農産物は同1.5%減の105億ドルとなった。一方で、月によって変動が激しい民間航空機は前月比9.3%減の100億ドル、消費財も同1.2%減の139億ドルと、続落した。 サービス輸出は前月比横ばいの47億ドルとなっている。 ■輸入、前月比1.7%減=原油や資本財の急減で 他方、2月の輸入は前月比1.7%減の2109億ドルと、前月の同5.4%増の2145億ドルから4カ月ぶりに減少に転じた。 また、サービスを除いた財だけの輸入も同1.9%減の1773億ドルと、減少に転じた。インフレ調整後では同3%減となっている。これは、原油を中心に工業用サプライ(石油含む原材料)が同2.4%減となったことが大きい。 特に、原油輸入(季節調整前)は同13.8%減の211億ドルだった。これは1バレル当たりの原油価格が前月の84.34ドルから2月は87.17ドルと、2008年10月以来2年4カ月ぶりの高値となったものの、輸入量が同16.6%減の2億4237万バレルと、1999年2月以来12年ぶりの低水準となったためだ。 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の標準油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)5月物は12日の取引で、2月の貿易統計で輸出入がともに減少に転じたことから米経済の成長率の見通しが悪化、前日比3.3%安の106.25ドルとなった。しかし、それでもまだ、1バレル当たり100ドルを超えて高水準に変わりはない。 また、自動車・同部品の輸入は同11%減の193億ドルと、自動車を除く資本財も同5%減の396億ドルと、減少に転じた。ただ、民間航空機は同9.6%増の7億ドルに増加している。 消費財は、医薬品や繊維・衣料品、生活用品、自動車用品などを中心に、同5.6%増の441億ドルとなり、食品・飼料・飲料水も同1.7%増の87億ドルと、過去最高となった。 ■2月対中赤字、縮小=中国3月貿易収支は黒字転換 国・地域別の貿易赤字(季節調整前)では、米国の貿易赤字の大半を占め、米国の赤字拡大の元凶とされている中国との貿易赤字は、前月比19%減の188億4000万ドルと、縮小に転じた。しかし、前年比は14.1%増と、依然、高水準が続いている。 対中赤字は依然、米国の貿易相手国の中では最も大きい数字で、2010年全体でも前年比20.3%増の2731億ドルと、2008年に記録された過去最高2680億ドルを更新している。 内訳を見ると、2月の米国の対中輸出は前年比23%増(前月比4.4%増)の84億4000万ドルと、増加した一方で、中国からの輸入も同16.8%増(同13%減)の272億8000万ドルと、増加している。 また、中国政府が11日発表した3月の貿易収支は、前月(2月)の7年ぶりの大幅赤字(73億ドル)から一転して1億4000万ドルの黒字に戻った。 これは輸出が前年比35.8%増となったのに対し、輸入が同27.3%増と、輸入の伸びを大幅に上回ったためだ。もともと、2月は中国の旧正月にあたっていたため、その影響で輸出が伸び悩んだが、3月はその要因が剥落し、再び貿易黒字に戻るとの見方があった。 中国側の貿易統計を1‐3月期でみると、10億2000万ドルの貿易赤字となった。四半期ベースで貿易赤字となったのは2004年以来7年ぶりとなる。しかし、これは最近の原油などのコモディティ価格の上昇で輸入が急増したためで、2011年全体では1700億ドルの貿易黒字に戻ると見られている。 このため、中国は引き続き、人民元の切り上げ圧力が続く見通しだ。ただ、人民元の切り上げで輸入物価を抑制できるため、国内のインフレ抑制にも寄与することができることから、アナリストは、中国は今年、人民元の対ドルレートを4‐6%切り上げるだろう、と見ている。 (了)
|