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インタビュー:震災で11年日本経済0.5%強下押し=渡辺元財務官
http://jp.reuters.com/articlePrint?articleId=JPJAPAN-20547620110411
2011年 04月 11日 21:09 JST
[東京 11日 ロイター] 渡辺博史・国際協力銀行経営責任者(元財務官)は11日、ロイターとのインタビューで、東日本大震災が日本経済に与える影響について、年間ではGDP(国内総生産)を0.5%以上下押しするとの見通しを示した。
電力供給不足も重なり、9月ごろまでは相当減速する可能性があるが、年後半は復旧・復興による財政支出で持ち直すとした。
14日からワシントンで開催される主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)など一連の国際会議でも、日本の状況は諸外国の関心事と見込まれ、日本は情勢分析と今後の対応の方向性についてメッセージを出す必要がある、と指摘。なかでも、財政健全化について、日本の取り組み姿勢に変化がないことを示すことは極めて重要だと述べた。
大震災発生後の18日に日本の要請で実現したG7協調介入については、潮目が既に変わっていたところをうまくとらえ効果的だったと評価。世界の金融資本市場が欧州の債務問題で不安定さを残すなか、「動ける集合体があることをメッセージとして出せたことは非常に意味があった」とも語りG7の枠組みの有効性を評価した。
インタビューの概要は以下の通り。
──東日本大震災の日本経済や世界経済、金融システムに与える影響は。
「いま日本で起きていることが欧州で起きた財政危機やリーマンブラザーズのようなことかというとそうではないでしょう。金融システムが問題になっているわけでもない。日本の銀行が傷んでいるわけでもないし日本の債券市場自体が機能不全に陥っているわけではない」
「ただ、世界経済に与える影響と言う点では、日本がサプライチェーンに相当組みこまれていることを再確認させられた。しかし、少しずつ復旧が進み、一部ではしばらく供給不足が起るかもしれないが、世界全体のGDPを下げるとしても、ゼロコンマ数%(0.X%)下がるかどうかだ。日本経済も夏の電力供給の問題まで含めると、年全体として0.5%以上下がるかもしれない。9月ごろまでは相当減速するかもしれないが、その後は復旧・復興のための支出が出てくるので、戻ってくる。来年マイナス(成長)、今年の後半マイナス(成長)になるかというと、そこまでいかないのではないか。致命的に足を引っ張ることにはならない」
──マーケットに対する影響は。
「今回は、金融・資本市場に置いて、世界に悪い影響を与えることはない。もちろん、風説の流布のように円高に突っ走った人もいるが、日本政府の責任でもなんでもない。今日あたりの水準は自然体でいい水準に戻っている」
──G20・G7に日本はどう臨むべきか。
「野田佳彦財務相や白川方明日銀総裁がどういうメッセージを出すかは重要で、原発の問題を含め、所掌ではないからと言って逃げないことが大事だ。不確定なところがあっても、日本政府としてはこういう風に考えているということを発信することが、日本の発信に対するクレディビリティの回復には必要で、今回、そういうスタンスで臨むことが重要だ」
──金融資本市場は自然体で安定しているとの趣旨だが、協調介入の効果か。
「(協調介入は)効果があったと思う。単独でも効果あったと思う。あの日は既に潮目は変わっていた。だから、(日本の介入額は)たかだが6925億円で、他国(の介入額)も微々たるもの。潮目が変わっていたことをうまく捕まえた」
「もちろん、ある意味、G7という金融資本市場に大きな位置を示しているグループがそれなりにワークしていることを示した。世界全体の金融資本市場が欧州の問題を契機にこれから触れるかもしれないが、その時に、動ける集合体があることをメッセージとして出せたことは非常に意味があった」
──G7の枠組みが有効に働いた。
「良かったと思う。長い目でみて、G20はそろそろ用がなくなったと思っている。G20で全てが決まると思うのは大間違い。たまたまリーマン(ショック)の後の大不況が金融に端を発していたため、金融を扱っていたG20の首脳が集まったことには意味があった。しかし冷たく言えば、去年のカナダで終わり。ただ、そのなかでG7が金融資本市場の、特に仲介機能の7−8割もっていることは事実。その7カ国が場合によっては一緒に動けるということは、今後、欧州が(債務問題で)ふらふらした場合に心理的なアンカーにはなる」
──G20声明で、G7での協調を再確認する可能性は。
「意味のあることとは思わない。あの時の為替の変動に対してG7が協調して介入したことを良いとか悪いとか書くとは思っていないし、そういうことを求める必要もないのではないか」
──今後の市場動向では欧州が注目か。
「金融資本市場では、ポルトガルで(支援要請が)終わるかどうかにみな懸念をもっている。今のところ、スペイン・イタリアに具体的な兆候があるわけではないが、皆が懸念を持っている」
「私自身は危機が起きた時に、債券の調達を共同で行うというより、幅広く共同調達を考えてよいのではないかと思っている。昔の公営企業金融公庫のような仕組みを提案しているが、欧州ではまだ理解してもらえない」
──欧米の金利動向は。
「米国では、QE3もないし、QE2の延長もないだろう。欧州は上げ始めているが、もう一回くらいは上がるだろう。米国は少なくとも横ばい状態にはなる。これ以上ジャブジャブにはならない。従って、為替は相対的には円が安くなるのは当たり前だ」
──輸出が一時的にダメージを受け、輸入が増える傾向になる。円安はコスト増にならないか。
「85円あたりでふらふらしている(状況は)、皆がコンファタブルなところ。ユーロで120円程度」
「ただ、去年の10月くらいは意味もなく円だけが買われていた。そういう一方的なバイアスが取れただけでもいい。去年の8月から今年の2月までの円に対するバイアスが、3月の上下で取り払われ、普通のマーケットに戻っている気がする。ここからは、金利や裏側にある成長率の問題に比較的説明されやすい動きになるのではないか」
──フランスは国際通貨制度改革に積極的。米国は中国に焦点を当て、不均衡是正を求める。G20での議論の行方は。
「両方とも中だるみしている感じがする。米国も中国も特段、不均衡是正の議論をしたからではなくて、不均衡は減っている。米国の貿易赤字は減り、中国の黒字は赤字になった。米国は過剰消費をやめ、中国は国内の需要を喚起することで過剰貯蓄をやめるなかで徐々に戻ってきている」
「SDR(特別引き出し権)を将来拡大し、そこに意味のある通貨を加えましょうという流れのなかで人民元を入れるのは極めて自然だ。GDPが世界2位になり、貿易量ではドイツを抜き1位となった国の通貨がいろいろなシステムに入っていないのはおかしいという意味だろう。ただ、今、人民元が入るかというとそういうことはない。中国には輸出入規制など3つの壁がある。それを早く超えてなるべく短期にやっていきましょうというメッセージとして問いかける意味では、今やっている議論は良いのではないか」
──日本の財政健全化のテンポは海外からどのように見えるのか。
「ただでさえ遅れているのが、さらに遅れるのかと。だからこそ、野田財務相が示すメッセージのなかで、今回の震災で、財政健全化は遅れるが、それですべてを忘れるわけではないというメッセージを出すことは極めて必要だ。方向感は変わらないことをどうやってきちんと言うかだ」
──具体的なメッセージの出し方は。
「今回の震災復興財源も、全部国債ではないというメッセージを出すほうがよい。具体的な税目まで言えないとしても、当座のつなぎの話と最終的な(国民)負担は別で、基本的に、財政健全化についてのこれまでのG20の議論、われわれの議論は変わらないということを言わないとおさまらないでしょう」
(ロイターニュース 吉川裕子 木原麗花)
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