14. 2011年4月30日 19:45:34: 1GLTU1QquE
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/01/01080428/02.gif冒頭のURLの図の「人工放射性降下物の経年変化」にあるとおり、米ソなどの核実験により1960年代の東京でのセシウム137の最大値は約800,000mBq/uであり、1985年以降2003年までの最大値約10mBq/uの実に約80,000倍である。 チェルノブイリ原発事故の時でも東京でのセシウム137の最大値は約100,000mBq/u強であったが、1985年以降2003年までの最大値約10mBq/uの約10,000倍である。ただし、1年あまりで約100mBq/uまで減少している。 つまり、チェルノブイリ原発事故の時よりも、米ソなどの核実験による1960年代のほうが、東京でのセシウム137は約8倍多かったことになる。 そして、今回の福島原発事故は、公式には「チェルノブイリ原発事故の10分の1」となっているが、西村肇(にしむらはじめ)東大名誉教授によると「チェルノブイリ原発事故で放出された放射能物質の総量の10万分の1の放射能物質が、福島原発事故では放出された。100日間の合計でも、千分の1の量である」としている。 私は、1960年代前半の生まれで30歳まで千葉・埼玉・東京で過ごしたが、一度も癌を発症したことはない。 またガイガーカウンターを自費で実際に購入した。 おかげで購入する前は、放射線量が本当は実際どのくらいなのか、不安な日々を過ごしていたが、購入後は毎日放射線量が計測でき、「たいしたことがない」と実感でき、日々安心して過ごすことができるようになった。 「東京で2011年4月2日から毎日0.08〜0.19μ㏜/h(マイクロシーベルト/時)」 それでも福島原発事故は、チェルノブイリ原発事故と同じレベル7じゃないか、と主張する人もいるかもしれない。しかし、結論からいうとあれは「ヤラセ」である。 東京電力は2011年4月4日、福島第一原発から低濃度汚染水の海洋投棄することを発表・開始した。 西村肇(にしむらはじめ)東大名誉教授が、「福島原発事故の原因の究明」という論文を書き、2011年4月8日、記者会見した。 西村先生は、2011年4月8日に、はっきりと、「チェルノブイリ原発事故で放出された放射能物質の総量の10万分の1の放射能物質が、福島原発事故では放出された。100日間の合計でも、千分の1の量である」ということを、厳密な計算式を使って証明した。 日本政府(原子力安全・保安院もそれぞれ独自に数値を2011年4月12日に発表した)は、嘘八百の発表を、西村論文のあとに、慌てて行った。その内容は、「チェルノブイリ原発事故で放出された放射線量の10分の1が、福島原発事故で放出された。だから、事故レベルは7だ」というものだった。 2011年4月12日、原子力安全・保安院と原子力安全委員会は合同会見を開き、従来の暫定評価のレベル5(3月18日)からレベル7へ引き上げると発表した。事故発生以降の放射性物質の総放出量は、原子力安全・保安院の推計で37万テラ(1兆倍)ベクレル、原子力安全委員会推計は63万テラベクレルで、レベル7(数万ベクレル以上)に相当するという。チェルノブイリ原発事故は520万テラベクレルとされる。 その理由は、「震災発生当初、被災者の規律正しさや忍耐強さを称賛した海外メディアは、2011年4月4日に低濃度放射性物質汚染水の海洋投棄が始まったことを境に、日本政府の危機管理批判を強めていた。レベル5で低濃度放射性物質汚染水の海洋投棄をやれば、日本は、太平洋周辺国から袋叩きにされる。海洋汚染に対する膨大な賠償請求を避けるために、役人も東電も、何が何でもレベル7にする必要があった」、である。 国際原子力事象評価尺度の「基準1事業所外への影響:放射性物質の重大な外部放出:ヨウ素131等価で数万テラベクレル以上の放射性物質の外部放出」という尺度を悪用したのである。 海外向けには「レベル7という重大な事故のため止むを得ず低濃度放射性物質汚染水の海洋投棄を行った」と言い訳し、国内向けには「でも福島原発事故はチェルノブイリ原発事故で放出された放射線量の10分の1だから、福島原発事故はチェルノブイリ原発事故ほどひどくない」という二枚舌である。 つまり嘘の過大評価である。 仏アレバ社の高濃度放射性物質汚染水を処理できるシステムがもっと早く稼働できれば「低濃度放射性物質汚染水の海洋投棄」は、やる必要がなかった措置である。 さらにいうと、チェルノブイリ原発事故は臨界爆発が起こって、放射線の中の中性子線までもが飛び交った。福島原発事故はあくまでも中性子線以外の放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)が漏洩しているのをどう封じ込めるか、という問題である。 福島原発事故では、自衛隊員が22kgの鉛を装備して作業をしていた。鉛で防御できるのは、あくまで中性子線以外の放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)までであり、中性子線を防御することはできない。 中性子線を防御するには30cm以上のコンクリートや水などが必要である。 つまり、福島原発事故では、臨界爆発には至っておらず、作業できないほどの中性子線が飛散するまでの状況にはなっていない、ということである。 チェルノブイリ原発事故と福島原発事故は規模・内容とも違うのである。 放射線を短期間に全身被曝した場合の致死線量は、5%致死線量が2 Sv、50%致死線量 (LD50) が4 Sv、100%致死線量が7 Svと言われている。200 mSv以下の被曝では、急性の臨床的症状は認められないとされるが、長期的な影響については議論があり、また、低線量の被曝についても健康被害が生じたとして訴訟が起きている[1]。 放射線被曝の例 [編集]年間被曝量の例と1回あたりの被曝量の例を示す. 実効線量(mSv) 内訳 0.05 原子力発電所の事業所境界での1年間の線量。 0.1 - 0.3 1回の胸部X線撮影。 0.2 東京とニューヨーク間を航空機で1往復(高度での宇宙線増加)。 1.0 一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度(ICRPの勧告)。#被曝の対策を参照。 放射線業務につく人(放射線業務従事者)(妊娠中の女子に限る)が妊娠を知ったときから出産までにさらされてよい放射線の限度。 1.2 1日1.5箱のタバコを吸う喫煙者と同居する人が、副流煙から受ける年間の線量[2]。 1.5 1年間に自然環境から1人が受ける放射線の日本平均。 2.0 放射線業務従事者(妊娠中の女子に限る)が妊娠を知ったときから出産までにさらされてよい腹部表面の放射線の限度。 2.4 1年間に自然環境から1人が受ける自然放射線の世界平均(宇宙0.4、大地0.5、ラドン1.2、食物0.3の合計)。 4 1回の胃のX線撮影(2011年3月19日以前のバージョンでは「胃のX集団検診 - 0.6mSv/回」という説もある)。 5 放射線業務従事者(妊娠可能な女子に限る)が法定の3か月間にさらされてよい放射線の限度。 6.9 1回のCTスキャン 7 - 20 X線CTによる撮像。 10 日本国原子力安全委員会の指針では一般人の「屋内退避」 ブラジル・ガラパリで1年間に自然環境から1人が受ける自然放射線。 13 - 60 1日1.5箱のタバコを吸う喫煙者の年間の線量(タバコの葉に含まれるラジウム226、鉛210、ポロニウム210等からの放射線)[2][3]。 50 電離放射線障害防止規則による放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)が1年間にさらされてよい放射線の限度。 日本国原子力安全委員会の指針では一般人の「避難」 自衛隊・消防・警察(妊娠可能な女子を除く)が1年間にさらされてよい放射線の限度。 100 人間の健康に影響が出ると証明されている放射線量の最低値(これ以下の放射線量についての健康被害は長期的なものを含めて、一部に論争はあるが、証明はされていない)。 電離放射線障害防止規則による放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)が法定の5年間にさらされてよい放射線の限度。 電離放射線障害防止規則による放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)が1回の緊急作業[4]でさらされてよい放射線の限度。 250 福島第一原子力発電所事故での緊急作業従事者に限って適用されている被曝線量上限。 白血球の減少。(一度にまとめて受けた場合、以下同じ) 500 リンパ球の減少。 国際放射線防護委員会による人命救助を例外とする上限。 1,000 急性放射線障害。悪心(吐き気)、嘔吐など。水晶体混濁。 2,000 出血、脱毛など。5%の人が死亡する。 3,000 - 5,000 50%の人が死亡する(人体局所の被曝については3,000 : 脱毛、4,000 : 永久不妊、5,000 : 白内障、皮膚の紅斑)[5]。 7,000 - 10,000 99%の人が死亡する。ただし、頭部や胴体ではなく手足のみに被曝をした場合は、手足の機能に障害(熱傷等)が出る。 10,001以上 放射線の人体に対する影響は、被曝した体の部分などにより異なる。上記の表ではX線撮影、X線CTおよび注記されているもの以外は全身に対するものである。 @体内放射能は無限に蓄積される? 摂取と排泄はやがてバランスする。 放射能で汚染された食品を、来る日も来る日も食べ続けたとしましょう。この場合、体の中の放射線は、どんどん蓄積され続けるのでしょうか。 たとえば、セシウム137の半減期は30年です。放射能が半分に減るのに30年もかかる。ちょっと考えると、こんなに寿命の長い放射性核種をつぎからつぎへと体内に取り込めば、どんどんたまっていきそうです。本当はどうなのでしょうか。 この問題を理解するには、生物学的半減期や有効半減期のことを知る必要があります。 セシウム137を例にとりましょう。たしかに、この核種の放射能が半分に減るのに要する時間は30年ですが、私たちの体の中に入ってきたセシウム137は、そこにいつまでもじっとしているわけではなく、尿や糞から排泄されることによって、体の外に追い出されていきます。日本人の場合、セシウムを100だけ摂取したとすると、そのうちの半分を排泄によって体外に追い出すのに約3カ月必要です。これを「生物学的半減期」というのですが、幸い、セシウム137の場合、物理的な半減期が30年と長くても、生物学的半減期が3か月程度と短いために、体内に取り込まれたセシウム137は、割合に速く追い出されてしまうのです。 体内に取り込まれた放射能が100あった場合、これが、物理的減衰と生物学的排泄の両方によって、とにかく半分の50に減るまでの時間のことを「有効半減期」と言います。物理的半減期と生物学的半減期と有効半減期の関係は、つぎのとおりです。 有効半減期=(物理的半減期×生物学的半減期)÷(物理的半減期+生物学的半減期)=(30年×0.25年(3か月))÷(30年+0.25年(3か月))=0.247933884年 *0.247933884年=約3カ月 セシウム137の場合には、物理的半減期が生物学的半減期よりも圧倒的に長いので、このような場合には、有効半減期はだいたい生物学的半減期と同じになります。 摂取と排泄のバランス セシウム137を毎日食べ続けると、体内量は無限に増えていきそうな気がしますが、実際には、ある時点までくると摂取量と排泄量がバランスして、それ以上は増えなくなります。逆の言い方をすれば、摂取量と排泄量がつりあう状態になるまでは、体内量が増え続けると表現してもかまいません。ちょっとした理論的考察によって、平衡状態での体内放射能(ベクレル)は、次式で求められることが知られています。 体内放射能の平衡値=1.44×(1日当たりの放射能摂取量、ベクレル/日)×(有効半減期、日) カリウム40の体内量 私たちは天然の放射性核種であるカリウム40を、1日50ベクレル程度食べています。この元素の生物学的半減期は約60日、物理的半減期12億6,000万年ですから、有効半減期は60日となります。したがって、下に計算されているように、私たちの体内には、カリウム40が4300ベクレル程度は、たまっている計算になります。実際には、1日当たりのカリウム摂取量や生物学的半減期にはかなりの個人差がありますので、誰でもピッタリ4300ベクレルというわけではありません。しかし、大人なら4,000〜5,000ベクレルの体内放射能をもっていることは、実際に測定した結果としてもよく確かめられた事実です。 当然、1日あたりの摂取量が多ければ多いほど、また、有効半減期が長ければ長いほど、平衡状態に達したときの体内放射能のレベルは高くなります。しかし、それでも、無限に増えるわけではありません。 平衡時の体内放射能(ベクレル)=1.44×(1日当たりの放射能摂取量、ベクレル/日)×(有効半減期、日) (例)カリウム40(天然放射性核種) 1日あたりの平均摂取量:約50ベクレル/日 有効半減期:約60日 ゆえに、私たちの体内のカリウム40の放射能は、 体内量(ベクレル)=1.44×50(ベクレル/日)×60(日)=4,300(ベクレル) 放射性核種の種類と特徴 放射性核種:プルトニウム239、物理的半減期:24,400年、生物学的半減期:200年(骨)・500日(肺)、有効半減期:198年(骨)・500日(肺) 放射性核種:ストロンチウム90、物理的半減期:29年、生物学的半減期:50年(骨)・49年(全身)、有効半減期:18年(骨)・18年(全身) 放射性核種:ヨウ素131、物理的半減期:8日、生物学的半減期:138日、有効半減期:7.6日(甲状腺) 放射性核種:コバルト60、物理的半減期:5.3年、生物学的半減期:9.5日、有効半減期:9.5日(全身) 放射性核種:イットリウム90、物理的半減期:64時間、生物学的半減期:38年(全身)・49年(骨)、有効半減期:64時間(全身)・64時間(骨) A何となく不気味な内部被曝 放射線の浴び方には、いろいろあります。時間的に言えば、一度にどっと浴びたのか、それとも、同じ線量をだらだらと少しずつ浴びたのか、という問題もあります。また、全身に浴びたのか局所に浴びたのか、というのも重要な点です。と同時に、体の外から浴びたのか、それとも体内汚染をおこした放射性物質によって、体の中から浴びたのか、という分け方も重要です。よく内部被曝の方が外部被曝より危険なのではないかという疑問を耳にします。体の内側から浴びる方が不気味なので、その気分はわかるような気がします。しかし、実際はどうなのでしょうか? たとえば、生殖腺が内部被曝で1シーベルト浴びた場合と、外部被曝で1シーベルト浴びた場合を考えてみましょう。両者の影響に違いがあるでしょうか、それとも同じでしょうか? 体の外から生殖腺が浴びる場合には、多分、ガンマ線のような透過性の放射線のことが多いでしょう。稀には、かなりエネルギーの高いベータ線の被曝によることもないとはいえません。その場合には、ベータ線は生殖腺に当たって主として表面近くで吸収される可能性が強いので、ガンマ線被曝の場合のように生殖腺全体がほぼ均等に浴びるということにはならないかもしれません。 一方、生殖腺自身に取り込まれた放射性核種による被曝の場合には、どういう放射性核種かに応じて、アルファ線の場合もあるだろうし、ベータ線の場合もあるだろうし、ガンマ線の場合もあるでしょう。あるいは、それらの組み合わせの場合もあるに相違ありません。とくにアルファ線の場合などは、それを放出する放射性核種が、生殖腺内でどういう分布をしているかによって、被曝線量の空間分布もずいぶん違ってくる可能性があります。 このように考えてくると、ひとくちに「生殖腺が1シーベルト浴びた」などと言っても、線量の分布などが微妙に異なる可能性があるので、そう簡単な話ではありません。しかし、今のところ、同じ臓器が同じシーベルト浴びたのなら、それが外部被曝によるものであれ内部被曝によるものであれ、生物学的な障害度に基本的な差はないと考えられています。とくに、浴びる放射線が両方ともガンマ線とかベータ線とか同じである場合には、そこにできた放射線の傷跡が外から来た放射線によるものか中から出た放射線によるものか、区別する根拠はまったくありませんので、同じものとして考えていっこうに差し支えありません。 もちろん、かたや、骨に入り込んだプルトニウム239によって骨髄に1シーベルト浴びた、というケースと、かたや、外部被曝のベータ線によって皮膚に1シーベルト浴びた、というケースを同等に扱うなどということはナンセンスです。同じ臓器がほぼ似たりよったりの浴び方で放射線を被曝した場合には、それが外部被曝によるものであれ内部被曝によるものであろうが、本質的な差はないのです。 全身線量の求め方 いろいろな臓器が不均等に被曝したような場合、全身線量を求めるにはどうすればよいでしょう。単純に各臓器の線量を加え合わせばよいでしょうか。そう簡単ではありません。なぜならば、臓器によって、遺伝的影響や癌の危険度が違うからです。発癌の危険性が少ない臓器が1シーベルト浴びるのと、その危険性が大きい臓器が1シーベルト浴びるのとでは当然意味が違ってくるので、各臓器の重要性に応じて重みづけの係数(荷重係数)をかけて合計しなければなりません。下の表は、国際放射線防護委員会がこうした目的のために設定した係数の値です。 実行線量当量とは? 外部被曝であれ、内部被曝であれ、いろいろな臓器が異なる割合で被曝した場合には、この表の係数を乗じて重みづけをしながら合計線量として同じ尺度で比較することができます。なかなか面倒なことですが、そのようにして計算された線量の値は共通に比較ができて便利なので、とくに「実行線量当量」と呼ばれています。言うまでもないことですが、下表の係数を全部加え合わせると、当然1.0になります。 *荷重係数 生殖腺:0.25、乳腺:0.15、赤色骨髄:0.12、肺:0.12、甲状腺:0.03、骨表面:0.03、残りの組織:0.30 B◇対応は花粉症対策と同じ 放射線とは、ものを突き抜ける能力が高い光や粒子のことです。そして、放射線を浴びる(=被ばくする)と、遺伝子にダメージが生じ、人体に悪影響を及ぼすことがあります。放射線を出す能力を「放射能」、放射能を持つ物質を「放射性物質」と呼びます。 今回の原発事故では、原子炉からヨウ素、セシウムといった放射性物質が漏れ出し、大気中にまき散らされています。たとえれば、スギから「放射線を出す花粉」が飛散している状態と言えます。放射性物質も、そこから出ている放射線も目には見えません。 窓を閉めて、家の中にいれば、吸い込む花粉の量が大幅に減ります。放射性物質も同様で、屋外と比べ、屋内の被ばくは10分の1程度に減ります。しかし、放射性物質から出る放射線の一部は、窓や壁を突き抜けますから、家にいても、放射線を完全に避けることはできません。 放射性物質による被ばくには、「外部被ばく」と「内部被ばく」があります。外部被ばくは、衣類や皮膚に付着した放射性物質から放射線を浴びることで起きます。家に帰ったら、屋外で上着を脱ぎ、服はよくはたいて放射性物質を落としたうえで、シャワーを浴びれば問題ありません。洗濯物は外に干さず、窓はできるだけ開けず、換気扇もなるべく使わないようにしましょう。要は、花粉症対策と同様、「花粉」を寄せつけないことが大事なのです。 雨が降った場合は、放射性物質を含んだ水滴が皮膚に付着しないように、レインコート(できれば使い捨て)を使うと安心ですし、折りたたみの傘を携帯するとよいでしょう。 体内に放射性物質が入り、身体の中から放射線を浴びる「内部被ばく」は、より危険です。身体の表面に付着した放射性物質と違い、体内の放射性物質は洗い流せないからです。外出するときは、ぬれたタオルなどで口や鼻をふさぐと安心です。テーブルの上に置く果物などには、ラップをかけ、食べる前に洗うとよいでしょう。 ◇日常生活でも自然被ばく ただし、現段階では、避難した原発に近い地域の住民の人たちを含め、一般の人の健康に悪影響が出るとは考えられません。被ばくを心配し、「サーベイメーター」による検査を希望する人が増えていますが、そもそも「被ばくした」「被ばくしていない」という議論はナンセンスです。なぜなら、私たちは、普通に生きているだけで、必ず「被ばくしている」からです。 大気中には「ラドン」といった放射性物質が含まれますし、宇宙や大地からの放射線による被ばくもあります。ホウレンソウなど食べ物にも放射性物質が含まれます。世界平均では、年間約2・4ミリシーベルトの放射線を浴びます。この「自然被ばく」の量も、場所によって異なります。たとえば、イランのラムサール地方では、年間の自然被ばくが10ミリシーベルトを超えます。日本から、この地方へ引っ越せば、被ばくが増えるわけですが、ラムサール地方でがんが多いというわけではありません。 耳慣れない「シーベルト」という言葉は、放射線が人体に与える影響の単位です。ミリは1000分の1、マイクロは100万分の1を意味します。1シーベルト=1000ミリシーベルト=100万マイクロシーベルトとなります。 もう一つ分かりにくいのは、「毎時10マイクロシーベルト」という表現です。これは、1時間あたり10マイクロシーベルトの被ばくがあるという意味で、線量率と呼ばれます。毎時10マイクロシーベルトの場所に3時間いれば、30マイクロシーベルトを被ばくするという意味です。線量率は「蛇口から流れ出るお湯の出方」、たまったお湯の量が「何ミリシーベルト」という数字で表されます。 ◇発がんリスク、喫煙以下 では、どのくらい放射線を浴びると身体に悪影響があるのでしょうか? 原爆の被害を受けた広島、長崎のデータなどから、100ミリシーベルト以下では、人体への悪影響がないことは分かっています。このレベルの被ばく量は症状が出ないだけではなく、検査でも異常な数字は確認されません。 100ミリシーベルト以上の被ばく量になると、発がんのリスクが上がり始めます。といっても、100ミリシーベルトを被ばくしても、がんの危険性は0・5%高くなるだけです。そもそも、日本は世界一のがん大国です。2人に1人が、がんになります。つまり、もともとある50%の危険性が、100ミリシーベルトの被ばくによって、50・5%になるということです。たばこを吸う方が、よほど危険といえます。 現在、文部科学省が、各地の線量率を測定しています。最も値が高い福島県の数値でも、風向きなどで高めの地点もありますが、多くの地点で、毎時数マイクロシーベルト程度です。測定は屋外で実施していますから、屋内に退避していれば、線量率は毎時1マイクロシーベルト以下です。東京、埼玉、千葉などは、屋外であっても、その10分の1以下です。 毎時1マイクロシーベルトの場所にずっといる場合、どのくらい時間がたつと身体に悪影響が出始める100ミリシーベルトに達するでしょうか? なんと11年以上の月日が必要です。通常より高いといっても、現在の放射線のレベルは人体に影響を及ぼすものではないことが分かります。 繰り返しますが、事故の現状では、発がんリスクの上昇を含め、一般の人たちの健康被害は皆無と言えるでしょう。安心して、冷静に行動していただきたいと思います。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長) 最後に、何としても「風評被害」だけは避けたいものである。
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