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日本の原発ビジネスは、ほぼ壊滅
安値で外資に買い取られて技術を抜かれることになる
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【第118回】 2011年4月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部
三菱重工業 大宮英明社長インタビュー「原発事業の減速は不可避 多様な発電装置で対応する」
福島第1原子力発電所の事故により、政府のエネルギー戦略の見直しは必至だ。国内原発メーカーはこの難局をいかに乗り切るのか。三菱重工業の大宮英明社長に、原発事故による業界への影響や見通しに加え、4月から始まった「約50年越しの悲願」ともいえる組織改革の狙いなどについて聞いた。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)
三菱重工業・大宮英明社長
Photo by Toshiaki Usami
──震災後、原発設備を納める顧客への対応は。
当社は福島第1原発にはかかわっていない。だが、同様の災害が起きた場合のリスクについて、震災後の2日間で資料を作成し、顧客である北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力、日本原子力発電に渡した。すでに対応策も提案しており、一部は改修することが決まっている。
──電力の安定供給までには時間がかかりそうだ。
震災の影響で、今後、電力が不足するのは間違いない。
こうしたなか、被災した火力発電所に約200人の社員を派遣し、復旧を急いでいる。東京電力、東北電力管内には当社が納めた火力発電所が数多くある。さらに、産業用火力発電設備を保有する工場もある。生産設備が損壊していても、発電設備が動けば電力を供給できる。
──日本の原発の「安全神話」が崩壊した。事故はなぜ起きたのか。
事故の原因をコメントするには、まだ時期が早過ぎる。現段階でいえることは、これほど高い津波が来ることは想定外だったということだ。
──政府のエネルギー戦略の見直しは必至だ。国内における原発事業への影響は。
安全性や技術などについての再評価が始まるだろう。国内の新設案件については工程が遅れる可能性が高い。その一方で、既設の原子力発電所を動かしていくということになれば、補強工事の需要が増えることになる。
──東電は海外事業どころではなくなる。電力事業者を巻き込んで建設から運営管理まで行う「パッケージ型提案」が困難になるのではないか。
確かに東電の海外展開にブレーキがかかる可能性は否定できない。
いずれにせよ、事故が収まった後、各国でいろいろな評価がなされるだろう。海外事業が縮小するのは避けられないのではないか。
次のページ>> 三菱重工業への影響は?
──三菱重工業への影響は。
すでに内定を得ているのは、米国のドミニオン電力、ルミナント電力からの合計3基。現在のところ、変更はない。
今回の事故を起こしたのは沸騰水型軽水炉(BWR)だが、当社は加圧水型軽水炉(PWR)である。PWRは設計上、1次冷却系と2次冷却系に分かれており、2次冷却系であるタービン設備などは非放射線管理区域。その安全性は高いと考えている。
──中期経営計画などの見直しはないのか。
原子力事業の売上高は約3000億円であり、2014年度には6000億円に伸ばす計画だ。
確かに原子力事業は有力事業の一つである。だが、全社の売上高は約3兆円であり、原子力以外の事業が9割を占めている。仮に原子力事業の先行きが厳しくなっても、屋台骨を揺るがすほどにはならないだろう。
その一方で、多様な発電装置を持つ強みが生かせる面もある。原子力以外にも、石油、石炭、LNG(液化天然ガス)、IGCC(石炭ガス化複合発電)から、太陽光、太陽熱、地熱、風力、バイオマスまで、どんなニーズにも対応が可能だ。
実際、被災地域などの火力発電所で使うガスタービン需要が高まっており、在庫だけでは対応できず、長期契約の顧客に納期を一部遅らせてもらい、現地へ供給している。
──三菱重工業は長らく、本社の事業本部が事業戦略策定や営業を、事業所(工場)が開発や生産を担っており、権限が分散されていた。だが、今年4月1日から、事業本部制に一本化し、本社に権限を集中した。狙いは何か。
最大の狙いは、グローバルでの競争力の強化だ。本社主導の体制にすることで、ムダをなくし、意思決定のスピードを速める。
当社は社会インフラ事業が中核の会社だ。だが、国内のバブル崩壊後、電力自由化や少子化の影響も加わり、顧客企業の設備投資が減少した。たとえば、国内電力9社の設備投資額は当時は年間約5兆円だったが、今は2.5兆円と半減。公共投資全般でも半減している。
かつては国内の顧客から渡された仕様書に対し、期日内によいものを造れば、確実に市場がある時代だった。だが、いまや海外市場へ打って出なければ成長は期待できない。
ところが新興国の顧客は、細かい仕様書などはなく、ただ「電気が欲しい」と言ってくる。こうしたニーズに素早く適切に対応するには、指示命令系統の一本化が必要だ。
次のページ>> 組織改革により、事業の選択と集中は進むか?
──この数年間、全社横断的な取り組みも行ってきた。
07年以降、設計や部品の共通化などで全社的な効率向上を目指す「ものづくり革新活動」を行い、全社的な業務改善を行ってきた。また、08年には「エネルギー・環境事業統括戦略室」を設置し、エネルギーと環境関連のソリューション開発を横断的に行うことが可能となった。
これらの取り組みは、いわば、組織への“横串”だ。事業本部制への一本化という“縦串”の導入は、組織改革の総仕上げといえる。
──しかし、組織改革の実現までにはずいぶんと時間がかかった。
じつは1964年に当社が3社合併した際の社内文書に「事業部制を理想とする」と書いてある。その意味では、実現までに約50年を要したともいえる。
実際に組織体制の見直しを始めたのは2000年からだ。各事業本部と事業所の一体運営を部分的に進めてきた。その布石があって、ようやく実現できた。
──約700の製品を抱える。組織改革により、事業の選択と集中が進むのか。
事業本部制で権限と責任を明確にするとともに、事業格付けも今年度から本格的に始めた。
事業ユニットごとに格付けを行い、その結果を基に撤退や集中を検討していく。
今まで事業の撤退ルールが明確ではなかった。かつて「3年赤字で撤退」というルールを検討したが、開発期間が長い事業もあることから導入は断念した。
今回の格付けでは、製品サイクルも加味する。たとえば、成熟期にある製品と、これから5〜10年かけて立ち上げる事業では、おのずと評価の方法が異なる。格付け方法は、すでに綿密なものが出来上がっている。
雇用問題や製品の性格を考えると、すぐに大きな変化があるわけではない。かつて独シーメンスでも事業ポートフォリオの入れ替えに10年ぐらいかかっている。
とはいえ、700製品の事業ポートフォリオは、ずいぶんと入れ替えが進むことになるだろう。
──今後の課題は。
今回の組織改革によって、経営の質を上げる仕組みができたことの意味は大きい。
だが、重要なのは、仕組みに魂を入れることだ。全社員が組織改革の意味を理解し、実行し始めれば、非常に大きな成果が期待できるだろう。
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