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日本からの資金流出が途絶える可能性 世界経済と金融市場に大きな変化? 2011.04.04(Mon) (2011年4月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ミネベアはあまり有名ではない。だが同社は、もっとよく知られた日本企業が自社の名前を張り付け、世界各国に輸出する製品の中身を供給する多くの日本企業の1つだ。
また、ミネベアは最も早い時期に海外に進出した日本企業の1社でもあり、まずタイ、次に中国の上海郊外で大規模な事業を開始した。だが、同社が製造するボールベアリングに使われる鉄はすべて日本から輸入されている。ミネベアは最高品質の鉄を必要としているからだ。
日本からの輸入禁止を恐れるメーカー
日本からの部品や材料の輸入も禁止されるのではないかとの不安を口にする向きもある(写真は東京港)〔AFPBB News〕
ミネベアのある幹部は今、放射能に対する恐れから(それが道理にかなったものであれ、福島第一原発での事故に便乗する動きであれ)、中国が日本からの輸入を禁止するのではないか心配だと語っている。
今後数カ月間、様々な方法で、世界がその製品をどれだけ日本に依存しているか、そして他の国々が輝かしい「メード・イン・ジャパン」のラベルに 取って代わるためにどれだけ日本の混乱に乗じることができるかが試されることになる。ミネベアのケースはそのほんの1例にすぎない。
他国がこれに成功すれば、日本の貿易収支と経常収支の黒字は劇的なペースで減少し、日本では海外に送り出す資金が減少することになりそうだ。
既に複数の証券会社は、日本がやがて、他国のニーズは言うまでもなく、自国のニーズをも満たせなくなることを予想して、中国のセメント会社や石炭会社の株式購入を勧める緊急の推奨を出している。
日本製品の供給不足を穴埋めしようとする中国、韓国、台湾勢
まだ先がどうなるか分からないが、既に中国、韓国、台湾の企業は、単なる一時的な混乱で済まなくなる可能性の高い日本製品の供給を穴埋めするために準備を整えている。
何人かの日本のビジネスマンは今、電力供給はこの夏の間中、需要に追いつかないと思うと話している。今回の混乱によって、日本の輸出は減少し、輸入は増加するだろう。
国際的な日本の競争相手が実施する取り組みのために、また、日本自身が必然的により内向きになるために、今後数カ月間、世界経済と各国の金融市場に大きな変化が起きる可能性が高い。その結果、日本の製品と日本の資金は世界で重要性が低下することになりそうだ。
国内生産が大幅に減少
国内では工業生産が減少するだろう。食料の輸入は急増する(一部の企業が東北の悲劇の犠牲者のことを考えて1カ月間外食しないよう幹部に話したこ とや、シェフや顧客が西日本のより安全な場所に避難したために、東京の多くのレストランが閉店していたり、ガラガラだったりするという事実にもかかわら ず、だ)。
国内の工業生産の落ち込みは、阪神・淡路大震災当時の4倍に上るとの試算もある〔AFPBB News〕
日本がとりわけ脆弱なのは、分散化という概念が本当に根付くことがなかったからだ。
日本の構造は非常に中央集権的で、すべてが東京を経由する。西日本は一貫して影響力を低下させてきた(この傾向は阪神・淡路大震災でも全く反転しなかった)。
日本の産業はジャスト・イン・タイムの供給方式を採用しており、最近はそれに納入業者の減少を意味するコスト削減を重視する動きが伴っていた。自動車業界では特に顕著だ。
時間とともに、地理的な面でも納入業者の面でも、集約化が進んできた。この仕組みは平時にはうまく機能するが、現在の状況下では負荷を高める。こうした傾向を考えると、工業生産は大幅に減少する可能性が高い。
実際、JPモルガンのエコノミストらは、工業生産が今月10%減少すると予想している。阪神・淡路大震災後の落ち込みの4倍だ。
日本の対外投資が減る可能性
さらに、阪神・淡路大震災の後は、既に鈍化していた日本の外国証券購入がネットベースでマイナスに転じた。だが、それは16年以上前のことであり、重要性も低かった。それ以降、日本が輸出で稼いだドルを海外に再循環させてきたため、世界は金利の低い日本からの資金の流出に慣れっこになっていた。
(不利な為替変動の危険を別にすれば)資金は国内よりも海外での方がはるかに多く利益を上げられる。
新興国市場、特にアジアの新興国市場やオーストラリアなどのコモディティー(商品)市場、米国の国債市場など、すべてがその恩恵に浴してきた。今後はより多くの資金が日本国内にとどまるため、そうした動きは終わりを迎えるかもしれない。
日本からの流動性の減少は折しも、中国が金融政策を引き締めようとしている時、そして米連邦準備理事会(FRB)の大規模な資産購入計画が6月の終了に向けて本格的なカウントダウンに入った時と重なった。
円相場は長期的に下落
円の対ドル相場は、資金の本国送金(いずれにせよ年度末にはよく起こる動き)、海外投資の処分、ヘッジファンドや個人投資家による投機が組み合わさることで、短期的には上昇するかもしれない。だが、長期的な傾向は間違いなく下落だろう。
東京に普段通りのネオンがともるまでには時間がかかりそうだ〔AFPBB News〕
もちろん、日本が過去3週間の悲しい出来事を利用して、無気力を払いのける可能性は常に存在する。
だが、ここ数日間で浮かび上がってきた日本の姿――漁業や今では汚染された海藻を摘み取ることが主要産業である貧しい地方の孤立した地域社会――は、ネオンが輝くきらびやかな先端技術の東京という紋切り型のイメージとはあまりにも対照的だ。
そのネオンは消されており、東京でネオンの灯りが再びつくまでには、まだしばらく時間がかかるだろう。
By Henny Sender
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