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【コラム】「最後の貸し手」FRBが忘れていたこと−Mウィンクラー
4月1日(ブルームバーグ):米議会と裁判所が最悪の金融危機をめぐり心強い遺産になり得る情報開示を支持したことを知って、われわれ米国人は慰めにも似た気持ちを持つことができる。
連邦最高裁は先月、金融危機の際に窓口貸し出し制度を利用した金融機関の情報開示を米連邦準備制度理事会(FRB)に求める下級審の判決を支持した。これは透明性こそが民主主義に必要不可欠な条件であり、FRBに他の政府機関と同様の説明責任があることを再確認するものだ。
FRBが3月31日に公表した約2万9000ページに及ぶデータは、理解を深める知見を既に提供している。2008年の金融パニックのピークで、窓口貸し出し制度から最も多額の借り入れを行ったのが米国勢ではなく、欧州の銀行だったこともその一例だ。米銀最大手のバンク・オブ・アメリカ(BOA)の窓口貸し出し利用回数はこれまで開示されたよりも多かった。さらにリビア中央銀行が実質的に経営を支配するアラブ・バンキングや中国銀行もFRBの資金を利用していた。
昨年成立した米金融規制改革法(ドッド・フランク法)には、FRBの窓口貸し出しの適用除外が盛り込まれたが、議会は08年に窓口貸し出し制度を利用して行われた特定の融資を詳しく調べる機会が得られるだろう。それらの窓口貸し出しや他のプログラムからの融資で受け入れた担保についても、議会がFRBに情報開示を迫る2度目のチャンスが訪れる。
米政府監査院(GAO)が7月に公表を予定する監査報告がさらなる情報開示につながるとみられるが、議会はそれを強く主張すべきだ。2年余りが経過した現在、借り手の金融機関が「最後の貸し手」を頼った際にFRBがどのような種類のリスクを引き受けたのか国民は知っておく義務がある。
知る権利
国民が意図しないまま、どのような形でどれだけの融資を銀行に提供したかについて、個人の知る権利が危険にさらされている。銀行救済のためにFRBが資産と負債を1913年の発足以来の2兆ドル規模までいかに膨らませたかについて、読者と情報を共有したいと願う記者の探究心も、われわれがこの点にたどりつくために少なからず貢献した。
このデータを求める度重なる試みが拒否された後、今は亡きマーク・ピットマン記者はブルームバーグ・ニュースの親会社を通じて、情報公開法に基づきFRBを提訴した。
FRBは当初、米国市民にはこれらの情報を知る権利があるとはいえないと主張し、情報公開法に基づくあらゆる要求に抵抗した。これに対して、ニューヨーク連邦地裁のロレッタ・プレスカ判事は、FRBには納税者に代わって実行した融資の記録を公開する義務があるとの判断を示した。FRBはニューヨーク連邦高裁に控訴したが、ここでもプレスカ判事の判決が支持された。その後FRBは上告を断念したが、米大手商業銀行で構成するクリアリング・ハウス・アソシエーションが情報開示を阻止するよう申し立てていた。
中央銀行の独立
裁判所が明確に定義している通り、米国の法律によれば、中央銀行の独立とは、国民から独立していることを意味しない。行政機関からの独立を意味し、憲法上で貨幣鋳造の権限が唯一認められている議会からの独立を意味するものでもない。議会がFRBにその権限を委任しているのだ。
FRBは自らが国民のための中央銀行であり、極めて重要な決定を国民の監視の前に公表しないでおくことができる民間機関ではないことを08年に金融市場が崩壊する以前の長い時間の流れの中で、忘れ去ってしまったようだ。
ドッド・フランク法の下でFRBは今後、融資に関する情報を2年経過した時点で開示することが義務付けられる。透明性を制度化するそうした変化は、FRBの運営上の転機となるだけでなく、貸し手としてのFRBと借り手の双方に説明責任が伴う新時代の幕開けを告げるものだ。
もっと知りたい
ドッド・フランク法自体は金融危機における窓口貸し出しについて、公の説明を義務付けておらず、裁判所の判決がその隙間を埋めることになる。FRBからの資金でまずい経営判断を取り繕った金融機関の株主らは、07年8月から開始された非伝統的な資金供給策や窓口貸し出しが、経営を存続させる上でいかに重要だったかを知ることができるだろう。
しかし、FRBが支払い能力のない銀行の経営を存続させるために適当でない担保を受け入れていたかどうかはまだ分からない。また、FRBやオバマ政権が窓口貸し出しの借り手の素性が割れないようその保護に熱心だった理由も明らかではない。われわれすべての利害関係者は、歴史家なら特にそうだが、金融危機以前の1914年から2008年の窓口貸し出しの借り手についても、是非知りたいと考えるのではなかろうか。
(マシュー・ウィンクラー)
(マシュー・ウィンクラー氏は、ブルームバーグ・ニュースの編集主幹です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2011/04/01 15:04 JST
「政策の誤り」は原油高より危険−英スコットランドの資産運用会社
3月30日(ブルームバーグ): 金融市場にとっては、原油高よりも財政や金利に関する政策の誤りの方が危険だと、総額5300億ポンド(約70兆3000億円)を運用するスコットランドの資産運用各社の投資ストラテジストらはみている。
先進国の利上げ時期や中国のインフレ対策、欧州の債務危機、米国の財政赤字削減への対応はいずれも、年初来で20%に上るブレント原油相場上昇より金融市場へのリスクが大きいという。
エディンバラ最大の投信運用会社スタンダード・ライフ・インベストメンツの世界戦略責任者、アンドルー・ミリガン氏はインタビューで、「最大のリスクは依然として政策が過ちを犯すリスクだ」と語り、「われわれの中心的なシナリオである堅実路線をたどるには、多くの政策決定が必要だ」と述べた。
中国やブラジルといった新興市場ではインフレ対策で借り入れコストが上昇基調にある。欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、マクチ・スロバキア中銀総裁は29日、ECBが来週利上げに踏み切る可能性が「極めて高い」と述べた。英国をはじめ各国の政策当局者は、消費者物価抑制策が景気回復の腰を折るのではないかと懸念している。
アバディーン・アセット・マネジメントやスコティッシュ・ウィンドウズ・インベストメント・パートナーシップ、エーゴン・アセット・マネジメントも、政策当局者があまりにも速いペースで利上げすれば世界経済は予期せぬ打撃を受ける恐れを心配している。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 山口裕子 Yuko Yamaguchi yuyamaguchi@bloomberg.net Editor:Yoshito Okubo記事に関する記者への問い合わせ先:Rodney Jefferson in Edinburgh at r.jefferson@bloomberg.net;Peter Woodifield in Edinburgh at +44-131-301-5091 orpwoodifield@bloomberg.net.
更新日時: 2011/03/30 14:05 JST
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