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膨大な借金を抱える日本。金利が上昇したら、国債費は急激に膨らむ
余震に身構える日本国債の投資家
2011.04.01(Fri) Financial Times
(2011年3月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日本が3月に起きた自然災害後の復興費用を計算する中、一部の投資家は、その余波が世界最大の債券市場である日本国債を信頼の危機に近づける可能性があるかどうか考えている。日銀は地震と津波の後の数日間で、金融の混乱を回避するために迅速に行動した。リスクを嫌う投資家は日本国債を購入し、円は過去最高値まで上昇した。
だが、最大25兆円と推定される巨額の復興費用を考えると、政策立案者にとって課題となるのは、金利の上昇を防ぎ、日本国債の利回りを現在の水準近くにとどめておくことができるどうか、だ。
莫大な復興費用、金利急騰を防げるか?
このことが、利回りが急上昇した場合にどのような影響が出るのかという不安にスポットライトを当てることになった。
これまでのところ、金利は低水準にとどまり、低下傾向にさえあるため、日本の巨額の債務に対する元利払い費用は耐え難い重荷にはなっていない。10年物国債の利回りは1.23%だ。
だが、金利が上昇すれば、日本の国債費は、とりわけ税収が減少する可能性が高いことから、はるかに大きな頭痛の種になる。
日本の銀行も損失を被る可能性がある。銀行は、借り入れ需要が低くとどまっている間は、保有する日本国債のキャピタルゲインに頼って利益を上げてきた。
日本の3大銀行は、それぞれ数千億ドル相当の国債を保有している。そのため、金利が上昇すれば、世界的に強化される自己資本規制をクリアするために資本の増強が必要になろうとしている時に、キャピタルロスを被る可能性がある。
国内投資家の信頼をつなぎ止められるか?
アナリストらは、日本国債の95%を保有する国内投資家の信頼をつなぎ止めることが、利回りが上昇するかどうかの極めて重要なカギになると話す。景気が減速すれば、利回りが急上昇する恐れは小さくなる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5779
理論的には、政府が例えば子ども手当のような給付金を甚大な被害を受けた東北地方の再建に振り向ければ、復興費用を賄うのに必要な追加の国債発行額が限られたものになることはあり得る(復興費の多くは民間部門によって支払われる)。
ピムコジャパンで運用部門の責任者を務める正直知哉氏は、政府は復興費用を賄うために消費税の引き上げ(議論が予定されている提案)を使うこともできると話す。
だが正直氏は、消費税の引き上げを先送りする可能性が高い日本政府の対応が不十分なものになるのではないかと心配している。
「政府の財政出動が結局は不十分で、時機を逸したものに終わるリスクがある」と正直氏。「この政府が達成しようとしてきた長期的な緊縮財政を先送りする必要がでてくるため、そうした状況は財政プレミアムを高める可能性が高い」
政府の債務残高は、4月に始まる新年度に国内総生産(GDP)の2倍以上に上ると見られる。国債費*1は3月末に終了する年度の税収の約25%、GDPの2%に相当する、とソシエテ・ジェネラルは言う。
経常収支の動向に注目
これが今すぐ危機につながるわけではない。だが、日本が資金不足に陥った場合には、長期的に赤字財政が厄介な問題になる可能性がある。
特に日本の経常黒字がどうなるかが利回りに大きな影響を与える、とアナリストらは言う。短期的には、経常収支の黒字が減少するか、あるいは輸入が輸出を上回った場合には赤字に転落するのではないかという懸念がある。
*1=ここでは国債の利払い費を指していると思われる
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5779?page=2
原油価格の上昇も、経常黒字が減少する原因になるかもしれない。
「そのことが自動的に1〜2年以内に危機をもたらすわけではないが、この傾向が実際に最悪の方向に変わってくれば、その時は信頼を揺るがすことになる」と、みずほ証券の調査部門を率いる高田創氏は言う。
企業が預金を使い、多額の借り入れを行い始めたら・・・
さらに、これまでは日本の企業と家計が手持ちの銀行預金で日本国債を購入してきた。企業がそうした預金を復興代金を支払うために使い始めたり、多額の借り入れまで行ったりした場合には、日本国債に投資する資金はほとんど、あるいは全く残らなくなり、利回りが上昇する可能性がある。
日銀の高官らは、多くのアナリストが好む政策である消費税の漸進的な引き上げを行う余地があると話す。彼らはまた、日本政策投資銀行のような公的な金融機関が資金不足に対処するうえで一定の役割を果たし、民間部門が参加するための触媒として機能することができると言う。
だが、多くの政府高官は、赤字が増加し、日本国債の利回りが上昇し、イールドカーブの傾斜が険しくなることは避けられないと指摘する。
香港のヘッジファンド、ボーリンゴール・インベストメント・アドバイザーズのニック・ビビー氏は、利回りの急上昇が間近に迫っていると主張するのは難しいと言う。だが、長期的な脅威は現実に存在する。「それは、非常にゆっくりとしたスローモーションの列車事故を見ているようなものだ」
By Lindsay Whipp, Robert Cookson and Henny Sender
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5779?page=3
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