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原子力の不経済性・・・・・・(オリジナル投稿)
日本の電力会社は本当に民間会社なのだろうか。
原子力発電をめぐる報道を見ていて、そう感じた。
日本経済新聞の3月24日の報道記事はそのように感じざるを得ないものであった。
老巧化を理由に廃炉が決まっている静岡県の浜岡原子力発電所の1号機、2号機の廃炉費用が実に841億円(3月24日付日経新聞2面記事)。
今回の事故で東京電力が廃炉に要する費用はいったいどれくらいなのだろうか。
放射能に汚染された施設、環境に放出された事による補償費用。
外資系証券の試算では「原発の廃炉費用次第で来年度の最終赤字は1兆円規模に膨らむ」(欧州系証券、3月24日付日経新聞2面記事)という。これが本当なら、東京電力の経営者は全くの無能としか言いようがない。
廃炉費用と補償費用の総額は今の時点では一体幾らになるか想像もつかない。事故が起きた場合に予想される賠償額と責任の範囲は東京電力の自己資本の2兆円をはるかに超える可能性もある。
すでに東京電力の期末配当は未定に決定したと言う。建前上、民間企業である東京電力は利益を上げ、株主に配当を払う義務があるが、それはどこかに吹き飛んでしまった。
事故を起こした原発の設計に関係した技師が、飛行機の墜落とか付属施設のタービンの破損による原子炉の破損まで考えた設計をすべきと提案し、一笑に付されたという話もある。
真偽不明の話だが、もし本当にそうなら東京電力の経営陣は耐震強化についての投資を怠った事になる。仮に施設の強化・改修に10億円かかったとしても、1兆円(あるいはそれ以上の莫大な損失)を負った上に「社会的批判」と「倒産」の憂き目を見るくらいなら、よっぽどマシだと思うのだ・・・・・・
ちなみにドイツの原子力発電所は飛行機の墜落、衝突による事故も想定した設計になっていると聞く、アメリカのスリーマイル島原発にしても、空港が近くにあるのである程度、そのような事を考慮した設計になっていると聞く。
つまり、話が本当なら「手抜き設計の安物」と言う事になるが・・・・・・・・・・・・・・
東京電力だけが潰れるのなら、自己責任の問題で済むが事はそうカンタンではない。放射能汚染による株価への影響は今後も金融、保険業界と経済に少なからぬ影響を与えると言える。
地震により株価が暴落したが、その後に株価が上昇していた建設会社まで放射能汚染が報道されると売られた事は記憶しておいてほしい。
もし、放射能による影響で株価低迷が長期化するようなら、産業界の株式を大量に保有する国内の金融機関に相当の痛手を与えるであろう事は容易に察しがつく。 地震だけが、株価暴落の原因ではないのだ。
オマケに「核のゴミ」問題がある。
今回の事故では未使用の燃料以上に厄介な「使用済み核燃料」がクローズ・アップされたが、使用済み核燃料は世界中のどの国でも最終処理に成功した国はない。ヨーロッパのある国では、地下深くの安全地層に数万年保管する計画を立て実行段階に入っている。
しかし、数万年もの保管に耐える地下施設を作るには莫大な費用がかかる上、本当に数万年も監視を続ける事ができるのだろうか。
原子力が安いなんてのは、廃炉費用や長期に渡る廃棄物処理費用を計算に入れていないのは明らかだ。
つまり経済的には、こう言える。
今の原子力発電は割りの合わない「イカサマ・バクチ」のようなものだ。
勝ってもたかだか数千円、負ければ一生を棒に振る。(昔、どこかの生命保険会社が作ったコマーシャルのセリフだ)
実態を知りつつも原子力という「イカサマ賭博」にのめりこむ政治家、官僚、電力会社、産業界は自己中の典型ではないか。
右よりの人にはこんなことを言う人がいる。
日本が将来、核武装する為にプルトニウムが必要だから、多めに見ろと・・・・・・・
このような人は、現時点でプルトニウムが何トン備蓄されているか知っているのだろうか。
少なく見ても34トン、うち国内にある量は9トン、海外にある量は25トン(2007年12月末現在、社団法人、日本原子力燃料政策研究会)つまり、その気になってIAEAから脱退すれば、核武装するに充分過ぎる程の量をすでに保有している。
なお、これは再処理により抽出済のもので、再処理をしていない量は入っていない。
つまり、核武装の観点から見れば、原子力発電への依存度を高める理由はなにもない。
極右のキチガイが米国やロシアなみに核兵器を保有すると考えているとすれば別だが・・・・・・・・・・・・・・・
東京電力と原子力行政は被災地だけに迷惑をかけている訳ではない。ハッキリ言ってしまえば日本の経済・産業界全体に取り返しの付かない信用失墜と経済損失を与えている。
事故による信用失墜は原子炉の安全性確保の為に地道に積み上げてきた努力を水泡に帰した。日本の原子炉ビジネスには致命的な打撃となった事だろう。
更には、電気料金値上げは必死だろう。東京電力は停電や放射能による操業・営業停止による補償はどうするのだろうか。
東北地方にある数多くの工場がとまり、それによる産業界がこうむった損失をどうするか。
まさか、役所とグルになって「知らんふり」はしないとおもうが・・・・・・
政府官僚と電力会社がズブズムの関係になっていると思われるのは、電力会社を潰さないためにいつの間にか条文が修正されたとしか思えない原子力事故を政府が保証する法律が電力会社がその恩恵を受ける事になっていることからもあきらかだ。
これらは結果的に「増税」と「電気料金値上」げという産業界から見れば「けしからん」ツケまわしを招くことになる。過去に日本の電気料金は高いので国際競争力を失うと主張していた業界があったが、そのな業界は今回の事故をどうみているのだろうか。
日本の原子力発電を海外に売り込む動きが続いていたが、ビジネスシーンでは、今回の事故をどうするのだろうか。
原子力ビジネスの信用が失墜したのは、誰の目にも明らかだが、未だに責任を転嫁する動きがあることにはあきれ返る。
ビジネス現場で、
「日本の原発だからあの程度で済みました。他所の国の原子力発電はもっと危険」とでも言うのだろうか。
「福島の原発のいくつかは米国製で問題のある型だった」と言うのだろうか。
米国では、90年代にダメ原子炉との烙印を押され、改修を求められていたことが一部で言われているが・・・・・・
日本企業の強さは「カイゼン」にあると言われているが、原子力では本家を上回るような「カイゼン」がなされなかったのだろうか。
それとも、「地震に強い筈の原子力発電所も千年に一度の地震だから仕方ありませんでした。」と言うのだろうか。事故原因は技術者の全く専門外の日本の地震学界の研究・予測に問題があり、それらは設計に反映しきれませんでしたとでも言って、ゴマカスのだろうか。
きっと日本の地震学界は今回の原発事故の責任を間接的に転嫁されて苦りきっているに違いない。
電力会社は地震学のすくなくない学者が原子力発電所の安全性に疑問をなげかけていた事を良く知っている筈だ。
その意味では「千年に1度」と主張する地震学者は御用学者で、間接的に電力会社の片棒を担いでいると言えるし、想定外と言う言葉はきっと過去に電力会社よりの地震予想をしていた学者に向けてのもので、国民に向けてのものではないと言えるかもしれない。
それとも某電力会社のように津波対策に今までの2倍以上の防潮堤もセットしましたから安全とでも主張するのだろうか。
いずれにしろ環境や事故が起きた場合の対策費や経済全体に与える影響を考えると原子力発電はあまりにも高コストで、失敗続きのシロモノにカネとヒトとモノをつぎ込んで垂れ流しており、事故や失敗は金融、産業界にも重大な損失を与えることを認識すべきだと思う。
原子力をつかさどる政府官僚と原子力産業、電力会社は経済オンチ、技術オンチと言われても仕方ない。
※最後に、阿修羅への投稿はもう、しないつもりでいましたが・・・・・、今回はブチ切れてしまいました。
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