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「震災後の日本経済は成長する可能性高い」と専門家指摘(週刊ポスト)
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/295.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 3 月 23 日 14:38:03: igsppGRN/E9PQ
 

「震災後の日本経済は成長する可能性高い」と専門家指摘
http://www.news-postseven.com/archives/20110323_15725.html
2011.03.23 07:00 NEWSポストセブン:週刊ポスト

東北関東震災は、3月11日金曜日の午後2時46分に起きた。その週の株式市場が終わる14分前だった。その数分間で株価は急落したが、本当のパニックは翌週の市場が開いてからだった。

月曜、火曜の2日間で日経平均株価は1649円も下げた。株式市場だけで、失われた国富はざっと50兆円以上に上ったのである。ただし、この急落は「人災」だという指摘もある。

「あのような大災害があれば、金儲けだけを考える海外のヘッジファンドは、まず一斉に空売りをかけて危機を煽り、十分に下げたところで買い戻して巨額の利益を得ようとする。事実、そうした動きがありました。それは予想されたのだから、市場を開けることは良いとしても、少なくとも空売りを禁止するとか、大口の空売り注文の発注者を公表するなど、“火事場泥棒は許さない”という日本市場のメッセージを示すべきだった」(金融ジャーナリスト・小泉深氏)

具体的には、経済停滞や保険金支払い増大などを懸念した金融株の下げが目立った。原発事故や計画停電を引き起こした東京電力の株価が急落したのは当然としても、思惑ばかりが先行するマネーゲームの様相を示していた。

「現実には、この地震で銀行の業績が落ちることなどあり得ない。むしろ復興事業で巨額の資金需要が生じるから、ビジネスチャンスを拡大する可能性も十分ある。手持ち株の価値下落は確かに痛いが、昔のように株を大量に保有しているわけではないので、その影響も限定的だ。株価下落は実態を反映していない」(メガバンク幹部)

事実、阪神大震災直後の1995年度には、全国の銀行の業務純益は6兆7435億円となり、直近のピークを示している。もちろん経済成長など他の要因が大きいので一概にはいえないが、少なくとも大震災が銀行の業績を悪化させたデータはない。

実は、売りを浴びせた外国人投資家たちも、株価暴落のさなかに「日本経済は“買い”ではないか」と分析していたフシもある。

立花証券執行役員、平野憲一氏が明かす。

「株価が暴落した3月15日の取引を見ると、売り2に対して買い1が入っている。冷静に分析している投資家は、この下げは日本経済の現状を反映したものではないと見て、ここを絶好の買い時と判断していたことが推測される。

被災地域の被害はもちろん深刻ですが、もともと日本は生産能力に余剰があったので、被災地域外の生産活動を活性化させれば、日本全体の生産能力が著しく落ちるということはない。中長期的には復興需要も起きるから、日本経済は成長する可能性が高いでしょう。 まずは建設機械、橋梁、道路関連などに追い風が吹き、さらに陸運、海運など物流も業績を拡大する余地があります」

もちろん、どんな見方をしようとも災害は朗報にはならないが、だからといって「これで日本経済はもうダメだ」というのは、全く間違った見方なのである。

※週刊ポスト2011年4月1日
 

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コメント
 
01. 2011年3月23日 14:48:09: mHY843J0vA
目先は景気低迷、長期的には回復でしょうね


日経ビジネス オンライントップ>投資・金融>小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論
巨大地震の経済的影響をどう考えるか

* 2011年3月23日 水曜日
* 小峰 隆夫

東日本大震災  増税  復興  財政再建  ソーシャルキャピタル  国債  経済  ねじれ  GDP 

 2011年3月11日に東日本沿岸地域を襲った巨大地震と大津波は、今後日本経済全体に大きな影響を及ぼすことになる。日本経済を襲った戦後最大級の経済的ショックである。その全容はこれから現れてくることになるのだが、ここでは、1995年の阪神・淡路大震災の経験なども踏まえて、影響の及ぶ経路や順番、必要となる対応などについて、現段階で考えられる範囲のことを述べてみたい。

 なお、以下では人命、負傷など人間そのものへの被害については触れない。これは、「経済的に重要ではないから」ではなく、「経済的影響という次元を超えた大きな問題だから」である。

 今回のような大災害の影響を考える時重要なことは、「フローとストック」「短期と長期」の区別である。「フロー」は、支出、生産、所得など、日々流れている経済活動を表す概念で、日頃目にしている経済成長率などの多くはフローの変数である。一方「ストック」は、ある時点での存在量を示す概念で、住宅、工場、社会資本などがその例である。
短期的には景気に大きなマイナスに

 まず短期的には、ストックの滅失が起きる(図1 ストックのフェーズ1)。今回の巨大地震、大津波は、大規模なストックの滅失を引き起こした。

 問題はその規模だ。1995年の阪神・淡路大震災の際に失われたストックは約10兆円と推計されている。これは全国のストックの0.8%に相当するものだった。今回の場合は、被害地域が極めて広範に及んでおり、95年以降相当のストックの蓄積が進んでいるから、滅失額は阪神・淡路大震災の規模を大きく上回ることになるだろう。

 この点については既にいくつかの被害額の試算が出ているが、いずれもこのストックの滅失額を推計したものである。具体的には、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏が20兆円、野村証券の木内登英氏が12.7兆円、大和総研の熊谷亮丸氏が15兆円となっている(2011年3月17日日本経済新聞による)。まだばらつきは大きく、いずれは公的機関の推計が出るだろうが、現在のところは阪神・淡路大地震の規模を上回るという推計ばかりである。

 一方、フローの経済活動も大きな打撃を受ける(図2 フローのフェーズ1)。そのルートとしては、(1)被災地では生産、消費などの経済活動が物理的にストップすること、(2)物流が寸断されるため、部品と最終製品、製品と消費の現場との間が円滑に結ばれなくなること、(3)娯楽が控えられ、心理的にも不急の消費は行われなくなるので、全国的に消費が低迷することなどが考えられる。

 阪神・淡路大震災の時も、発生直後の1995年1月には、消費、生産活動が落ち込んだ。今回は、これに、原子力発電所の事故、関東地区の停電の影響も加わるから、当面のフローの経済活動への悪影響は、かなり大きくかつ長いものとなるだろう。

 今回の災害が起きる直前までの多くのエコノミストの大方の景気認識は、「2番底はなく、2011年度は緩やかな景気の上昇が見込まれる」というものだった。しかし、このシナリオも見直しが必要で、2011年1−3月期、4−6月期のGDP(国内総生産)はマイナス成長となることを覚悟すべきだろう。

 「被災地以外では消費者が買いだめに走っているので、通常よりも消費は増えているはずだから、これがGDPの押し上げ要因になるのではないか」と考える人がいるかもしれないが、そうはいかない。買いだめによって店が品切れ状態になっているということは、在庫がなくなったということである。すると、「消費という需要の増加」の一方で「マイナスの在庫投資という需要の減少」が起きるので、これによってGDPが増えることはない。
長期的には復興需要が成長を引き上げる

 しかし、長期的に見るとかなり様相が違ってくる。ストックについては、復旧が進むにつれて、滅失した分が回復してくる(図1 ストックのフェーズ2)。

 フローについては、当初の落ち込みは次第に元に戻る。生産活動は復興してくるし、別の地域での生産に置き換えられる分もある。物流も回復する。消費者マインドもやがては正常化するだろう。

 さらにこれに、失われたストックを回復することがフロー面での投資の増加となる。滅失した住宅ストックを回復するための住宅投資、道路、港湾、鉄道などの機能を回復するための公共投資が増えるはずだ。滅失したストックが巨大なものだけに、それを回復するための投資規模はかなり大きなものとなるだろう。

 これは、ケインズ型の公共投資による景気刺激策が巨大な規模で行われるのと同じことになり、これによってフローの経済成長率は高まると考えられる(図2 フローのフェーズ2)。

 このように説明してくると、筆者が「大災害と思われていたものが実は長期的には経済にプラスなのだ」と言っているように思われるかもしれないが、そうではない。私たちが日頃目にするGDPなどの経済指標は、もともとフローの概念であり、ストックの滅失はカウントしない。つまり、災害の負の側面は無視し、正の側面だけをカウントしているからこのようなことが起きるのである。
問われる政治の対応力

 さて、これによって当然財政支出は増大し、その財源をどうするかという問題が起きる。これについては、次の3つの道を考える必要がある。

 第1は、既存予算の組み替えである。この点については、日本経済研究センターが3月16日にまとめた「東日本巨大地震緊急提言」で、5兆円以上の対策が国債増発なしに可能だとしている。表に見るように、2010年度と11年度の予備費に加え、子ども手当、高校の無償化、高速道路の無料化などの分を振り向ければ5兆円規模になるというわけだ。

 要するにマニフェストで約束したことをやめて、全て復興財源にすべきだということである。これには私も大賛成である。もともと民主党のマニフェストは、経済の実力に比べて過大な約束(いわゆる「ばらまき」)だったのだから、復興予算がなくてもやらない方が良かったものだ。それを党のメンツもあって実現にこだわり続けてきたものばかりなのだから、この機会にやめた方がいいと私は思う。

 なお、やや技術的になるが、家計に回すはずの資金を公共事業に振り向けると、それだけで経済効果は高まる(経済効果のために対策を行うわけではないが)。これは、家計に渡した資金は貯蓄に回って支出されない分が相当出るが、公共事業は100%GDPの需要となるからである(いわゆる「乗数効果」の違い)。

 第2は、増税である。この点は議論が分かれ、「ただでさえ経済が大きな打撃を受けるのだから、増税なんてとんでもない」という声も強い。しかし、巨額の復興費用が必要とされる時、その分を現世代が負担せず、将来世代に先送りするのも不適当であろう。

 税の形態としては、いろいろなものが考えられるが、前述の日本経済研究センターの提言では、あらゆる化石燃料に課税して5兆円程度の財源を確保するという案を示している。環境税であり、合わせて温暖化ガスの削減も実現してしまおうというものである。

 第3は、国債である。ただでさえ財政赤字が巨額に達しているので、出来れば避けたいところだが、ある程度の国債増発はやむを得ないだろう。復興目的の特別国債を発行するという案も出ている。いずれにせよ財政赤字は再度拡大することになるだろうから、これまでの財政再建目標(2020年度までにプライマリーバランス黒字)は見直さざるを得ないだろう。

 こうした財政措置を講じていく上で必要になるのが政治の対応力である。震災前の大きな課題が、ねじれ状態にある政治の中で、政策をいかに円滑に遂行していくかであった。我々は、政権交代が可能な2大政党の時代に入った以上は、いわば「ねじれの常態化」が起きる。しかし、政治の意思決定の仕組みは依然として一党単独多数状態のままだ。単独多数の時代には、野党は与党に反対し、審議を遅らせたり、閣僚をクビにしたりすることがポイントとなった。しかし、ねじれ状態でそういう足の引っ張り合いをやると、意思決定が混乱する。これが震災前までの政治の姿だった。

 これを解決するには、政党が多数派工作の中で離合集散型を繰り返すタイプの解決ではなく、与野党が議論して妥協点を目指していくことが必要になる。日本の政治は、これまでそれがほとんどできなかったのだが、今回の震災対策の緊急時に、超党派での取り組みの動きが出てきている。今回それが果たされた場合は、このケースを今後の意思決定のモデルとして欲しいものだ。
表 日本経済研究センター提言による震災対策5兆円の財源 費目 金額(兆円)
2010年度予備費 0.2
2011年度予算
子ども手当 2.2
農業戸別所得補償制度 0.6
高校の実質無償化 0.4
その他(高速道路の無料化など) 0.4
経済危機対応・地域活性化予備費 0.8
予備費 0.4
合計 5.0

(出典)日本経済研究センター「東日本巨大地震・緊急提言」(2011年3月16日)より。
復興過程でも重要になるソーシャルキャピタルの役割

 さて、こうした復興を図っていく時に、もう一つのストックが重要な役割を果たすことになる。それはソーシャルキャピタルというストックである。

 ソーシャルキャピタルという概念の生みの親である社会学者のパットナムは、これを「人々の協調行動を促すことにより社会の効率性を高める働きをする信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」と説明している。つまり、信頼関係、ネットワークなどは一種のストックであり、その存在が地域の活性化、経済活動、コミュニティーの形成などに大きな役割を果たしているということである。近年の研究では、イノベーション、起業など幅広い分野で、こうしたソーシャルキャピタルの存在が重要な役割を果たしていることが明らかにされている。

 今回の災害に際して、特に海外のメディアは、日本人の災害に対しての規律正しさと助け合いの精神を称賛している。災害時もパニックにならずお互いに声をかけて助け合う。スーパーの棚が崩れても、略奪や持ち逃げは起きない。起きないどころか、客が棚に商品を戻している。長いタクシーの列にも辛抱強く並ぶ。こういった日本人にとっては当たり前のことが、海外からは驚異の目で見られている。

 これは私の身の回りでも見られたことである。私自身は、地震発生当時、日比谷に居たのだが、交通が途絶したため、近くの帝国ホテルで待機した。ホテルのロビーはさながら難民収容所の様相を呈していたのだが、ホテル側は全くいやな顔一つせず、ありったけの椅子をロビーに置き、さらに無料で毛布やペットボトルの水を配っていた。

 また、知人は大手町のオフィスから4時間かけて徒歩で帰宅したのだが、途中の靴屋さんは「自由に使ってください」と歩きやすい靴を無料で提供したそうだし、あちこちで「トイレあります」という表示が見られたという。

 こうした非常時における同朋意識と助け合いの精神は、間違いなく日本に根強く存在するソーシャルキャピタルだと言える。地域におけるソーシャルキャピタルの存在がコミュニティーを育て、安全な社会を実現する力を持っているように、日本全体のソーシャルキャピタルが世界に誇るべき災害への対応をもたらしたのである。

 これから問われるのは、こうして緊急時に発揮された日本のソーシャルキャピタルが、復興の過程でもその力を発揮できるのかどうかである。歴史的な災禍に直面した日本が、復興のコストを進んで分かち合い、力を合わせて復興できるのか、それが問われることになる。
このコラムについて
小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論

「ワンクラス上」というタイトルは、少し高飛車なもの言いに聞こえるかもしれません。でもこのタイトルにはこんな著者の思いが込められています。「タイトルの『ワンクラス上』は、私がワンクラス上だという意味ではありません。世の中には経済の入門書がたくさんあり、ネットを調べれば、入門段階の情報を簡単に入手することができます。それはそれで大切だと思います。しかし、経済は『あと一歩踏み込んで考えれば新しい風景が見えてくる』ということが多く、『その一歩はそんなに難しくはない』というのが私の考えなのです。常識的・表面的な知識に満足せず、もう一歩考えを進めてみたい。それがこの連載の狙いであり、私自身がその一歩を踏み出すつもりで書いていきたいと思っています。コメントも歓迎です。どうかよろしくお願いいたします」。日本経済、そして自分自身の視点を「ワンクラス上」にするための経済コラムです。

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著者プロフィール

小峰 隆夫(こみね・たかお)
小峰 隆夫

法政大学大学院政策創造研究科教授。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。著書に『日本経済の構造変動』、『超長期予測 老いるアジア』『女性が変える日本経済』、『最新日本経済入門(第3版)』、『データで斬る世界不況 エコノミストが挑む30問』、『政権交代の経済学』、『人口負荷社会』ほか多数。


02. 2011年3月23日 20:07:32: ibwFfuuFfU
いやな言い方だが大震災はデフレギャップの解消をもたらすから、経済的にはプラスなのだ。人的な災害は無論別の話だが

03. 2011年3月23日 20:17:03: cqHGQgG1nM
海外から日本製の製品は汚染されてるから引き取らないと言ってる。

船が日本に来るのも拒否されてる。


04. 2011年3月23日 20:55:18: eEUIuxvjtA
震災だけならばあり得る話だったかもしれない。
しかし、大人災がプラスされた今...

05. 2011年3月23日 21:50:50: 6lXryMofHM
震災後の復興を予想する人は、原発の放射能汚染を考えていない。

これ以上関東の放射能汚染が続く場合、外資の不動産投資は大きな負債を被り、流通換金性が無くなれば価格下落により国内金融機関も不良債権が膨らむことになる。

東京圏脱出組みが今後も増えるでしょう。


06. 2011年3月23日 23:44:44: 3toON8WSP2
地震災害+放射能災害で復興は夢物語。
福島の直ぐ北の宮城県は茨城県並みの放射線被害。
宮城県が地震から立ち直ったときが悲劇の再開。



07. 2011年3月23日 23:49:43: 3toON8WSP2
北関東と福島・宮城県では農業が出来なくなった。
セシウムの半減期は30年。
セシウム汚染が酷いところでは100年農業なんか出来ない。

セシウムはカリウムに化け食物連鎖で濃縮される一方。
東日本では死産・奇形児が増える。
誰も住みたくない土地なんか復興するだけ金の無駄。


08. 2011年3月24日 00:19:02: 1e8f8KY039
地震が復興のきっかけになりえるということは、
当面戦争が引き起こされる可能性は低下したのか。

09. 2011年3月24日 00:25:44: mHY843J0vA
大体、皆、似たような見積もり

http://diamond.jp/articles/-/11576
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層 
震災のマクロ経済へのインパクトは多極化 経済的コストは12〜17兆円 森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト 
【第15回】 2011年3月23日

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ証券グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長/チーフストラテジスト],森田京平 [バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト]
建物被害
――5〜10兆円の復興費用
 まず(1)「地震と津波」の影響に注目しよう。具体的には、i)建物被害の復興費用、ii)消費行動の慎重化、iii)税関機能の停止の3点に注目する。
 人的被害と建物被害のうち、復興費用という意味での被害総額に直接影響するのは建物被害だ。阪神淡路大震災の被害総額は9.9兆円(GDP比 2%)に及んだ。今回の地震については、現時点で公表されている建物被害が仮に最終的な被害だとすれば、10兆円を超えることはなさそうだ。
 しかし、今後、被害状況の把握が進むにつれて、建物被害が一層大きくなる可能性がある。この点を踏まえると、建物の復興費用は5〜10兆円程度と見込まれる。
物消費行動の慎重化
――個人消費を2兆円程度抑制
 建物被害が直接的に復興費用を左右するのに対し、人的被害は個人消費を抑制する。今回は地震に津波の影響が加わったことで、特にこの人的被害が甚大になりそうだ。
 阪神淡路大震災が起きた1995年1月の個人消費(内閣府『消費総合指数』)は、前月比−4.9%と急減した(図表3参照)。翌2月には 同+2.3%と増加に転じたが、震災直前の1994年12月の水準に戻るには、ちょうど1年後の1995年12月まで待たなければならなかった。

 細かい動きを排除するため四半期ベースで振り返っても、個人消費は1995年1-3月期に前期比−2.3%と、やはり大きく落ち込み、その後4-6月期+1.7%、7-9月期+1.0%、10-12月期+0.7%と持ち直した。
 今回は、すでに公表されている分だけでも、死亡と行方不明を合わせた人的被害が阪神淡路大震災の3倍を超えている。これは、個人の消費行動を一層慎重化させる可能性がある。 
次のページ>> 税関機能停止の影響で、輸出は1496億円、輸入は2172億円減少

建物被害
――5〜10兆円の復興費用
 まず(1)「地震と津波」の影響に注目しよう。具体的には、i)建物被害の復興費用、ii)消費行動の慎重化、iii)税関機能の停止の3点に注目する。
 人的被害と建物被害のうち、復興費用という意味での被害総額に直接影響するのは建物被害だ。阪神淡路大震災の被害総額は9.9兆円(GDP比 2%)に及んだ。今回の地震については、現時点で公表されている建物被害が仮に最終的な被害だとすれば、10兆円を超えることはなさそうだ。
 しかし、今後、被害状況の把握が進むにつれて、建物被害が一層大きくなる可能性がある。この点を踏まえると、建物の復興費用は5〜10兆円程度と見込まれる。
物消費行動の慎重化
――個人消費を2兆円程度抑制
 建物被害が直接的に復興費用を左右するのに対し、人的被害は個人消費を抑制する。今回は地震に津波の影響が加わったことで、特にこの人的被害が甚大になりそうだ。
 阪神淡路大震災が起きた1995年1月の個人消費(内閣府『消費総合指数』)は、前月比−4.9%と急減した(図表3参照)。翌2月には 同+2.3%と増加に転じたが、震災直前の1994年12月の水準に戻るには、ちょうど1年後の1995年12月まで待たなければならなかった。

 細かい動きを排除するため四半期ベースで振り返っても、個人消費は1995年1-3月期に前期比−2.3%と、やはり大きく落ち込み、その後4-6月期+1.7%、7-9月期+1.0%、10-12月期+0.7%と持ち直した。
 今回は、すでに公表されている分だけでも、死亡と行方不明を合わせた人的被害が阪神淡路大震災の3倍を超えている。これは、個人の消費行動を一層慎重化させる可能性がある。
次のページ>> 税関機能停止の影響で、輸出は1496億円、輸入は2172億円減少

 なお足元では、トイレットペーパーなどの日用品や食品で買いだめが見られる。政府はそのような消費行動を控えるよう訴えているが、当分、止まりそうにない。これも反動減を通じて、4月以降の消費のマイナス要因となろう。
 人的被害の大きさを考慮すれば、今回は阪神淡路大震災を上回る年率2兆円程度の押し下げ圧力を持とう。
 なお、個人消費への影響を考える上で株価の急落も無視できない。阪神淡路大震災のときも、株価は震災直前の水準から8%下がった。たとえば、日経225種平均は1995年1月13日の1万9331円から同月23日には1万7785円まで落ちた。
 しかし、今回の下げ足はもっと速い。足元で日経225種平均は9000円前後と、震災前の3月10日の1万0434円から14%落ちている。した がって、阪神淡路大震災の経験を参考として得た上記の「2兆円程度抑制」という結果は、足元での株価下落の影響を十分考慮したとは言えないかもしれない。 これについては、章を変えて後述することにしよう。
税関機能停止の影響
――輸出は1496億円、輸入は2172億円減少
 地震・津波によりいくつかの税関(港、空港)は機能停止に追い込まれている。同様のことは阪神淡路大震災でも生じた。
 たとえば、年間輸出額が5兆円、輸入額が2兆円を超える神戸港が機能停止に追い込まれたことで、震災の起きた1995年1月は輸出が前月比 −5.3%、輸入が同−1.9%と落ちた(図表4参照)。神戸港は輸出額の方が多かったことから、輸入よりも輸出の方が大きく落ち込んだ。

 横浜税関、函館税関の報告によると、3月16日時点では以下の港、空港の税関が機能停止となっていた。
・NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)、窓口ともに停止:小名浜港、相馬港、仙台塩釜港、石巻港、気仙沼港、宮古港、釜石港、大船渡港、仙台空港(但し3月17日復旧)
次のページ>> 計画停電や自主節電の影響は、製造業のGDPを5兆円抑制
・NACCSは停止、窓口は正常稼動:日立港、八戸港
 したがって、これらの税関(ただし復旧した仙台空港を除く)を通過する貿易も停止を余儀なくされる可能性がある。2010年のデータによると、こ れらの税関を通じた貿易額は輸出が8976億円(2010年輸出額の1.3%)、輸入が1兆3031億円(同2.1%)であった(図表5参照)。

 神戸港が輸出超の税関であったのに対し、今回、機能停止に追い込まれた税関は全体としては輸入超となっている。したがって、輸出よりも輸入の方が落ち込みやすいであろう。
 仮にこれらの税関が2ヵ月機能停止になり、かつ、他の税関への迂回を想定しないと、輸出は1496億円、輸入は2172億円減る計算となる。これは貿易収支の黒字幅を676億円膨らませる。
 もちろん、税関の機能停止期間がどの程度になるか、他の税関への迂回がどの程度進むか、などは現時点ではわからない。ただし、物流網自体の機能が停止していることを考慮すると、他の税関の代替は簡単には進まないであろう。
計画停電や自主節電の影響
――製造業のGDPを5兆円抑制
 次に、(2)「計画停電や自主節電」の影響を見ておこう。東京電力は3月14日、計画停電を始めた。これは、電力需要が供給を上回ると予想される 際などに、送電の停止を予告した上で停電を行なうことを指す。今回は、対象地区を複数のグループに分けた上で順次停電を行なうことから「輪番停電」と呼ば れることもある。
 電力販売の中でも、大口販売電力量は製造業の生産活動との相関が高い(図表6参照)。ただし、大口販売電力量に対する生産の弾性値(大口販売電力量が1%変化したときの生産の変化率)は、各地域の産業構造によって異なる。
次のページ>> 電力に対する生産の弾性値がかなり高い関東の影響に、注目
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 そこで、製造業が生み出したGDP(付加価値)の地域分布を見ると、関東が32.7%と突出して高いことがわかる(図表7参照)。これは、日本の製造業が関東に偏って分布していることを意味する。

 同時に、製造業が関東に偏在するという特徴は、関東にもう1つの経済的特徴を与える。関東では、電力に対する生産の弾性値が1.85とかなり高くなる(図表8参照)。
弾性値の高さを考慮すると、今回の計画停電が関東で行なわれているという点は、震災の経済的影響を考える上で1つのポイントとなる。

 まず、日本の大口販売電力量が電力会社10社の間でどのように分布しているかを見ると、東京電力は29.6%(製造業向けでは27.0%)を占め ることがわかる(図表9参照)。また、「計画停電」に加えて各経済主体の自主的な節電によって、大口販売電力量は通常時より30%減ると想定する。

 これは、東京電力が公表した資料によると、i) 3月14日(計画停電の初日)の電力需要の実績(8300万kW)が、地震を考慮しない場合の想定需要(1億3200万kW)より37%小さかったこと、 ii) 3月15日も同様に31%小さかったこと、iii) 3月14日、15日いずれも平日であるため週末の節電効果は30%よりも小さくなるはず、という3点を考慮した結果だ。
 一方、わからないのは計画停電や自主的な節電がいつまで続くかだ。決定的な材料はないが、ここでは3ヵ月続くと想定した。
 以上から、今回の計画停電や自主的な節電により、東京電力の大口販売電力量は年当たり7.5%(=30%×1/4年)減る。このとき、関東の製造業の付加価値は13.9%(=7.5%×弾性値1.85)減る。
次のページ>> 原子力発電所問題の影響は、電力業のGDPを0.3兆円抑制
 直近2007年度の内閣府『県民経済計算』によると、関東の製造業の付加価値は36.1兆円であったことから、13.9%の付加価値減はおおむね5兆円(=36.1兆円×13.9%)に相当する。
 関東の製造業の生産活動が減れば、当然、他地域にも負の波及効果が生じる。しかし、ここではその効果は考慮しなかった。関東が「域内交易型」の経済構造を有しているからである。これは関東が相対的に「自己完結型」の経済圏を形成していることを意味する。
 なお東京電力に加えて、東北電力も計画停電をする方向にある。東北地方の製造業も巻き込む形で、ここでの試算結果以上に製造業の付加価値が減る可能性もある。
原子力発電に関わる問題の影響
――電力業のGDPを0.3兆円抑制
 (3)「原子力発電に関わる問題」の影響も重要だ。電力会社10社の発電量を電源別に見ると、2009年の発電量9565億kWhのうち原子力は29%(2770億kWh)を占めた(図表10参照)。

 日本には、現在稼動中の原子力発電所が17ヵ所(炉数54基)ある。このうち、今回の震災の影響で稼動停止に追い込まれたのが福島第一原子力発電所(炉数6基)と福島第二原子力発電所(炉数4基)。
 仮に、同発電所の発電が今後完全に停止されると想定すると、513億kWh(=2770億kWh×10/54)程度の発電量の減少となる。これは全体としての発電量の5.4%減に相当する。
 内閣府『国民経済計算』によると、直近2009年の電気業のGDPは5.7兆円。発電量に比例してGDPも減るとすると、電力業のGDPは0.3兆円(=5.7兆円×5.4%)減る計算。
 中長期的にはより深刻な問題がある。もう一度、図表10を見ると、2014年度、2019年度に向けて、日本が原子力発電に対する依存度を高める 姿が見て取れる。しかし、今回の福島第一原子力発電所の問題を受けて、このシナリオ自体が危機に晒されている。日本の経験を受けて、ドイツでは同国内の原 発計7基を3ヵ月間、一時停止すると発表した。こうした動きは他国にも広がりかねない。
次のページ>> 今回の震災の経済的コスト(推計値)は、12〜17兆円
 原子力に代わる代替電源の調達に時間がかかるとすれば、日本経済が中長期的に「電力制約」に直面するリスクがある。同時に、これはインフレ圧力にもつながりかねない。次回以降の課題として今後も検討していくつもりである。
株価の急落の影響
――影響は限定的
 最後に、(4)「株価の急落」の影響を見ておこう。前述したとおり、阪神淡路大震災の経験を参考として得た「個人消費2兆円程度抑制」という結果 は、足元での株価の下落を十分反映していない可能性がある。阪神淡路大震災のときは、震災直前の水準から日経225種平均が8%下がったのに対し、今回は 14%も落ちているからだ。
 今回の追加の下げ幅である6%(=14%−8%)は、おおむね日経225種平均の500〜600円程度に当たる。これが日本のGDPに与える影響 は、1年目で−0.01%、2年目で−0.04%と小さい(図表11参照)。日本の家計が株式保有比率を低くしているためである。

 もちろん、今後の株価次第ではあるが、現在の水準で下げ止まるとすれば、先の「個人消費2兆円程度抑制」からさらに下げ余地を見る必要はなさそうだ。
今回の震災の経済的コスト(推計値)は12〜17兆円
 以上から、(1)地震と津波、(2)計画停電や自主節電、(3)原子力発電に関わる問題、(4)株価の急落の4点を考慮すると、今回の震災の経済的コストは以下のように試算される。
・建物被害=復興費用=5〜10兆円(GDP比1.0〜2.0%)
・その他のGDP抑制効果=個人消費2兆円抑制+輸出1496億円減−輸入2172億円減+製造業のGDP5兆円減+電力業のGDP0.3兆円減=7兆円(GDP比1.4%)
・合算した経済的コスト=12〜17兆円(GDP比2.4〜3.4%)
次のページ>> 実質GDP前期比伸び率は4-6月期を下方修正、それ以降は上方修正
現状把握さえままならないほど不透明な中での推計であるため、相当程度幅を持って見ていただく必要がある。また、決済機能の低下、家賃収入の減少、 生産マヒに伴う意図せざる在庫減(=マイナスの在庫投資)なども考慮される必要があるが、現時点では数量化が難しく、上記の推計には明示的には反映できて いない。こうした中、今後の状況変化に応じて、試算結果を大きく見直す可能性があることもご留意いただきたい。
経済的コストの時間軸への配分
実質GDP前期比伸び率は4-6月期を下方修正、
7-9月期と10-12月期を上方修正
 仮に経済的コストが12〜17兆円であるとして、これをどう時間軸上に配分するかが難しい。GDPで大きなイメージを描くと図表12のようにな る。当初は建物被害や物流の寸断などで企業の生産活動は落ち込む。その後、復興需要や消費者マインドの戻りなどを受けて需要拡大効果が現れる。

 生産減少局面から総需要拡大局面への移行の鍵を握るのが、「呼び水」としての財政政策。しかし、たとえば2010年度第二次補正予算がいつ、どの 程度の規模で組まれるかは現時点では定かでない。財政が出動する前に民間主導で復興需要が伸びることはないとは言えないが、インフラなど港湾や道路など公 共財の復興はやはり財政にかかっている。
 不透明要素は多々あるものの、阪神淡路大震災の影響が出現したパターンなどを考慮すると、本稿での試算結果を踏まえた実質GDP成長率(前期比年 率)は、従来の当社の見通しと比べて4-6月期が下方修正(+3.2%→+0.8%)、7-9月期と10-12月期が上方修正(それぞ れ+2.4%→+3.2%、+1.9%→+3.0%)となる(図表13参照)。

 なお、年間ベースの実質GDP成長率は2011年度+2.0%から+1.7%に下方修正、2012年度は+1.8%で変わらない。ちなみに、暦年では2011年は+1.9%から+1.6%に下方修正、2012年は+1.9%で据え置きとした。
質問1 東日本大震災を経て、日本の2011年度の経済成長率はどうなると思う?
42.3%
深刻なダメージで落ち込む
25.9%
復興需要でむしろ上向く
23.8%
ネガティブ要因とポジティブ要因で相殺されて変わらず
7.9%
何とも言えない



10. 2011年3月24日 01:07:08: 3toON8WSP2
輸出入が減るのは税関の機能停止だけが原因じゃない。
放射能物質が付着した日本の農作物なんか輸入してくれる国なんか無い。
コンテナに放射能物質が付くのさえ拒否されれば、工業品の輸出もままならない。

エコノミストが経済を予測しても当たらない。
当たったら、儲ける者が多すぎて胴元が困ってしまう。


11. 2011年3月24日 05:11:42: 1P0uO3FMP2

東日本巨大地震:日本製部品の供給中断、世界に影響(上)

 東日本大地震による経済的余波が地震発生から1週間となる18日、ついに太平洋を越え、米国にも到達した。米ゼネラル・モーターズは同日、ルイジアナ州のピックアップトラック生産工場での操業を21日から約1週間にわたり中断すると発表した。今回の震災の影響で米国の自動車工場の生産がストップするのは初めてだ。


 韓国のルノーサムスン、韓国GMは18日から日本製エンジン、変速器の在庫不足で減産に入った。サムスン電子、LG電子、アップル、ノキアなど電子メーカーも日本製部品の不足で対応に苦慮している。


 日本を襲った地震と津波は、製造業の世界的なサプライチェーンも直撃している。部品・素材大国の日本が揺らぎ、それに依存してきた欧米・アジアの製造業者は連鎖的に工場の操業中止を余儀なくされている。


■世界の自動車業界、生産ストップの危機


 1台の車には通常約3万個の部品が使われている。どれか一つが欠けただけでも生産ラインがストップする可能性がある。双竜自動車の新モデル「コランドC」に使われるシリンダーブロックを供給してきたテクノメタル(福島県二本松市)は地震の影響で、二本松工場と北本工場(埼玉県)の操業を20日まで中断している。


 同社は輸出に使用している横浜港が地震による影響を受けたため、18日に最後の在庫部品を新潟港経由で韓国に輸出した。


 特定部品を日本メーカーに依存している完成車メーカーは少なくない。日本の部品メーカーは、小さい市場にも徹底して参入を図り、「規模の経済」を達成してきた。電子部品用のスイッチやコンデンサーを生産するアルプス電気は宮城、福島両県にある7カ所の工場が操業を中断している状況だ。このためボルボ、フォルクスワーゲン、スカニア、フィアットなどアルプス電気の部品に依存している自動車メーカーの生産に影響が出るのは時間の問題とされる。


 現代自動車はソナタ、グレンジャーのエンジンに使われるタイミングチェーンを椿本チエイン(大阪市)から毎年100万個調達している。工場は主に関西地区に集中しているが、埼玉県飯能市にも生産拠点がある。同社関係者は「電力不足で工場稼働が一時的に中断すれば、注文に対応するのが困難になることもあり得る」と説明した。


【ニュース特集】東日本巨大地震

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/news/20110319000036

東日本巨大地震:日本製部品の供給中断、世界に影響(下)

 18日に減産に入ったルノーサムスンも事情は同じだ。減産の直接原因となった部品はウォーターポンプで、生産元はカナダ系のマグナ・パワートレインだ。しかし、ウォーターポンプに付属するメカニカルシールは日本企業が生産している。


 トヨタ系自動車部品メーカー、デンソーの韓国総代理店、ディーゼルサービス・コリアのノ・ヨンチョル社長は「地震の被害が深刻な岩手、福島、茨城の各県に自動車部品工場が集中している。これら企業が生産する小さな部品(の生産中断)が、より大きな部品を生産する各国企業に連鎖的な影響を与えている」と指摘した。事態の深刻さは、ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)が「部品供給網が完全に崩壊した」と語るほどだ。


■電子・鉄鋼も在庫確保困難に


 電子業界も素材の確保に支障が生じている。特に日立化成工業が世界シェアの90%以上を占める液晶パネル用の異方性導電フィルム(ACF)が問題だ。サムスン電子、LGディスプレーもACFを日立化成からの輸入に100%依存している。日立化成は福島、茨城両県の工場が地震や原発事故の影響で操業がストップしている状況だ。


 電子部品に必須の積層セラミックコンデンサー(MLCC)を生産する村田製作所、TDKは、電力供給の問題で工場の操業を一時中断している。台湾メーカーが生産するMLCCが中低価格の製品に使用されるのに対し、日本メーカーの製品は携帯電話端末、ノートパソコン、テレビなどに使われる高価格のMLCCを生産している。台湾のノートパソコンメーカーは現在、代わりの調達先を確保するのに苦慮している。


 半導体や液晶用の露光装置を生産するニコンも宮城、栃木両県にある工場が操業を中断している。韓国、米国、欧州などのスマートフォン(多機能携帯電話端末)メーカーは、ニコンの操業再開状況を踏まえ、生産量を調整しなければならない状況だ。


 日本は鉄鋼の生産量が世界の8%にすぎないが、自動車、電子部品などに使われる高級鋼材を生産している。このため、欧州、インドの自動車メーカーは日本からの自動車用鋼板の輸入に影響が出るものと予想される。


金熙燮(キム・ヒソプ)記者


【ニュース特集】東日本巨大地震

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/news/20110319000037


12. 2011年3月24日 08:45:43: ACowbuCQwg
まず考えることは、あの多くの被災者が元の土地にそのまま戻って行けれるのだろうかという懸念がある。
あれだけの巨大な地震津波の被害を蒙って、また同じ土地に、再び同じ規模の町々を再生していけるのだろうか。
幹線道路や鉄道といったインフラが再構築されたら、人々の生活はすぐにも安定していくといえる経済的状況にあるのだろうか。
今回はあまりにも被災の痛手が大きすぎる。
とにかく安心、安全の生活環境が確保されない限り、再生はきわめて難しい状況にあることは否定できない事実である。

福島原発の事故にしても国内では未曾有の規模のいまわしい災禍である。
誰が、もう一度あの周辺地域の町々を再生しろと言えるのであろうか。
放射能汚染の被害は一過性のものではない。
その汚染の実態と規模はいまだ不透明であるが、短期間で解決される状況とはいいがたいものである。
今後とも、福島近県は農業生産や水産業は汚染拡散で壊滅的打撃を受ける可能性
がある。
そうしたもっとも大事な生活の基盤が、広範囲の地域で脅かされつつあるのだ。

財政が逼迫し借金まみれでありながら、ここで何らかの増税策を画策すれば、いよいよ日本経済は萎縮していくことになる。
政府の対応は、災害時においてもお粗末きまわりない。
国民大衆の政治への不信感は相当に根深いものがあるように思える。
しかもここにきて年金制度同様、原発推進の化けの皮もさらけ出された。
これまでの利権を追い求めてきた政治家や私企業の負の遺産が、ようやくその本当の姿を国民の目の前に現れ出たということだ。

そうした国民の不信感を払拭して、そこに新たな手立てを見つけ出すことは容易ではあるまい。
「日本経済は成長する」といわれても、現状では容易に納得できない机上の空論に過ぎない。
現状を見る限り、東北部を中心に手ひどい災害という傷を受けて当分の間、日本経済は低迷し、もがき続けるのではないのか。
結局、今後の展開を推測すれば、財政は逼迫したまま消費低迷のジリ貧の厳しい経済状態がこのまま続くということになる。
日本経済の衰退期に、まさしく止めを刺された感じではなかろうか。

より現実的予想はこちら:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110319-00000501-san-int
すでに策定されたロシア政府の危機管理経済戦略スケジュールでいくと、日本は現在B、Cの段階ということになる。

@日本国巨大地震被害→A福島原発事故発生→B関東上空域大気汚染・放射性生成物質降下・
海中垂れ流し汚染・放射性ヨウ素、セシウム高レベル汚染地域拡大→国内計測
データ改竄と隠蔽C農産物、魚介類汚染・水質汚染顕在化・食品流通の混乱と麻
痺→D健康被害懸念・食糧危機発生・食料配給制化→E国内パニック拡大・前期小児放射線障害
疾患発現→F低レベル政権崩壊→G国内生産力低下・円暴落・日本経済破綻状態
→H市民大移動・治安悪化・暴動騒擾状態発生→I米軍再駐留と統治→J退避勧
告汚染地域拡大→K国外退避選択→L実質日本国崩壊→Mロシア政府は放射線障
害児童及びシベリア方面日本人労働移住者受入開始(すべてルーブル決済)


13. 2011年3月24日 10:21:17: cqRnZH2CUM
まあ経済なんて生き物だから
意欲のある人間が頑張っていけば成長し
屑みたいな足を引っ張る悲観的な人間が多ければダメな国になるってことだろう

14. 2011年3月24日 11:56:22: 1P0uO3FMP2

【インタビュー】地震による取引所閉鎖まったく考えず=斉藤東証社長

2011年 3月 24日 7:26 JST

【東京】東京証券取引所の斉藤惇社長は、東日本大震災を受けて外国投資家の一部から市場の閉鎖を求める声が出ていたことについて、日本から逃げだしいというのがその要求の本音であると指摘した上で、自分勝手な言い分だと非難した。

 斉藤社長は23日のウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「閉めろと外資系は言いたかった。なぜなら自分が逃げたかったから。そういうことはどうでもいい」と語った。



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東京証券取引所の斉藤惇社長
http://jp.wsj.com/var/plain_site/storage/images/media/images/110324_tse_01.jpg/4371202-1-jpn-JP/110324_tse_01.jpg.jpg

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 野村證券の副社長だった斉藤氏(71)は、今回の非常時において取引所の閉鎖を考えたことは一度もなかったという。

 一方、東証より規模が小さいものの、デリバティブ取引プラットフォームを運営している大阪証券取引所との経営統合協議に関しては、統合の実現までにはまだ課題があるとして、慎重な見方を示した。

 斉藤社長は統合協議の道筋について、「両方ががれきの中を歩くような交渉」と表現し、「方向感が違うということになれば、だめでしたということもあると思う」と述べた。

 同社長は大地震後に大証の米田道生社長と電話で話したことを明かし、市場が落ち着くとともに被災した福島原発の状況が安定した時点で協議の場を持つことで合意したという。取引所の世界的な再編が進む中、米田社長は10日、統合について、3カ月以内の基本合意を目指すと発言していた。

 マグネチュード9.0の大地震が東日本を襲ったのは11日の大引け間際の時間だった。斉藤社長は地震発生を受けて、業務継続計画を実施する対策本部を設置した。東証のサーバー、水中ケーブル、データセンターでの被害はなかったが、証券会社3社のシステムで小さな異常があったと報告されたという。

 実際、業務全てが緊急時対応マニュアル通りに行われ、斉藤社長は午後7時半までには車で自宅に向かうことができた。同社長は車の中で、NYSEユーロネクスト最高経営責任者で長年の友人であるダンカン・ニーダーアウアー氏など、海外の証券取引所関係者からのメール十数通に返信を送ったという。

 斉藤社長はニーダーアウアー氏のメールに対し、自身が無事だった上、東証のシステムにも全く問題が生じなかったと返信した。ただ、地震の影響で道路が渋滞したため、帰宅したのは午前零時過ぎで、直ぐに床に就いたという。

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http://jp.wsj.com/var/plain_site/storage/images/media/images/110324_tse_02.jpg/4371253-1-jpn-JP/110324_tse_02.jpg.jpg
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 福島第1原子力発電所での問題が明らかになると、東証および金融庁の職員は計画停電の影響で重要なデータセンターの機能に支障が出ないようにするために週末、懸命の対応作業に当たった。斉藤社長自身は自宅待機していたが、月曜には市場が開かれるというメーセージが示されたのは明らかだった。

 日経平均は地震発生後の2営業日で16%下落。さらに、菅直人首相が放射線漏れリスクのあることを警告し、福島第1原発から半径30キロの住民に避難や屋内退避を求めたことから、震災の悲しみが恐怖に変わった。

 斉藤社長は、見えない放射線に人々が怯えたと語り、また今月15日に米国のある資産運用会社の社長から電話があったことを明かした。この社長は「東証を閉める気ですか? 絶対に開けておいてください」と要請したという。

 東証が外国からの助言を求めなかったことで、ブローカーの一部は困惑したようだ。しかし斉藤社長は、2001年9月11日の同時テロでニューヨーク証券取引所が一時的に閉鎖されたことについて、テロ攻撃がマンハッタンを襲ったのとは違い、東京の金融街を地震が直撃したわけでもなく、状況が全く異なると述べた。

 同社長によると、東証自身の上場計画は地震の影響を受けていないという。しかし、年内の実施はないことを示唆した。

 市場閉鎖を求める声は弱まっているようにみえるが、原発危機が続けば日本を離れる外国投資家が増えるというリスクに東証は依然として直面している。主要な外国証券会社は日本に留まる意向を示しており、これは重要なことである。なぜならば、東証の規則では、出来高の20%超を占める証券会社が業務を行えない場合、取引が停止されることになっているからだ。

 斉藤社長は、今回の大震災発生でも日本は安全な国だと指摘し、非常事態の時こそ冷静な判断が必要との見解を示した。

 さらに日本を離れた外国人投資家については、戻ってきて欲しいとしか言いようがないと語った。

記者: Kana Inagaki

http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_208257


15. 2011年3月24日 12:32:37: 3toON8WSP2
>>12
24日、福島原発は4基とも白煙。
ロシア政府の路線で進む確立が高くなった。

政府は復興計画と同時に国外移住計画を立てなければならない。
ユーラシア大陸東部は最有力候補地。
鈴木宗男を釈放しろ!


16. 2011年3月24日 12:38:39: cqRnZH2CUM
いろんな人が、いろんな立場から、提案しているな
相互依存なら良いが、一方的な依存は搾取と同じで長続きしないから
持続可能に変えていく必要はあるだろう


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110310/218937/ 
日本経済復活の長期シナリオ
「3つの依存症」から脱却しよう

* 2011年3月24日 木曜日
* 濱田 康行

日本経済  依存症  リーマンショック  景気回復  大企業  ベンチャー  中小企業 

 「3.11大震災」の経済的損失がどれくらいになるかまだ分からないが、どこかの時点で回復のシナリオを、しかも長期のそれを立てることが必要だ。日本経済は既に世界第3位に転落し、「日の沈む国」として世界から見られつつあったが、この難局から立ち上がる展望を示せなければ、今回の災害は経済大国ニッポンにとどめを刺した事件として世界史に書き記されるだけだ。

 震災前の日本はどんな状況だったか。政治的にはともかく、経済は楽観的見方にあふれていたようだ。その状況の根底を分析しながら、復旧への道筋を考えてみよう。

 新しい年になって、企業決算の好調が続いていた。東京証券取引所第一部上場企業(572社・金融除く)の2010年4〜12月の決算は、営業利益84%増、売上高9.2%増となった。これはリーマンショック前の2007年の同期に比べて約90%の回復であった。

 新興企業の決算(ジャスダック証券取引所と東証マザーズ市場に上場する企業の合計589社)も好調で66%増(連結経常利益)である。このような数字をみて、もはやリーマンショックは癒えたとも思った。あの時、全治3年と言われた予想は当たったかのようであった。

 企業決算の好調もあって株価も回復していた。エジプト・アラブ世界の混乱、それにつられた原油高、そして基本底流としての円高という不利な条件のあるものの、日経平均が1万円の大台を維持していた。もちろん、カネ余りという金融要因という下支えもあった。

平均では語れないような2極分化が進行

 しかし、である。この繁栄・回復をよくみていくと様々な問題点も目についた。企業業績についていえば、平均値では語れないような2極分化が進行していた。金融を除く分野では、輸出に関連するか、さらに輸出の仕向先に中国の比率がどれだけあるかで明暗が分かれていた。

 格差がはっきりしていたのは、中小企業と大企業である。上場企業はほぼ大企業だが、日本の企業のほとんどは中小企業である。中小企業のなかでも比較的大きい企業を取引先としているのが商工組合中央金庫(商工中金)だ。ここが発表している景況判断指数によると、2010年11月のそれは45.0でやや低下した。

表 2010年半年間の動き(景況判断指数)
5 6 7 8 9 10 11
46.7 47.4 48.1 48.4 47.3 46.4 45.0

(商工中金取引先1000社)

 上の表で確認できるように、最も高かった2010年の夏でも判断の分かれ目となる50を上回っていない。それが年末にかけて低下し始めている。分野別にみると、これまた、かなりのバラつきがある。減税のあった、電気機械、一般機械、輸送機(自動車他)などは50を超えた月もあったが、小売業などは夏から急落し11月の数字は38.0であった。

 儲かっていても、その内容に首をかしげたくなる。そういう分野もある。典型は金融業であった。

 金融業は、株価的にはかなり出遅れていたが、1月に入って回復した。メガバンクも地方銀行も利益はかなりの高水準だが、よくみると金融業の本業の儲けは縮んでいた。貸出は伸びず、その分、国債を中心とした債券保有が増大した。決算が良好だったのは、2010年を通して長期金利は低下傾向だったため、国債価格が値上がりしたからである。

 地方に目をやれば、輸出関連企業が少ない北海道などは、ほとんど好転の兆しもない。景気ウォッチャー指数は12月から1月にかけ、マイナス0.8%で44.3である。全国11地区の単純平均ではまだ50以下であった。

 景気回復の本筋である消費は長期の低迷が続いていた。スーパーの売り上げは14年連続で減少。これはこの業種の構造問題、そしてデフレ直撃業種ということもあるが、日本という国に住む人々の貧困化が背景にあるのは間違いない。百貨店はもっと状況が悪い。2010年の売上高は28年ぶりの低水準、既存店レベルで前年比マイナス3.1であり、やはり14年連続マイナスだ。

平たく言えば「おカミ頼み」

 日本経済は数字上では回復していたが、質的には、構造的には回復していなかった。リーマンショックを契機に日本の資本主義は変質していたのだ(参考『オバマ大敗から読む「資本主義の第4楽章」』)。この構造変化を象徴するのが次の3つの依存症である。

 第1は国家依存。平たく言えば「おカミ頼み」である。リーマンショック直後の危機対応で、政府も日本銀行も大盤振舞を演じた。日本銀行は巨額な資金をマーケットに供給し続けゼロ金利を常態化させた。政府は財政支出だが、今回は特定商品への減税という手法が使われた。2010年に日本で一番売れたクルマはプリウス(約30万台)である。プリウスはカローラの年間売上台数の記録を塗り変えたわけだが、それはどうみても減税のおかげだ。同じようなことは住宅メーカーにも家電メーカーにも生じた、エコポイントである。

 誤解のないように述べておこう。今回のような大天災があれば国家が出動するのは当然だ。危機管理、災害からの復旧は古今東西、国家の役割の第一である。当面は財政危機も政治対立もすべて棚上げにして対応することになろう。ここで問題にしているのは、政治国家ではなく、いわゆる“経済国家”の過度の露出であり、その恒常化だ。

国債格付けへの心配

 減税・補助金の散布は自民党支配の時代は広範な業種に展開されていた。民主党はこれを批判していたため、“環境”という看板を利用したが、この看板ではそれを相当に広くとらえたにしても、狭さは避けられない。また、減税・補助金の恩恵が、特定の企業に集中する傾向を生み出した。民主党の政策、あるいは展開しようとした様々な補助金政策は、“コンクリートからヒトへ”のスローガンに象徴されるように企業からヒトへ、を意図したものだったが、あまりにも構想が甘く、逆に“バラ撒き”批判にさらされることになった。

 日本の財政は、政権をこえてバラ撒きを続けているうちに悪化の一途をたどり、財政赤字の対GDP(国内総生産)比が先進国中で最悪とか、税収より国債発行額の方が多くなるなど、前代未聞の事態に至っていた。

 2010年末で日本という国の借金総額は919兆(国債だけで753兆円)、国民1人当たり722万円となった。もはや、国債の持ち手が国内にいる日本人か、海外の外国人かという問題を云々している場合ではなさそうだ。日本国債へのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保証料率は昨年10月の 0.52%を底に上昇に転じ、今年の1月20日には0.82となった。ほぼ同じ頃、日本国債の格付も下げられた。長期金利は傾向的に上昇している。

中国に足を向けて寝られない

 第2の依存は輸出依存である。経済があれば、ある部分は輸出であるのは当然だ。しかし、その部分があまりに大きくなると、企業収益の動向が外国為替の動向に大きく左右されることになる。国内にある程度の規模の市場を持つのが安定した型であろう。

 しかしここ数年間の状況は異常である。輸出依存度の伸びが急であり、かつ仕向け先が中国を中心とするアジア諸国に集中しつつある。その昔、輸出先といえば軽工業、重工業、エレクトロニクス産業でも、おしなべて米国であったが、対米依存度は1997年頃から下がり始め現在では全輸出の10%程度となった。一方で対アジアは伸び続け、リーマンショックで一時的にダウンしたものの45%程度になっている。もはや、中国には足を向けて寝られないのである。

 賃金は上がらず人々の所得は増えていないのだから国内市場は拡大しようがない。国内市場が狭隘なのは、賃金(ボーナスを含めて)が伸びないからである。大企業の収益が回復し増配・復配が数多く発表される中、賃金の上昇がなければ当然のこととしてある現象が生じる。それは労働配分率の低下だ。

大方の国民は豊かさから遠い

 2009年4月〜6月は77.9(国民経済計算)だったものが2010年1〜3月では66.0まで、10ポイント以上も下がっている(注1)。大方の国民は貧乏で、中国・アジア向けの輸出産業とその周辺、そして政府に支援された大企業だけが儲かるというのは“正常”ではあるまい。しかも、失業は5%という高水準(2010年2月は4.9%、注2)、新卒大学生の就職率は60%台(2010年12月末)である。

(注1)労働分配率の国際比較をすると、欧米よりも日本の方が高いという数字上の現実もある。これは日本の企業が雇用を維持する傾向があるのに、欧米はリストラが容易という事情もあるという。しかし、それは数年前までのことである。

(注2)当然のことだが、失業率と所定内賃金伸び率は逆相関である。厚生労働省の統計等(毎月勤労統計)では、失業率4%で低賃金伸び率がゼロであるから、現下の4.9%では伸び率は1%近くのマイナスである。

 この度の大災害で人々の消費が大きく後退することは避けられない。その分を国家が補うことになる。しかし、これは緊急措置であり復興までの期間限定であるべきだ。輸出依存も国家依存も危機を背景に増幅し定着してしまうとしたら、それは長期的には問題が多い。

ベンチャーなどという言葉は誰も口にしない

 第3の依存は大企業依存である。1970年代から日本では新しい企業を生み出す運動が盛んになった。一群の成長力のある中小企業はベンチャー企業と称されるようになり、それらに資金を供給する機関はベンチャーキャピタルとして金融界にある位置を占めた。政策的にも経済産業省を中心に“ベンチャー支援策” が展開し、これにともなって証券市場の開放が進んだのである。

 2000年にはネット系の急成長ベンチャーがつまずき、その後、“ホリエモン事件”まであったが、リーマンショックが起きる前までは、ベンチャー路線は日本資本主義の再生の1つの方法として認識されていたかに見えた。しかし、それは幻想であったようだ。

 新しい企業の誕生と成長で資本主義の若さを保つ。ちょうど古い森を再生するように少しずつ若木を育てるというベンチャー路線は吹き飛んだ。そして、残ったものは、寄らば大樹という保守の心である。

 現在ではベンチャーなどという言葉は誰も口にしない。象徴としてのIPO(新規株式公開)は低迷し、2010年はピーク時の10分の1、20社のみ。ベンチャーキャピタルは投資先がなく(2010年は約200億円、ピーク時の4分の1の額に落ち込んでいる)、資産運用会社、単なるファンド管理会社、あるいはやや怪しげだが“経営コンサルタント”としてようやく生き延びている。

日本は原価割れの安売り競争をしている

 これらの依存症は、既に弊害をもたらしている。

 国家依存が財政危機をもたらしているのは既に述べた。もう1つ重大な弊害が見えている。それはインフレーションの危機だ。最近の一次産品、特に原油と穀物の値上がりは急である。世界が不作であるという情報はないから、この値上がりはマネー要因である。

 ドルという基軸通貨が米国政府のバラ撒き政策から世界に流出したためという説明は、経路の説明に難点はあるが、説得的である。これらの事情に、中国やインドの食糧需要、エネルギー消費が加われば、一次産品から全面的なインフレーションへの拡大は展望し得るのである。ペーパーマネーの信頼が一夜にして崩れるという悪夢である。金価格の高騰、連日の市場最高値の更新は、脳出血の前の血圧値のようにもみえる。

 今回の危機が、モノ不足、供給不足をもたらし、インフレの火付け役にならないとも限らない。国は便乗値上げの監視をおこたらないことだ。

 輸出依存の限界も見え始めている。交易条件指数(輸入した原材料の価格上昇をどれだけ輸出価格に転化できるかを示す)を見ると2004年頃から基準値の 100(2000年の計算値)を切って下がりはじめ、2008年のショック時に60を記録、その後、やや回復したものの2010年の値は75である。この数字には、最近の現象である穀物価格の上昇は反映していないから、現状はもっと低いであろう。つまり、輸出という頼りにするマーケットでも、日本は原価割れの安売り競争をしているのだ。これが長続きするわけがない。

復興のために

 週明けの株式市場は下げた。天災に加え、原発という人災も加わった。この程度の下げを関係者は覚悟していたろう。むしろ、思ったより下げなかったという印象もある。おそらく、日本経済への世界の信頼はかなり高いのだろう。この信頼に長期的にどう応えるかを考えねばなるまい。

 言うまでもなく、現下の危機を乗り切る事が第一である。だから、日本経済の将来への戦略云々するのは早すぎるのかもしれない。しかし、日本経済を再出発させ、再建するという望みを大切だ。その望みを達成にするには、日本経済が3つの依存症に陥っているという事実から目をそらさない事が必要だ。

 古来、歴史の中で長持ちしたものを観察してみると2つの事に気づく。1つはほかに依存していないこと、もうひとつは自律したサイクル・循環構造を持つことだ。おそらく強い経済というのもそうなのだろう。回復・復興とその後の繁栄は強い経済によってのみ達成される。
このコラムについて
ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、NBonline編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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著者プロフィール

濱田 康行(はまだ・やすゆき)

濱田康行 札幌国際大学長、札幌国際大学短期大学部学長、北海道大学名誉教授
金融論やベンチャー論が専門。著書に「邦銀ロンドン支店」(東洋経済新報社)や「日本のベンチャーキャピタル」(日本経済新聞社)、「地域再生と大学」(中央公論新社)などがある。
日経BP社


17. 2011年3月24日 15:29:16: S7KiSx7JY6
地震だけならまだしも、放射能汚染が加わったらどうなるかな。おそらく、この騒ぎは簡単には終息しないだろう。

18. 2011年3月24日 16:44:51: CoFY3RvQFY

記事入力 : 2011/03/24 16:02:00

【萬物相】日本の底力

東日本巨大地震 アップルのiPhone(アイフォーン)はメード・イン・チャイナ、つまり中国製だ。台湾企業のフォックスコンが中国広東省の深セン工場で製造している。iPhone1台の製造原価は179ドル(約1万4492円)ほどだ。しかしその中でフォックスコンの懐に入るのはわずか6.5ドル(約526円)。原価の多くは部品などを供給する日本、ドイツ、韓国、米国などの企業に流れる。中でも日本企業の取り分は60ドル(約4858円)で、iPhoneが売れればそれだけ日本企業の取り分も多くなる。


 1990年代まで米国の有名デパートでの家電製品売り場は日本製品ばかりだった。しかし2000年代に入ると韓国製、中国製、台湾製などが増え、状況は変わったかのように見えた。サムスン電子の営業利益は、ソニーやパナソニックなど日本の大手メーカー9社の営業利益を合計したものを上回っている。IT(情報技術)関連の製品で、日本が世界市場に占めるシェアは25%を下回っている。


 しかしiPhoneのケースから分かるように、製品の内部を詳しく見ると事情は変わってくる。とりわけ電気・家電製品の核心部品に用いられるガラス繊維、金属部品、フィルムなどの素材に関しては、日本企業が世界の66%のシェアを占めている。旭硝子はプラズマディスプレー用ガラス基板の80%、住友金属は液晶パネル用基板の90%、日本ゼオンは携帯電話用カメラレンズ用樹脂で90%のシェアを誇っている。つまりこれらの分野で日本企業は文字通り、世界市場を掌握しているのだ。


 地震と津波の影響で、三菱ガス化学は被害を受けた2工場の稼働を中断した。すると世界のIT業界がざわつき始めた。この企業は電子回路基板に半導体チップを固定するのに用いられるBT樹脂を生産している。世界のBT樹脂市場で日本が占めるシェアは90%で、その半分は三菱ガス化学製だ。そのため同社の操業中断が長期化すれば、世界のスマートフォン生産が半分に落ち込むことも考えられる。iPad(アイパッド)などのタブレットPCも事情は同じだ。


 IT分野だけではない。米国の大手自動車メーカーGMは、ルイジアナ州にある工場の稼働を1週間中断することを決めた。韓国のルノーサムスンは操業時間の短縮に入り、欧州の自動車メーカー各社も操業時間の短縮や中断の検討に入っている。日本で製造されるエンジンや変速機など、主要部品の調達が難しくなっているからだ。日本にある多くの工場で操業中断が続くと、その影響は今後、造船や航空産業などにも及ぶ可能性が出てくる。このように日本は文字通り「世界の部品・素材工場」であるため、日本が災害から一日も早く復旧することが、今後の世界経済の動向にとって大きなカギとなるのだ。

金基天(キム・ギチョン)論説委員


【ニュース特集】東日本巨大地震

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/news/20110324000066


19. 2011年3月25日 06:29:29: JlFfmr5vSQ
今回の災害が地震によるものだけであれば、復興景気は間違いないだろうが、
それと同時に起きた原発による放射能汚染問題、日本中にある原発55基。
日本中に高頻度で起こりうる大震災。必ず付いて回る放射能の恐怖。

それとは別で使用済み燃料棒の核のゴミの恐怖。

放射能関連のあまりにもリスクの大きすぎるこの問題をどうするのか?

解決できる問題なら未来は明るいが、現状では日本滅亡の未来が見える。

日本を原発だらけにした自民党と電力会社の責任は計り知れない。


20. 2011年3月25日 08:11:00: Jj2QOidSU2
日本は、今までみなさんが、どうにかなるさって信じて、どうにかなってきちゃったから今回も、どこかでどうにかなると思っている方が多い。これだけ海外からとの見解の差があっても、そこに何の疑問も持とうともしない。持ったとしても、やはりどこかでどうにかなるだろうと思っている。一度日本は、どうにもならない状況というのを経験しないと、皆さんの生き方、考え方は変らないのではないでしょうか?島国だからでしょうけど、今の世界、どの国も色々な意味で利害関係があり、世界の見方というのが、それなりに存在することを日本国内の人々は知らなすぎでしょう。日本の常識は世界の常識って勘違いしている方、未だに多いですね。
また、どうにもならなかったら、日本人として日本のために死ぬのが誇りよ、って
自己満足している人も多いと感じます。
福島で作業している人達を英雄扱いし、その報道を見て、日本万歳って
言っている人、福島に移住して自家菜園して野菜食べて、
毎日牛乳と水道水を飲み、海で泳いで日向ぼっこし、
結婚して子供産んで一生幸せと思えるか、やってみたら如何でしょうか?

21. 2011年3月25日 13:59:59: cqHGQgG1nM
しかしみんなとろいなあ。

これから外国人政府はデフォルトで預貯金ゼロにするだろ。近いうちだね。もうすぐだろ。

そうしないと予算を組めないからね。

政府は裏で外国民族がやってるから日本人のことなどどうでもいいんだよ。

生活が大変になるのは目に見えてる。


22. 2011年3月25日 15:57:49: T4rCXSe7hM
福島原発の事故は復興にとって大きな足枷になるよ。今も、問題が解決してないし復興どころか再起不能も起こりうるだろう。

23. 2011年3月26日 10:11:34: 9LB6bGlKvE
確かに経済は復興するだろう。これまでの日本の不況はデフレが原因だった。なにせ日銀が金を刷っても銀行は貸し出さずに国債しか買わない。一方、政府が経済政策を行っても企業は金を溜め込みリストラに励むと来た。これでは需要が減りデフレになるのは当たり前だった。だが、ここに来て巨大なデフレギャップが一挙に消滅する事態が発生した。東日本大震災である。生産設備は壊滅、多くの家屋が潰れ、東電の計画停電で生産ラインが止まり供給が追い付かなくなっている。だが、この状態を私は悲観しない。今は戦後すぐの闇物資が流通していたころと同じだ。あの頃も都会は焼け野原になり過剰な供給不足だったが、地方での生産は割りと健在でそこから新たな復興が始まった。今回も西日本の電力も生産も無償なのだからそこがフル回転すれば日本は復興するだろう。

原発は使えず石油も値上がりしているが、むしろ新しい新エネルギー産業が伸びるチャンスだとみた。これまで原発を推進してきた東電のような独占企業に対する批判が出て新しい新産業に投資を始めた所が(例えばマグネシュウムサイクルとか)伸びるだろう。

問題は無能すぎる管政権と足を引っ張っている(実は裏で結託して管を助長させている)自公の存在が問題だ。今こそ直接給付が必要な時に、自公はこういう大変な時まで子供手当て反対だなどと言っている。もっとも、自公がどんなに反対してし災害復興や原発被害の補償のために被災民に子供手当て以上の直接給付に乗り出さざるえなくなるだろう。自公もこれまで反対できまい。

 問題は財源だ。本来なら特別無利子国債を発行し日銀から直接政府へ資金移行するか、国債利息に減価税を掛けて全て政府にUターンさせるか、銀行税を掛けるか、日銀の株は全て政府が抑えているはずなのだから公定歩合分の政府配当率のアップを要求するか、法人税を値上げして義援金を払っていない大手企業の含み資産を差し押さえるか、そういうことをすべき時だと思うが、この後に及んで管と自公は消費税をアップしてダメージを受けている庶民から更に踏んだくろうとしているということだ。


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