03. 2011年3月19日 09:44:05: mHY843J0vA
ドル買いポジションが随分減りましたね http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/03/19/012252.php 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ | 超円高を引き起こしたもの 2011/03/19 (土) 09:12
福島原発のせいで、どんなニュースもかすんでしまいます。まあ、それも当然といえば当然。我が国のマスコミは報道をやや控えているようですが、多くの外国人が日本から脱出するほど、今、日本は危機的状況にあるからです。 原発にヘリコプターや放水車で水をかける光景など誰が想像したことでしょうか。こんなことになるのならば、そもそも水中に発電所を作っておけばよかったと思っている人がいるかもしれません。 いずれしても、こうして危機的な状況にあればこそ、みずほ銀行がシステム障害を起こしても、その銀行を利用している人たち以外、人々は関心を示す余裕がないのです。そして、円が76円台にまで急上昇したことさえ、じっくりとは報道することがなかったのです。 それに、協調介入によって再び80円台に戻すことができたので‥、でも、相変わらず何故円高なのだ、と思う人が多いのではないでしょうか? 地震が起き、津波が襲い、そして、メルトダウンが起ころうとしているのに、何故円高? 何年か先に日本が復活していることがあるとしても、取り敢えずは円売りだろう、と。 で、円高をもたらした原因について、今回いろいろ言われて訳なのですが‥、ご存知でしょうか? そうです、一つは、りパトリエーション。つまり、地震が起き、保険金の支払いなどのために日本の保険会社が米国債を売却し、現金化する動きがでるのではないか、と。そうなれば、円高が進むのではないのか、と。 しかし、今のところはそのような動きが起きているとはとても思われないのです。そのような動きがあるなら、当然日本の国債も売られて現金化されるでしょう。 それが原因ではないとすれば、何が原因なのか? そこで言われたのが、外国の銀行が円資金の確保に動いたことが原因ではないのか、と。確かに、ロンドンでは円金利が急上昇しているのです。でも、それだけで、一気に76円台にまで円相場を引き上げる力があるというのでしょうか。 実は、この問題を考える時に、二つに分けて考えることが必要なのですが、お分かりでしょうか。先ずは、地震発生以降、円高が進んだ理由。そして、もう一つは、日本時間の3月17日(木)の午前6時前後から一気に円高が進み76.25円を付けさせた理由。 これあたかも、遠くから津波が押し寄せ、浜で波を見ていると、海面が5m以上は上昇しているなと思っていたら、湾に入るや否や、水位が20mも上がったような現象と似ている訳なのです。 次のグラフを見て下さい。 76円.jpg (3月18日付 日経新聞) 17日の早朝、NY市場で円が過去最高水準の79円75銭に並んだというニュースが流れたかと思うと、あっという間に76円25銭を付けた訳なのです。でも、見て分かるように、その後4時間ほどは円が下がり続け、そしてその後は、79円前後で推移するわけです。 いっときますが、その時点では、まだ介入なんて行っていない訳です。内心は介入したいと思っても、まだ「ととのいました」とは言えない状況だった訳です。 では、何故、急に円が上がったと思ったら、また、急に下がったのでしょう。 日本の早朝に当たる時間帯で、商いが薄かったからそういうことが起きたという解説があります。あたかも、津波が湾や河口に入ると急に水位を上げるのに似ています。 確かに商いが薄いと、価格は乱高下しやすくなるでしょう。では、そのとき、誰が円を買っていたのか? さあ、誰でしょう? 実は、円を買っていたのは、FX取引をやっていた個人投資家だったのです。 今、貴方は、FX取引をやる個人投資家の多くは、ドル高円安に賭けているのでは、と思ったのではないでしょうか。 確かに、そのとおりなのです。ミセスワタナベと呼ばれるような個人投資家は、円安を予想する人が多く、通常は円高を予想する人は少ない訳です。また、だからこそ、円安を歓迎する関係者、例えば、輸出業者や政治家などにとっては頼もしい存在でもあるわけです。この人たちが円を売ってくれるから、その分円安になる筈だ、と。 では、何故、その人たちは、17日の朝、円を買ったのか? 実は、この人たちの多くは、円高が進むとしても、80円とか或いは過去最高水準の79円75銭を超えることはないであろう、と踏んでいた訳です。 で、ご存知の方も多いと思うのですが、FX取引では、顧客が一定の評価損を抱えたら自動的に取引を手じまうようにされていることが多いのです。つまり、損失をそれ以上拡大させないための措置である訳です。 つまり、この人たちは、そのとき意識して円を買った訳ではないのですが、自分たちが予め設定していた注文が、円が一定のレートを超えて円高になったために自動的に執行されたという訳なのです。 つまり、79円75銭を突破したと同時に、個人投資家の大量の円買い注文が出され、そしてその時間帯は、まだ取引量が少ないときであったために、円を一気に76円25銭まで押し上げ、そして、そうした売買が終了した後には、今度は円安に向けて動き始めたということなのです。 で、まあ、そうした急激な円高ドル安に、各国通貨当局は驚いてしまった訳なのです。一体、何が原因であったのか、と。 今回の協調介入を見て、我々日本人のなかには、海外がよく理解を示してくれたと感謝している人が多いと思うのですが‥、実は、こうして協調介入に至ったのは、何も日本のことを心配したからだけではないのです。特に米国はそうです。超円高は、超ドル安を意味します。緩やかなドル安が続くことは、米国としては大歓迎です。それで、輸出を促進することが期待できるからです。 しかし、ドル安が急激に起こることは、どうでしょうか? 日本は、地震や津波やメルトダウンの悪影響だけではなく、超円高の悪影響も被らなければいけないのか、と悲鳴を上げたい気持でいた訳ですが、アメリカ自身も(とは言っても多くのアメリカ人は全く気が付いていないのですが)こんなに急激にドル安になって、米国は大丈夫なのかと心配になっていたのです。つまり、それほど急激にドルが売られるということは、それほど急激な資本の逃避が始まった可能性があったからです。アメリカの経済は、海外からの資本がなければ支えることができない状況になっている訳ですが、その海外の資本がすっと引いてしまう、と。考えただけで恐ろしい。 だから、簡単に協調介入が合意されたという訳なのです。 では、今後も協調介入は行われるのか? そんなことはありません。介入は、3月18日の1回こっきりなのです。また、急激な円高が起これば別ですが、緩やかにドル安円高が進むことを彼らは歓迎している訳ですから、今以上に円安にもっていこうとして日本が介入を続けるとすれば、また、クレームが付くでしょう。 (注)G7の声明文にも、3月18日に日本とともに為替市場における協調介入に参加する、とだけ書かれているのです。 以上
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