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17日の東京外国為替市場では、午前6時過ぎから円がドル、ユーロ、豪ドルなどに対して軒並み急騰した。きっかけはヘッジファンドなど投機筋の円買いだが、円高圧力を本格的に強めたのは、外国為替証拠金取引(FX)で外貨買いをしていた個人投資家などによる損失確定の反対売買だった。市場では、投機筋が早朝に円買いを仕掛けたのは、そうした損失確定を促すことを通じて自らが利益を得るためだったとの見方も出ている。
円が1ドル=76円25銭の過去最高値を記録したのが午前6時20分ころ。20分程度の間に約3円も上昇した。同じ20分間で、円は対ユーロ、豪ドルでも約4円の急上昇となった。16日深夜までの円高基調を受け「逆張り」の外貨買いを増やしていた個人は、不意を突かれた。
FXでは、業者がロスカット(顧客が一定の評価損を抱えた際の強制的な取引終了)を義務付けられているほか、投資家が自らストップロス(損失確定する相場水準をあらかじめ決めておくこと)注文を出しておく例も多い。17日早朝のように、予想外の値動きが急に進むと、損失確定が一気に増え、相場がさらに不安定になりやすい。
問題は、そもそも米市場が閉まった後の日本時間早朝に、投機筋がなぜ円買いを仕掛けたのかという点。新しい材料が出たわけではなく、不自然な印象は否めない。そこでマーケットで流れたのが、FX投資家に狙いを定めたものだったとの見方だ。
FX利用者の円売買額は、世界の為替市場での売買額の2割程度に相当すると言われ、影響力が大きい。個人の外貨買いの持ち高が膨らんだ局面で外貨売りを仕掛け、損失確定を促せば、強い円高圧力が加わりやすい。その結果、外貨が下落したら今度は買い戻して利益を得る。こうした手法を“ミセス・ワタナベ狩り”と呼ぶ市場関係者もいる。“ミセス・ワタナベ”とはFX投資家の海外での通称。主婦も多いため、こう呼ばれる。
詳しい実態は不明だが、米市場が閉じた後に取引が細る日本時間早朝は、相場に影響を及ぼすのが比較的容易。投機筋にとって動きやすい時間帯だったのは事実だ。
FX利用者は、普段は逆張りの外貨買いで円高圧力の緩和に貢献することが多い。だが、予想外の円急騰に見舞われると、かえって円相場上昇に拍車をかける動きに出かねないことを、17日早朝のマーケットは示した。
(編集委員 清水功哉)
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