01. 2011年3月10日 16:15:11: cqRnZH2CUM
倒産総額は減り、大型は減少しているが小口の件数は増えているようだな 国と税金(公的融資や補助金)に頼っていた企業の崩壊が進行しているということか 日本の本来の失業率は5%ではなく10%以上とも言われているから その実態に近づいて行くのかもしれない中小企業融資も資金運用も国頼み? (西川善文氏の経営者ブログ) 2011/3/10 7:00 ニュースソース 日本経済新聞 電子版 最近の日経新聞の報道によると、中小企業向け融資の「公的依存度」が高まっているという。中小企業向け貸出金に占める政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工組合中央金庫)と信用保証協会の保証付き貸出金を加えたものが約24%にも上っているのだ。米国は10%強といわれるので異常な高さとなっている。 中小企業向け貸出残高は10年9月末現在、約252兆円となっているが、このうち政府系金融機関の貸出金と保証協会保証付き貸出金が合計約61兆円にもなり、全体の約24%が公的部門に依存した融資となっている。 バブル崩壊後、北海道拓殖銀行など金融機関の破綻もあって98年ごろから貸し渋りが蔓延(まんえん)したことで中小企業向け融資残高の減少が続き、前述の 10年3月末の約252兆円へと約90兆円の大幅減少となった。この間公的金融への依存度は約17%から約24%に上昇したのである。 特に08年秋のリーマン・ショックを受け、金融危機にさらされた中小企業の資金繰りを支援するため08年10月に始めた緊急保証制度や日本公庫と商工中金のセーフティーネット貸付枠により公的金融依存が約21%から約24%に急上昇した。 この間、保証協会保証付きを除く民間の貸出金が約6兆円減少したのに対して公的部門の残高が約7兆円増加しており、公的部門が民間分を肩代わりした格好となっているようだ。 公的金融の急拡大のおかげで、金融危機に見舞われた全国の数多くの中小企業は資金繰りがつき、救われたことは間違いない。しかし、わが国金融界としてこの事実をもって良しとしていてよいのであろうか。現状について私は、金融界としての対顧客関係、リスクテイク能力等に大きな課題を抱えていると思う。 国内業務を見ると、融資面では中小企業のウエイトが圧倒的に高いのをはじめ、個人取引面においても中小企業オーナーや従業員との取引が多い。従って銀行、信金、信組、どの業態にとっても中小企業取引は大変重要である。この点だけをとっても安易に中小企業顧客を公的金融に走らせるべきではなく、取引金融機関は極力、取引先中小企業の資金ニーズに応えるべく努力しなければならないと思う。 しかしながら、以前このブログでも触れたように、中小企業顧客が取引銀行に融資を申し込むと、まず信用保証協会の保証付き融資を奨められるという不満がある。これは言うまでもなく融資リスクを十分に検討しないまま安易にリスク回避を優先した経営判断であり、これでは血の通った取引関係は構築できないし、銀行の本来的な機能として重要な信用創造機能も放棄したのも同然で、リスクテイク能力やリスク管理能力も磨けないのではないか。また人材育成の観点からみてもマイナスであろう。 相変わらず、担保主義からも脱することができない。担保主義は融資リスクを不動産等物的担保でカバーしようとするものである。これも以前このブログで触れたが、私が銀行の頭取時代、実力があるのに担保がないという中小企業の資金需要にこたえるため、「ビジネスセレクトローン」と呼ぶ無担保定型ローンを始め、小口ながら一つのボリュームゾーンのビジネスとなった。 そうなって来ると邦銀の悪い癖で追随する銀行が現れ、低金利攻勢をかけられる。この類の融資は、貸し倒れ発生率などに応じて金利を引き上げるといったリスクマネジメントが不可欠である。しかしながら、他行との競争を考慮して、大手行はいずれもこのビジネスモデルにのっとった弾力的なマネジメントが出来ず、貸倒損失を金利収入でカバーできなかったのか、一時は約6兆円もあった残高が今では1兆円足らずに減り、撤退した銀行もあるようである。 邦銀に有り勝ちな、やみくもにボリュームの多寡を競う過当競争のなせる業で、国内融資のせっかくのイノベーションのチャンスを逸した。 邦銀の預貸金のバランスは、90年代後半から戦後長く続いたオーバーローン(貸金超過)から預金超過へと逆転し、直近では150兆円を上回る預金超過となっている。預金に対する貸出金残高の割合は72%台に低迷している。デフレ、企業の国内設備投資の低迷、低成長などの影響と言ってしまえば、それまでであるが、海外業務の拡大だけでなく、マザーマーケットである国内において、まだまだ努力の余地はあるのではないか。 余剰資金の大勢は国債運用に向かっており、いわば資金運用面でも「公的依存」が拡大している。国債も、財政赤字の拡大、それをマネージする政権の信頼低下という政治リスクが高まっていて、先行き金利上昇(価格は低下)から保有国債に損失発生の懸念も少なくない。 そろそろ安易な国頼みを卒業できないものか。 西川善文 三井住友銀行顧問のブログは木曜日に掲載します。 読者からのコメント 亀の執念さん、50歳代男性 西川先生のブログは、いつも興味深く拝読しています。「本来の銀行業務としての機能放棄」という考え方は、異業種の私にとっても十分に説得力のある内容です。公費で融資する政策は、借金大国日本には長期間継続不可能と考えます。私は、銀行にも国にも頼らず開業6年目を迎えましたが、銀行の融資があれば国(税)・国民(健康)・銀行(利益)に貢献できる自信があります。 長竹さん、30歳代男性 金融機関さんには金融機関さんの事情がおありだと思うが、こうも枠はこれだけありますので借りてくれ借りてくれの一辺倒から、協会若しくは10割担保と言われると、やはり無借金経営を目指すしかないのかと思ってしまう。創業7ヵ年、年商14億円、有利子負債4億円、早ければ4年後、遅くとも6年後には無借金経営となるべく資本積上げと返済を進めている。 澤村泰寛さん、30歳代男性 現在の政権は官から民へと掛け声をしていた気もしましたが、実際は郵政の運営も元官僚が行って、多額の赤字を出し、このままでは国民の税金を持って損失補てんをしかねないなど、言っていることとやっている事に矛盾していると思います。金融の護送船団方式は終わったにもかかわらず、民間企業への貸し出しで公的資金による時代錯誤の貸し出しを行っているようでは、日本の凋落を加速させているとも感じました。 |