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失われるドルへの信頼 2011年3月4日  田中 宇
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/216.html
投稿者 新世紀人 日時 2011 年 3 月 05 日 21:52:07: uj2zhYZWUUp16
 

http://www.tanakanews.com/110304dollar.htm

失われるドルへの信頼

2011年3月4日  田中 宇

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 中東の混乱が拡大し、産油国であるリビアやサウジアラビアに波及し、原油の国際価格が上昇している。サウジの油田は今のところ安泰だが、大油田地帯であるサウジ東部のすぐ脇にあるバーレーンでは王政打倒の反政府運動が続き、サウジの株価は暴落している。サウジの油田地帯が不安定になると、原油価格(北海ブレント)は1バレル200ドルに高騰すると予測されている。格付け機関のS&Pは、中東の混乱はすべてのアラブ諸国に感染し、混乱が長期化するという見方を示している。(S&P says turmoil could still spread)

 このような地政学的な混乱の時、従来なら世界の投資家は、資金を米国債やドル建て債権に逃避させ、為替市場でドルが上がるのが常だった。だが今、この「有事のドル」の現象は起きておらず、代わりにスイスフランなどが史上最高値を更新した。原油が高騰すると、極度の金融緩和を続けている米国がデフレからインフレに転換し、むしろ米国債などドル建て債権が下落(長期金利が上昇)すると投資家は考えている。金利が上昇すると、米経済は不況に戻ってしまう。ドルへの信頼が崩壊し「有事のドル」の不文律が失われている。この現状を見て「2010年からの10年間、ドルが世界の単独基軸通貨でなくなっていき、米国が覇権を失う歴史が展開するだろう」と早々と予測する分析も出てきた。(It's Taps For the Still Weakening dollar)

 主要な穀物の国際価格がこの1年で70%値上がりしたと国連の食糧機関(FAO)が発表した。消費者物価指数(CPI)など米国の表向きの経済指標はまだ上昇していない。(FAO: Tight cereal markets as food prices increase again)

 だが、CPIを構成する商品の42%は住宅関連で、それらは米住宅市況の悪化を受けて値下がりしている。CPIの構成要素の中で、食料は12%、エネルギーは9%を占めるにすぎない。実際の人々の日常生活で大きな割合を占める商品は食料やエネルギー関連だから、住宅関連が主導するCPIは、米国の実際のインフレ傾向を隠している。正しい米国のインフレ率は5−7%という高率になるはずだとも指摘されている。ウィスコンシン州などで続く米国民の反政府的な行動を見ると、すでに米国民の生活は物価高騰によってかなり悪化していると考えた方が自然だ。(US Standard of Living in Peril From Dollar's Weakness: Zell)(ウィスコンシンに関する2月23日の速報分析)

 原油高が世界のインフレをひどくすると考えるユーロ圏の欧州中央銀行(ECB)は利上げを検討し始めた。早ければ4月にもECBが利上げに踏み切ると予測されている。ユーロが利上げに入ると、米連銀がゼロ金利を続けるドルとの金利差が広がり、ドル安ユーロ高が加速するだろう。(John Taylor: "We Are Going Into A Recession, Damn It")

▼基軸通貨は米欧中の三極体制に

 3月2日には、米国の最有力経済紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が「なぜドルの覇権が間もなく終わるのか」と題する論文を掲載した。カリフォルニア大学の教授が書いたこの記事によると、ドルは近いうちに単独の国際基軸通貨という特権的な地位を失い、今後10年ぐらいかけて、中国人民元やユーロとともに多極的な基軸通貨体制を共有するようになる。(Why the dollar's Reign Is Near an End)

 論文によると、従来の世界の為替取引の85%がドル建て、世界が保有する債権債務の半分以上もドル建てであり、この市場占有率の高さがドル利用の拡大と高占有率の維持につながり、米国債は最も安全な債券であり、ドルは有事の資金逃避先として頼られていた。だが今、こうしたドルの利点が次々に壊れている。米政府は財政赤字を急拡大し、多くの投資家が米国債は過剰発行で債務不履行の恐れがあると考えている。貿易業者にとっても、米国以外の国々の間の取引が増え、保有通貨を多角化した方がよい状況になっている。ドルの独占的地位が崩れると、米国債の売れ行きが落ち、ドルの価値が20%下がると論文は予測している。

「権威ある」WSJがドル覇権の終焉に言及する論文を載せたことは衝撃だ。ドル崩壊予測は、金地金愛好家の「陰謀論」から、WSJも認める「現実」になっている。このような現実があるのに、連銀など米当局は、1971年のニクソンショック時に発した「ドルは我々の通貨だが君たちの問題だ」という無関心さを相変わらず続けている。

 米議会で台頭する共和党の茶会派は、政府に財政緊縮を求め、連銀にドルの過剰発行をやめろと求めている。だがバーナンキ連銀議長は、ドルを過剰発行して売れ残りの米国債を買い支える量的緩和策(QE)をやめると米国が不況に逆戻りするのでやめたくないと言っている。今年6月に一段落するQEをその後も続行すると、過剰発行に拍車がかかり、ドルと米国債に対する世界からの信用失墜に拍車がかかる(QEをやめて米国債が急落しても信用失墜なので、米当局は「やめるも地獄、続けるも地獄」の状況だが)。(Bernanke Doesn't Rule Out More Bond Buying to Aid Economy)

 米政府の予算は昨年から、財政緊縮を求める共和党と、緊縮に比較的消極的な民主党の議会での対立が解けず、今年度予算が3月4日分までの暫定分しか決まっていなかった。何も決まらないままだと、3月5日から緊急部門以外の米政府の機能が停止する大惨事になるところだったが、議会は3月2日に談合して2週間分だけの予算を通し、3月18日まで米政府の機能を延命させた。3月18日までに今年度予算を可決しないと、再び機能不全の危機がくる。(Government avoids shutdown; hard part still to come)

 4月には米政府の財政赤字額が法定上限に達するので、そこでも議会の赤字拡大決議が必要となる。決議しないと米国債の債務不履行があり得る。巨額赤字を抱え、機能不全や債務不履行に直面している米政府の姿を見て、世界の投資家はますます米国債やドルに対する信頼を失っている。

▼基軸通貨の準備をする中国

 ドルの信用失墜と基軸通貨の多極化が進む際、最も注目されるのは中国当局が人民元に対してどう対応するかという点だ。中国は実質的に人民元の為替をドルに固定するペッグ制度を続けており、ドルの信用失墜に合わせて中国国内のインフレがひどくなっている。人民元が国際基軸通貨の一つになるなら、その前にドルペッグの廃止や人民元取引の国際化が行われる必要がある。

 この点で、中国の中央銀行である人民銀行は、原油高騰でドルが逃避先でなくなっていることが示された直後の3月2日、人民元の国際利用を拡大すると発表した。今年中に、中国の主要な貿易業者のすべてに対して人民元建ての貿易決済を許可するとともに、欧米銀行に元建ての金融商品の創設を許したり、人民元を受け取った外国企業が中国で元建ての社債を買えるようにする動きを加速する。中国は、世界の企業や通貨当局が人民元を備蓄通貨として使うことへの容認を拡大する。今後3−6年以内に、先進諸国以外の国々と中国との間の貿易の半分以上が、人民元で決済されることになると予測されている。(Govt to boost renminbi's role)(求真務実 開拓進取 推動跨境人民幣業務及有関監測分析工作再上新台階)

 同時に中国当局は、人民元を金地金で裏打ちされた通貨にしていくことを模索しているように見える。中国は今年1−2月だけで、昨年の1年分に近い200トンもの金地金を輸入した。その多くは、インフレを嫌気して現金を金地金に換えておこうとする市民の購入であるとされるが、中国当局も国内市場でかなりの金地金を買っていると推測される。中国当局の金備蓄は約1千トンしかなく、米国が8千トン台、欧州の主要諸国が2千トン台の金地金を保有するのに比べ、中国の金備蓄は少なすぎる。(China Demand Voracious - A Yuan Gold Standard?)

 ユーロや人民元が「次の基軸通貨」として名指しされているのに対し、わが日本の円は全くと言っていいほど、次の基軸通貨として言及されていない。リビア危機で原油が上昇してドルが売られたとき円が上昇したが、これは中国の人民元がまだドルペッグしていて逃避先として適当でないので、代わりに隣にある日本の通貨が連想買いされたと考えられ、円が基軸通貨として期待されたのではない。

 円に対する期待が低いのは、日本政府が対米従属への固執と表裏一体の政策として、円を地域基軸通貨にすることに非常に消極的であり続けた結果だ。今後、ドルの覇権が崩壊していくと、日本は中国の経済圏に入る傾向を強めるだろう。これは、米国の覇権失墜がここ数年しだいに明確化したにもかかわらず、日本政府が対米従属のみに固執する国家戦略をとり続けたことからくる、当然の帰結である。

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(新世紀人コメント)

幾つも優れた指摘が書かれているが、私はその中の特に二つに目が行った。

一つは、
…従来なら世界の投資家は、資金を米国債やドル建て債権に逃避させ、為替市場でドルが上がるのが常だった。だが今、この「有事のドル」の現象は起きておらず、代わりにスイスフランなどが史上最高値を更新した。原油が高騰すると、極度の金融緩和を続けている米国がデフレからインフレに転換し、むしろ米国債などドル建て債権が下落(長期金利が上昇)すると投資家は考えている。金利が上昇すると、米経済は不況に戻ってしまう。ドルへの信頼が崩壊し「有事のドル」の不文律が失われている。この現状を見て「2010年からの10年間、ドルが世界の単独基軸通貨でなくなっていき、米国が覇権を失う歴史が展開するだろう」と早々と予測する分析も出てきた。…
である。

米国債などドル建て債権が下落… これについては、今回の中東動乱で米国が狙った思惑は、「米国債への購買人気の回復」であったとの評論も出されていたので、有意義な指摘であると考える。「米国債への人気回復」を狙ったとの指摘について私も「成る程」と考えたものだった。米国にその思惑があったのか又は無かったのか? あっても現実の市場はそれを裏切っているという事なのか? そこについては実情はわからない。

ただ、確かなことは米国の経済政治体制の危機深化が中東動乱を煽り立てる背景にある事は確かである。

もう一つの指摘は、
…「権威ある」WSJがドル覇権の終焉に言及する論文を載せたことは衝撃だ。ドル崩壊予測は、金地金愛好家の「陰謀論」から、WSJも認める「現実」になっている。このような現実があるのに、連銀など米当局は、1971年のニクソンショック時に発した「ドルは我々の通貨だが君たちの問題だ」という無関心さを相変わらず続けている。

というものである。

これは、ドル覇権の終焉が予定されていて、今回の中東動乱もその到達目標の為のスケジュールに入っている予定行動である事を窺わせるのである。


 2 81 +−  

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コメント
 
01. 2011年3月05日 23:07:59: mHY843J0vA
既に進行していることですが
単一基軸通貨としてのドルが終焉するのは間違いないです
ただ貿易決済の主要通貨としての役割は、まだ当分続くでしょう

将来的にはBRICsなどが前から主張しているようにSDRを進化させて貿易決済通貨を作るアイデアが有望ですね
世界の主要中銀が協調するような政策協定(中銀の政策への制限設定)を結べば、かなり安定した決済機能を提供できるでしょう

さらに進化して世界通貨と世界中央銀行ができたら面白いですが
各国政府はEU参加国と同じくインフレで債務を誤魔化すことができなくなります。

デフォルト・歳出削減・増税しか政府(地域国民)の選択が無くなるので
政治への責任は重くなるでしょう。



02. 2011年3月06日 06:05:53: gQgkh7EIwo
昔は多くの人から人間のカスといわれてきた法律も道徳もないシナが基軸通貨になるわけがない。

匪賊の国が指導できるわけがない。シナは変わらんだろう。暗黒大陸だ。

泥棒が通貨を牛耳る?悲劇だろう。14億人に対しての資源も食料も燃料も技術もない、日本と米国から貰うだけの国だろう。

日本は、もうシナにやるかねはないよ。やる技術も開発せんよ。


03. 2011年3月06日 17:59:44: UWOOuWXI9E
機軸通貨になろうとする国へ、ODAをくれてやる借金だらけの世界一のバカがいる

04. 2011年3月06日 21:43:42: 55wcKcFBTQ
タバコを吸う人が減ったからあまり問題にならないのかもしれないが、長年愛用してきたジッポのフリント(ライターの石)の質が非常に悪くなっているのをご存知だろうか。 ジッポの純正品と書いてあるものなのに、妙に細くなってしまって、まともに使い切るまで持たない。 着火も上手く行かず捨ててしまうのも半分くらいあるのじゃないか。 まさにアメリカ製品の劣化の象徴じゃないだろうか。 ドルの信頼感を問題にするなら、アメリカはまともな商品を供給することを考えないと、ドルどころかアメリカ人そのものに対する信用が破壊されてしまう。 もう手遅れかも知れないが、長年の付き合いだからコメントしておく。 N.T

05. 2011年3月07日 07:40:16: 55wcKcFBTQ
基軸通貨がドルということは、輸出代金として受けとる通貨がドルであり、それで輸入代金の支払いが可能であるということが前提だろう。 輸出入に限らず投資茂同じで、ドルで投資してドルで利息などを受け取るというのがドル機軸制度の根幹である。 ドルの信頼が毀損して価値が下がれば、輸入物資のドル建て価格が上がると言うことにならざるを得ない。 だから石油原油価格の値段が倍になったと言うことは、ドルの価値が半分になったと考えるべきだろう。 小難しい屁理屈を並べ立てて誤魔化しているが、経済なんてそんな程度のものなのである。 アメリカの主力産業は工業製品ではなくなっていて、もっぱら金融商品というインチキ極まる詐欺的なペーパーである。 FRBという私的な企業が供給する商品がドルというつうかであり、それが過剰に供給されれば値崩れを起こすのは当たり前だろう。 勿論の話しだが、そんなことが何時までも続けられるわけは無い。 ドルの信認が失われれば、世界中の貿易は相手の国の通貨で受け取るか、それともバーターで無ければなるまい。 必然的に貿易取引は減少し、国際金融取引も減少することになる。 売り先を見つけられなくなった輸出産業は倒産せざるを得ないし、輸出産業ももっていない国は食糧やエネルギーの輸入もままにならなくなる。 食っていかれなくなった国の民衆が暴動を起こすことも自明の話しである。 人間の過激な富に対する欲望が引き起こすことであり、自制心の無い強欲資本主義の末路だと言っても良い。 今がまさに大恐慌の入り口に立っているということ。 N.T

06. 2011年3月07日 17:17:29: Pj82T22SRI
>昔は多くの人から人間のカスといわれてきた法律も道徳もないシナが基軸通貨になるわけがない。

アヘン戦争や民族虐殺の英米は基軸通貨になったぞw


>貿易決済の主要通貨としての役割は、まだ当分続くでしょう

GDP比から言えば、決済の85%という現状は多過ぎだが
決済では流動性の高さと、ボラの低さが重要だが
米ドルは、やはりまだまだ圧倒的だな


07. 2011年3月08日 23:26:13: bhdMKfFT9I

さまざまな統計数字発表されているが、米国の借金の総計は2010年8月の時点で207兆ドルにまで膨らんでいる。
世界全体のGDPが年間60兆ドルであることを考えるまでもなく、もはや米国が未来のいつかの時点で債務を返済する可能性はゼロに等しい。
米国は現実に存在しているドル以上のドルを負債として抱え、身動きの取れない状況に陥っている。
仮に銀行・企業・納税者・米国外のすべてのドル保有者から「ドル紙幣」を集めても、米国の借金を返済することはできない。
それでも強いドルは、いずれ復活すると唱える人々もいる。だが、いったい米国のどこに信用を回復するに足るだけの富があるのだろうか。
ベースとなるのは、M0・M1・M2・M3のマネーサプライだ。
2009年12月発表
M0:紙幣・通貨の総額(9,080億ドル)
M1:M0+普通預金など(1兆7000億ドル)
M2:M1+10万ドル以上の定期預金・機関投資家保有の投資信託など(8兆5,000億ドル)
M3:M2+金融資本家を筆頭に金持ちたちが持っている投機マネー(約14兆ドル)
*M3は2006年以降FRBが発表をやめてしまったため、米国の監視団体による発表を引用
M0・M1以外のマネーは信用するに足る富ではない。M2・M3は数字の帳尻合わせの遊びのようなものである。
米国が「米国の債務をチャラにする」と意気込んでも、銀行・企業・個人からドル紙幣を取り上げても、国庫に収まるのは「M2の8兆5,000億ドル」に遠く及ばないだろう。

諸外国はすでに米国債の買い取りを避け始めており、これまでは諸外国が50%以上を占めていたが、2010年5月時点で米国国内勢が50.2%となった。過半数が逆転したのは、実に3年ぶりである。

中国の動きを見ると、米ドル崩壊を目指した一手だとわかる。
中国はFRBの量的緩和を見て、「ドルの強制リセット」の疑いを持っており、手持ちの米ドルを世界各地で使い、とにかく現物を買っている。
この、「ドルの強制リセット」が実行されれれば、米国債を大量保有している国々は、大幅な損失を被る。
米国は、新通貨発行・デノミも行う可能性が高い。

だからこそ、日本もこれ以上の米国債購入を止め、早急に米国債を売却すべきである。


08. 2011年3月08日 23:27:28: bhdMKfFT9I

2010年夏以降も円高米ドル安が止まらない。これは従来の為替の動きとは異なる原因によるものだからだ。
円が高いのではなく、あらゆる通貨に対して米ドルが安くなっている。覇権国家米国が誇る世界の基軸通貨米ドルは、貨幣にとって最も重要な「信用」という証を失いつつある。なぜなら、米国は今日も確実に倒産への道を歩みつつあるからだ。その気配は「表のニュース」を見ているだけでも濃厚に感じ取ることができる。

たとえば、2010年8月10日。FRBは量的緩和策の再開を決めた。量的緩和策の再開とは、FRBがじゃんじゃんと米ドルを作っては、米国を支える借金=米国債を買いまくる、とういこと。このニュースは多くの市場関係者を驚かせた。
FRBが量的緩和策を取るのは、2008年秋のリーマン・ショック後に続いてのこと。2010年3月末まで継続されたこの時の狙いは、米金融界の不良債権を減らし、資金難を緩和することだった。FRBが米国債や社債(不動産担保債権)を米民間銀行から買い上げ、市中に大量の米ドルを投入。その間、米金融界はギリシャ危機などを利用した詐欺的な債券金融で復活し、FRBも量的緩和を終了した。

だが、米金融界が息を吹き返す一方で、米国の実体経済は悪化の一途をたどっていた。米株高を演出することで危機の出口を見いだせると読んでいたFRBのバーナンキ議長だったが、その思惑は外れ、2010年8月の米雇用統計で米失業者の高止まりがはっきりした。それによって、量的緩和策を再度復活させることが決まった。

2010年8月の量的緩和策の内容は、2010年3月末までに米銀行から買い取った不良債権(不動産担保債権、ジャンク債)が満期を迎え、現金に償還された時に、その資金で新たに長期の米国債を買うというもの。その総額は1兆3,000億米ドルで、不動産担保債権が償還されるたびに、その資金が米国債の購入に再投入されるという。買い支える対象が不動産担保債権ではなく米国債である理由は、長期の米国債を購入することにより、米長期金利を抑えるためだという。

こうした量的緩和策・米政府による財政支出・ゼロ金利政策の継続・FRBによる米国債を購入のすべてが同時に行われるのは米国史上初のことであり、ゼロ金利下で大量に米ドルを発行するのは極めて異例な政策だ。

そして、「100年に一度の危機に対応するため」というお題目で、この異常事態を主導。市場に溢れかえる米ドルがその価値を落としていくのを眺めているのが、闇の支配者たちの出先機関であるFRBだ。

FRBの実態はロスチャイルド家の影響下にあるJ・P・モルガン商会やロックフェラー家といった金融資本家たちが主導して設立した私的な組織。彼らには米連邦準備券=米ドルの発行を行う権利が与えられ、まるで中央銀行のような顔をして、米国の金融政策の舵取りを行っている。

だが、FRBの株は今もJ・P・モルガン・チェース銀行やシティ・バンク(デイビッド・ロックフェラーの強い影響下にある)などの大資本が半数以上を所有。実態は、株主のために利益を出すというDNAを受け継いだ民間企業にすぎないのだ。

そんなFRBが発行した米ドルを世界が基軸通貨として認めてきたのは、米国の国力と石油の決済に米ドルを使うという暗黙の了解が「信用」となってきたからだ。

ところが、2008年の金融危機によって世界中の人がその信用のカラクリに気づいてしまった。そして、力をつけてきた新興国、特に中国は2006年のユノカル事件をきっかけに米ドル石油体制を維持してきた闇の権力者たちの仕組みから離脱することを決め、行動を開始した。

ロシア・ブラジル・インドといった新興国も脱米ドル後を探る動きを本格化させており、G20の席上でも新たな基軸通貨が話題に上るようになっている。もう米ドルはダメだ。もう米国は終わっている。これが日本をはじめとする対米隷属国では封殺されている「世界の常識」だ。

だからこそ、2010年8月にFRBが再び米国債を買い支える政策を復活させたことは、改めて米ドルと米国債と米国に対する国際的な信用を失わせた。
そもそも中央銀行がその国の国債を大量に購入し始めたら、その国の国債は終わりだ。なぜなら、買い手がいないからこそ、仕方なく中央銀行がその国の国債を購入しているのが実態だからだ。

そして、米ドルは安くなり、日本の企業は円高に苦しんでいる。一方、中国は貿易の決済に米ドルを使わずにすむよう人民元の国際化を急ぎ、米国の財政破綻を恐れて長期米国債の買い控えに入っている。

日本も中国・ロシア・ブラジル・インドをはじめとした新興国を見習って、いいかげん「対米隷属」を止めるべきだ。



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