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消費税増税はパラノイアの虚言
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/209.html
投稿者 一言主 日時 2011 年 3 月 02 日 14:36:22: AlXu/i8.H/.Es
 

   消費税の増税は、パラノイアの戯言

 偏執狂に陥ったメディヤ、再び敗戦を繰り返すのか。

消費税の増税は、デフレスパイラルを招きます。デフレ下でなされると、単なる需要の減少ではなく、連鎖的波状的に経済が収縮する大恐慌になるのです。

恐らく今回消費税が増税され、経済が崩壊した場合、橋本政権下で実施された消費税増税の後始末のため、1999年頃の小渕政権のような対策では日本を救済することはできないでしょう。

当時とは違い、麻生政権の14兆円越える大型経済対策でも日本経済は微動だにしないほど衰えているからです。恐らくデフレに消費税を上げるような経済原理を知らない担当者達では、日本を破綻させるでしょう。

デフレ下の消費税の増税がなぜ経済を急落させるのだろうか。それは消費税の増税がデフレスパイラルを招く原理であるからなのです。

今までデフレスパイラルという言葉を多くの方は聞き、そして大きな経済縮小を招く恐るべきものだという事を知っていることでしょう。

しかしそれがなぜ起きるのかと言うと、今まで経済学者ははっきりと言えませんでした。今やそれは明らかになっているのです。

原理というのは同じ経済条件が有れば必ず同じことが起こるというものです。

考えてもらいたいのは、水槽の中の金魚です。(水槽経済学http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/suisou1.htm)デフレの状態は、水が金魚の数に比べ少なくなっている状態です。(金魚が生産物、水が資金)

この時にさらに水が急に減少した場合、金魚の数が多いほど、動きが取れず、水から栄養分や、酸素が取れず、アップアップして窒息していきます。

消費税の引き上げは、この水槽の水を吸い上げる行為を意味します。なぜなら企業や、個人、あるいは政府関係も含めて、あらゆる取引に消費税の税率アップが及び、市場の資金が政府に取り上げられるからです。

デフレスパイラルは、生産量が一定のままで、市場の資金量が急速に減少する事によって惹起されるのです。それは一つの産業や、企業群にだけ及ぶのではなく市場全体に及びます。

なぜなら消費税増税による資金の減少は、間接税などのように特定の商品に掛け、その商品の需要や供給だけが左右されるものではなく、市場の消費全体に影響を及ぼすものだからです。

それは市場の資金量と生産量の比率を急激に変えることになります。このことがデフレスパイラルや、インフレスパイラルを、起こすのです。

(デフレスパイラルは、生産量が一定で、資金量だけが急速に減少した場合。インフレスパイラルは、逆に生産量が一定で資金量が急激に増えた場合です。

ドイツで起こったハイパーインフレは、戦争により生産手段が破壊され、生産量の減少と同時に、政府が貨幣流通量を増やしたことによる資金の増加の同時進行によって惹起されたことが簡単に解るでしょう。)


デフレスパイラルは、所得線の角度の下降という形で表すことができます。(生産量が横線、縦に資金量をとって描いた所得線)インフレスパイラルはこの逆です。

市場の資金の減少は、全産業の需要に大きな影響を及ぼします。一つの産業の需要減退は、他の産業の需要の減退を招きそれが波状的に市場全体に及んでいくのです。一つの商品や産業の衰退では有りません。

波状的連鎖的な収縮が繰り返されながら、やがて資金の最下点で止まります。消費税によって減少させられた資金量に見合う生産量で不安定ながらも一応の均衡に達します。

そこが所得線の下降の最下点です。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
デフレスパイラルは、このように消費税増税前の所得線の角度から、消費税を増税し資金が減少した最下点である所得線の角度まで、波状的循環的に経済を縮小させながら、下降する過程を指します。
多くは大恐慌を伴います。

消費税の増税は、市場のあらゆる取引から一定率の資金を政府に引き上げる行為です。それは市場からの資金の流出になります。

この一定率の割合が多いほど、資金の市場からの流出量が増え、生産量と資金量の比率が変わり、角度が下がります。資金の流出が大きいほど、デフレスパイラルが激しく、急激に経済が縮小することになります。


インフレのバブル状態の時(投資が貯蓄を上回る状態)、消費税を増税することは、市場の過熱を防ぎ、資金を吸収することで、金融資産や土地に過度に資金を流出することを防ぐことができます。その結果、資産価格を安定させるのになるほど貢献します。

逆にデフレの時(借金や国民負担が、貯蓄を上回る時)、消費税を上げることは、破壊的な経済収縮を招くのです。

間接税との一番の違いは、先程も申しましたように、間接税は特定産業のある種の商品製品にかかるものであり、市場全体に及ばず、その製品だけの需要を左右するものです。

それは所得線の角度を上下させるものではなく、所得線上を上下するものです。市場全体を縮小させるものではないのです。

それ故例えば、消費税を上げ、福祉の介護にだけ投資をした場合。どうなるでしょうか。

デフレにおいて消費税を上げ、増収になることは無いので、架空のことになりますが、ここでは、別なところから介護への投資資金が調達できたとしましょう。

消費税上げで、デフレスパイラルが生じている中で、
すなわち全産業で波状的に循環的に経済縮小が進んでいる時、一つの産業に肩入れし、補助金を与え、奨励するとしますと、他の産業がより一層衰退することになります。

何となれば、肩入れした産業の生産が伸び雇用が伸びると、他の産業から、資金、生産材料、労働者が集中することになります。これにより、他の産業から、人材、資金、資料が枯渇してゆくのです。

そして肩入れされた企業は、資金、人材、生産資材などが、値上がりする事なく安く流入することになります。
資金はより低利で、賄われ、労働賃金も叩くことができるのです。生産資材も他が使わない分だけ安くなって入ってきます。

結局、肩入れされた企業の補助金分が他の産業を余計に衰退させることになり、全体の縮小はなんら解消されることはないのです。

このようなことから、デフレにおける消費税増税とそこから得た資金による経済復興は有り得ない空論であることがお分かりいただけると思います。理論的に破綻しているのです。

このことから、税と社会保障の一体改革などは、その美名のもとになんらかの利点が有るかのように錯覚させるものですが、論外の議論であることが分かります。時間の無駄、議論の俎上に載せる類いのもではないのです。

現状での消費税の引き上げはただ国民を塗炭の苦しみを味合わせるだけになりましょう。

現在金融モラトリアムにより生きながらえている企業への鉄槌となるでしょう。その申請が100万件近くに上っていると聞いています。

それらに従業員が4、5人いたとしても4、5百万の失業者が発生する勘定になります。彼らの生活費の援助や福祉に資するだけでも、消費税増税分は足りないでしょう。介護の雇用を2、3百万増やしたとしても足りないのです。

増収を期待して消費税を増税しても、引き起こされる現象は、大幅に増えた福祉関係への出費のため、借金がさらに増え、さらなる増税をしなければならなくなる断末魔の様相を呈するのです。


デフレの市場の本質的な特徴は、生産能力に比べ、消費額が著しく少なくなっていることです。消費に回る資金量が不足しているのです。にもかかわらずさらに消費に回るべき資金量を吸い上げる事は、営業活動の結果得られる付加価値を全く無くす行為になります。

消費税増税パラノイアと思われる自民党、菅政権、新聞、メディヤは、既に消費税増税が不可欠という論をあおりはじめており、大本営発表に明け暮れ始めています。

デタラメな見通しや理論を無視した政策は如何に国民生活を破壊するかは、敗戦で明らかになっていますが、今回も冷静に考えれば蟻地獄に陥ることはわかっています。いったい何が理由で狂信的に経済破壊を目指すのでしょうか。私にはわかりません。まさしく偏執狂です。

しかしデフレの実態が消費の不足であることが分かるならば何をすればよいかが分かるでしょう。あとはこれ以上国民に負担を掛けずに、予算をやり変え、消費額を増やす方向に投資をすればよいだけなのです。http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/080606.html財源病、財源馬鹿

それは間違っても低金利でないことは私の読者であるなら分かっていただいていると思います。デフレは簡単に直るものです。悲観的なものではありません。断言できます。
(納得いかない方は私のブログ等を参照してください。http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/091111.htmlデフレの成長戦略とは何か)
一言主。

追:最近の阿修羅版では多くの方が消費税に反対されています。心強い限りです。しかしデフレ解消法については、ほとんどまともな意見が見当たりません。
現在版船中八策を書いています。近いうちにご紹介できると思います。

http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
参照のこと:
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/blg-hiduke.html
2千8年8月12日デフレと日本の移民政策
2千8年8月21日デフレ下の諸物価の高騰と消費税増税の類似性
2千8年8月26日消費税増税で突然死、上げ潮政策でも突然死
2千8年9月22日デフレの原理と消費税
2千8年10月6日デフレと収穫逓減の法則
2千8年10月26日資金低減の法則が支配するデフレと政府の犯罪的政策
2千9年9月24日デフレにおける雇用政策の基本
2千9年11月11日デフレの成長戦略とは何か
2千10年4月9日世界のデフレ像を描く
2千10年5月7日デフレとばらまき

 

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コメント
 
01. 2011年3月02日 17:46:06: OBFnSCIruk
消費税というのは云わばテラ銭です。
テラ銭が多くなると結局最後は剥ぎ取られます。
胴元だけが潤うシステムなのです。
消費税上げて誰が笑うかを考えましょう。

02. 2011年3月02日 22:32:01: PPAJr6WqwQ
消費税を上げた分、必ず消費が減る。需要が減る。企業の売り上げが減る。企業の利益が減る。雇用が減る。

社会保障費は、生産活動の中で賄われるものである。
生産活動が活発にならない限りその財源は出てこない。
企業の利益が増えない限り社会保障費は出てこない。
企業の売り上げが増えない限り社会保障費は出てこない。
需要が増えない限り社会保障費は出てこない。

消費税を下げて消費を増やし需要を増やし企業の利益を増やし雇用を増やして社会保障費を生み出すべきだ。


03. 2011年3月02日 23:01:08: Foo0L7Vpvw
自民党は支持率上昇で、政権奪還を確信し、
消費税増税に強気になっている。

◆「消費税15%必要」野田毅・自民党税調会長が講演
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/426454/
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110109/fnc11010921410126-n1.htm
◆消費税10%、自民が明記 税制改革案
自民党は9日、来年度税制改正の「基本的考え方」をまとめた。
参院選の公約を踏襲し、消費税を10%に引き上げ、法人税率を20%台に引き下げることを明記。
http://www.asahi.com/politics/update/1209/TKY201012090454.html

自民党が総選挙に勝って、政権を奪還すれば、消費税率10%〜15%引き上げは、もはや確実。


04. 2011年3月03日 01:18:11: Pj82T22SRI
単に金をばら撒いても、生産力が増えなかったり、輸入に使用されてしまったら
GDPは増えず、国民は豊かにならない

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いい加減な経済学
2011/03/02 (水) 15:39

 いきなりですが、本日は皆さまの経済リテラシーを試させていただきたいと思います。

 政府が、景気対策のために10兆円の公共事業を実施したとします。そのとき、GDPはどの位増えると思いますか?

 さあ、如何でしょうか?

 「悪いですけど、大事なことを言い忘れているのでは?」

 何のことでしょう?

 「だから、消費性向は何%なのですか? それが分からないと計算できない‥」

 皆様も、同じようなことを考えているでしょう。消費性向が分からないと計算ができない、と。


 もう、この時点で我々は「いい加減な経済学」の奴隷になっているのです。その説明は後にして‥、では消費性向が50%だったら、どうなのでしょう?

 「消費性向が50%だということは、乗数が2となるから、10兆円の公共事業を実施するとGDPは20兆円増える」

 はい、予想どおりの答えでした。

 「違うの?」

 正解。しかし、それは経済学のテキストにはそう書いてあると言うだけの話です。本当はそんなことは誰にも分からないのです。

 「はあ?」

 では、少しずつ説明していきますが、仮に消費性向が99%だったらGDPはどれだけ増えるでしょうか?

 「消費性向が99%だということは、乗数が100になるので、GDP増加額は10兆円の100倍で、1000兆円」

 さあ、ここまでくると、何か匂ってくるのではないでしょうか?

 「でも、そんなに消費性向が高いということはないから‥」

 だったら、法律で当分の間、消費性向を99%にせよ、と義務付けてもいい訳です。仮に90%としても、GDPの増加額は最初の支出額の10倍にならなければいけないのです。

 何か、おかしいでしょ? 10倍とか100倍だなんて。

  これ、殆ど全ての人が、乗数理論を展開するときに重要な前提をすっとばして議論しているということなのです。具体的にいえば、幾ら国民が消費に励むようになっても、必ずしもGDPが増加するとは限らないということを分かっていないということなのです。

 例えば、みんなの頭に叩き込まれている乗数理論からすれば、消費性向が99%の場合には、最初の支出額の100倍もGDPが増える計算になるわけですが、ただ、国民が消費に励むだけではGDPが増えることは保証されないのです。

 確かに、経済が成長するためには、先ずは消費が盛んになることが欠かせません。消費が増えないのに生産を増やしても企業には売れ残りが発生するだけの話ですから。だから、消費が増えることは必要なのです。ただ、消費が増えたからといって、それだけでは十分ではないのです。

 例えば、企業側も消費を活性化するために一役買おうとして、従業員の給料を引き上げたりボーナスを奮発したらどうでしょう? この際、企業の内部留保もすっかり取り崩して、従業員の給料を大幅に引き上げてやる、と。

 「益々景気がよくなるのでは?」

 そう思うでしょ? でも、それは不正解。つまり、幾ら家計部門の消費が活発化したところで、それに見合って企業側が生産能力を引き上げていかないと、GDPを増やすことはできないのです。企業が幾ら儲かっても、その全てを従業員の給料やボーナスや或いは株主の配当に充ててしまい、設備の更新や新設をすることをしなかったら、生産力が落ちてしまうからなのです。

 つまり、そうなるとモノ不足になってしまい、インフレが起きるだけの話なのです。

 ということで、消費性向が分かっているだけでは、当初の政府支出がどれだけGDPを引き上げるか、なんてとても予想が立たないということなのです。

 では、もう一つ質問しましょう。

 政府が、10兆円の交付金を国民に支給し、そして国民がそれを100%使いきったとして、GDPは、最低どれだけ伸びると言えるでしょうか?

 さあ、如何でしょう?

 「少なくても当初の10兆円は全て支出されるのだから、最低10兆円はGDPは増える」

 そう答えますよね。教科書にもそう書いてあります。

 でも、その考え方も重要な前提をすっ飛ばしているのです。つまり、教科書に書いているのは、国民が10兆円消費したら、それは3面等価の原則によって10兆円分の生産がなされたとみなして議論をしている訳です。

 しかし、現実は必ずしもそうではないのです。もし、国民が購入の対象にしたものが昨年既に生産されていたものであったとして‥、つまり、在庫の処分が進んだだけで新たな生産に結びつくことがなかったとしたら、幾ら国民が10兆円支出しても、GDPが10兆円増加するとは限らないということです。

 要するに、消費するだけでは十分ではなく、消費の後に生産行為が伴うことによって経済が成長していくことが重要なのです。まあ、以上のようなことが分かれば、経済が発展していない国の場合には、ケインズ政策が効かないのがよく分かると思います。

 つまり、産業の基盤が十分でないような国の場合に、幾ら経済を刺激しようとして政府支出をしても、そもそも供給能力が不足してる訳ですからインフレを加速するだけの話になるのだ、と。そのような貧しい国の場合には、消費性向は限りなく100%に近いので、乗数効果が大変ありそうな感じがするのですが‥、実はそうではないということなのです。

 で、ここまで分かれば、乗数効果って? という気がしてくると思うのです。

 乗数効果が分かっている人は、数学ができると言えるかもしれませんが、本当の意味で経済が分かっている証明にはならないのです。


 では、話は飛びますが、日本の場合にはどうしたらいいのか?

 日本の場合には、少子高齢化が進んでいて、例えば、小学校の1学年の人数はピーク時の半数ほどに落ちていると言う訳です。

 まあ、入学する生徒の数が半減しているのであれば、売れるランドセルの数も半分になって当然ですから、消費が落ちてもおかしくない状況にあるわけです。だから、どうしてもGDPを増やしたいといのであれば、先ずは子どもの数が減らないような政策が必要になるのです。

 で、その点に関し、政府は何をやってきたかといえば、子ども手当を配ることと幼保一体化です。でも、殆ど効果はないようです。つまり、待機児童解消のめどが立っていないのです。そんな状況のなかで、幾ら少子化に歯止めをかけようとしても‥

 先ずは、待機児童の問題を解消し、子どもを育てやすい環境を作ることが先決でしょう。

以上


05. jesusisinus 2011年3月03日 03:44:49: veLsqfdw2ggms : YmA0Byj7ZG
一言主さんの意見は、今までも見てきていますが、今回のは決まってます(笑)

> 追:最近の阿修羅版では多くの方が消費税に反対されています。心強い限りで
> す。しかしデフレ解消法については、ほとんどまともな意見が見当たりません。
> 現在版船中八策を書いています。近いうちにご紹介できると思います。

ふ〜ん…何も言ってなかった癖して、えらそうに…

@ 消費税減税
A エコポイントの弊害

は前からワテが主張しておりますねん…
Aについてはこんなんより、まだ「有効」な箱物〔託児所&老人福祉施設 for 団塊〕の方が良いと言ってるねん…

理屈はいらん…

「押して駄目なら引いてみな…」

これは Science ではあたり前のアプローチやねん…

理屈ありきで机上で喚きあってるバカどもへの、せめてものプレゼントや(笑)

まあ、それでも、少子高齢化による経済の縮小はあるけどな…

せめて、労働力が減っているという状況下で、全員を雇用出来る程度の経済に回復出来なければ、将来はまっくらだよ…

***

もうちょいしたら、日本出るけどな…笑

海外から、日本のこと応援してまっせ(笑)

追:小沢系が政治を主導しなけりゃ無理だろ…
小沢が無理なら、オレも諦めるが…
とにかく、誰が好きだの嫌いだの…政治でそういうことが一番に来るのがおかしい

怨憎会苦を乗り越えての救国を望む

それが駄目なら、財務省襲撃による皆殺し(笑)
もちろん「言論の自由」を盾にペンで(物理的に)ツツキマス…(笑)

なわけないだろ…

福沢諭吉風のウチゲバかっ(笑)


06. 2011年3月04日 01:02:48: 5OSV8Up776
04は「生産の増大が伴わないとケインズ政策は効果がない」と読めそうですが、ケインズ政策に効果がないと言う理屈は生産力を一定だと決めつけることでなりたっているので、04は「日本のように経済の発達した国では生産力が可変だからケインズ政策は効果がある」と言う説明になっていますね。

04はルーカスとその追随者たちに喧嘩を売ってます。
とっても素敵。


07. 2011年3月04日 05:17:56: mHY843J0vA
>>04
財政支出のGDPへの効果は、状況に依存するということですね。

単なる土地買いや、在庫の消費、または輸入に使われてしまえば効果は
ほとんどないのは、過去の財政支出が富裕層の貯蓄(国債)に
変換されてしまったことでも明らかです。

そして量的緩和などの金融政策でインフレになるとしても(普通はなりませんが)、
それは財政への信任の不連続的な破壊によるもので、制御可能ではありません
FRBの巨額の緩和でGDPが増え、雇用が増えたかといえば、その効果は小さく
心理的なインフレ不安を富裕層に与えた結果として、株など金融資産購入を増加させただけ(海外バブル増幅)でしょう。
それがドル安という形で、間接的に米国経済を刺激しましたが、生産力を増大させる(雇用増)ための費用対効果で言えば
最終的には、英国が行ったような緊縮財政によるポンド安の方が遥かに高かったということになる可能性もあります。
今後は米国も英国に倣うことになりそうですが、日本だけはさらなる財政膨張と緩和を続ければインフレの連続性に関する実証実験になりますね。

>ルーカス

合理的期待仮説の解釈論になりますが
予期されない金融政策のみが実体経済に影響を与える
とすると
現実には予想された金融政策(量的緩和など)も実体経済に大きな影響を与えますね
http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50032009.html
www.eco.nihon-u.ac.jp/~go/Macro-economics-2/7-b.pps


08. 2011年3月04日 08:07:13: 78IL90wTo6
 ここで思い出すのは、元首相のペテン師小泉が「徹底的に地方への補助金を悲鳴を上げるまで絞り上げれば、最後は我々に従うことになる・・」と言ったことだ。菅直人も同様のことを考えているのは確か。
「対米・植民地主義者」と言われる所以である。「足し算引き算もできない首相」が、アメリカの命令に従い日本を完璧に叩き潰そうとしている。

09. 2011年3月04日 11:35:54: TMSrExEL7E
 仙谷内閣の元総理ゴミ菅をいつまで持ち上げたら、気が済むのか。くず菅やろうはもはや痴呆症並みに、完全に無理矢理・空気中で泳がせられている単なるゴミくずのカタマリに過ぎない。思考能力=ゼロの野郎だ。
 デマメディア・マスゴミ19社・記者クラブのくず社員どもが、辛うじて支え合っているのだ。あの旦那衆どもが、ごみ菅←こいつを見放す時期を狙っている。もう直ぐそうなるよ。

10. 2011年3月04日 12:00:10: cqRnZH2CUM
>日本だけはさらなる財政膨張と緩和を続ければインフレの連続性に関する実証実験になりますね。

池田信夫のリフレ派批判は参考になるだろう
ただ中央銀行の機能に関しては、完全に解明されているとは言えないから
マクロ経済における社会的厚生の最適化問題は、簡単ではないな

http://ikedanobuo.livedoor.biz/ 
2011年03月02日 23:34 リフレ派の最後の砦
「読んではいけない」
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/ikenai.html
のリストも最近はリフレばかりになったので、もうこの種の本は読む気がなかったのだが、ネタとしておもしろいので、つい買ってしまった(リンクは張ってない)。著者(岩田規久男氏)によれば、日本経済のすべての悪はデフレが原因らしいが、その理由が支離滅裂だ。たとえば「デフレで雇用は悪化する」という根拠として、2005〜9年に実質賃金が下がったと いう統計が示されている。この原因は労働需給が悪化して名目賃金が下がったからで、ごく当たり前の現象だ。デフレが企業収益を悪化させるのは、名目賃金に 下方硬直性があって実質賃金が上がる(と著者は他の本で何度も書いている)場合で、実質賃金が下がるならデフレの弊害はない。予想されたデフレは実体経済に中立なのだ。
名目ベースの「超円高」の原因がデフレだというのは、その通りである。だから実質実効為替レートでみれば、別に円高ではない。著者はそれを認めながら「『実質実効為替レートの急騰は円高ではない』と主張するのは『デフレはよい』といっているに等しい」という。彼は事実判断と価値判断の区別がつかないのだろうか。デフレによる円高は国際競争力に影響しない。1ドル=100円から80円になっても、100万円の自動車が80万円になれば、輸出価格は1万ドルで変わらない。著者は高橋洋一氏やモリタクのような貨幣数量説を否定し、「貨幣供給量が増えれば直ちに物価が上がるという『単純な貨幣数量説』を唱える人は、現代の経済学界ではほとんどいない」という。ゼロ金利では、量的緩和をしても物価が上がらないことも認める。しかし量的緩和で(物価連動国債でわかる)予想インフレ率は上がるという。これが事実だとすると、 1.量的緩和で金融市場の予想インフレ率は上がる 2.しかし量的緩和をしても物価は上がらないしたがって三段論法で考えると、 3.量的緩和をすると金融市場が誤った予想を抱くという結論が導かれる。つまり量的緩和は金融市場を混乱させるだけで、実際にはインフレは起こらない。一般国民はマネタリーベースなんか知らないからだ。ところが著者は、量的緩和で予想インフレ率が上がると株価が上がるという。そんな経済理論はないし、逆の因果関係(株価が上がったために予想インフレ率が上がった)も考えられる。因果関係を無視して相関関係だけで語るなら、太陽の黒点活動のほうが景気に関係がある。リフレ派の主張には理論的根拠がなく、時系列データを見てもマネタリーベースと物価に相関はない。論拠が次々に崩れて敗走したあげく、最後の砦がこの「株価が上がって景気がよくなってデフレ脱却」という怪しげな話らしい。そしてまた「無税国家」が出てくる。こういう「盲撃ちすればいずれ当たるだろう」という話は、「具体的にどうすればインフレが起こるかわからないし、止められるかどうかもわからない」と白状しているようなものだ。そんな無責任な政策を日銀が取れるかどうか、大人ならわかるだろう。みんなの党は基本政策は悪くないのに、リフレのおかげで色物と見られ、「リフレ派でないみんなの党が欲しい」といわれている。みんなの党の桜内文城議員も 「国会議員の方が社会会計に基づくロジカルな議論をしようとしているのに、議員でもない者(財務省の先輩)が理論もデータもないオカルト的な言説を吹聴し て党の政策の信頼性を破壊している」と怒っている。もう無駄な退却戦はやめ、まじめに潜在成長率を上げる政策を考えてはどうだろうか。
2.
池田信夫
2011年03月03日 00:14
テクニカルな問題を補足しておくと、岩田氏のいう「予想形成」はどういうモデルを念頭に置いているのか わからない。通常のDSGEのようにforward-lookingに考えると量的緩和で予想が変わることはありえないし、adaptiveに考えてもマ ネタリーベースが予想に影響を及ぼす経路は考えられない。原田泰氏などの計量論文でも、量的緩和と株価との相関関係の検定だけで、理論的根拠は示されていない。こんな風が吹いたら桶屋がもうかるみたいな話は、桜内氏のいうオカルトでしかない。
3.
galois225
2011年03月03日 09:25
リフレ派が一部の人たちにもてはやされるのは、一見、金融政策という財政出動を伴わない形で景気回復が図れるという点なのでしょう。 つまり財政赤字がここまで大きくなると財政による景気刺激とは言い難いので、「最後の砦」がリフレということなのではないでしょうか。 しかし、日銀に株や長期国債を買えというのは、財政政策に他なりませんし、彼らが望むインフレがやってくれば、利払い費や、国債の値下がりで本当に日本経 済は焼け野原になります。 変なものに飛びつく政治家がいるようで、本当に情けない。 彼らはリフレによる景気回復を信じているのか、それとも確信犯的に 日本を財政破綻に追い込みたいのかどちらなのでしょうか。 勝間和代氏が民主党議員を前に、「インフレにすれば、日本の経済問題の8割は解決する」とリフ レを説くビデオを見ながら、一体彼らは、このおかしな話を何と思って聞いているのか、異様な感覚に囚われました。  
4.
池田信夫
2011年03月03日 09:36
もうこの種の話は最後にしたいので、ついでに「無税国家」について書いておくと、理科系の人がよく批判 するように、リフレ派はハイパーインフレのような非線形の現象を「インフレが起こったら途中で止めればいい」といように線形で考えている。これは制御理論 の初歩も知らない。均衡から脱線するpositive feedbackをどう止めるかというのは、通常の均衡経路の上の問題とはまったく違う。岩田氏もいうように「レジーム・チェンジ」が目的だとすれば、その変化は非線形だから、0と1の中間はない。何も起こらないか、300兆円ぐらいばらまいたときハイパーインフレが起こるかです。その中間のマイルドなインフレを維持できるという挙証責任は、岩田氏にある。
5.
池田信夫
2011年03月03日 09:53
もう一つ「日銀がETFなどを買うのは財政政策だ」という主張も、岩田氏は認めて「金融政策か財政政策かなんてどうでもいい」というが、これも違う。財政政策は一般会計の制約があって長期的に継続できない。長期国債の買い切りオペに効果があるのは長期金利を下げて実質的な緩和効果をもつからで、これは標準的な金融理論で説明できる。つまり通貨供給量には意味がなく、金利だけが問題だというのが現代の金融理論の理解で、これは今回の論争でも正しいことが証明された。


2011年03月02日 08:27 フリードマンの公理系
きのうのアゴラ連続セミナー最終回は、ミルトン・フリードマン。久しぶりに読み直してみて、やはり『資本主義と自由』は圧倒的におもしろい。古典というより、そのまま現代日本の問題を解決する武器として使えると思う。経済学の世界では、この半世紀フリードマンはつねに論争の中心であり、理論的には彼が勝ったといってよい。彼を悪しざまに罵っていた宇沢弘文氏の ような介入主義を支持する経済学者はいない。フリードマンの理論は「人間は合理的個人であり、行動の責任は自分だけが負う」という公理にもとづいて演繹的 に組み立てられており、公的年金を廃止するとか社会保障を負の所得税に一本化するとかいう過激な提案も、彼の公理系を認めると反論できない。ただフリードマンの一つの限界は、市場 メカニズムによって望ましい状態が実現するという新古典派の前提を認めていることだ。これはいわゆるパレート効率性ではなく、競争がある限り資本主義はみ ずから修正する力があるという考え方だが、彼の死後の2008年に起こった金融危機は、その前提に疑問を投げかけている。これは市場メカニズムにおいて超過需要が価格の減少関数になっているというワルラス的モデルが成り立つかどうかという問題だ。これが成り立つと市場は自己補正的なネガティブ・フィードバックになるが、投機のように値上がりによって超過需要が増えると均衡から逸脱するポジティブ・フィードバックが発生する。この点についてフリードマンは、投機によって愚かな投資家は市場で淘汰されるので、長期的には市場は正しい価格を発見すると論じた。これはラインハート=ロゴフのいう複数均衡の問題を無視しており、金融市場では単純な自由主義はうまく行かない。フリードマンの公理系の本質的な欠陥は、経済理論としてはこの点だけである。根本的な問題は、彼の合理的個人という公理を認めるかどうかである。このような西欧的人間モデルは、地理的にも歴史的にも少数派であり、きわめて特殊なものだ。特に日本人には、このモデルはなかなか受け入れがたいだろう。民主党のバラマキ福祉やNHKの無縁社会キャンペーンに代表される温情主義は、よくも悪くも平均的な日本人の市場原理に対する気持ちを表現している。しかし残念ながら、日本的コミュニティの最後のよりどころとなってきた会社共同体も、そう長くない。社会が原子的な<私>に分解する傾向は、いい悪いでは なく避けられない。日本社会は、好むと好まざるとにかかわらず、フリードマンの公理系に近づいているのだ。この不都合な真実にどう向き合うかが、日本人の 最大の課題だろう。
2011年02月26日 13:38経済
宇沢弘文氏の奇怪な農本主義
菅 政権にゆさぶりをかける民主党議員が「TPPを考える国民会議」なるものを結成した。驚いたのは、その代表世話人として宇沢弘文氏が記者会見したことだ。 彼は私の大学時代の先生であり、学問的に教わったことも多いが、90年代以降は極端な農業保護主義を主張するようになった。今回も農協新聞に寄稿し、TPPを激しく攻撃している。
菅 直人が「平成の開国」と叫ぶとき、「安政の開国」を念頭に置いてのことであろう。1858年井伊直弼によって締結された日米修好通商条約は、治外法権、関 税自主権の放棄、片務的最恵国待遇からなる極限的な不平等条約である。「安政の開国」の結果、日本の経済、社会は、とくに農村を中心として、致命的なダ メージを受けることになった。
驚 いたことに、彼は明治維新による開国を否定するのだ。普通の人はこのへんでついていけないと思うが、彼はさらに戦後の「パックス・アメリカーナ」も全面的 に否定し、実態の不明な「新自由主義」や「市場原理主義」を繰り返し攻撃する。他方、「農の営みは人類の歴史とともに古い」として、その保護を主張する。 彼は資本主義を全面的に否定し、鎖国と農耕社会に戻れと主張しているのだ。こういう農本主義は、明治国家の偽造したイデオロギーである。網野善彦も指摘したように、「百姓」は農民だけなく商人や職人などを含む概念であり、近世以 前の社会のダイナミズムを生んだのは農村を行き来したノマドだった。しかし明治以降、国民を家にしばりつけて管理する戸籍制度がつくられ、それを統治する 国家組織が農村組合であり、戦時経済でつくられた統制団体が農業会だった。農協はその直系である。だから山下一仁氏も 指摘するように、農協は戦前から受け継いだ政治的・経済的な権力によって農業を独占的に支配し搾取してきた。その最大の権力基盤は農協を通じて配布される 農業補助金であり、こうした構造が自民党政権をながく支えてきた。今回の「国民会議」に集まっているのも、農業利権を食い物にする民主党の農水族議員であ る。宇沢氏は東京で農協幹部や政治家の話しか聞いていないのだろうが、私は地方に勤務して何度も農協を取材したことがある。どこの村に行っても農協は農民を搾 取する組織として怨嗟の的であり、農協の幹部はいかに役所をだまして多額の補助金を獲得するかのテクニックを得意げに語った。宇沢氏が美化する農協こそ、 戦前の日本を滅ぼした国家資本主義の最後の砦なのだ。人間は年をとると幼児に返るという。東大経済学部でマル経と闘って「近経」を輸入した宇沢氏や浜田宏一氏が、70歳を過ぎて社会主義に回帰し、国家が市場に介入せよと主張するのは、若いころ植え付けられた左翼の遺伝子なのだろう。残念ながら、サミュエルソンの有名な言葉は今も正しいようだ。
Funeral by funeral, theory advances.


2011年02月25日 10:21法/政治
独裁政権はなぜ一斉に倒れるのか
チュニジアに始まった中東のドミノ現象は、リビアで最大の山場を迎えている。ムバラクは30年、カダフィは40年以上も続けてきた独裁政権が、なぜ数ヶ月の間に一斉に倒れるのだろうか。これは前にも紹介した協調ゲームの応用問題である(利得a>b>0は対称とする)。
自由 独裁
自由  a  0
独裁  0  b

いま人々が独裁に甘んじているとすると利得はbだが、全員が一挙に独裁に反抗し、政権を倒して自由になれば、利得はaに上がるとしよう。このときナッシュ均衡は複数あり、どちらが選ばれるかは初期値に依存する。パレート効率的なのはaだが、独裁bから出発すると自分だけカダフィに反抗しても殺されて利得は0になるので、独裁政権に服従するbがナッシュ均衡になる。この「恐怖の均衡」が40年間つづいてきたと考えられる。しかし他人が閾値x=b/(a+b)以上の確率で反乱すると予想する場合は、協調して反乱を起こすことが合理的になる。ここで重要なのは、過半数の人々が反乱に参加する必要はなく、反乱分子の確率がxを超えればいいということだ。xは自由の相対的な価値a/bが大きいほど低くなり、たとえばaがbの2倍だとxは1/3だが、100倍だと1/101になり、100人に1人以上が反乱に参加すれば勝てる。この閾値xは予想なので、人々の心理で決まる。エジプトで政権が倒れて人々が自由になると、aが上がって閾値xが下がり、カダフィに反抗する突然変異の発生確率が高まる。今は大量に発生した突然変異をカダフィが皆殺しにして、均衡の移行を防いでいる状況だが、これは安定した均衡ではないので、独裁か自由かのどちらかに落ち着くまで内戦は終わらない。このような複数均衡のゲームでは、均衡の移行が不連続に起こる。独裁政権がドミノ的に倒れるのは、隣の国で倒れたという事実が突然変異の予想確率を高め、それによって突然変異が増えて事後確率が高まるフィードバック・ループが発生し、閾値を超えるからだ。バブル崩壊やハイパーインフレも同様の非線形の現象なので、途中で止めることはできない。何も起こらないか爆発的に起こるかの二つに一つである。


2011年02月20日 18:46経済
財政破綻でハイパーインフレは起こるか
コメントで教えてもらったが、財政破綻について国会で今月ちょっとおもしろい質問があった。城内実議員の質問主意書は、いいところを突いている。日本をギリシャと比較して財政破綻のリスクを警告した国家戦略室の財政運営戦略を彼はこう批判する:
日 銀が市場から国債を買うことにより、事実上政府の財政赤字を日銀が引き受けるのと同等の効果を生じさせることができる。実際、アメリカ連邦準備銀行 (FRB)は約一.三兆ドルの米国債を購入し、米国政府の財政赤字を事実上引き受けた。日本政府がこのような方法を許すのであれば、日本の財政破綻は起こ りえないと考えるが見解如何。
これは専門家の中でも意見のわかれるところで、政府答弁書も正面から答えていない。たしかにFRBは大量に米国債を買ったが、今のところインフレは起こっていない。だから日本でも、国債が市中で消化できなくなった場合には、日銀が引き受ければ問題は起こらないという推論は、一つの可能性としては成り立つだろう。しかしインフレは貨幣的現象だが、ハイパーインフレ(*)は財政的現象なので、資金需要が少なくて も政府への信頼が失われると起こる。アメリカの政府債務は、悪化したとはいってもGDP比100%。これに対して日本はその2倍だ。政府の支払い能力の担 保は今後の増税と歳出削減だが、日本政府はその実行力にも疑問がある。PIIGSの通貨安はユーロに吸収されたが、円の場合は暴落によって輸入インフレが 起こるおそれが強い。政府債務の最終的な担保は、その国の経済力である。欧州でギリシャが最初にアタックを受けたのも、社会主義政権で経済の実態がボロボロだったからだ。「日 本はギリシャと比較にならない」と胸を張る向きもあるが、主要国で最低の成長率で世界最速の高齢化が進行し、政治のレベルもギリシャといい勝負だろう。アタリも指摘するように、財政危機 がハイパーインフレによる実質的な債務不履行で「解決」するのはありふれた現象で、日本でも終戦直後に起こったし、70年代にも物価が5年で2倍になっ た。何も起こらない確率はゼロではないが、起こった場合の社会的コストは莫大なので、放漫財政を続けるのはきわめて危険な賭けである。城内氏は、こうも質 問している:
IMFは、外国から借金をしている国において借金の返済が不能になっている場合に、自国通貨を発行させ、それをドルや円などの国際通貨と交換することにより返済を助けている。日本は外貨を十分持っており、IMFへの出資金も世界第二位である。
このように「日本は世界最大の対外純債権国だからIMFが介入することはありえない」というのは「日本は大丈夫」派によくある話だが、間違いである。『日本経済「余命3年」』で 土居丈朗氏も説明しているように、民間の債権で政府債務を返済することはできないので、両者は別問題。外貨準備も数百兆円の国債を買い支える原資にはなら ない。IMFは日本に対しても毎年、資金援助の条件となる調査をしており、日本が要請したら援助を行なうことができる。むしろ問題は、これを「財政自主権を失う」などと書いた財政運営戦略にある。まるでIMFが日本を支配するような書き方だが、IMFはGHQじゃない。当 事国の要請なしに援助することはないし、議会の承認なしに政策を実行することもない。むしろIMFの介入によって思い切った財政再建や民間企業のリストラ が行なわれ、奇蹟的に復活した韓国のようになる可能性も大きい。たぶん、それが日本経済の立ち直れる唯一のシナリオだろう。ただし日本の場合は、必要な援助額が桁はずれに大きく、政治的な抵抗も強いと予想される。これを克服できるかどうかが究極の問題で、そのシナリオについては今週の「もしフリ」を・・・(*)ハイパーインフレを「年間13000%以上」と定義して「数十倍ならハイパーではない」という人がいるが、これはCaganの論文に書かれただけで、公式の定義があるわけではない。ここではコントロール不可能なインフレの意味で使っている。


http://agora-web.jp/archives/1265680.html
デフレの何が悪いのか
池田 信夫 / 記事一覧
かつてはネット上で一部の学生に人気のあったリフレも最近はすっかり下火になって、「量的緩和で株価が上がる」とかいうオカルト的な(因果関係の証明でき ない)話しか論拠がなくなったようだ。ただ世の中にはデフレが諸悪の根源であるかのように騒ぐ人がまだいるので、問題を整理しておこう。私のブログ記事でも書いたように、ゆるやかな(予想できる)デフレには大きな弊害はない。よくいわれるデフレの弊害としては、次のようなものがある:
実質賃金が上がって企業収益を圧迫する:これは岩田規久男氏が証明したように、事実ではない。2000年代に日本の実質賃金は下がっている。
実質債務が増えて企業経営が苦しくなる:これも岩田氏が示すように、事実ではない。企業は借り換えで実質金利を下げることができ、事実下がっている。
円高になって輸出産業が困る:デフレによる円高は実質実効為替レートに影響せず、長期的な国際競争力は変わらない。
自然利子率がマイナスになって「意図せざる金融引き締め」が行なわれる:これはありうるが、金融政策で是正することはむずかしい。
他方、デフレのメリットとしては次のようなものがある:
価格の低下で実質所得が上がる:これはユニクロ型デフレというような問題ではなく、実質資産も増えるので消費は増える(ピグー効果)。
円高で原材料が安くなる:通貨が強くなると交易条件が改善することが多い(ここ数年の円高局面でもそうだった)。これは素材産業や内需型企業にとってプラスである。
要するにデフレは、輸出企業から内需企業と家計への所得移転な のだ。輸出企業はこの問題を海外移転で乗り切ろうとするので、残された内需型企業がデフレのメリットを生かさず、消費者が金を使わないことが不況の原因で ある。この解決策は簡単ではないが、ユニクロのようにデフレや円高のメリットを生かすサービス業がもっと出てくることが重要だ。長期的には貨幣は中立だというのが、経済学の鉄則である。貨幣は商品を仲介するだけで、それ自体に価値はないので、貨幣を増やしても減らし ても実体経済は変わらない。金融政策が意味をもつのは、価格の硬直性や貨幣錯覚の生じる短期の問題だけである。実体経済を改善しないで、日銀だけで不況を 解決することはできない。

http://agora-web.jp/archives/1260079.html
「今回は違う」症候群 - 『国家は破綻する』
池田 信夫 / 記事一覧
国家は破綻するーー金融危機の800年著者:カーメン・ラインハート&ケネス・ロゴフ日経BP社(2011-03-03)販売元:Amazon.co.jp 国 会では、財政危機をめぐる論議が本格化してきた。与野党ともに現在の政府債務が維持可能ではないというコンセンサスはあるようだが、世の中には「長期金利 は低いので大丈夫」といった楽観論が絶えない。本書は過去800年の金融危機と財政危機を網羅した大規模なデータベースによって、この種の楽観論を打ち砕 く。金融危機も財政危機もありふれた現象で、多くのケースに驚くほど共通点がある。それは「かつての危機は**だったが、今回は違う」とか「中南米ではデフォ ルトが起こったが、わが国は違う」といった理由で、過大な債務が積み上がることだ。過去のデータを分析すると、こういう話には根拠がない。財政危機は先進 国でも途上国でも起こり、対外債務でも国内債務でも同じだ。「財政破綻が起こったのは外債だけだ」という話は間違いで、過去の財政危機の多くは国内債務の破綻で起こった。対外債務が目立つのは、それが世界の投資家 の関心を引くからにすぎない。「債権者の95%は日本人だから大丈夫」などというのも根拠がなく、国債が暴落しても邦銀が永久に国債を保有し続けると信じ る根拠はどこにもない。過剰債務は、ゲーム理論でいう複数均衡をもたらす。つまり過剰債務が維持されている状態も破綻する状態もナッシュ均衡で、どれが実現するか は先験的にはわからない。通常のマクロ経済理論は、均衡が唯一(パレート効率的な定常状態)だと仮定しているが、バブルや財政破綻も人々の予想が一致すれ ば均衡となり、一定の限界を超えるとバブルは一挙に崩壊する。本書も指摘するように「何かが起こると予想されているときは、必ず起こる」。問題はそれがいつ起こるかだが、財政破綻は複数均衡の一つから別の均衡に移行する非線形の現象なので、予想できない。本書は日本についても多くのページをさいているが、いえるのは財政状態がきわめて危機的であり、いずれ破綻するということだけである。では政府は何をすべきか。「経済成長によって債務を完済できる」という上げ潮派などの主張については、過去にそういう事例はないと本書は指摘している。日 本は金融危機に対して大規模な財政支出で対応したが、これは財政危機をもたらしただけだ。多くの場合、政府はインフレによって財政危機を「解決」する誘惑 にかられるが、こういうとき起こるのはコントロールのきかない大インフレで、これは経済を破綻させることが多い。本書は、金融危機や財政危機についてのデータベースとしては決定版といえよう。巻末には世界各国の長期にわたる膨大なデータがついており、専門家には便利だと思うが、一般読者には読みにくい。要約版がハーバード大学のウェブサイトにある。
円安か円高どっち?safe-rich.jp

http://agora-web.jp/archives/1259521.html
政府支出と物価に相関はないのか
小黒 一正 / 記事一覧
いま、政府支出と物価に相関があるか否かを巡って論争が起こっている(少々大袈裟)。というのは、週刊ダイヤモンド(2011年2月19日号)の特集「財政赤字 本当の恐ろしさ 五つの誤解を検証する」(監修・野口悠紀雄・早大教授)は、「インフレになれば財政収支は改善する」という主張は誤解であると説明した。その一つの理由は、政府支出と物価(例:GDPデフレータ)には正の相関があり、インフレ時では歳出も膨らみ、財政収支が改善するとは限らないからである。しかし、高橋洋一・嘉悦大教授は、ダイヤモンドONLINEの記事(2011年2月24日)で、「歳出(政府支出)は…GDPデフレータ(物価)との相関はない」と否定している。どちらの見解が正しいのだろうか。この論争の決着には、学術的な検証が必要であることはいうまでもないが、ここでは簡単に公表データ(SNAデータや人口統計データ等)を利用して考察してみよう。まず、横軸に「GDPデフレータ」、縦軸に政府の「名目支出」をプロットしたものが、図表1である。ただし、どちらの値も1981年の値を1に基準化した。図表1:名目支出とGDPデフレータとの関係(1981年度−2009年度)この図表をみると、確かに高橋教授の主張のとおり、名目支出とGDPデフレータとの間には正の相関はないように思える。むしろ、この図表の回帰直線の説明力は、ほぼゼロで、無の相関をもっていそうである。だが、この図表の見方には注意が必要である。というのは、図表1のプロット点には相当のバラツキがあり、「逆くの字」型をしているからである。この原因の一つの可能性は、現在、政府支出の膨張要因となっている社会保障予算(年金・医療・介護)の影響を考慮していないからと考えられる。とくに 1990年代後半以降は、デフレ基調が継続する一方で、社会保障予算は毎年1兆円程度のスピードで膨張してきたからである。他方で、歳出を構成する年金や 公務員給与、公共事業などの単価もある程度は物価の影響を受けていると考えるのも自然であろう。そこで、まず初めに、名目支出を縦軸、65歳以上の人口を横軸にプロットしたものが、以下の図表2である。次に、名目支出をGDPデフレータで実質化した 「実質支出」(つまり、名目支出÷GDPデフレータ)を縦軸、65歳以上の人口を横軸にプロットしてみたものが、その下の図表3である。なお、これらのど の値も1981年の値を1に基準化した。図表2:名目支出と65歳以上人口との関係(1981年度−2009年度)図表3:実質支出と65歳以上人口との関係(1981年度−2009年度)図表2と図表3をみると、名目支出や実質支出の伸びのほとんどが65歳以上人口の伸びで説明できることが分かる。このことは、いまの財政が社会保障予算の膨張で危機に陥っている点を考えれば、そもそも驚くに値しない自然な結果であろう。しかも、図表2の回帰直線の説明力は93%に過ぎないが、図表3の回帰直線の説明力は99%以上もあり、極めて当てはまりがよい。なお、2004年の年金 改革では物価スライドが廃止され、マクロ経済スライドが導入された。このため、図表3の回帰直線とデータに1%未満の誤差がある理由は、公共事業や年金な どの歳出改革の成果の可能性があるが、それも1%未満の誤差の問題である。いずれにせよ、むしろ重要な点は、図表3の回帰直線が妥当であるならば、以下の関係式が成り立つということである。
実質支出 = 定数 + 係数×65歳以上人口 …(1)式
他方で、「名目支出=実質支出×GDPデフレータ」である。だから、(1)式の両辺に「GDPデフレータ」を掛けると、以下の関係式を得る。
名目支出 =( 定数 + 係数×65歳以上人口 )×GDPデフレータ …(2)式
この(2)式は、政府支出と物価に正の相関がある可能性を示唆する。以上は簡単な考察であるから、論争に決着をつけるには、長期時系列データによる実証分析が必要であろう。政府支出と物価の相関に関する今後の検証が期待される。
(小黒一正 - 一橋大学経済研究所准教授)


http://agora-web.jp/archives/870589.html
日銀は日本経済を救えるか?
アゴラ編集部 / 記事一覧
慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授/小幡績不況に陥っている日本経済に対して、日銀が無策であると、ことあるごとに批判される。ほとんどの経済学者、エコノミストは、日銀に対して批判的で、デフレ を解消するために、穏やかなインフレを起こせと主張している。米国経済学者のポール・クルグマンが、日本は、リフレ政策、すなわち穏やかなインフレを意図 的に起こす政策を採るべきだと90年代末に主張したのは有名であるし、これと同じような主張を日本の多くの学者が行っている。私は、これらの意見に反対で ある。なぜなら、インフレになっても、いいことは一つもないと考えるからである。リ フレ政策を主張する学者達の議論を整理しよう。インフレになると景気が良くなる理由は、まず、所得移転である。すなわち、お金を貸している人から、借金を している人へ所得が移転する効果である。10億円を銀行から借りている企業は、インフレになり、価格水準が5%上がれば、収入も5%増えるのに、返すべき 借金は名目どおり10億円なので、5%分、返しやすくなる。多くの企業は借金をしているから、設備投資などの需要を生み出す企業にお金が銀行から移転する ことになり、経済は活性化し、景気が良くなるという議論である。第二のインフレのメリットは、同様に所得移転であり、今度の所得移転は、預金者から銀行へのものである。つまり、インフレになれば、それに連動して企業な どへの名目の貸付金利を上げることができ、その一方で、預金金利は据え置くことが可能であるとすると、預金者が得られたはずの金利収入を銀行に移すことが 出来る。第三のメリットも、所得移転と言えないこともないが、これは日銀からの贈り物である。すなわち、インフレになっても、日銀が政策金利を据え置けば、すなわ ち現在であれば、名目短期金利をほぼゼロに据え置けば、インフレが3%なら、実質金利はマイナス3%となり、設備投資などへの刺激効果の余地が広がるから である。第四のメリットは、1930年代の大恐慌のときにケインズが主張した雇用理論の流れを受けて、その後の経済学者たちが主張したことであるが、名目賃金の下 方硬直性があるときに、実質賃金の引き下げを可能にする方法は、インフレしかないということである。労働組合の存在などの理由により、解雇や名目賃金の引 き下げが難しいために、新規の雇用をしたくても出来ない企業が多く存在し、その結果多くの失業者があふれていたときに、実質賃金の引き下げが可能になれ ば、企業は雇用を増やし、失業が減少する。なぜなら、名目賃金が引き下げられなくても、企業が生産する製品の価格が上昇すれば、実質賃金の引き下げが実現 するからである。これにより、失業が減少し、景気は回復するという議論である。第五のメリットは、デフレスパイラルを防止するということである。これは、現在の日本経済について、想定されているメリットであり、現在のデフレが進行す れば、企業の売上が減り、それに応じて給料が下がり、その結果、人々が消費を減らし、その結果、モノの値段はますます下がり、この悪循環が継続し、経済は 縮小し続ける恐れがあるということである。だから何としてもデフレをとめないといけない、ということである。第六のメリットは、クルグマンが強く主張したことだが、インフレによって、駆け込み需要を促すというメカニズムである。このメカニズムは、消費税の駆け込 み需要と似ている。つまり、ある高級自動車が、今年400万円で売っているが、デフレにより、毎年20万円ずつ値下がりを続けると見込まれれば、その値下 がりが止まるまで、すなわち、一番安くなるところまで待とうという心理になる。だから買い控えが起こり、消費はますます縮小するのである。一方、インフレ の場合は、たとえば、毎年20万円ずつ値上がりをするので、資産が十分にあって、いずれにせよ、この高級自動車を買いたいと思っている富裕層は、すぐ乗れ て、しかも一番安い今買ってしまったほうがいいということになり、現在の消費が喚起される、という考え方である。これらの議論は、すべて間違っているか、あるいは現在の日本経済には当てはまらない。第一のメリット、借金に苦しんでいる企業が身軽になって、息を吹き返し、経済の活性化をもたらすのは、潜在的にその企業の製品に対して需要があるにもかか わらず、銀行がその企業を支援せずに、貸し出しの回収だけを考えている場合である。90年代末の日本の危機の場合には、この貸しはがしの問題は確かにあっ たが、現在は、需要そのものが不足しており、また企業は2003年までの危機において、債務を大幅に削減していたから、今、借金の負担だけが理由で苦しん でいる企業は少数派である。第二のメリットは、預金者はお金を十分に持っているのに、消費せずに必要以上にお金を溜め込んでいるような場合に、銀行に所得移転をすることによって、銀 行の財務を改善し、その結果、企業への貸し出しなども伸びてくることにより景気が回復するというロジックであるが、現在銀行は適当な融資先がなくて苦しん でいるので、銀行に財務的余裕が生まれても、それを内部留保し、資本を厚くするだけか、あるいは、融資するとしても、アジアなどの新興国への融資、投資に 向かうと考えられ、日本の景気回復には貢献しない。第三のメリットは、確かに存在するが、現在の実体経済への投資の減少は、将来の実需に対して悲観的であるために、設備投資などを手控えているのであって、 投資の資金調達コストが下がっても、ほとんど実物投資は増えず、金融資産への投資が増えるだけであり、せいぜい金融資産バブル再来となるだけである。金融 資産バブルは、必ずしも、実体経済の景気回復をもたらすとは限らず、一方、そのバブルが崩壊した場合には、実体経済が大きなダメージを受けるのは、まさに 今経験していることであり、あえて金融資産バブルを政策的に起こすことはない。第四のメリットは、伝統的には、マイルドなインフレを支持する最大の理由であり、解雇の難しい日本ではとりわけ重要であったが、現在の日本は大きく変わっ た。名目賃金の下落は簡単に起こるようになったのである。というより、我々はボーナスの激減、正規雇用から非正規雇用へのシフトなど、名目賃金の大幅な低 下を目の当たりにしているのであり、これが大きな問題と一部の人々に思われているのである。したがって、現在の問題は賃金の下落を可能にすることではない ので、このメリットも重要でない。第五のメリットというか、デメリットの防止は、恐怖を煽るストーリーとして語られている部分もあり、かなり漠然とした議論であるので、反論も難しい面もあるが、これは、第六のメリットへの反論と一緒に考えたい。第六のメリット、クルグマン理論であるが、これは明らかな誤りである。なぜなら、このインフレーション、高級自動車の5%での安定的な価格上昇により、こ の自動車への駆け込み需要が永遠に起こり続ける、そして、インフレというマクロ経済全体の現象が起これば、このメカニズムが経済全体でも同様に起こるとい う議論には、暗黙の前提が多数あり、その前提は成立し得ないからである。クルグマン理論が暗黙に前提しているのは、第一に、賃金はインフレに完全に連動して上がり続けるということである。そうすれば、実質価格は同じであるか ら、いつ買ってもかまわないから、今買っておこうということになる。そして、もう一つの前提は、消費者は十分資産あるいは所得があるということである。この二つの前提は、明らかに成り立たない。現在、インフレになり、企業の収益が多少上がったとして、企業はその分、賃金を上げてくれるだろうか。あり得な い。せいぜい雇用の確保優先で、解雇を減らすか、あるいは将来、解雇しなくて済むように今の利益を将来の雇用のためにためておくくらいである。そして、そ のような殊勝な企業は少数派で、多くの企業は、増えた収益は、利益を増やすことだけにまわすのである。したがって、雇用回復なき企業の利益増加、株価上昇 ということになるのである。この結果、クルグマンが想定するような十分に裕福なお金持ちでない多くの勤労者は同行動するであろうか。モノの値段はインフレで上がるが、賃金は上がらな い。つまり、実質賃金は下落し、実質生涯所得は低下し、生涯にわたる支出への予算制約はより厳しくなるのである。そして、日本経済の将来は、依然として不 安であり、公的年金の将来の支給額や将来の消費税の増税などを考えると、さらに不安になってくる。したがって、現在見られるような国民上げての節約生活 が、リーマンショックに対応する一時的なものから、生涯にわたるものになり、日本の消費者の大多数は、倹約家になり、インフレの元で、景気はさらに悪化す るのである。第五のポイント、デフレスパイラルの防止であるが、デフレにより企業の名目の収益が減少しようが、インフレによりそれが増加しようが、勤労者の実質賃金、 実質生涯所得は減少するので、いずれにせよ、実質的な需要増加による、景気回復が起きないことには、ある程度まで、縮小均衡へ向かって経済が落ちていくか ら、これで経済を救えるわけではないのである。以上のような理由により、私は、インフレにより、日本経済が良くなるとは全く思わない。そして、私がリフレ政策に反対する最大の理由は、ここでは議論でき なかったが、モノのインフレを日銀が意図的に起こすことは不可能であることによる。この議論をすると、多くのリフレ論者は、究極的には、物価水準とは、モ ノとお金、つまりマネーの比率だから、マネーをじゃぶじゃぶに無限に増やしていけば、どこかでインフレが必ず起きる、たとえば、国民全員に日本銀行券を 刷って渡せばよい、といういわゆるヘリコプターマネーの議論で反論する。しかし、これも、明らかに間違っている。なぜなら、将来が不安な中では、マネーを もらった場合に、それを消費するのではなく、将来への備えとしてとっておくはずであり、それは、金融資産(不動産を含む)への投資に他ならない。すなわ ち、インフレはモノの値段として起こるのではなく、資産インフレとして起こるのであり、まさに、金融バブルが起こるということであり、これはもともと金融 資産を多く保有している人々が儲かるだけの話であり、国内的にも世界的にも、金融資本家や金融国家が儲かり、持たざるものはさらに貧しくなるだけのことで ある。したがって、リフレ政策は最も採ってはならない金融政策なのである。*PDFファイル


増税は避けられない - 池田信夫
池田 信夫 / 記事一覧
菅財務相が記者会見で「消費税の引き上げより予算の無駄を排除するのが先だ」とのべました。これは民主党のマニフェストにそった話ですが、そこで約束した 「特別会計もあわせた200兆円の歳出の1割カット」はまったくできず、事業仕分けで削減した歳出も補正予算で使い果たしてしまった。この状況で「無駄を なくす」という精神論を言い続けることは、財政インフレのリスクを高めます。WSJに よれば、アメリカの多くのヘッジファンドが、日本国債の空売りをねらっているそうです。2008年の金融危機の前にリーマンブラザーズの株式やCDSを空 売りして大もうけしたグリーンライト・キャピタルのデヴィッド・アインホーンは「日本の政府債務はすでに引き返せない地点にある」と宣告し、日本国債の値 下がりでもうかるオプションを買ったことを明らかにしました。今週のAERAも、この動きを取り上げています。来年度の国債発行額は(借り換えを含めて)162兆円という空前の額。今までは130兆円前後が上限といわれていたので、これは未知の領域です。「日本に は1400兆円の個人金融資産がある」とよくいわれますが、負債を引いた純資産は約1065兆円。株式などを除くと900兆円で、個人の保有する国債残高 670兆円から考えると、余力は230兆円――というのが春山昇華氏の見立てです。これは毎年50兆円の新発国債が発行されると、5年で底をつきます。金 利は債券市場の需給で決まるので、国債が消化できなくなったら金利は急上昇します。楽観論もあります。日本の所得税も消費税も国際的な水準に比べて低いので、それを平均的な水準に引き上げるだけで、ある程度は財政赤字は改善されます。し かし財政赤字の発散を防ぐには、税率を今の2倍以上に引き上げなければならない。消費税を数%上げるのに10年以上かかっている日本で、それが間に合うで しょうか。早めに手を打たないと、金利上昇が始まってからでは遅い。もちろん不況期に増税することは、マクロ経済の常識では好ましくないが、増税は短期の可処分所得を減らす一方で、長期の財政維持可能性を高めて恒常所得を増やす(減らさない)効果があります。今のように財政危機が切迫してくると、こうした非ケインズ効果が大きくなるので、ネットの影響はそれほど悪くないでしょう。名目成長率を名目金利より高めれば、財政赤字は発散しないという「上げ潮派」の主張は、理論的にはその通りですが、今の日本経済でそんな成長が可能でしょ うか。残念ながら、企業でいえば「業績さえ上げれば債務は返せる」という段階はとっくに過ぎ、「私的整理」によって債務を削減しないと、国債の暴落とハイ パーインフレで全面的に崩壊するリスクが高まっています。世間では「不況でいくらお金をばらまいてもインフレは起らない」などという楽観論を流布する人がいますが、不況でインフレが起るスタグフレーションはあり ふれた現象で、資産インフレはたいてい(アメリカの住宅バブルのように)不況対策で金融を緩和したとき起ります。今や欧米でも「出口戦略」が検討されてい るのに、恒常的にゼロ金利の続いている日本が、これ以上乱暴な金融緩和はできない。債務整理を行なう場合も、政府への信頼が絶対条件です。日本の国民負担率は国際的にみると低いのに、国民の「重税感」は強い。これは税金が 無駄づかいされているという不信感が大きいためで、自民党政権がそういう使い方をしてきたことも事実です。だから増税か歳出削減かという以前に、政府が合 理的な財政運営を行なうという信頼を築くことが重要です。自民党政権の無駄づかいをもたらしたのは長期政権の惰性による既得権との癒着でしたが、民主党政権で歳出がコントロールできなくなった最大の原因は、成長 を考えないで分配ばかり行なうポピュリズムです。増税を議論する前に、来年度予算を見直して子ども手当や農業所得補償などのバラマキを執行停止するぐらい の非常措置をとって政権としての姿勢を明確にしないと、国民の支持もマーケットの信頼も得られないでしょう。



11. 2011年3月04日 16:11:12: p9B89YgNYw
池田信夫って頭が悪いんじゃないの?
ぐずぐず言ってないでわかりやすく説明して欲しいよ。
カスだと思うよ。

12. 2011年3月04日 21:34:47: cqRnZH2CUM
ゴールドマンが呼び覚ました吸血ヒル療法の闇−マクロ経済「暗黒時代」 ボーム

  3月3日(ブルームバーグ):マクロ経済は実のところ、「暗黒時代」に入ったまま、そこから抜け出せないでいる。
  民間部門が支出を抑制した場合、需給ギャップを埋めるために政府が介入し、経済成長を押し上げることができるという考え方、つまり「財政刺激」一つを取ってみてもそうだ。
  ジョン・メイナード・ケインズ氏は1930年代に不十分な民間投資に問題の原因を求め、解決策として政府が資金を借り入れ、公共支出を拡大する処方箋を示した。エコノミストの間ではそれ以来、財政刺激について賛否両論が入り乱れて議論が行われてきた。
  この議論は80年を経てもあまり進展が見られない。1ドルの政府調達が生みだす経済効果について、エコノミストらは洗練された数々の数値モデルを編み出して解き明かした。米ハーバード大学のロバート・バロー教授(経済学)は国内総生産(GDP)を全く押し上げない(つまり乗数ゼロ)と主張し、ロマー前米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長(現在はカリフォルニア大学バークリー校の経済学教授)は1.5ドル相当の増加(乗数1.5)につながると力説する。
  ロマー氏がCEA委員長だった2009年当時、オバマ政権は総額8140億ドル(約66兆6000億円)規模の景気刺激策を打ち出したが、実際のところ何も証明されていない。
  米国で1970年代に民主、共和党政権による財政刺激策の失敗が相次いだことで、ケインズ主義は20世紀後半に鳴りをひそめた。80年代にインフレが 沈静化し、ベルリンの壁が崩れると、エコノミストらは景気サイクルのボラティリティ(不規則な変動)が低下したと考え、政府の介入による解決という概念は 廃れることになる。
訪れた絶好の機会
  ケインズ主義者らが再び日の目を見るためには、金融危機という絶好の機会を待たなければならなかった。
  景気刺激をめぐる議論は、先週になって再び活気を帯びることになる。米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループの経済見通しに対して、適正な政策金利の水準を導き出すテーラールールの提唱者として知られるスタンフォード大学のジョン・テーラー教授(元財務次官)が反論したためだ。
  米下院は2011会計年度(10年10月−11年9月)の残りの期間で610億ドル規模の支出を削減する歳出関連法案を可決したが、ゴールドマン陣営 は歳出関連法が成立した場合、4−6月(第2四半期)と7−9月(第3四半期)にGDP伸び率を1.5−2ポイント押し下げると予想した。
テーラー教授の反論
  これに対して、テーラー教授は 筆者のインタビューで、「11年の政府総支出は10年と比べて6.7%増加する」と述べ、国防費の伸びに加えて、メディケア(高齢者医療保険制度)や安全 保障など非裁量的経費も自動的に増えると発言。国防と安全保障を除く裁量的支出が連邦予算全体に占める割合は小さく、歳出関連法案の支出削減はこれを08 年当時の水準まで減らすだけだと語った。
  テーラー氏は、ゴールドマンの分析が将来の財政赤字と増税規模の縮小見通しが経済に与える好影響を考慮に入れておらず、「誤っている」と2月28日のブログで指摘。分析手法が09年の景気刺激策の正当化のために用いられた「乗数理論」に相変わらず依存していると批判した。
  財政支出が有効か、あるいは有害かをめぐって経済学者の間でこのような基本的な見解の相違が存在するのが経済理論の最前線の現状だ。経済学にはある変 数の影響を測定するために他のすべての条件を一定にする方法はなく、対照実験は存在しない。英紙フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ジョン・ケイ氏は2日、リスクモデルを設計する理論家を「錬金術師と偽医者」と呼んだ。
自明の真理
  個人や企業が特定の市場でどのように相互に影響を与えるかを研究するマクロ経済学には、自明の真理というものが存在する。しかし、経済政策の担当者に それが見えるとは限らない。アジア各国政府は現在、原油・食料品高騰に伴う痛みを和らげるため、補助金や価格統制を導入している。そのような行動が危機を 増幅させることが予想されるにもかかわらずだ。
  ゴールドマンは政府支出削減のGDPへの影響について、1.5−2ポイントというのは四半期ベースの年率換算の成長率に対するものであって、GDPの水準に対するものではないと明確に反論している。
  21世紀を迎えたにもかかわらず、マクロ経済学はなお「啓蒙(けいもう)時代」の夜明けを待ちわびている。5000年前の古代エジプトでは、発熱から 食中毒に至るまで医者が病人の血をヒルに吸わせることで治療できると信じられていた。現代医学はヒルを使った治療法を迷信として捨て去っているが、マクロ 経済もそろそろ暗黒時代を脱却する時期に来ているのではないだろうか。(キャロリン・ボーム)
(キャロリン・ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2011/03/03 15:32 JST


13. 2011年3月04日 23:14:45: cqRnZH2CUM
>池田信夫 ぐずぐず言ってないでわかりやすく説明して欲しいよ。

彼のマクロ経済理解は、現代では大体標準的なDSGEモデルを念頭に置いているようだから、教科書を読むといい
http://www.ryokato.org/genmac/ 


#おまけ

動学的一般均衡モデルへの招待―New IS-LMモデル分析
加藤 涼 平田 英明
http://www.jcer.or.jp/academic_journal/jer/detail3643.html#6 
 近年の金融政策分析では、動学的一般均衡モデルの1 つであり、家計や企業の期待を解析的に扱えるNew IS-LM モデルが標準的に用いられている。本稿では、このモデルの基本構造を紹介し、近年の原油価格の国内物価への波及度の低下が、期待インフレ率が抑制されていることに起因する可能性を指摘する。また、New IS-LM モデルに関連した研究の展望について述べる。.


The Macroeconomic Effects of Oil Shocks: Why are the 2000s So Different from the 1970s?
http://www.nber.org/papers/w13368
We characterize the macroeconomic performance of a set of industrialized economies in the aftermath
of the oil price shocks of the 1970s and of the last decade, focusing on the differences across episodes.
We examine four different hypotheses for the mild effects on inflation and economic activity of the
recent increase in the price of oil: (a) good luck (i.e. lack of concurrent adverse shocks), (b) smaller
share of oil in production, (c) more flexible labor markets, and (d) improvements in monetary policy.
We conclude that all four have played an important role.


14. 2011年3月05日 11:16:53: Pj82T22SRI
>中央銀行の機能に関しては、完全に解明されているとは言えない

日銀は自己の能力に関して、やや自信喪失気味、FRBは自信過剰気味のスタンスだな
日本人らしいとも言えるが
複数通貨が共存する世界の金融システムの現実で、経済が衰退する日本の視点の方が、より現実的と言えるか

2011年3月4日
日本銀行
日本銀行副総裁 西村 C彦
中央銀行家の視点からみた国際通貨システム
―― フランス銀行主催の国際シンポジウム
における講演の邦訳 ――
1
1.はじめに 本パネルのテーマ「どのような国際通貨システムを目指して」は壮大なものであるため、与えられた10分という時間で語るのは容易ではありません。そこで、私は二つの論点に的を絞ってお話したいと思います。一つは、現在の国際通貨システムの役割と限界をどのように理解すべきか、という包括的な論点です。もう一つの論点は、現在の国際通貨システムにおいて中央銀行が責任を果たしていく中で直面している課題であります。 2.現在の国際通貨システムの役割と限界 まず、現在の国際通貨システムについてです。国際通貨システムは、世界経済にとって重要な基盤を提供しています。そうした基盤によって、財やサービス、さらには資本が効率的かつスムーズに、国内的にも、また国境を越えるかたちでも配分されることが可能になっています。国際通貨システムが現在直面している中心的な課題は、対外不均衡について、黒字国と赤字国の間で対称的なかたちでいかにその調整を進めていくかということですが、同システムにはバランスのとれた調整を自動的に促す枠組みが組み込まれていません。ある通貨がいったん基軸通貨になると、それを利用し続ける強い慣性が働くことを主たる背景に、基軸通貨国である米国には経常赤字を削減するインセンティブはほとんどありません。その一方で、黒字になっている新興国では、予備的な観点からも、輸出競争力を維持する観点からも、外貨準備が積み上げられています。こうした戦略への制約は、国内物価が対応しやすい動きを示している限りにおいて、ほとんどありません。不均衡是正に向けた取組みはこれまでは二国間ベースで行われることが多く、時にはかなり激しい議論や交渉が行われてきました。
国際通貨システムにとってのもう一つの課題は、黒字国と赤字国双方が実施すべき調整の規模に関するものです。貯蓄・投資バランスについて、経済発展の段階や人口動態を反映する長期トレンドと、景気動向に伴う短期の循環的変動を区別することは必ずしも容易ではありません。例えば、1980年代
2
には、日本に対して貿易黒字や経常黒字の削減を求める強い圧力がかかりました。しかし、こうした圧力は誤った方向性をもつ取組みに簡単に変質してしまう可能性があります。日本についていえば、マクロ経済政策 ―― 特に、緩和的な財政・金融政策 ―― を活用したことは、所期の目的を達成できず、むしろ経済が過熱している可能性の兆候を示していた中で当局が速やかに行動しにくい環境を作り出す一因になりました。これがどのような結果に至ったかについて、われわれは皆良く承知しています。 だからこそ、強固で持続可能かつ均衡ある成長を実現し、継続した大規模な不均衡の是正を目的としたG20の相互評価の枠組みと、国際資本フローやグローバルな流動性に注目したかたちでのG20における国際通貨システムに関する議論は互いに結び付いているといえます。これら二つを組み合せていくことは、国際経済・通貨システムの長期的な安定性の向上につながるものと期待されています。ここで大事なことは、相互評価の枠組みが、少なくともその初期の段階においては、各国が他国の政策内容に加えて、自国の政策の他国への影響についても理解を深めるプロセスになるということです。これは、複数国の経済政策の最適な組み合せを実現するための建設的な対話の出発点になります。また、国際通貨システムの改革も長期にわたるプロジェクトになるでしょう。
こうした国際的な議論は、全ての国や状況に当てはまる唯一のモデルやコンセプトといったものは存在しない、という留意点があります。景気変動に伴う側面や構造的な側面を含め、各国固有の事情を考慮した詳細な分析が必要です。膨大な専門知識と経営資源を有するIMFですら、これまで、持続可能な不均衡の見極めに苦労してきました。1989年、IMF協定第4条に基づく日本との協議において、IMFのスタッフは、日本のインフレについて、「懸念する必要はなく」、従って、金融政策を引締め方向に転換するための「説得的な理由は見付からない」としていました。2007年、アイルランドに対する同4条協議のスタッフ報告書では、「経済のパフォーマンスは引続き素晴らしく」、「銀行部門は不動産市場に対する多額のエクスポージャーを抱えている
3
ものの、ストレステストによれば多様なショックに耐えられるだけの資本のクッションを有している」と説明されていました。さらに、同年の米国に関するIMFのスタッフ報告書は、「軟着陸が最も可能性の高いシナリオである」とした上で、「金融のイノベーションと安定が米国経済の成功の基礎である」と指摘していました。今回のグローバルな危機に至る前の時期におけるIMFのサーベイランスの限界については、最近公表されたIEO1の報告書に詳しく書かれています。私はここでIMFだけを非難したいわけでは決してありません。バブルの発生や、それが破裂した後の甚大な被害を事前に認識することが完全にできた者はいません。私が指摘したいことは、特定の一つの考え方が知的風土を支配してしまっている状況においてわれわれの判断は曇りがちとなり、この結果、違う角度からみれば容易に見付け出し得るリスクが見落とされてしまうことがあり得る、ということです。 3.現在の国際通貨システムにおける中央銀行の課題 続いて、現在の国際通貨システムにおいて中央銀行が責任を果たしていく中で直面している課題について、三点指摘したいと思います。 第一は、マクロプルーデンス政策の実行です。今回のグローバルな金融危機によってマクロプルーデンス政策の重要性が脚光を浴びています。一方で、われわれは、未だそれを明確に定義付けられていないほか、政策手段に関する包括的な道具箱も用意できていないもとで、マクロプルーデンス政策を真に実用的なものにするにはしばらく時間がかかりそうです。もっとも、マクロ経済の安定確保にとっての物価安定の重要性に対する理解が十分に進み、それが各国中央銀行の金融政策の枠組みに取り込まれるまで数十年を要したことを認識しておく必要はあります。
第二は、テイルリスクへの対応です。こうした議論は、今回のグローバル
1 IMFの独立評価機関(Independent Evaluation Office)。IEOは、本年1月、“IMF Performance in the Run-Up to the Financial and Economic Crisis: IMF Surveillance in 2004-07”と題する報告書を公表している。
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な金融危機にも当てはまります。経済に深刻な影響を及ぼし得るバブルの発生を回避するために、予防的な措置を採るということは、テイルリスクの積み上がり ―― すなわち、発生頻度は低いものの深刻な影響をもたらす事象の発生 ―― を未然に防ぐことです。マクロプルーデンス当局の主たる礎として、独立性と明確なマンデートがしばしば強調されます。しかし、私はこれらだけでは不十分だと理解しています。経済政策運営のあり方に対する考え方を根本的に変えることが求められています。すなわち、情勢が表面的には良好にみえるうちから、マクロプルーデンス当局が引締め策を講じることが容認できかつ適切なものである、という共通認識が社会全体で醸成される必要があるのです。こうした考え方は、具体的な問題が発生した後になってはじめて対応策を講じることの多い現在の政策パラダイムからの大きな転換を意味しています。 第三は、政策の国境を越えた波及効果です。グローバル化と金融イノベーションが続いている結果、経済や金融市場の結び付きは一段と強まっています。こうした環境のもとで、金融政策であろうと、マクロプルーデンス政策であろうと、政策当局は、自らが実施した政策が国境を越えてどのような影響を及ぼすのか意識せざるを得ません。さらに、その影響が海外経済や金融市場を通じて自国に回帰し、国内の経済・金融環境を左右し得ることも認識しておく必要があります。これまでも国際決済銀行(BIS)などの国際的フォーラムは、中央銀行間の情報交換や協力を向上させるうえでとても重要な役割を果たしてきました。これら国際的フォーラムの重要性は、経済や金融市場の結び付きの強まりを受けて、さらに高まることでしょう。 なお、ここでは深く立ち入りませんが、外為決済をさらに改善していくといった金融システムの「配管」の強化や、国境を越えたかたちでの金融機関の破綻を処理する枠組みの充実化などの論点も忘れてはなりません。 4.おわりに
ノーベル経済学者であるヒックス卿は、既に40年前に、グローバル化し
5
た金融市場においては「各国の中央銀行はもはや真の中央銀行ではなく」、「世界的なシステムにおける一つの銀行」になると予言していました。好むと好まざるとにかかわらず、われわれは明らかにその方向に向かって進んでいるといえるでしょう。 以 上


15. 2011年3月05日 11:34:42: p9B89YgNYw
>グローバル化した金融市場においては「各国の中央銀行はもはや真の中央銀行ではなく」、「世界的なシステムにおける一つの銀行」になる

実質世界政府ってことね、
恐ろしい馬鹿だよ。


16. 2011年3月05日 20:45:59: Pj82T22SRI
>グローバル化した金融市場においては「各国の中央銀行はもはや真の中央銀行ではなく」、「世界的なシステムにおける一つの銀行」

これは、例えば、日米中欧のような強大な中銀が超緩和的(超緊縮的)な金融政策を採ると、世界中が大きな影響(損害)を被るから、バラバラに政策を行うのではなく協調が必要だってことだ

>実質世界政府ってことね、
>恐ろしい馬鹿だよ。

意味不明だが、なぜ?


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