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株式日記と経済展望
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米国経済はすでに正常化しつつあり、経済主体のデフレ期待はおおむね
払拭されたのではないかと思われる。しかしドル暴落のリスクがある。
2011年2月28日 月曜日
◆貨幣面からみる日米経済 2月25日 ラスカルの備忘録
http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20110225/1298633495
2月16日のエントリーでは、経済の実物面(実質GDP)の今後の予測から、雇用情勢が今後どのように推移していくかを予測した。今回は、2月14日に公表された2010年第4四半期のGDP速報をもとに、日本経済を貨幣的側面からみるとともに、米国のデータと比較する。
まず、GDPデフレーターの前年同期比を需要項目別の寄与度でみると、国内需要の寄与は引き続きマイナスであるが、その幅は緩やかに縮小している。ただし、純輸出の寄与も引き続き大きなマイナスであり、これらをあわせたGDPデフレーターの前年同期比は、大きなマイナスが継続している。
つぎに国内需要デフレーターを貨幣数量方程式に基づき、(1)市中の貨幣量(ベースマネーと信用創造による貨幣供給の増加が物価を上昇させる効果)、(2)貨幣流通速度(貨幣の回転率が上昇することで物価が高まる効果)、(3)財・サービスの数量(商品数量の増加が物価を低下させる効果)のそれぞれの寄与別にみると、このところおおむね同じような傾向がみられており、不況期の特徴である貨幣流通速度の低下は一時期よりも小さくなっている。
市中の貨幣量(貨幣供給)の寄与は、このところ2%ポイント前後のプラス寄与が継続しており、おおむね一定の幅で推移しているが、貨幣供給の増減率をみると、この1年間は緩やかに低下している。
ベースマネーが増加する一方で貨幣供給が低下するのは、企業が外部資金を借り入れようとする意欲に乏しいため信用創造が十分に働かず、貨幣乗数が低下しているためである。つぎにこの貨幣乗数の低下要因をみる。要因分解の方法は、2010年5月26日付けエントリーにつぎのように記載したとおりである。
ちなみに、貨幣乗数は、
M3 C+D C/D+1
--- = ---- = --------
MB C+R C/D+R/D
のように表現することができるため、貨幣乗数の伸びは、現金・預金保有比率が変化することによる要因と、準備預金の預金に対する比率が変化することによる要因にわけてみることができます(現金・預金保有比率は、さらに、(A-1)非金融機関の現金・預金保有比率、(A-2)金融機関の現金・預金保有比率にわけられます)。なお、準備預金の預金に対する比率は、通常の経済ではおおむね「法定準備率」に一致していますが、量的緩和政策下では、保有を義務づけられた準備預金額を超える当座預金への需要が喚起されるため、大きく変動することになります。
結果をみると、貨幣乗数は準備預金・預金比率の上昇によって低下しており、「流動性の罠」と量的緩和が組み合わされる際に生じるであろう傾向から低下していることがわかる。一方、現金・預金比率はこのところ低下していたが、その低下幅はしだいに縮小しており、今後は貨幣乗数を低下させる方向に働く効果をもつであろうことが予想される。これらは、1990年代後半以降のデフレ期の傾向の再現であり、日本経済は、つかの間の回復期を経て、再び長期停滞の様相をみせていることが懸念される。
続いて米国経済である。米国経済については、これまで再三指摘したように、日本型の長期デフレに陥る懸念はおおむね払拭されているようにみえる。GDPデフレーターはこのところ緩やかに上昇しており、これまでマイナス寄与であった民間設備投資のマイナス寄与もしだいに縮小している。
また、国内需要デフレーターを貨幣数量方程式に基づく寄与度でみた場合、貨幣流通速度はすでにプラスに転じていることがわかる。
貨幣供給の増減率も、一時期大きく低下したが、現在は再び上昇に転じている。
貨幣供給の上昇は、ベースマネーの著しい増加によって生じたものであるが、それに加えて、貨幣乗数の低下幅も縮小しており、金融機関を中心に民間経済主体の現金保有傾向はしだいに改まりつつある。貨幣面からみる限りでは、米国経済はすでに正常化しつつあり、経済主体のデフレ期待はおおむね払拭されたのではないかと思われる。
(私のコメント)
アメリカはFRBによるQE2による6000億ドル、日本円で48兆円もの長期債を買い込んで資金供給することでデフレ危機を回避することに成功しているように見える。おかげで株価は上がり、貨幣乗数の低下傾向も止まってきて金融機能も正常化してきたように見える。QE1と並んでの立て続けの金融緩和政策は、日本の金融政策に比べるとなんとも大胆なものであり、日本でこれくらいの金融緩和政策を行なえば「失われた10年」は回避できたかもしれない。
日本では、インフレターゲット政策を主張することすらキワモノ学者扱いされることを覚悟しなければならない。しかしアメリカのバーナンキERB議長は公言はしていないが明らかにインフレターゲット政策を採っている。イギリスもインフレターゲット政策で2%が目標ですが4%のインフレになってブレーキをかける必要があるほど大胆な金融緩和を行なった。韓国などもインフレターゲット政策を行なっているようだ。
金融を量的に引き締めたり緩和することでインフレターゲットは可能だと思うのですが、日本ではまともに議論されることもない。日本ではグラフで見ても分かるようにGDPデフレーターはずっとマイナスで終始していますが、それは日銀が金融を引き締め続けているからだ。FRBを見習って48兆円の国債買取を行なって資金供給すべきだろう。今は不況で資金需要がないから銀行は国債が買えないのならドル債やユーロ債を買わざるを得ない。そうなれば円安になる。
円安になることで株価は上がり輸出企業の手取りは増える。さらに株価が上がれば銀行の資本も増強されるから融資余力も出てくる。このように金融緩和すれば「風が吹けば桶屋が儲かる」式に好循環が起きて貨幣乗数も上がって行くだろう。貨幣流通速度も株価が上がることで売り買いが活発になるように上がっていくだろう。つまり金融の量的な緩和はデフレに対しては特効薬であり、アメリカのFRBの金融政策でそれが証明されている。
しかしアメリカがこのような金融緩和が出来るのも。中国や日本がドルを買ってくれるからであり、ドルの暴落が予想されれば出来ないことだ。日本は円高で苦しんでいるくらいだから金融緩和の余地があり、円を売り崩そうと言う動きも無い。円が150円とか200円になれば世界中に安い日本製品が溢れて、ヨーロッパやアメリカの自動車メーカーは潰れるだろう。だから欧米は日本に対して金融緩和するなと圧力をかけているのかもしれない。そして低金利にして金利が高くなったドル債を買わせている。
日本の金融を引き締めておけば、銀行は金を貸さないし、預金の資金運用は国債に限られる。こんなバカのことをさせている日銀は気が狂っているとしか見えないのですが、アメリカやイギリスは金融緩和でデフレの危機からは脱している。池田信夫氏と森永卓郎氏の論争でもそのことを指摘している。
◆経済論戦勝ったのはどっちだ!森永卓郎vs.池田信夫 激突120分日本経済は破綻する? 2月24日 現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2114?page=2
森永 '08年のリーマンショックのあと、イギリスは金融緩和によって通貨の供給量を3倍に増やし、アメリカも2・5倍に増やしました。対して、日本はまったく増やさなかった。
その結果、どうなったかというと、為替がイギリス(ポンド)はかなり下がり、アメリカ(ドル)とヨーロッパ(ユーロ)はほぼ変わらず、日本だけがどんどん円高になった。その影響で製造業が厳しくなり、日本の生産だけが激烈に落ち込んでしまったわけです。
だから、日本も欧米と同じように、金融緩和で通貨供給量を増やせば、為替の問題は解決するはず。
池田 その話については日銀が反論のペーパーを書いてますよ。日銀の供給する通貨(マネタリーベース)と円高は因果関係がない。
リーマンショックのあと円高になったのは、それまで売られていた円が巻き戻されたのと、アメリカのような金融システムの壊れた国よりも、日本のほうが安全だと円に投資が集まったからです。これは日銀の白川総裁も言っている。
森永 いやいや。通貨供給量が増えれば円安になり、物価も上昇する。教科書的な経済理論でも、物価は通貨供給量に比例して決まることになっているでしょ。
池田 そんな経済理論はありません。物価が中央銀行の供給する通貨の量で決まるという素朴な貨幣数量説は19世紀の理論。
森永 ええっ? そうなんですか? 日本も'01年から断続的に日銀が量的緩和をやりましたよね。あのとき'03年、'04年と、物価はずっと上がっていたじゃないですか。その後、緩和をやめてしまったからデフレになったんでしょ。
もしいま日銀が通貨供給量を100兆円増やすとします。100兆円で国債を買えば、金利1・2%として毎年1兆2000億円の金利収入が得られる。300兆円なら、3兆6000億円ですよ。国庫のおカネが足りないのなら、これをどんどんやればいい。
でも、じゃ、なぜそれがなかなかできないかというと、インフレになる危険があるからでしょう。逆にお聞きしますが、通貨供給量と物価が関係ないとおっしゃるなら、いっそのこと、どんどん金融緩和をやればいいんじゃないですか?
池田 2000年代前半に、日銀はマネタリーベースを36%も増やしたが、図(次ページ)のように物価はほとんど変わらなかった。だから日銀は量的緩和をやめたのです。300兆円だとか、そんなバカげた話、やめてください。そんなことを実際にやった国があるんですか。
森永 あるじゃないですか。現実にアメリカやイギリスがやっているでしょう。(後略)
(私のコメント)
デフレ経済で一番いけないのは、物価が年々下がり現金や預貯金で持っていることが一番有利になり、貨幣流通速度が低下してしまうことだ。銀行も借り手がなくなり金利は下がりっぱなしになる。このような時に銀行窓口にいくら現金を積み上げても借り手はいない。ならば国民に直接ばら撒いてしまう政策が一番いい。実際には減税政策ですが、菅政権は増税して財政再建路線しか考えていない。デフレをより酷くしようとしている。
貨幣乗数が低下することは信用の創造がうまく行っていないからですが、FRBのように大胆な金融緩和政策を採れば貨幣乗数も上がっていくのでしょう。その辺の事情はラスカルの備忘録を読めば数学的に証明が出来る。だから白川総裁のような自信のない僅かな金融緩和では効果がなかなか出てこない。銀行の増資が相次いでいますが、株価が低迷しているから資本増強に迫られて信用創造もままならない。
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